太陽光パネルの寿命は?劣化する原因や寿命を伸ばす方法を解説
太陽光パネルは電気代の上昇に対する注目を集めています。
しかし、太陽光パネルを設置する際には、寿命を理解することが重要です。
この記事では、太陽光パネルの仕組みや構造、寿命を伸ばす方法について分かりやすく紹介します。
目次
太陽光パネルとは?仕組みや構造について
まず「太陽光パネルの構成」や「太陽光パネルの仕組み」や「太陽光パネルに必要な機器」について理解することが大切です。
それぞれの内容について、詳しく解説していきます。
太陽光パネルの構造部分
構造部分 | 特徴① | 特徴② |
セル | 約10cm四方のセルが組み合わさってできたもの | 太陽光を電気に変換する部品のこと |
モジュール | セルを複数枚並べて板状に加工したもの | 樹脂や強化ガラスで保護されたもの |
アレイ | モジュールを複数枚並べて結線したもの | 住宅用屋根に設置されたパネル全体のこと |
太陽光パネルの電池は、セル、モジュール、アレイの3つの要素から成り立っています。
それぞれの要素は、セルが基本単位となり、複数のセルが組み合わさってモジュールを形成し、さらにモジュールが集合してアレイを構成しています。
3つの構造によって、太陽光を効率的に電気エネルギーに変換する仕組みが実現されるのです。
太陽光パネルの仕組み
太陽光パネルは、太陽の光を直接利用して電気を生み出す仕組みです。
例えば、太陽の光がパネルに当たると、内部のシリコン半導体が光エネルギーを受け取り、電子を動かして電力を作ります。
つまり、光を受けた電子の動きが電流を生み出すサイクルが繰り返されることで、太陽光発電によって電力が作られるのです。
太陽光パネルに必要な機器
太陽光発電には、ソーラーパネル以外にもいくつかの機器が必要です。
ここからは、太陽光発電に必要な機器について簡単に紹介します。
太陽光パネルの構造 | 役割 |
太陽電池モジュール | 光を受けて半導体で電気を作る |
パワーコンディショナ | 太陽光発電で作った電気を変換する |
分電盤 | 電力供給や売電時の送電に使われる |
太陽光パネルには複数の設備が必要ですが、電力発生に直接関わる主要な機器は太陽電池モジュールとパワーコンディショナです。
特にパワーコンディショナは太陽光パネルの中心的な役割を果たしています。
また、分電盤は、家庭への電力供給や売電時の送電に役立ちます。
太陽光パネル・パワコンの寿命は?耐用年数の違いを解説
太陽光パネルやパワコンの寿命・耐用年数の違いを解説について解説します。
太陽光パネルの寿命は25年~30年
多くの太陽光パネルメーカーは25年間の出力保証を提供しており、一般的に寿命は25年~30年程度です。
「経済産業省」のデータによると、年間の劣化率は0.5%程度と言われており、25年後も約75%の効率が保たれることが期待されます。
このため、太陽光パネルの寿命は、一般的に25〜30年前後と考えられます。
太陽光パネルの法定耐用年数は17年
太陽光パネルに関して、「耐用年数17年」という情報はよく見られますが、これは法律上の基準であって、実際の寿命とは別のものです。
法定耐用年数は、システムの税制や補助金などの制度として認められる期間を表しています。
特に、耐用年数は寿命と間違えやすいので、注意しましょう。
パワコンの寿命は10~15年
パワコンの寿命は太陽光パネルよりも短く、一般的には10〜15年とされています。
寿命が短い主な理由は、日常的な電力変換の負荷による熱やストレスの影響があります。
各メーカーは、パワコンを含むシステムの保証期間を10年または15年と設定しており、太陽光パネルの出力保証期間よりも短くなっています。
太陽光パネルの寿命:経年劣化よる性能低下とその理由
太陽光パネルの寿命は、時間の経過とともに徐々に性能が低下していくことにあります。
ここからは、劣化してしまう理由について、詳しく解説していきます。
太陽光パネルが白くなる「層間剥離」による劣化
太陽光パネルは、いくつかの層が重ねられた構造になっており、時間の経過とともに表面の素材が取れることがあります。
その結果、水蒸気のような水の粒子が侵入し、白く変色してしまうことがあります。
太陽光パネルは外部環境の影響を受けやすく、紫外線や雨、風、雪などによって劣化してしまうこともあります。
特に、長期間にわたる紫外線の影響は素材の劣化を早める要因となります。
経年劣化のリスクを軽減させるためには、定期的なメンテナンスや点検が重要です。
汚れや破損が発電量の低下につながる
パネル表面の汚れや破損によって発電された電気が流れにくくなると、抵抗が増加して発電量が減少し、さらには熱を発して火災のリスクが生じることがあります。
汚れや破損によって発電量が減少する状況は、「ホットスポット」として知られています。
