停電時にトイレは流せる?メーカー別の流し方と断水時の絶対NG行動【徹底ガイド】

台風や地震による突然の停電。「電気が消えた」という不安の中で、生理現象であるトイレの問題は待ってくれません。特に近年普及しているタンクレストイレやオート洗浄機能付きのトイレは、電気が止まると水を流せなくなると思われがちです。
結論から申し上げますと、ほとんどのトイレは停電時でも流す方法があります。しかし、状況によっては「絶対に流してはいけない」ケースも存在するため、正しい知識が必要です。
この記事の結論・要点
- タンク式はレバーで洗浄可、タンクレストイレも手動レバーや電池で対応可能。
- 断水時や排水管破損時は、バケツの水でも流してはいけない(汚水逆流・階下漏水のリスク)。
- 停電が長期化する場合、蓄電池や太陽光発電(自立運転)があれば普段通り使える。
この記事では、TOTO、LIXIL、Panasonicなど主要メーカー別の停電時のトイレ使用方法、バケツを使った正しい流し方、そして災害時に備えておくべき対策について、住まい設備の専門家であるリノベステーション編集部が解説します。
目次
1. 停電したとき、家のトイレはどうなる? 基本的な仕組み
普段、レバーやリモコンのボタン一つで流れるトイレですが、停電するとその機能の一部または全部が停止します。まずはご自宅のトイレがどのタイプかを確認し、基本的な挙動を理解しましょう。
タンク式トイレの場合
便器の後ろに水を溜めるタンクがある一般的なタイプです。このタイプは、洗浄レバーとタンク内の弁が鎖で物理的に繋がっている構造が多いため、停電してもレバーを回せば通常通り水を流すことができます。
ただし、温水洗浄便座(ウォシュレットなど)の機能は電気を使っているため、おしり洗浄や暖房便座機能は使用できません。
タンクレストイレ・一体型トイレの場合
水を溜めるタンクがない、または便器と機能部が一体化しているタイプです。これらは水を流すために電磁弁(電気で動く弁)やポンプを使用しているため、停電するとリモコンや通常のレバー操作では水が流れません。
しかし、「流せない」わけではありません。各メーカーとも、停電時用の「手動レバー」や「非常用電源(乾電池)」を備えている場合がほとんどです。また、それらが機能しない場合でも、バケツの水を使って流す方法(バケツ洗浄)が公式に推奨されています。
2. 【メーカー別】停電時のトイレの流し方(TOTO・LIXIL・Panasonic)
主要メーカーのタンクレストイレにおける、停電時の応急処置方法をまとめました。機種によって操作レバーの位置が異なるため、取扱説明書や便蓋の裏に貼ってあるステッカーを確認してください。
TOTO(ネオレスト・GGなど)
TOTOのタンクレストイレには、便器の後方や側面のパネル内に「手動レバー」が隠されていることが多いです。
- 手動レバーでの洗浄:便器側面や後方のカバーを外し、リング(手動レバー)を引っ張ることで洗浄できます。機種によっては乾電池ボックスを装着して電動で流すタイプもあります。
- 給水について:断水していなければ、手動操作でもタンクや水道管から水が供給され洗浄できます。
LIXIL(サティス・プレアスなど)
LIXIL(INAX)製品は、「洗浄ハンドル」での操作が主ですが、スマートフォンのアプリ連携機能などが充実しています。
- 手動洗浄ハンドル:トイレ上面や側面にあるカバーを開け、手動レバーを回します。
- お掃除リフトアップ:電動リフトアップ機能は使えませんが、洗浄自体は手動で可能です。
- 注意点:一部の旧型モデルではバケツ洗浄のみ対応の場合があります。
Panasonic(アラウーノシリーズ)
パナソニックのアラウーノは、電気で排水を制御するターントラップ方式を採用しているため、手順を守る必要があります。
- 非常用電池:トップカバーを開け、9V角形アルカリ乾電池などをセットすることで、普段通りボタン操作で流せる機種が多いです(L150シリーズなど)。
- 手動ハンドル:電池がない場合、サイドカバー内の手動ハンドルを回して排水弁を開き、バケツで水を流し込みます。最後にハンドルを戻して水を溜める必要があります(下水臭防止のため)。
| メーカー | 主なシリーズ | 停電時の主な対応策 |
|---|---|---|
| TOTO | ネオレスト GG/GG-800 |
手動レバー(側面/後方) 乾電池ボックス(別売/付属) |
| LIXIL | サティス フロート トイレ |
