卒FITって何?卒FIT後の対策・太陽光を再活用する方法を解説!
「太陽光発電を設置してもうすぐ10年…卒FITの対策が必要と言われたことはあるけど、結局まだなにもしていない…」という方は意外と多いのではないでしょうか?
FIT制度の優遇された固定価格で売電を続けていた方なら、卒FITで収益が下がるのは怖いもの。
とはいえ、具体的な対策方法を調べるのも面倒ですよね。
そこで本記事では、「FIT制度や卒FITの特徴や売電価格の推移」や「卒FITにおすすめな4つの対策方法」についてくわしく解説していきます。
「蓄電池による自家消費」のメリット・デメリットもご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧くださいね!
目次
卒FITとは?FIT制度の特徴や売電価格の推移を解説
はじめに、「卒FIT」や「FIT制度」といった専門用語の概要や、現在までのFIT制度の売電価格の推移、卒FIT後の売電価格の相場を解説していきます。
卒FITって何?FIT制度の概要もわかりやすくご紹介!
「FIT制度」とは、太陽光発電で作ったエネルギーを「10年の間、優遇された固定価格で買い取る」ことを国が約束する制度のことです。
「卒FIT」とは、FIT制度の10年間の優遇期間が終了した状態を指す言葉であり、10年前の高額な買取価格から、現在の割安な「自由価格」での買取に変更されます。
FIT制度がスタートした2009年には「1kWあたり48円」という超高額で買取されており、卒FITで一気に売電収益が下がった混乱から「2019年問題」と呼ばれ話題となりました。
卒FITを迎えても「売電できなくなる」ことはありませんが、収益の低下はまぬがれません。
そこで「蓄電池の購入」や「売電する会社の変更」などの対策が重要となります。
【推移を解説】卒FIT後の売電価格はどれくらい下がる?
まずは、現在までのFIT制度の買取価格がどれくらい下がっているのか、以下の表で推移を見ていきましょう。
年度 | FIT制度の固定買取価格(1kWあたり) |
2013年 | 38円 |
2014年 | 37円 |
2015年 | 33円〜35円 |
2016年 | 31円〜33円 |
2017年 | 28円〜30円 |
2018年 | 26円〜28円 |
2019年 | 24円〜26円 |
2020年 | 21円 |
2021年 | 19円 |
2022年 | 17円 |
2023年 | 16円 |
表を見ると、FIT制度の固定買取価格は「毎年上がることなく、どんどん下がっている」ことがわかります。
卒FIT後に自由価格での売電を継続する場合、2023年現在は「1kWあたり約7円〜12円」程度が買取価格の相場です。
2023年に卒FITを迎える方のFIT固定価格は「1kWあたり38円」ですので、自由価格に切り替わることで売電収益が「3分の1〜4分の1」まで下がってしまう計算となりますね。
卒FIT後に何もしないと「0円引き取り」になるって本当?
よくある勘違いに「卒FIT後に何もしないと発電した電気が0円で引き取られる」というものがありますが、基本的には現在売電している電力会社が継続して買い取りしてくれます。
例外中の例外として、「電力会社の倒産などで売電契約の自動更新ができない場合」などに限り、東京電力などの大手地方電力会社が余剰電力を0円で引き取るケースは存在します。
上記の特例は「行き場を無くした余剰電力が家庭に逆流するリスクを防ぐため」のやむを得ない処置であり、電力会社が利益を得るためではありません。
「もうすぐ卒FITだけどしばらく様子を見たい」とお考えの方は、現在売電契約している電力会社に「契約が自動更新されるかどうか」問い合わせておくと安心ですね。
卒FIT後の「4つの選択肢」とは?それぞれの短所・長所を解説!
