こんな営業トークに気をつけて!「この機種しか付かない」と言われたときの裏取り手順

この記事は、太陽光発電システム、蓄電池、エコキュートなどの住宅設備導入を検討中の方で、特に訪問販売やリフォーム業者との打ち合わせ(見積もり)の際に、「お客様のご自宅は特殊な条件なので、この機種しか設置できません」といった営業トークを受けて、判断に迷っている方に向けて執筆しています。
特定の機種を強く推奨されると、「本当にそうなのだろうか?」「他の選択肢はないのだろうか?」と不安になることもあるかと思います。もちろん、お住まいの状況(屋根の形状、設置スペース、既存の設備)によっては、本当に選択肢が限られるケースも存在します。しかし、それが客観的な事実なのか、あるいは営業上の都合なのかを見極めることは、高額な設備投資において非常に重要です。
この記事では、なぜそのような営業トークが使われるのかという背景から、ご自身でその情報の「裏取り(事実確認)」をするための具体的な手順、そしてケース別のチェックポイントまでを詳しく解説します。
目次
この記事でわかること
- 「この機種しか付かない」と言われやすい営業・見積もりシーン
- その営業トークの裏にある可能性(事実と営業都合の切り分け)
- 提示された情報が客観的に正しいかを確認する「裏取り」の具体的な手順
- 太陽光パネル、蓄電池、エコキュート別の妥当性判断チェックポイント
- 迷ったときにリノベステーションで確認できること
「この機種しか付かない」と言われる典型的なシーン
リフォームや設備導入の見積もり段階で、業者の選択肢が「1択」に絞られる背景には、いくつかの典型的なパターンがあります。
シーン1:お住まいの物理的な制約を理由にされた
最も一般的で、かつ「事実」である可能性も高い理由です。
- 太陽光パネルの場合:「屋根が特殊な材質(例:瓦、スレート以外)なので、メーカー保証が出るのはこの工法・このパネルだけです」「屋根の面積が狭い(または形状が複雑な)ため、この高効率パネルでないと十分な発電量が見込めません」
- 蓄電池・エコキュートの場合:「設置予定スペースがこの寸法しかないので、収まるのはこの薄型機種だけです」「基礎の状況を考えると、この軽量モデルしか置けません」
- 共通:「塩害地域(または寒冷地)なので、対応しているのはこの機種だけです」
これらの説明は、技術的な根拠に基づいている場合が多くあります。しかし、その「技術的根拠」が本当にその業者が提案する「1機種」にしか当てはまらないのか、という点が確認のポイントになります。
シーン2:既存の設備との「互換性」を理由にされた
特に蓄電池やV2H(Vehicle to Home)を後付けする場合に多い説明です。
- 「お客様が設置されている太陽光パネル(またはパワーコンディショナ)はA社のものなので、互換性が保証されている蓄電池もA社のこの機種しかありません」
- 「このパワーコンディショナの型番だと、連携できるのはこの蓄電池モデルだけです」
メーカー間の互換性(特にパワーコンディショナと蓄電池の連携)は非常に重要であり、保証の観点からもメーカーが推奨する組み合わせを選ぶこと自体は合理的です。問題は、その「推奨の組み合わせ」が本当に1パターンしかないのか、という点です。
シーン3:メーカーや業者の「都合」を理由にされた
前述の2つが技術的な理由だったのに対し、こちらは営業的な理由が背景にある可能性が考えられます。(編集部推察)
- 「今、メーカー(A社)がこの機種を出すために強力なキャンペーンをやっていて、価格が一番安くできます。他メーカーだと高くなります」
- 「この機種なら、当社の在庫がすぐにあるので、補助金(または電気代が上がる前)に間に合います」
- 「当社はこのメーカーの正規代理店(または施工認定店)なので、この機種なら責任をもって工事できます」
これらは「この機種しか付かない」という断定的な表現ではなく、「この機種が一番お得です/早いですよ」という推奨の形をとることもあります。消費者にとってメリットがある提案の場合もありますが、業者の利益率が高い機種や、在庫として抱えている機種を優先的に販売したいという意図が隠れている可能性もゼロではありません。
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なぜその営業トークに「裏取り」が必要なのか
業者の説明が100%事実であったとしても、高額な買い物である以上、その根拠をご自身で確認(裏取り)するプロセスは、後悔しない選択のために重要です。
理由1:本当に「技術的な制約」なのかを見極めるため
前述の通り、物理的・技術的な制約は確かに存在します。しかし、その制約をクリアできる機種が、本当にその業者が提示する「1機種」だけなのかは、確認の余地があります。
編集部見解: 業者の「技術力」や「取り扱いメーカーの範囲」によって、提案できる選択肢が変わる場合があります。例えば、A社は特定の工法(例:屋根に穴を開けない工法)の技術しか持っていないため「この工法で設置できるこのパネルしか付かない」と説明するかもしれません。しかし、B社は別の工法の技術を持っており、「B社の工法なら、こちらのメーカーのパネルも設置可能です」と提案できるケースがあり得ます。
