Natureスマート電気2022年6月末で電力供給を停止【理由を徹底解説】
新電力サービスのNatureスマート電気は、2022年6月末に電力供給を停止しました。
そこで本記事では、新電力サービスをご利用の方向けに、Natureスマート電気が事業停止した理由について解説していきます。
ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
Natureスマート電気とは?
Natureスマート電気とはNature株式会社が運営していた新電力サービスです。
2021年3月より、一般家庭向けにサービスの提供を開始しました。
Natureスマート電気が提供していた「フラットプラン」は基本料金が0円で、電気を使った分だけが請求される完全従量制でした。
そしてクレジットカードで支払い可能など、新電力サービスらしい使い勝手の良さが魅力です。
しかし2022年6月末になって、Natureスマート電気の事業は停止してしまいます。
Nature株式会社の概要
Nature株式会社は2014年に設立された企業です。
当社のスマートホームデバイスである「Nature Remoシリーズ」の開発・製造・販売がメイン事業となっています。
そして2022年6月末までは電力の小売事業を展開していました。
これも全て「自然との共生をドライブする」というビジョン達成のための事業です。
Natureスマート電気が事業停止した理由
Natureスマート電気が事業停止した理由は以下の2つです。
- 電力調達価格の高騰
- マーケットの先行きの不透明性
それぞれ解説していきます。
理由①:電力調達価格の高騰
Nature株式会社の公式サイトの発表内容によると、サービス終了の背景に至った一つ目の理由として電力調達価格の高騰を挙げています。
なお近年で、電力調達価格が高騰した理由としては以下の3つが考えられます。
- コロナからの経済復旧によるLNG(液化天然ガス)不足
- ロシアのウクライナ侵攻
- 福島県沖での地震
これらの出来事が立て続けに発生したことにより、日本卸電力取引所(JEPX)からの調達価格が高騰し、新電力サービスとしての致命的なダメージとなったのです。
そもそも新電力サービスは、大手電力会社とは異なり、自社で電力を生産しているわけではありません。
大手電力会社が余らした電気をJEPXから安く買い取ることで、最小限の資本で電力小売事業を展開することが可能となっているのです。
しかし、そのJEPXでの調達価格が高騰してしまったら、事業は成り立ちません。
以上のことから、割安の電気代でサービスを提供することが難しくなり、事業停止の判断に至ったようです。
理由②:マーケットの先行きの不透明性
2つめの理由として挙げられているのが「マーケットの先行きの不透明性」です。
正確にいうのであれば、今後数年間も電気代が高騰し続ける可能性が高いということでしょう。
現状として、まずロシアのウクライナ侵攻が解決しないことには、電気代が元に戻ることはありません。
また、今後はカーボンニュートラルの普及が進むことになっていますが、本来であればそれと同時に原子力発電も利用していかないと間に合いません。
しかし、現状の世論としては「原子力発電所を再稼働しないべきだ」とする意見が多いため、再稼働も中々始まりません。
このようにして、基本的に電気代が高騰し続ける風潮があるのが現状なのです。
そのためNature株式会社としては経営の安定度を高めるためにも、電力小売業を撤退したのだと考えられます。
他の新電力サービスの動向
2022年6月末で電力供給を停止したNatureスマート電気ですが、それでは他の新電力サービスの動向はどのようになっているのでしょうか。
以下の3つの項目で解説していきます。
- 新電力の2割が事業停止
- シナジアパワーが破産
- ドコモでんきが新規受付を停止
新電力の2割が事業停止
帝国データバンクによると、2021年4月までに登録のあった新電力会社706社のうち、2022年11月28日時点で146社(全体の約21%)が倒産・廃業・契約停止を行ったそうです。
その中で最も多いのが「契約停止」で91社となっています。
このデータだけを見ても、現在の電気代高騰が新電力会社にどれだけの影響を与えているかがわかるでしょう。
全体の2割が事業停止とのことですが、残りの8割も経営的なダメージを受けており、事業の調子が良いとは言えない状態です。
シナジアパワーが破産
東北電力と東京ガスが出資した新電力会社である株式会社シナジアパワーは2022年12月1日に破産を申請しました。
そもそもシナジアパワーは2015年10月に設立された新電力会社です。
2016年4月からは高圧・特別高圧向けの電力小売事業を展開していました。
顧客エリアは主に北関東で、2020年3月期には売上高約200億円でした。
しかし2020年4月からコロナ禍が始まると、ウクライナ侵攻などの立て続けの出来事で経営が悪化。
2022年3月期は売上高約190億円であるものの、28億4967億円の赤字を計上。
3期連続の赤字計上で51億6419億円の債務超過。最終的な負債総額は約130億円となりました。
そして結局、債務超過を解消できず、支払い不能に陥り、破産を申請することになったのです。
新電力会社は大手電力会社よりも電気代が安いことを売りにしているため、電気代を高騰させるのが難しい現状があります。
それによって赤字経営になってしまい、最終的に資金がショートしてしまうのです。
ドコモでんきが新規受付を停止
新電力会社の事業停止のお知らせは、大手企業関連でも目立っています。
NTTグループ傘下であるNTTアノードエナジー株式会社が運営するドコモでんきが、2022年11月8日からサービスの新規受付を停止しました。
事業を停止したわけではありませんが、これ以上事業規模を広げると赤字が広がる一方なので、新規受付を停止したという流れだと考えられます。
NTTドコモといえば携帯電話や通信事業が目立ちますが、それに合わせて、一般向けインフラ全般まで事業を拡大させています。
しかし昨今の電気代高騰による影響で、ドコモでんきも新規受付を停止させられています。
資本力のあるドコモでんきですらこの状況なので、他の新電力会社の経営もかなり厳しくなっていることが予想されます。
まとめ
それでは本記事をまとめていきます。
- 2022年6月末にNatureスマート電気が電力供給を停止
- 新電力会社の2割が事業停止
- シナジアパワーが破産、ドコモでんきは新規受付を停止した
現状として、新電力会社は非常に厳しい状況となっています。
そのため、もし新電力会社への加入を検討しているのであれば、企業の経営事情までしっかり考慮してプランを選ぶべきでしょう。
経営状態が盤石であればあるほど、サービスが停止する可能性が低くなります。
ぜひ参考にしてみてください。
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