RE100とは?仕組みや今後の課題、加盟企業の状況について
RE100は大手企業の環境対策や電気料金の高騰を軽減できる取り組みです。
今回は、仕組みや加盟することで得られるメリット、気をつけたい点、申請条件や参加条件の内容も含めて解説していきます。
目次
RE100とは?【大手企業向けの環境対策】
RE100とは、「Renewable Energy 100%」の頭文字をとった意味で、再生可能エネルギーのみ使う取り組みです。
加盟した企業は原子力や化石燃料に頼らず、再エネシステムで発電した電力量を企業に使うことが条件になります。
「環境省」によると、2023年3月1日時点で世界350社がRE100に取り組んでいます。
上位10カ国のうち日本は2位にランクインしており、加盟企業はアメリカに次ぐ勢いです。
RE100は全世界で再エネシステムを推進している大切な取り組みともいえます。
RE100の活用で得られるメリット
RE100に加盟すると得られるメリットを解説していきます。
ここからは、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
災害や電気高騰の影響をおさえられる
RE100に加盟すると、再生可能エネルギーを活用できるので石炭や化石燃料の価格高騰の影響を受けずにすみます。
石炭や化石燃料が高騰すると、値上がりした分の電気料金は電力会社に支払う必要があり事業運営の負担が大きくなります。
また、太陽光発電や水力発電などでエネルギーを100%発電するため、自家消費でき災害時も企業内で電力を活用できます。
企業価値を高められる
RE100の取り組みでEGS投資の投資家から高い評価が受けやすくなります。
EGS投資とは、環境・社会・企業の価値を分析し、評価をおこなう投資先の判断基準になります。
RE100に加盟すると、企業価値が上がり投資先から資金を集めやすくなるというのもメリットの一つです。
再生可能エネルギーの支援が受けられる
再生可能エネルギーは導入にかかる費用が高額になり、導入をあきらめてしまう企業も多いです。
国や自治体では、再生可能エネルギーの支援制度をおこなっています。
下記の支援制度を使うことで再生可能エネルギーを導入しやすくなるでしょう。
- FIP制度:売電価格に一定の補助額を加算
- 環境・エネルギー対策支援:特別利率で融資が受けられる
- 省エネ再エネ高度化投資促進税制:取得価額の14%を特別償却できる
- 再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置 :固定資産税が一定期間中に軽減
- 地域脱炭素投資促進ファンド事業:地域脱炭素投資促進ファンドから出資を受けられる
- エコリース促進事業:リース総額の一部の助成を受け取れる
RE100の今後の課題やデメリット
RE100の課題やデメリットについて解説していきます。
加盟後の注意点もあわせて見ていきましょう。
大手企業しか加盟できない
RE100は、中小企業は加盟できず、大手企業のみ加盟できます。
どの大手企業でも参加できる訳ではなく、下記の要件を満たす必要があります。
- 消費電力量が年間100GWh以上(現在、日本企業は50GWh以上に緩和)
- 自社事業で使用する電力(GHGプロトコルのスコープ2及び1の電力消費)の100%再エネ化に向け、期限を切った目標を設定し、公表すること
- グループ全体での参加及び再エネ化を約束すること
FIT認定の電気は利用できない
RE100は再生可能エネルギーですが、FIT認定を受けた発電所の電気は使えません。
100%再生可能エネルギーを利用し、推進していく取り組みのためFIT電気は使えないのが理由です。
また、FIT認定を受けた発電所の電気は、需要家が所有しているため利用できないデメリットといえます。
環境アピールのみで対策に取り組まない場合も
RE100は環境価値証書を購入できるため、CO2削減を簡単にアピールするのも可能です。
温室効果ガスのデータを加えられるので、購入に頼る企業も少なくないでしょう。
また、環境アピールのみで環境対策なしの場合は、CO2削減量とのズレが生じる可能性も考えられます。