ホットスポットが発生すると、発電量が減少する可能性があります。
そのため、安全を確保するために、長期間設置された太陽光パネルには定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
パワコンの通気フィルターの詰まりや、雨水の浸入による劣化
太陽光パネルのパワコンは、フィルターが詰まったり雨水が侵入したりすると、寿命が早まる可能性があります。
パワコンの換気フィルターが埃やゴミで詰まると、熱がこもって機器がダメージを受けやすくなります。
また、雨水が侵入すると精密機械がショートしやすくなるため、寿命が早まる可能性があります。
パワコンの寿命を延ばすためには、定期的なフィルターの清掃や防水対策が重要です。
フィルターが目詰まりしないよう定期的な点検をおこない、防水カバーや適切な設置位置に注意することで雨水の侵入を防止しましょう。
塩害や積雪の影響などの環境要因
太陽光パネルの設置環境によって、経年劣化のリスクが大きく変わります。
例えば、海岸沿いに設置すると塩害による劣化が起こりやすく、積雪の地域では雪による影響が心配されます。
対策として海岸沿いでは耐食性に優れた素材や塩害に強い塗装を、雪深い地域では雪に耐える構造や加熱機能を備えたパネルを選ぶことが重要です。
また、定期的なメンテナンスとしては、塩害や劣化のチェック、雪深い地域では積雪の量や状態のチェックや、除雪や解氷処理が欠かせません。
太陽光パネルが寿命を迎えるとどうなる?
太陽光パネルが寿命を迎えると、以下の症状が起きやすくなります。
- 発電効率の低下で収益が減少する
- 破損したら処分コストがかかる
- 長期使用で修理コストが増える
- 寿命が近づくと売却がむずかしくなる
それぞれの内容について詳しく解説していきます。
発電効率の低下で収益が減少する
太陽光パネルは長く使うと発電効率が下がったり、配線や回路が劣化して発電量が減ったりすることがあります。
売電している場合、発電量が少なくなると元を取るのに時間がかかり、利益が減りやすくなります。
問題を解決するためには、定期的な点検やメンテナンスが大事です。
定期的な点検で劣化した部品を修理または交換することで、発電機能を保つことができます。
さらに、古いパネルを最新の技術を使ったものに交換することも有効です。
破損したら処分コストがかかる
災害や飛来物などにより太陽光パネルが壊れ、修理できない場合は、専門業者による設備の撤去が必要です。
ほとんどの場合、屋根上などに設置されているため、撤去には専門の電気工事士に依頼しなければなりません。
撤去には撤去費用のほかに、作業員の費用や足場代などの費用がかかります。
さらに、設備の処分にも費用がかかることを忘れないようにしましょう。
長期使用で修理コストが増える
太陽光パネルの長期使用は、経年劣化によって修理コストが増えてしまいます。
長く使うと内部配線の劣化やパネルの損傷、汚れなどさまざまな問題が生じます。
同様に、パワーコンディショナーも故障が起こり、部品交換が必要になることがあります。
そのため、太陽光パネルを効果的に長く維持するには定期的なメンテナンスや修理費用が欠かせません。
例えば、配線の点検やクリーニング、パネルの定期的な点検と洗浄、パワコンの機能チェックと部品交換が必要です。
したがって、太陽光パネルを長く有効に使うためには、定期的なメンテナンスや修理費用もかかることを踏まえておきましょう。
寿命が近づくと売却がむずかしくなる
太陽光パネルは売却可能ですが、古くなり発電量や収益が減少し、修理が必要な状態では売却がむずかしくなります。
そのため、定期的な保守とメンテナンスが重要です。
これにより、設備の価値を維持し、将来の売却時に有利な条件で売却できるようにしましょう。
ただし、システムの価値が減少するため、売却による収益が期待通り得られない可能性もあります。
太陽光パネルの寿命を伸ばす5つの方法
太陽光パネルの寿命を伸ばす方法は、以下の6つです。
- 発電データを記録して定期的に点検する
- メーカーの保証を利用する
- 施工の質も考えた太陽光パネル選ぶ
- 適した場所にパワコンを設置する
- パワコンのフィルターを掃除する
- 定期的なメンテナンスをおこなう
それぞれの方法について、詳しく解説していきます。
発電データを記録して定期的に点検する
発電量を定期的にチェックすることで、発電効率が低下した場合に故障を早期に発見できます。
定期的な点検によって、発電効率が保たれるので、収益への影響を軽減することも可能になります。
また、急激な発電量の低下は、早めの点検と修理で損失を最小限に抑えられたり、また修理が必要な場合も、早期発見によって経済的な負担を軽減できたりします。
ただし、天候や季節の影響にも注意が必要です。