手動洗浄ハンドル 洗浄レバー(側面) |
| Panasonic | アラウーノ L150 アラウーノ S160 |
9V乾電池による電動排水 手動ハンドル+バケツ給水 |
もっと詳しく知りたい方へ【無料E-BOOK】
「トイレ以外の家電はどうなる?」「停電は何時間続くの?」
停電時の設備対応から蓄電池の活用法まで、防災・エネルギーの基礎知識をまとめた「スタートガイド」を無料でプレゼント中。いざという時のために、ダウンロードしてスマホに保存しておくと安心です。
3. 絶対に流してはいけない! 断水時・排水管異常時のNG行動
停電対策として「バケツで水を流せばいい」と覚えている方も多いですが、状況によってはこれが命取りになります。以下のケースでは、絶対にトイレに水を流さないでください。
ケース1:断水している場合
停電と同時に断水している場合、排水管の先でも水流が不足している可能性があります。無理に汚物を流すと、途中の配管で詰まってしまい、復旧後に汚水が逆流したり、配管破裂の原因になったりします。
断水時は、たとえバケツに水があっても、便器内に直接流すのは避けるのが賢明です。代わりに、便器にゴミ袋(45L推奨)を二重に被せ、凝固剤やちぎった新聞紙を入れて「簡易トイレ」として使用してください。
ケース2:排水管や下水道が破損している場合
地震による停電の場合、地中の排水管や下水道本管が破損している恐れがあります。この状態で水を流すと、自宅の床下や、最悪の場合は階下の住民の部屋へ汚水が漏れ出す(漏水事故)可能性があります。
特に集合住宅(マンション)の場合、1階の住戸で汚水が噴き出すトラブルが多発します。管理組合や自治体から「排水許可」が出るまでは、流すのを我慢し、簡易トイレで対応しましょう。
ケース3:浄化槽のブロワー(ポンプ)が停止している場合
浄化槽を使用しているご家庭では、停電でブロワー(空気を送るポンプ)が止まると、微生物が死滅し、浄化能力が著しく低下します。この状態で大量の水や汚物を流すと、浄化槽が溢れたり、未処理の汚水が流出したりする原因になります。
4. バケツで流す場合の正しい手順とコツ
断水しておらず、排水管も無事であることが確認できた場合に限り、バケツでの洗浄が可能です。ただし、コツを知らないと水が溢れたり、洗浄不足になったりします。
- 電源プラグを抜く:感電や故障を防ぐため、作業前には必ず温水洗浄便座の電源プラグをコンセントから抜いてください。
- 便座・便ふたを上げる:水はねを防ぐため、必ず上げて作業します。周囲に新聞紙やタオルを敷くと安心です。
- 一気に水を流し込む:バケツ1杯(約6〜8リットル)の水を、水飛びに注意しながら、一気に流し込みます。チョロチョロと注いでもサイホン作用(排水引力)が働かず、汚物が流れません。
- 水位を調整する:排水後、便器内の水位が低くなっている場合は、下水からの臭気や害虫の侵入(封水切れ)を防ぐため、さらに3〜4リットルの水を静かに注ぎ、いつもの水位まで戻します。
※注意:オート洗浄機能が復旧した際に勝手に水が流れないよう、作業後は必ず機能設定を確認してください。
5. 停電しても困らない「災害に強い家」にするには
バケツ洗浄や簡易トイレはあくまで一時的な応急処置です。数日〜数週間に及ぶ長期停電や、在宅避難を想定する場合、電気と水を確保する仕組み自体を整えることが、衛生環境と精神衛生を守る鍵となります。
蓄電池でトイレの電源を確保する
家庭用蓄電池があれば、停電時でも特定のコンセント(自立運転用コンセント)や家全体(全負荷型)に電気を供給できます。トイレの電源プラグを蓄電池からの供給ルートに接続すれば、普段通りレバーやリモコンで水を流すことが可能です。もちろん、照明も点くため、夜間のトイレも安心です。
太陽光発電の「自立運転」を活用する
太陽光発電システムには、停電時でも太陽が出ている間だけ電気を使える「自立運転機能」が付いています。最大1,500Wまで使えるケースが多く、トイレの消費電力(数十W〜数百W)であれば余裕で稼働します。ただし、夜間は使えないため、蓄電池との併用が理想的です。
V2H(Vehicle to Home)の導入
電気自動車(EV)をお持ちなら、V2H機器を導入することで、車のバッテリーを家の電源として使えます。EVのバッテリー容量は家庭用蓄電池の数倍〜10倍以上あるため、トイレだけでなく冷蔵庫やエアコンも含めた生活インフラを数日間維持することが可能です。
【簡単30秒入力】防災対策+電気代削減の効果は?