RE100を実施ている日本の加盟企業の状況
RE100に加盟している企業は、国内で78社です。(※2023年3月1日時点)
加盟店を見ると有名な大手企業が多く加盟しているのが分かりますね。
建設業 | ・旭化成ホームズ ・安藤・間 ・インフロニア・ホールディングス ・熊⾕組 ・住友林業 ・積⽔ハウス ・⼤東建託 ・⼤和ハウス⼯業 ・東急建設 ・ ⼾⽥建設 ・⻄松建設 ・LIXILグループ |
食品業 | ・アサヒグループホールディングス ・味の素 ・キリンホールディング ・⽇清⾷品ホールディングス ・明治ホールディングス ・⼤塚ホールディングス ・⼩野薬品⼯業 ・第⼀三 |
化学 | ・花王 ・資⽣堂 ・積⽔化学⼯業 |
医薬品 | ・エーザイ ・⼤塚ホールディングス ・⼩野薬品⼯業 ・第⼀三共 |
ゴム製品 | ・住友ゴム⼯業 |
ガラス・⼟⽯製品 | ・TOTO ・⽇本ガイシ |
⾮鉄⾦属 | ・フジクラ |
⾦属製品 | ・ノーリツ |
電気機器 | ・アドバンテスト ・カシオ計算機 ・コニカミノルタ ・セイコーエプソン ・ソニーグループ ・ダイヤモンドエレクトリックホールディングス ・TDK ・ニコン ・⽇本電気 ・パナソニックホールディングス ・浜松ホトニクス ・富⼠通・富⼠フイルムホールディングス ・村⽥製作所 ・リコー ・ローム |
その他製品 | ・島津製作所 ・HOY |
陸運業 | ・東急 |
情報・通信業 | ・Zホールディングス ・BIPROGYグループ ・野村総合研究所 |
・アスクル ・イオン ・コープさっぽろ ・J.フロント リテイリング ・セブン&アイ・ホールディングス ・⾼島屋 ・丸井グループ ・ワタミ | |
銀⾏業 | ・城南信⽤⾦庫 |
⾦融・保険業 | ・第⼀⽣命保険 ・T&Dホールディングス |
その他⾦融業 | ・アセットマネジメントOne ・芙蓉総合リース |
不動産業 | ・いちご ・ジャパンリアルエステイト投資法⼈ ・東急不動産 ・野村不動産ホールディングス ・ヒューリック ・東京建物 ・三井不動産 ・三菱地所 ・森ビル |
サービス業 | ・エンビプロ・ホールディングス ・セコム ・楽天 |
(引用元:環境省 RE100について)
RE100の申請方法や参加条件
RE100の申請方法や参加条件について解説していきます。
注意点も解説していますのでぜひご覧ください。
申請方法の流れ
RE100の申請方法の流れは下記の通りです。
- 「再エネ100宣言 RE Action」から参加申し込みをする
- RE Actionの事務局から資料や申請書類などが届く
- 参加申込書とロゴデータ、RE Actionの事務局へ提出
- 承認された後に参加費の振込
- 加盟手続き完了
参加申込書の記載と別にロゴデータを送付しなければならないので注意しましょう。
参加条件【8つの基準条件を満たすこと】
RE100の参加条件は8つの基準があり、すべて満たさなければなりません。
また、50GWh以上の消費電力量を100%再生可能エネルギーでまかなうことを宣言する必要があります。
- 基準① 大きな影響力があること
- 基準② 再生可能エネルギーを100%使うこと
- 基準③ すべての企業活動の対象範囲であること
- 基準④ グループ単位で参加すること
- 基準⑤ 期限を決めて戦略を達成すること
- 基準⑥ 戦略や進歩状況を毎年報告すること
- 基準⑦,⑧ 発電事業・再生可能電力設備の製造等の企業は別に条件がある
RE100で大手企業の再生可能エネルギー率が上がる
今回はRE100の活用で得られるメリット・デメリット、加盟企業の状況・申請の流れを紹介しました。
RE100は化石燃料に頼らず再生可能エネルギーを使用し、CO2排出量を軽減できる大手企業の取り組みでしたね。
申請はRE100の基準を満たすことでメールから参加申込みができます。
加盟したいけど悩んでいるという人の参考になれば幸いです。
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この記事の監修者
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