外壁塗装は一部だけでも可能か?費用相場と失敗しないための判断基準

自宅の外壁に目立つひび割れや汚れを見つけた際、「全面塗装するにはまだ早い気がするが、この部分だけ直したい」「外壁塗装を一部だけ行う場合の費用はどれくらいか」と悩む方は少なくありません。
結論として、外壁塗装を一部だけ行うことは可能です。しかし、費用の内訳や将来的なメンテナンス計画を理解しておかないと、かえって割高になってしまうリスクも伴います。
この記事では、住宅設備とリフォーム費用の専門家の視点から、外壁塗装を一部だけ行う場合のリアルな費用感と、長期的に損をしないための判断基準を詳しく解説します。
- 一部塗装にかかる費用相場(足場あり・なし)
- 費用を抑えるメリットと、仕上がりや耐久性に関するデメリット
- DIYの危険性と、火災保険が適用されるケース
- 足場を組むなら同時に検討すべき、太陽光やエコキュート設置の費用対効果
まずは、一部塗装の費用が「何によって」決まるのか、その内訳から見ていきましょう。
目次
外壁塗装を「一部だけ」行う場合の費用相場
外壁塗装を一部だけ行う場合の費用は、「足場の設置が必要かどうか」によって大きく変動します。軽微な補修であれば数万円で済むこともありますが、一面を塗り直すなど広範囲になれば、足場が必要となり数十万円規模になることも珍しくありません。
費用相場の内訳:足場の有無が最大の分岐点
部分的な塗装や補修の費用は、「作業費(技術料)」「材料費(塗料など)」「諸経費(足場代、養生費など)」で構成されます。特に大きな割合を占めるのが足場代です。
| 補修の範囲・方法 | 費用目安(足場なし) | 費用目安(足場あり) |
|---|---|---|
| DIY(簡易補修)
手の届く範囲の小さなひび割れ(クラック)補修、タッチアップ(部分的な色塗り) |
1万円〜5万円程度
(材料費・道具代実費) |
(該当なし) |
| 業者依頼(小規模)
コーキング(シーリング)の打ち替え・増し打ち、手の届く範囲のひび割れ補修 |
3万円〜10万円程度 | (該当なし) |
| 業者依頼(中規模)
ベランダの内側のみ、特定の壁一面(1階部分のみなど) |
10万円〜30万円程度 | 20万円〜50万円程度
(足場代 15万〜25万円前後が加算) |
| 業者依頼(広範囲)
特定の壁一面(高所含む)、北側の一面すべてなど |
(該当なし) | 30万円〜60万円程度
(足場代 15万〜30万円前後が加算) |
足場代が「割高」になる理由
一般的な30坪程度の二階建て住宅の場合、家全体を囲う足場設置費用は15万円~30万円程度が相場です。一方、部分塗装のために「一面だけ」足場を組む場合でも、運搬費や設置・解体の人件費は全体を組む場合と大きく変わらないため、15万円~25万円程度の費用がかかります。
塗装面積は全体の4分の1だとしても、足場代は全体の8割程度かかってしまうケースもあり、面積あたりの単価で考えると「非常に割高」になるのです。これが、業者が「どうせ足場を組むなら全面塗装した方がお得ですよ」と勧める最大の理由です。
火災保険が適用されるケース
外壁の損傷理由が「台風」「強風」「雹(ひょう)」「落雷」などの自然災害によるものである場合、加入している火災保険(住宅総合保険)が適用され、補修費用(足場代含む)が保険金でカバーできる可能性があります。
ただし、「経年劣化」によるひび割れや色あせは対象外です。また、免責金額(自己負担額)が設定されている場合も多いため、損傷を見つけたらまずは保険証券を確認し、保険会社や専門業者に相談してみましょう。
※本章のまとめ:一部塗装の費用は足場の有無で決まります。足場が不要な10万円以下の小規模補修か、足場が必要な20万円以上の補修か、が判断の分かれ目です。足場が必要な場合は、費用が割高になる可能性を認識する必要があります。
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一部塗装のメリットと見落としがちなデメリット
外壁塗装を一部だけ行うことには、当然ながら費用面でのメリットがありますが、一方で仕上がりや耐久性の面で大きなデメリットも存在します。両方を天秤にかけ、長期的な視点で判断することが重要です。
メリット:短期的なコスト削減と工期の短縮
最大のメリットは、目先の支出を抑えられることです。全面塗装(一般的な30坪の住宅で80万円~150万円程度)と比較すれば、足場代を含めても数十万円で済むため、一時的な経済的負担は大幅に軽減されます。
また、塗装範囲が限定されるため、養生や作業にかかる時間も短縮され、工期も数日~1週間程度で完了することが多く、生活への影響が少ない点もメリットと言えます。
デメリット1:新旧部分の「色ムラ」と「仕上がりの差」
最も顕著なデメリットが、仕上がりの違いです。既存の外壁は紫外線や雨風によって、新築時と比べて色あせや変色(退色)が進んでいます。
たとえ新築時と全く同じ型番の塗料を使用したとしても、
- 色ムラ: 塗装した部分だけが鮮やかになり、既存部分との色の差が「つぎはぎ」のように目立ってしまう。
- 質感の差: 既存部分の塗膜が劣化している場合、新しい塗膜との光沢や質感の違いが目立つ。
といった問題が発生しやすく、美観を損ねる可能性があります。これを避けるためには、既存の色に合わせて調色(色を混ぜて調整)する高度な技術が必要ですが、完璧に一致させるのは困難です。
デメリット2:耐久性のアンバランス
