系統用蓄電池とは?他の蓄電池との違いや今後の需要増についても!
蓄電池の需要の高まりは、一般的に広まってきた事実かと思います。ところが最近では、蓄電池の中でも「系統用蓄電池」というものの需要が高まってきたというのです。
そこで今回の記事では、系統用蓄電池と他の蓄電池との違いを紹介すると共に、系統用蓄電池の主な役割、導入時の注意点、今後の需要の予想を紹介します。
目次
注目されている系統用蓄電池とは?他の蓄電池との違いも解説!
冒頭で紹介した通り、最近では系統用蓄電池の需要が高まっているといいます。そこで今回の章では、そもそも「蓄電池」とは何なのかという部分を含め、系統用蓄電池・家庭用蓄電池・産業用蓄電池それぞれの違いを紹介します。
系統用蓄電池とは?
そもそも蓄電池は、電力を何度も充放電できる二次電池のことです。以下は、私たちの暮らしに存在している蓄電池のほんの一例になります。
- スマホの電池パック
- モバイルバッテリー
- ノートパソコンのバッテリーパック
- 自動車のバッテリー
- 充電可能な乾電池
このように、とても身近な場所に蓄電池は存在しているのです。
系統用蓄電池
系統用蓄電池とは、系統(送配電網)に直接接続して蓄電池単体で蓄電できるシステムのことです。家庭用蓄電池や産業用蓄電池との違いは、系統(送配電網)に直接接続しているか否かになります。
また、家庭用蓄電池や産業用蓄電池とは比べ物にならないほど、多くの電力を取り扱うのもポイントのひとつです。具体的には、最低でも500kWhの容量は必要だといわれています。
家庭用蓄電池
家庭用蓄電池とは、家庭で使う電化製品を動かせるだけの容量を持つ、家庭に定置する蓄電池のことです。5〜7kWh前後の容量のものが主流ですが、2kWh前後と容量の小さいものから16.6kWh前後と容量の大きいものまで、幅広いラインナップがあります。
家庭用蓄電池に溜められる電力は、送電線経由で得られる太陽光発電が発電した電力もしくは電力会社から買電した電力です。
産業用蓄電池
産業用蓄電池は、その名の通り、産業用で使われる大容量蓄電池のことです。一般的に容量17kWh以上のものが産業用蓄電池と呼ばれており、所轄消防署に設置届を提出する義務があります。産業用蓄電池に溜められる電力については、家庭用蓄電池と同じです。
系統用蓄電池が注目されている理由は?主な役割を解説!
家庭用蓄電池や産業用蓄電池は、世間的な認知度が高まりつつあります。一方で、系統用蓄電池はまだ認知度が低いという現状も…。そこで今回の章では、系統用蓄電池の主な役割を3つ紹介します。
役割①再エネの発電量増加に対応できる
系統用蓄電池は、再エネの発電量増加に対応できるという役割があります。
昨今、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー(以下・再エネ)の需要が増えているのは周知の事実でしょう。再エネの需要が高まるのは地球環境のためにとても良いことですが、ひとつ問題点があります。
それは、発電した電力を運ぶ系統(送配電網)の容量に限りがある点です。系統(送配電網)が持つ容量以上の電力は運べないので、再エネが普及して発電量が上がるのであれば、系統(送配電網)の容量も増やしていかないといけないのです。
とはいえ、系統(送配電網)を増やすためには、多額の税金を投じる必要があったり、工事に多くの時間を要します。なかなか現実的ではないですし、地域格差が広がる可能性も容易に想像できます。そこで登場したのが、系統用蓄電池です。
系統用蓄電池はお伝えしている通り、系統(送配電網)に直接接続して蓄電池単体で蓄電できるシステムです。今後、系統用蓄電池が普及すれば、今後さらに再エネの需要と発電量が増えた場合も安心できるでしょう。
役割②設備を利用して投資ができる
設備を利用して投資ができるのも、系統用蓄電池の大きな役割のひとつです。
系統用蓄電池を導入すれば、余った電力を安く購入することができます。一方、電力の需要のピーク時には、溜めてある電力を割高な値段で売ることが可能です。つまり、電力の売買時に発生する差額を利用して、収益を得ることができるのです。
電力の売買を行う場所は、 JEPX(日本卸電力取引所)になります。ここの最低取引単価が「1コマ30分/500kWh」なため、系統用蓄電池における容量の最低ラインは500kWhです。誰もが持てるものではないという部分は、頭に入れておきましょう。
役割③カーボンニュートラルへの貢献ができる
系統用蓄電池は、2050年カーボンニュートラルへの貢献といった役割も持っています。
カーボンニュートラルは、いわゆる「脱炭素社会」という意味です。電力会社から購入する電力は発電時に二酸化炭素を排出するため、カーボンニュートラルとは相反しています。
一方で再エネを利用した電力は、発電時に二酸化炭素を排出しません。系統用蓄電池は再エネの需要が増えていることを機に登場した設備であることから、積極的に導入することでカーボンニュートラルへの貢献ができるといわれています。
地球の明るい未来のためにも、系統用蓄電池の需要は高まっていかなければならないのです。
系統用蓄電池が注目されている!導入する際の注意点は何がある?
