太陽光過積載とは?仕組みとメリット・デメリットを解説

太陽光発電の導入を検討している方にとって、「過積載」という言葉を耳にする機会が増えています。過積載とは、パワーコンディショナーの定格出力を上回る容量の太陽光パネルを設置する方法です。この記事では、太陽光過積載の仕組みから導入時の注意点まで、詳しく解説します。
目次
太陽光過積載の基本的な仕組み
過積載とは何か
過積載とは、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力よりも大きな容量の太陽光パネルを設置することです。例えば、5kWのパワーコンディショナーに対して6kWや7kWの太陽光パネルを設置する場合が該当します。
通常、太陽光パネルの最大出力時にパワーコンディショナーがその電力を全て処理できるよう設計されますが、過積載では意図的にパネル容量を上回らせることで、発電効率の向上を図ります。
過積載が可能な理由
太陽光パネルが常に最大出力を発揮するわけではないため、過積載が実現可能です。パネルの発電量は天候や時間帯、季節によって大きく変動し、年間を通じて最大出力を発揮する時間は限られています。
実際には、晴天時の正午頃を除くと、パネルの発電量はパワーコンディショナーの定格出力を下回ることが多いため、過積載によって発電効率を向上させることができます。
太陽光過積載のメリット
発電量の増加
過積載の最大のメリットは、年間発電量の増加です。曇天時や朝夕の発電量が少ない時間帯でも、パネル容量が大きいことでより多くの電力を発電できます。
一般的に、適切な過積載率であれば、年間発電量を10%から20%程度向上させることが可能とされています。これにより、売電収入の増加や電気代の削減効果が期待できます。
投資回収期間の短縮
発電量の増加により、太陽光発電システムの投資回収期間を短縮できる可能性があります。特に自家消費を中心とした運用では、電気代削減効果が高まることで、より早期の投資回収が見込めます。
設置効率の向上
限られた屋根面積を有効活用できる点も過積載のメリットです。同じ屋根面積でより多くの電力を発電できるため、土地や屋根の制約がある場合に特に有効です。
太陽光過積載のデメリット
電力のピークカット
過積載の主なデメリットは、晴天時の最大発電量がパワーコンディショナーの定格出力で制限されることです。この現象をピークカットといい、本来であれば発電できる電力の一部が無駄になります。
ただし、年間を通じて見ると、ピークカットによる損失よりも過積載による発電量増加の方が大きいケースが多いとされています。
初期コストの増加
太陽光パネルの設置枚数が増えることで、初期投資コストが増加します。一般的な家庭用太陽光発電システム(4kW~5kW)の費用相場は140万円~200万円程度が目安ですが、過積載により設置容量が増えれば、それに応じてコストも上昇します。
※太陽光パネルの設置費用の相場は、パネルの種類や設置面積、工事内容などによって大きく異なりますが、一般的には1kWあたり35万円~40万円程度です。
パワーコンディショナーへの負荷
過積載により、パワーコンディショナーへの負荷が増加する可能性があります。特に電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります。適切な過積載率を設定し、機器の寿命を考慮した運用が重要です。
適切な過積載率の考え方
一般的な過積載率
住宅用太陽光発電システムでは、過積載率120%から140%程度が一般的とされています。つまり、5kWのパワーコンディショナーに対して6kWから7kW程度の太陽光パネルを設置する計算です。
過積載率が高すぎると、ピークカットによる損失が大きくなり、かえって効率が悪化する可能性があります。適切なバランスを保つことが重要です。
地域特性の考慮
設置地域の日照条件や気候特性も過積載率の決定に影響します。日照時間が長い地域では、過積載率を高めに設定してもピークカットの影響を受けにくい傾向があります。
逆に、日照時間が短い地域では、過積載率を抑えめに設定することで、効率的な発電が可能になります。
過積載導入時の注意点
電力会社との連系協議
過積載を導入する際は、電力会社との連系協議が必要です。系統連系は申請から承認までに通常3ヵ月~6ヵ月程度を要するため、計画的な手続きが重要です。
また、FIT(固定価格買取制度)を利用する場合は、パワーコンディショナーの定格出力が認定容量となることに注意が必要です。
機器の選定
過積載に対応したパワーコンディショナーを選定することが重要です。メーカーによって推奨される過積載率が異なるため、事前に確認が必要です。
また、太陽光パネルとパワーコンディショナーの組み合わせによっても性能が変わるため、専門業者と相談しながら最適な機器を選定することをお勧めします。
長期的な運用計画
過積載システムの導入にあたっては、長期的な運用計画を立てることが重要です。機器の保証期間や交換時期、メンテナンス費用なども考慮に入れて、総合的な収益性を検討する必要があります。
太陽光過積載と蓄電池の組み合わせ
相乗効果の期待
太陽光過積載と蓄電池を組み合わせることで、より効果的な電力運用が可能になります。過積載により増加した発電量を蓄電池に蓄えることで、夜間や雨天時の電力供給を充実させることができます。
家庭用蓄電池の費用相場は容量1kWhあたり20万円~30万円程度で、一般的な容量(4kWh~7kWh)であれば100万円~200万円程度が目安となります。
自家消費率の向上
過積載と蓄電池の組み合わせにより、自家消費率を大幅に向上させることが可能です。住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は1kWhあたり15円(※設置年度や電力会社によって異なります)であることを考慮すると、自家消費による電気代削減効果の方が経済的メリットが大きい場合があります。
まとめ
太陽光過積載は、適切に導入すれば発電効率の向上と投資回収期間の短縮を実現できる有効な手法です。ただし、初期コストの増加やピークカットによる損失など、デメリットも存在するため、慎重な検討が必要です。
過積載の導入を検討する際は、設置地域の特性や電力使用パターン、長期的な運用計画を総合的に考慮することが重要です。専門知識を持つ業者と相談しながら、最適なシステム設計を行うことをお勧めします。
詳しい設計や費用については、お気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
よくある質問
太陽光過積載は違法ではないのですか?
太陽光過積載は法的に問題ありません。むしろ、発電効率の向上を目的とした一般的な手法として認められています。ただし、電力会社との連系協議や各種申請手続きは適切に行う必要があります。
過積載率はどの程度が適切ですか?
一般的には120%から140%程度が適切とされています。ただし、設置地域の日照条件や屋根の方角、電力使用パターンなどによって最適な過積載率は変わります。専門業者と相談して決定することをお勧めします。
過積載により機器の故障リスクは高くなりますか?
適切な過積載率であれば、機器の故障リスクが著しく高くなることはありません。ただし、パワーコンディショナーへの負荷は増加するため、定期的なメンテナンスが重要です。基本的には保証対応も行われますが、使用条件によって異なる場合があります。
既存の太陽光発電システムを過積載に変更できますか?
既存システムの構成や設置状況によって可能性は変わります。パワーコンディショナーの仕様や屋根の耐荷重、電力会社との契約内容などを確認した上で、専門業者による詳細な調査が必要です。
過積載の導入費用はどの程度増加しますか?
過積載により太陽光パネルの設置枚数が増えるため、その分の費用が追加されます。1kWあたり35万円~40万円程度を基準として、追加容量に応じて費用が算出されます。ただし、発電量の増加により投資回収期間が短縮される可能性もあるため、総合的な経済性を検討することが重要です。
この記事の監修者

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