「蓄電池を入れると、どれくらい電気代が安くなる?」「災害時に何日くらい電気が使えるの?」
その疑問、簡単な入力ですぐに解決できます。お住まいの地域や毎月の電気代を入力するだけで、あなたのご家庭だけの詳細な節約効果と防災メリットを無料でシミュレーションいたします。まずは、安心を買うコストがどれくらいか、数字で確かめてみませんか?
今すぐ無料で削減額をチェックする »
6. よくあるトラブルと事前の備え
いざ停電してから慌てないために、日頃から準備できることがあります。
- 簡易トイレの備蓄:最低でも「家族の人数 × 5回分 × 3日分」の備蓄が推奨されています(例:4人家族なら60回分)。
- お風呂の残り湯:常に浴槽に水を張っておくことで、トイレの流し水(断水していない場合)や生活用水として活用できます。
- 電池の準備:タンクレストイレ用の非常用電池(9V角形や単3など機種による)をトイレ収納に常備しておきましょう。
最適な停電対策は? 費用対効果は? まずは専門家と確認
「今の家の設備で災害時にどこまで耐えられる?」「蓄電池と発電機、どっちが良いの?」 防災リフォームは専門的な知識が必要で、お悩みの方も多いはずです。無料シミュレーションをご利用いただければ、専門のアドバイザーがあなたの家の条件やご希望に適したプランをご提案し、詳細な費用対効果を分かりやすくご説明します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 停電時にトイレを流す水量は?
バケツで流す場合、1回につき約6〜8リットル(大きめのバケツ1杯分)の水が必要です。さらに、流し終わった後に排水管からの臭気上がりを防ぐ「封水」用として、3〜4リットルの水を静かに追加する必要があります。
- 洗浄用:勢いよく流し込む(6〜8L)
- 封水用:静かに注ぐ(3〜4L)
※機種や配管状況により異なります。取扱説明書を優先してください。
Q2. 断水復旧後の注意点は?
断水復旧直後は、水道管内に空気が混入していたり、濁り水が出たりすることがあります。トイレを使用する前に、まずは屋外の散水栓やキッチンの蛇口などで水を出し、空気と濁り水を出し切ってからトイレの止水栓を開けてください。
※いきなりトイレを流すと、ウォーターハンマー現象で配管を傷める恐れがあります。
Q3. 蓄電池があればトイレは動く?
はい、動きます。ただし、蓄電池のタイプによって条件が異なります。「全負荷型」であれば家のすべてのコンセントが使えるためトイレも通常通り使えます。「特定負荷型」の場合は、トイレのコンセントが非常用回路に指定(配線)されていれば使用可能です。
Q4. マンションの停電時はどうする?
マンションなどの集合住宅では、電気で動く給水ポンプが停止すると全戸断水になります。また、排水ポンプも停止している場合、低層階で汚水が逆流する恐れがあるため、管理組合や管理会社から「排水OK」の指示が出るまでは原則として流してはいけません。
Q5. 簡易トイレは何日分必要?
内閣府の指針では「最低3日分、推奨1週間分」の備蓄が求められています。1人1日あたり約5回トイレに行くと想定し、4人家族であれば「4人×5回×3日=60回分」が最低ラインです。
出典・参考情報
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。
光熱費削減コンサルタント
中田 萌ご相談やお見積もりは
完全無料です!
蓄電池
太陽光発電
パワーコンディショナ
エコキュート
IHクッキングヒーター
外壁塗装
ポータブル電源











蓄電池の選び方


