系統用蓄電池を導入することで、経済的メリットや地球環境に関係するメリットを実感できるでしょう。ただ、導入時に気を付けなければならないポイントもいくつかあります。
そこで今回の章では、系統用蓄電池を導入する際の注意点を具体的に2つ紹介します。ぜひ参考にしてください。
補助金制度の利用には制限がある
系統用蓄電池を導入時には、国が実施している「令和6年度 再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」という補助金制度を受けることが可能です。しかし、細かなルールがある他、制度の利用に制限があるので注意しましょう。
具体的には、家庭用蓄電池に対する補助金制度は各個人、産業用蓄電池に対する補助金制度は各企業であるのと同じで、系統用蓄電池に対する補助金制度は民間団体や民間事業者などに限定されます。また、公募期間も令和6年5月20日月曜日から令和6年6月10日月曜日17時までと、非常に短くなっています。系統用蓄電池を補助金を利用してお得に導入したいのであれば、早めの行動を心がけましょう。
適切なメンテナンスが必要不可欠
系統用蓄電池を導入する際には、適切なメンテナンスが必要不可欠です。家庭用蓄電池は一般的にメンテナンスが不要だといわれているので、メンテナンスの有無が系統用蓄電池と家庭用蓄電池の大きな違いともいえるでしょう。
系統用蓄電池のメンテナンスに関しては、設備導入時に定期的な保守メンテナンスを実施してもらえるプランへの加入が望ましいです。
系統用蓄電池のこれからは?需要が今後さらに高まるって本当?
最後に、系統用蓄電池の今後の見通しを紹介します。政府が普及に力を注いでいる系統用蓄電池。今後どのように需要を伸ばしていくと予想されているのでしょうか。
接続申し込み件数は年々上昇している
系統用蓄電池の接続申し込み件数は、年々上昇している事実があります。具体的な部分は、経済産業省が発表している「再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取組等について」で見ることが可能です。2023年5月時点のデータにはなりますが、北海道電力管内および九州電力管内で系統用蓄電池の接続申し込み件数が急増している事実があります。
北海道電力管内では、2022年7月現在で160万kWの申し込みがあり、これは北海道エリアの電力需要の平均350万kWの半分です。全国を見ても、接続検討受付が1,200万kWもあり、契約の申し込みに至っては112万kWもあったということです。
脱炭素社会の実現には必要不可欠
系統用蓄電池の需要が高まっているのは、脱炭素社会の実現に必要不可欠だからです。また、地球環境に優しい新しい事業を展開しているということで、外部に良いイメージを与えやすいのも需要が伸びている要因でしょう。
各個人では家庭用蓄電池を、企業は産業用蓄電池を、民間団体や新しいものを取り入れたい企業は系統用蓄電池を。このように、それぞれ地球環境への取り組みを積極的に行っていければ、地球の未来も明るいものになるのではないでしょうか。
系統用蓄電池は今後需要が伸びる!企業は積極的に導入の検討を!
今回の記事では、需要が高まっている系統用蓄電池について、その特徴や役割、将来性を解説しました。再エネの需要増によって、注目が高まりつつある系統用蓄電池。地球環境のためにも、今後さらに需要が増えていくと良いですよね。
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この記事の監修者
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