つまり、「A社では、この機種しか付かない」というのは事実かもしれませんが、それは「世の中の全ての業者を探しても、この機種しか付かない」という意味ではない可能性があるのです。
理由2:業者の利益率や在庫状況に左右されていないか確認するため
編集部見解: これはあくまで推察ですが、営業担当者には「今月はこのメーカーの機種を重点的に販売する」といった販売目標(ノルマ)が設定されている場合があります。また、特定の機種を大量に仕入れることで、業者の仕入れ値が安くなり、利益率が高くなるケースも考えられます。
その結果、消費者(お客様)のご家庭にとっての「最適解」よりも、業者側の「販売したい機種」が優先されて提案されている可能性は、残念ながらゼロとは言い切れません。「この機種しか付かない」という説明は、消費者に他機種との比較検討をさせないための強力なセールストークとして機能する場合があります。
理由3:ご家庭にとっての「最適解」を逃すリスクを避けるため
仮にその業者の言う通り、技術的に「その機種しか付かない」のが事実だったとします。しかし、その「1機種」が、あなたのご家庭のライフスタイル(日中の電気使用量、将来の家族構成の変化、EV車の購入予定など)にとって最適な選択とは限りません。
例えば、太陽光パネルが1種類しか設置できない場合、そのパネルで得られる発電量と、導入にかかる総コスト(費用対効果)が、ご家庭の期待に見合わない可能性もあります。その場合は、「無理にその1機種を導入する」のではなく、「今回は導入を見送る」という判断も、また一つの「最適解」と言えるでしょう。
「この機種しか付かない」という言葉で思考停止してしまうと、こうした多角的な検討の機会を失うことになります。
「この機種しか付かない」の裏取り手順
では、具体的にどのようにして、提示された情報の裏取り(事実確認)を進めればよいのでしょうか。以下の4つのステップで冷静に確認することをお勧めします。
手順1:提示された機種の「型番」と「メーカー名」を正確に控える
全ての基本は「型番」です。「A社の最新機種です」といった曖昧な説明ではなく、見積書やカタログに記載されている正確な型番(例:ABC-123XYZ)を必ず控えてください。口頭での説明だけで見積書に型番が記載されていない場合は、その場で見積書への記載を依頼しましょう。
手順2:機種が限定される「制約条件」を具体的に確認する
「なぜ、他の機種ではダメなのか」という技術的な理由(制約条件)を、営業担当者に具体的に説明してもらいます。そして、その内容もメモに残します。
| 設備 | 確認すべき「制約条件」の例 |
|---|---|
| 太陽光パネル | 屋根の材質(スレート、瓦、ガルバリウムなど)、屋根の勾配(角度)、屋根の工法(穴を開けるか、金具の形状)、荷重制限(重さ)、保証の条件 |
| 蓄電池 | 既存のパワーコンディショナのメーカー・型番、設置スペースの寸法(幅・高さ・奥行き)、重塩害地域などのエリア区分、屋内設置か屋外設置か |
| エコキュート | 設置スペースの寸法、既存の配管状況、貯湯タンクの容量(何リットルか)、井戸水や地下水の使用の有無、寒冷地仕様の要否 |
※上記は一例です。お住まいの状況により確認項目は異なります。
この説明を求めた際に、担当者が曖昧な回答をしたり、専門用語を並べるだけで具体的に説明できなかったりする場合は、その「制約条件」自体の信憑性が疑わしくなります。
手順3:メーカーの公式サイトで仕様(スペック)を確認する
手順1で控えた「型番」を使い、インターネットでメーカーの公式ウェブサイトを検索します。製品ページには、その機種の「仕様表(スペック表)」や「製品カタログ」、「施工マニュアル」(業者向けですが公開されている場合もあります)がPDFなどで掲載されていることが多くあります。
そこで、手順2で聞いた「制約条件」と、メーカーが公開している「仕様」が一致しているかを確認します。
- 例1:営業担当者から「塩害地域なのでこの機種しか付かない」と言われた場合。
→ メーカーの仕様表に「塩害地域対応」と明記されているかを確認します。同時に、同じメーカーの他の機種の仕様表も見て、「塩害地域非対応」となっているか、あるいは他の機種にも「塩害地域対応」のモデルがないか(=選択肢が他にもないか)を確認します。 - 例2:営業担当者から「設置スペースが狭いのでこの薄型機種しか付かない」と言われた場合。
→ 仕様表でその機種の「寸法(幅・高さ・奥行き)」を確認し、実際にメジャーなどで設置予定場所の寸法を測り、本当にギリギリなのかを確認します。
手順4:他社に「相見積もり」を依頼する
これが最も強力な「裏取り」手段です。可能であれば、2〜3社に相見積もりを依頼します。
その際、単に「見積もりをください」と言うだけでなく、手順1・2で得た情報を活用します。
「現在、他社(A社)にも見積もりを依頼しているのですが、A社からは『うちの屋根(既存のパワコン)の条件だと、〇〇(メーカー名)の××(型番)という機種しか設置できない』と説明を受けました。御社(B社)の見解はいかがでしょうか? やはり、選択肢はこの1機種しかないのでしょうか?」
このように、具体的な型番と制約条件を提示して「セカンドオピニオン」を求める形で質問します。