卒FITを迎えた方が取れる主な選択肢は「売電契約の更新」「売電する電力会社の変更」「蓄電池で自家消費」「V2Hで自家消費」の4つが挙げられます。
それぞれの選択肢の特徴やメリット・デメリットを順番に確認していきましょう。
【選択肢①】契約中の電力会社に買い取りを続けてもらう
面倒な手続きや設備投資などが必要なく、もっとも手軽な卒FIT対策は「いま売電契約している電力会社に引き続き買い取りしてもらう」ことです。
売電契約が「自動更新」になっている場合は特に手続きや連絡などをする必要はありませんが、卒FIT後に売電価格がどれほど変わるか確認しておいた方が良いでしょう。
2023年に卒FITを迎える方は、「1kWあたり38円」だった売電価格が「8円〜10円程度」まで一気に下がってしまうため、経済的なデメリットはかなりのものになります。
「お金はかけたくないが買取価格が下がりすぎるのは嫌!」という方は、次に紹介する「売電する電力会社の切り替え」をおすすめします。
【選択肢②】より高く売電できる電力会社に切り替える
設備の導入コストをかけずに卒FIT後の売電価格の低下を食い止める方法には、「できるだけ高く売電できる電力会社に切り替える」方法がおすすめです。
いわゆる「新電力会社」のほうが「東京電力」などの大手より買取金額を高く設定しているケースは多く、かんたんな切り替え手続きだけで売電収益を上げることができます。
たとえば東京電力の買取価格は「1kWあたり約8.5円」ですが、「idemitsuでんき」は「9.5円〜11.5円」、東京ガス電気は「9.5円〜23円」と大きく価格に違いがあります。
電力会社によっては「電力プランの契約」や「蓄電池の設置」などで買取価格が大幅に上がるプランを用意している場合もありますので、自分に合った会社を探してみましょう。
【選択肢③】「蓄電池」に充電して電気代を節約する
卒FITで売電価格が激減してしまった方は、そのまま安く電気を売り続けるより蓄電池に充電して「自家消費」した方がお得といえます。
たとえば東京電力のスタンダードプランの従量料金は「1kWあたり19.91円〜30.6円」であり、卒FIT後の同社の買取価格「約8.5円」に比べてはるかに高価です。
各電力会社の電気代は今後も値上げする可能性は非常に高く、「太陽光発電で作った0円の電気を自宅で使う」経済的メリットはますます大きくなってゆくでしょう。
さらに、蓄電池と太陽光発電を組み合わせれば「長期の停電中、蓄電池が残量ゼロでも太陽光発電から充電できる」という強みもあり、停電対策がより万全になります。
【選択肢④】「V2H」を導入してEVを蓄電池のように活用する
電気自動車(EV)を所有している、または購入予定の方は、「V2H機器」を導入して、EVのバッテリーを蓄電池がわりに活用する方法もおすすめです。
V2H機器とは「自宅の分電盤とEVの間で自由に電力のやり取りができるシステム」のことで、太陽光発電からEVに充電した電気を「家電に使う」ことが可能となります。
「EVで外出中は充電できない」というデメリットはあるものの、すでにEVを所有している方は「高額な蓄電池を買わずに済む」という利点もあります。
V2H機器や電気自動車は「国や地方自治体の補助金」も豊富に用意されていますので、蓄電池以外の卒FIT対策をお探しの方はぜひ検討してみましょう。
【まとめ】卒FIT後は売電価格が激減!蓄電池での自家消費がお得
本記事でくわしく解説してきた「卒FIT後の対策方法」についての重要ポイントを、もう一度以下にまとめていきます。
- FIT制度とは、太陽光発電の設置から10年間、優遇された固定価格で売電できる制度のこと
- 卒FITとは、FIT制度の10年間が終了した状態を指し、割安な自由価格での買取に変更される
- 2023年に卒FITを迎える方は、1kWhあたり38円だった買取価格が4分の1程度まで下がる
- 卒FITも電力会社との売電契約は継続できるが、より高く買い取る会社への切り替えも有効
- 蓄電池を設置すれば余剰電力をすべて充電できるため、安く売るより長期的に見て経済的
売電価格が一気に「約4分の1」も下がってしまう卒FIT。
新電力会社なら高めに買い取ってくれるとはいえ、FITの固定価格と比べると見劣りしてしまいますよね。
一方で、電気代は今後もますます値上げ傾向にあるため、二束三文で売ってしまうより、売らずに蓄電池に充電して「自家消費」した方がやはり経済的といえそうです。
2023年も国や地方自治体が実施する「蓄電池の補助金制度」は継続予定ですので、補助金で蓄電池をできるだけ安く購入して、お得でエコな生活をはじめてみてはいかがでしょうか?
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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