発電量の計測装置とパワコンを連動させて、発電量と変換効率を常に把握することも大切です。
メーカーの保証を利用する
太陽光パネルの修理や交換は、メーカーの保証を利用するのがおすすめです。
太陽光パネルは通常20〜30年間利用できますが、メーカーによって異なる保証期間が設定されています。
保証期間内に発生した問題はメーカーが無償で修理または交換をおこないますが、保証期間を過ぎると修理費用は利用者の負担となります。
パネルの交換には、おおよそ1枚あたり10〜15万円程度の費用がかかります。
複数のパネルが同時に故障する場合を考えると、その負担額は大変なものになります。
したがって、メーカーの保証内容をしっかりチェックし、保証条件を理解しておくことが重要です。
施工の質も考えた太陽光パネルを選ぶ
太陽光パネルの寿命は、パネルの品質だけでなく施工品質も大きく影響します。
住宅の屋根の形状や材質に応じて、適切な設置方法を選ぶことが重要です。
また、パネルの材質や環境条件によって経年劣化のスピードも異なるため、適切な選択が求められます。
つまり、初期費用だけでなく、長期的なランニングコストを考慮して、最適な施工方法と材質を選ぶようにしましょう。
適した場所にパワコンを設置する
太陽光パネルは、居住空間から離れた場所に設置するのが最適です。
太陽光パネルを離れた場所に置くことで、作動音が生活環境に影響を及ぼすことなく、快適な状態を保つことができます。
屋外設置を選ぶ際には、風通しが良い場所や直射日光を遮る場所などの環境条件を考慮することも大切です。
しかし、雨風にさらされるリスクがありますので、サビ対策を強化することが必要です。
対策と合わせて定期的な点検とメンテナンスを実施することで、湿度による部品の劣化や故障を未然に防ぐことができます。
パワコンのフィルターを掃除する
パワコンには、換気用フィルターの詰まりで発電効率が低下してしまう恐れがあります。
フィルターが詰まると換気効率が低下し、劣化の原因に繋がります。
また、掃除を怠ると適切に動作しなくなり、停止する可能性もあるため、定期的な清掃が重要です。
掃除方法は、パワコンのフィルターを外して、ブラシや掃除機でほこりやゴミを取り除きます。
時間が経ち固く付着した汚れには、ぬるま湯と中性洗剤を使って丁寧に洗い、完全に乾かしてから再度取り付けましょう。
また、取扱説明書に記載されているメンテナンス方法も参考にしてください。
定期的なメンテナンスをおこなう
太陽光パネルを長期間稼働させるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
専門業者に点検を依頼すると、見落としがちなホットスポット現象や層間剥離などの問題を早期に発見し、設備の劣化や故障を未然に防ぐことができます。
また、設備の点検は法律で義務付けられていますが、具体的な頻度は定められていません。
一般的には、メーカーが定めるガイドラインに基づいて定期的に点検することが重要です。
たとえば、半年に一度の点検をおこなうことで、設備の状態を適切に維持するようにしましょう。
太陽光パネルのメンテナンス内容や価格相場
太陽光パネルのメンテナンスには点検、修理、清掃のステップがあります。
- 点検:パネルや架台の状態のチェック・専門機器による計測や検証する
- 修理:目視点検で問題が見つかったときに修理をおこなう
- 清掃:太陽光パネルや周辺機器の洗浄作業をおこなう
住宅用の太陽光パネルのメンテナンスは、通常1回あたり5万円から10万円ほどが相場です。
屋根にパネルを設置している場合、足場を組む必要があると費用が上がることもあります。
一般的には、4年に1度の頻度でメンテナンスするケースが多い傾向です。
万が一専門業者に定期的なメンテナンスを依頼しないと、FIT認定が取り消される可能性があります。
そのため、FIT制度の認定を受けている場合は、定期的なメンテナンスをおこなうようにしましょう。
定期的な手入れとメンテナンスが太陽光パネルの寿命を延ばす
今回は、太陽光パネルの仕組みや寿命について紹介しました。
太陽光パネルは、太陽の光を受け取って電気を生み出す仕組みです。
一般的に、太陽光パネルは約25年ほど持ちますが、環境や手入れによって寿命は変わります。
太陽光パネルの寿命は、材料や製造品質で影響を受けるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
電気料金の負担を減らすために省エネや節電だけでは対応できない場合は、この記事を参考にして太陽光パネルを比較検討することをおすすめします。
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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