もしB社が「いえ、その条件であれば、当社の取り扱っているこちらのメーカー(C社)の△△という機種も設置可能で、保証も問題ありませんよ」と異なる提案をしてきた場合、最初のA社の説明は「A社の都合(取り扱いがない、技術がない等)」であった可能性が非常に高くなります。
逆に、B社からも「お調べしましたが、A社のおっしゃる通り、その条件ですと〇〇(型番)しか選択肢がありませんね」と回答が来た場合は、その「制約条件」が客観的な事実である信憑性が高まります。
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編集部見解:その1社の説明だけで判断しないことが重要
編集部見解: 私たちリノベステーション編集部が最もお伝えしたいのは、「この機種しか付かない」という言葉は、その営業担当者(またはその会社)にとっての「事実」かもしれないが、市場全体(=お客様)にとっての「真実」とは限らない、ということです。
住宅設備の世界は技術進歩が速く、メーカー間の互換性や施工方法も多岐にわたります。全ての業者が、全てのメーカーの、全ての最新技術や施工方法を網羅しているわけではありません。
- A社はメーカーXの取り扱いに特化している。
- B社は屋根に穴を開けない特殊工法が得意。
- C社は多種多様なメーカーを取り扱っているが、価格は少し高め。
このように、業者によって得意分野や提案できる幅は異なります。A社の担当者から「この機種しか付かない」と言われたら、それは「A社の中では、この機種しか提案できない(あるいは、この機種を売りたい)」というサインかもしれない、と一歩引いて考える冷静さが必要です。
高額な契約になるからこそ、1社の説明だけを鵜呑みにせず、ご自身での「裏取り」(メーカーサイトの確認)や、最低でももう1社(できれば2社)への「相見積もり(セカンドオピニオン)」を取ることを強く推奨します。
その結果、全ての業者が「やはりこの機種しか付かない」と結論付けたのであれば、それは客観的な事実として受け入れ、その機種を導入するか、あるいは今回は導入を見送るか、という次のステップに進むことができます。
焦って契約してしまい、「後から調べたら、もっと安くて良い機種が付けられたかもしれない」と後悔することのないよう、この記事で紹介した「裏取り手順」が、冷静な判断の一助となれば幸いです。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 提示された機種が本当に「最新」か確認する方法は?
A. 最も確実なのは、メーカーの公式ウェブサイトで製品情報を確認することです。提示された「型番」で検索し、製品カタログやニュースリリースの日付、あるいは「生産終了品」となっていないかを確認します。型番が1年〜2年以上前のものであれば、後継機種が出ていないかを確認する価値はあります。
Q2. 「この機種しか付かない」と言われた場合、どう断ればよいか?
A. まずは「貴重なご提案ありがとうございます。家族とも相談したいので、本日いただいた資料(型番と見積もり)をいったんお預かりします」と伝え、その場での即決を避けるのが賢明です。断るのではなく「いったん保留する」姿勢を見せることが重要です。「なぜこの機種しか付かないのか」という技術的な理由を、書面やメールで送ってもらうよう依頼するのも有効な手段です。
Q3. 相見積もりを取る時間がない(補助金の期限が近い)と言われたら?
A. まずはその補助金の「正確な名称、年度、締切日」を公的機関のサイト(自治体や経済産業省など)でご自身で確認してください。本当に期限が迫っている場合もありますが、高額な契約を焦って決めてしまい、結果的に相場より高い買い物になるリスクもあります。補助金の期限と、冷静に比較検討する時間(数日〜1週間)を天秤にかけ、ご判断ください。
Q4. メーカーの施工IDがないと設置できないと言われたが本当か?
A. 一部のメーカーや製品(特に太陽光発電システムなど)では、製品保証を有効にするために、メーカーが認定した「施工ID」や「施工認定」を持つ業者が工事を行うことを必須条件としている場合があります。これは事実である可能性が高いです。ただし、「施工IDを持つ業者がそのA社しかない」というわけではなく、他の認定業者も存在する可能性はあります。その業者が認定店であることの確認(認定証の提示など)と、他社でも施工可能かを確認するのがよいでしょう。
出典・参考情報
この記事は、一般的な住宅設備(太陽光発電、蓄電池、エコキュート)のメーカー公式サイトや、国民生活センター等に寄せられる情報、およびリノベステーション編集部の知見に基づき構成しています。特定の製品や施工方法を推奨・否定するものではありません。実際の導入に際しては、複数の専門業者にご相談ください。
- 経済産業省 資源エネルギー庁
- 独立行政法人 国民生活センター
- 一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA)
- (各住宅設備メーカーの公式ウェブサイト)
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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