塗料の耐久年数(耐用年数)にも差が生じます。例えば、築8年で一部を補修塗装した場合、その部分の耐久性はそこから10年~15年となりますが、既存の塗装部分は数年後(築10年~15年)には全面的な塗り替え時期を迎えます。
結局、数年後にまた足場を組んで全面塗装を行うことになり、今回の一部塗装のためにかけた足場代(15万円~25万円)が、結果的に無駄になってしまう可能性が高いのです。
※本章のまとめ:一部塗装は短期的な費用を抑えられますが、仕上がりの色ムラや、数年後に再度足場代が発生する「二重投資」のリスクという大きなデメリットがあります。
専門家の視点:足場を組むなら「ついでリフォーム」が賢明
前述の通り、一部塗装であっても高所作業が伴う場合、足場代は数十万円かかります。この「足場代」を、単なる塗装のためのコストと考えるか、住宅全体をメンテナンスするための「投資」と考えるかで、リフォームの費用対効果は大きく変わります。
足場代の「二重払い」を防ぐ
住宅メンテナンスには、高所作業が必要なものが多く存在します。
- 外壁塗装(全面・一部)
- 屋根塗装、屋根の葺き替え
- 雨樋(あまどい)の修理・交換
- 太陽光発電パネルの設置
- エコキュート室外機の高所設置(※機種による)
- アンテナの設置・修理
これらの工事を別々のタイミングで行うと、その都度15万円~30万円の足場代が発生し、トータルコストは膨大になります。もし、数年以内に他の高所作業(特に屋根塗装や太陽光設置)を計画している、あるいは築10年を超えて外壁全体の劣化が気になり始めているのであれば、今回の一部塗装は見送り、全面塗装と同時に行う方が合理的です。
太陽光発電・エコキュート設置の絶好の機会
特に、電気代高騰対策として注目される「太陽光発電」や「エコキュート」の導入を検討している場合、外壁塗装で足場を組むタイミングは絶好の機会です。
太陽光パネルを屋根に設置する際も、安全・確実な施工のために足場が必要となるケースがほとんどです。外壁塗装と同時に施工を依頼すれば、この足場代を太陽光設置工事と共有できるため、太陽光の導入コストから足場代相当額(15万円~30万円)を実質的に節約できます。
また、エコキュート(ヒートポンプ式給湯器)も、設置場所によっては高所作業が必要になる場合があります。ガス給湯器からの交換を検討している場合も、同時に相談してみる価値は高いでしょう。
「一部の補修」という目先の課題解決だけでなく、この機会に「住宅の省エネ化・価値向上」という長期的な投資を行うことが、賢いリフォーム計画と言えます。
※本章のまとめ:一部塗装で足場を組む際は、それが「二重投資」にならないか慎重に判断すべきです。太陽光発電など他の足場が必要なリフォームと同時に行うことで、トータルの費用を大幅に節約できる可能性があります。
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一部塗装か全面塗装か? 最終的な判断基準
費用感やメリット・デメリットを踏まえ、ご自身の状況が「一部塗装」と「全面塗装」のどちらに適しているか、判断基準を整理します。
「一部塗装」が適しているケース
- 築年数が浅い(築5年以内など)外壁全体の耐久性はまだ十分だが、飛来物による損傷など、局所的なトラブルが発生した場合。
- 災害による損傷(火災保険適用)台風や雹などで明確に破損箇所が特定でき、保険適用で補修できる場合。
- 近いうちに建て替え・売却予定がある長期的な耐久性を求める必要がなく、最低限の補修で現状維持をしたい場合。
- 足場が不要な範囲の補修手の届く範囲の軽微なひび割れや、コーキングの補修で済む場合。
「全面塗装」を推奨するケース
- 築10年以上が経過している塗料の防水機能が切れ始める時期であり、一部を補修してもすぐに他の箇所が劣化する可能性が高いため。
- チョーキング現象(手で触ると粉が付く)が発生している塗膜が劣化しているサインであり、外壁全体の塗り替え時期です。
- 広範囲にひび割れやカビ、コケが発生している劣化が全体に及んでいる証拠です。
- 一部塗装でも足場が必要になる前述の通り、足場代が割高になるため、全面塗装の方がコストパフォーマンスが高くなります。
- 太陽光発電や屋根塗装など、他のリフォームも検討している足場代を共通化できる絶好のタイミングです。
DIYによる一部補修は推奨しない
ホームセンターではDIY用の補修キット(コーキング剤、スプレー塗料など)が販売されており、費用を1万円以下に抑えることも可能です。
しかし、専門家としては以下の理由からDIYを推奨しません。
- 高所作業の危険性: 2階部分の作業はもちろん、脚立での作業でも転落すれば重大な事故につながります。
- 不十分な下地処理: 汚れや古い塗膜を適切に除去(高圧洗浄など)しないと、新しい塗料がすぐに剥がれます。
- 仕上がりの悪化: 色ムラや塗りムラが目立ち、かえって美観を損ねる可能性があります。
- 根本解決にならない: ひび割れの原因(構造的な問題など)を特定できず、一時しのぎにしかならない場合があります。
DIYは、あくまで手の届く範囲の「応急処置」と捉え、根本的な補修は専門業者に依頼するのが賢明です。
※本章のまとめ:築年数や劣化状況、足場の必要性が判断の分かれ目です。築10年以上経過している場合や、足場が必要な場合は、全面塗装や他のリフォームとの同時施工を強く推奨します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 外壁塗装(一部)の費用が安くなる補助金は?
外壁塗装「のみ」を対象とした補助金は、多くの自治体で減少傾向にあります。ただし、外壁塗装と「同時」に、断熱改修(高性能な断熱材の導入)や省エネ設備の導入(太陽光発電、高効率給湯器エコキュートなど)を行う場合、国の大型補助金(例:子育てエコホーム支援事業など ※年度により名称変更あり)や、自治体独自の補助金の対象となる可能性が非常に高いです。
特に、太陽光発電やエコキュートの導入に関しては、多くの自治体が手厚い補助金を用意しています。「一部塗装」の費用捻出に悩んでいる場合でも、これらのリフォームと組み合わせることで、補助金を活用し、実質的な負担を抑えて住宅全体の性能を上げられる場合があります。
※補助金は年度や自治体によって要件が異なり、予算上限(先着順)があるため、必ず最新情報を確認してください。
Q2. 一部塗装と全面塗装、耐用年数は違いますか?
はい、異なります。塗料の耐用年数(耐久性)は、塗装した時点からカウントされます。
例えば、築8年(既存の耐用年数残り2〜7年)の家の一部に、耐用年数15年の塗料で補修塗装をした場合、その部分だけが15年(築23年まで)持つことになります。しかし、既存部分は築10年〜15年で寿命を迎えるため、結局そのタイミングで全面塗装が必要になります。
このように、一部塗装を行うと、外壁の耐久性がアンバランスになり、将来的なメンテナンス計画が複雑になるデメリットがあります。
Q3. 訪問営業で「一部だけ安く直す」と言われました。
「近所の工事で足場があるから、今なら安くできる」「このままだと危険だ」といったトークで訪問営業を行う業者には注意が必要です。
中には、安価な塗料で簡易的な補修のみを行い、高額な請求をする悪質なケースや、不安を煽って不要な全面塗装契約を結ぼうとするケースも報告されています。
- その場での契約は絶対に避ける。
- 必ず複数の業者(地元の信頼できる工務店など)から相見積もりを取る。
- 見積書の内訳(塗料のメーカー・製品名、施工面積、足場代)が明確か確認する。
焦らず、冷静に情報を比較することがトラブル防止につながります。
Q4. 外壁塗装と同時に太陽光を設置する費用は?
太陽光発電の設置費用は、容量(kW)やメーカーによりますが、経済産業省のデータ(2024年)によれば、1kWあたりの平均設置費用は約25.9万円(新築)~27.1万円(既築)です。
例えば、4.5kWのシステムを既築住宅に設置する場合、約122万円(27.1万円×4.5kW)が目安となります。ただし、これは足場代を含んだ平均価格です。外壁塗装と同時に行い、足場代(仮に20万円)を節約できる場合、実質的な負担額は約102万円程度まで抑えられる可能性があります。
さらに、国や自治体の補助金、そして設置後の電気代削減効果(売電収入含む)を考慮すると、導入のハードルはさらに下がります。
※金額・効果・制度は条件により変動します。正確な費用は必ず専門業者の見積もりとシミュレーションで確認してください。
まとめ:一部塗装の判断は「足場」と「築年数」で決める
外壁塗装を一部だけ行うことは技術的に可能であり、足場が不要な軽微な補修であれば3万円~10万円程度で実施できる場合もあります。
しかし、「高所の補修で足場が必要」かつ「築10年近く経過している」のであれば、一部塗装は推奨できません。仕上がりの色ムラのリスク、そして数年後に結局全面塗装で再度足場代がかかる「二重投資」のリスクが非常に高いためです。
むしろ、その足場を「投資」と考え、屋根塗装や、電気代を根本から削減できる「太陽光発電」「エコキュート」の設置を同時に行う方が、長期的なコストパフォーマンスは格段に向上します。リフォームの補助金制度も、こうした省エネ改修とセットで行う方が格段に利用しやすくなります。
目先の補修費用だけでなく、10年後、20年後のトータルコストと快適な暮らしを見据えた賢明な判断が求められます。
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この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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