V2Hとは?メリット・デメリットや補助金を徹底解説!
日本ではまだまだ馴染みが薄い電気自動車ですが、移動手段としてだけではなく、蓄電池としても利用できることをご存じでしょうか。
太陽光発電と組み合わせると、光熱費を減らせる可能性もあるのです。
今回はV2Hや電気自動車の充電の仕組み、V2H導入のメリット・デメリット、V2H導入時に利用できる国や自治体の補助金について徹底解説します。
目次
そもそもV2Hとは何?
V2HはVehicle to Homeの略語です。Vehicleは乗り物全体を意味する言葉で、自動車だけを意味するCarよりも広い概念です。トラックやバスを含むとVehicle、自動車だけに限定すればCarと考えるとよいでしょう。
V2Hは「乗り物(車)から家へ」という意味の言葉ですが、電気自動車に蓄えられた電気を家庭でも利用できる仕組みと理解するとわかりやすくなります。
これまでの電気自動車は自宅で充電できても、電気自動車の電気を家庭に戻すことはできませんでした。
V2Hの仕組みを整えると電気自動車を大容量蓄電池として使用でき、使い方によっては光熱費を削減できます。
電気自動車の充電方法
電気自動車の充電方法は大きく分けて3つあります。
それぞれについて解説します。
普通充電
1つ目の方法はコンセントから直接充電する普通充電です。
充電ケーブルで電源とつなぎ、電気自動車に充電します。
車載用の充電ケーブルは車種ごとにことなっています。
このケーブルがあれば、自宅で充電可能です。
充電した電気を自宅に戻して使用することはできません。
充電に要する時間は12時間前後です。
急速充電
2つ目の方法はガソリンスタンドなどに設置されている機器を使用した急速充電です。
普通充電よりも速く充電できますが、1回あたりの使用時間が最大30分とされています。
それでも、ガソリン車に比べるとかなり充電に時間がかかります。
V2Hの登場
2010年代に入ると、本格的にV2Hの仕組みが登場します。
これまでは一方的に電気自動車に充電するだけでしたが、V2Hの登場により電気自動車の電力を自宅で使用することが可能となります。
V2Hのメリット
ここまで、電気自動車の充電方法やV2Hの登場までの流れについて解説してきました。
ここからはV2Hにすると何がよいのか、3つのメリットについて解説します。
EVへの充電時間を短縮化できる
自宅で充電する普通充電のデメリットは、充電時間が長いことでした。
電気自動車をフル充電するために半日以上かかるため、利便性の面で問題となっていました。
V2Hの設備を設置すると、充電時間がおよそ半分になります。
急速充電に比べると時間がかかりますが、それでも大幅に充電時間を短縮できるため、電気自動車の利便性が向上します。
電気自動車を蓄電池としても利用できる
電気自動車のバッテリー容量は家庭用蓄電池よりもかなり大きいため、大容量蓄電池として使用できます。
一般的な家庭用蓄電池の容量は5〜7kWhであるのに対し、日産リーフの容量は40〜60kWh、トヨタがスバルと共同開発したbZ4Xは71.4kWhとかなり大容量であることがわかります。
これだけの容量の蓄電池を購入する費用を考えると、電気自動車を家庭用蓄電池として使用するのはとても魅力的な案に思えます。
光熱費を削減できる
V2Hを導入し、電気自動車を大容量蓄電池として利用できるようになると、光熱費を削減できるかもしれません。削減方法は2つあります。
1つ目は夜間に電力料金が安くなるプランと組み合わせ、夜のうちに安い電力を充電する方法です。
エコキュート向けの時間帯別料金プランと組み合わせると、電力を安く調達できます。
2つ目は太陽光発電と組み合わせる方法です。
太陽光発電で生み出された余剰電力を売電せず、自宅の電気自動車に充電します。
こうすることで、燃料代をほぼ無料にできます。
しかも、夜間に電気自動車の電気を使用すると、終日、太陽光発電の電力で過ごすことができ、光熱費を大幅に削減できるでしょう。
加えて、二酸化炭素を排出しない電力を使用することにつながりますので、環境面でも貢献できます。
V2Hのデメリット
一見良いことづくめのV2Hですが、注意すべき点が2つあります。
それぞれについて解説します。
初期費用が高い
V2H最大のデメリットは初期費用が高いことです。
V2Hの導入にはV2H機器や対応する電気自動車が必要です。
V2H機器の本体価格は50万円から100万円、これに工事費が上乗せされるため、最低でも150万円近くの初期費用がかかります。
また、対応する電気自動車を保有していなければ、その分の費用も必要となります。
V2Hに対応する電気自動車の価格は2〜300万円ですので、両者を合わせると400万円近くの初期費用が必要となります。
電気自動車のバッテリーが劣化する
長期的に見ると電気自動車のバッテリーを劣化させるというデメリットもあります。
一般に、バッテリーは充放電を繰り返すほど劣化します。V2Hは充電した電力を家庭用として使用するため、一般的な電気自動車よりも充放電の回数が多くなりがちです。
そのため、バッテリーの劣化を早めてしまいます。
初期費用を抑えられるV2Hの補助金
V2H導入時に多額の費用がかかるとわかりました。
高額な初期費用を抑える方法として国や地方自治体の補助金交付を受けるという方法があります。
ここからは、国と地方自治体のV2H補助金について解説します。
国のV2H補助金
2023年度の国のV2H補助金は設備費と工事費の合算で交付されます。
設備費は機器購入費の2分の1まで、上限が75万円です。
工事費の上限は40万円となっています。
両方の合計は最大で115万円です。
100万円のV2H機器を購入し、工事費が40万円だった場合は140万円のうち90万円を補助金で賄えます。そう考えると好条件の交付金です。
申込期間は2023年3月31日から10月31日までと定められました。
しかし、好条件であることは明らかであったため申し込みが殺到しました。
そのため、5月22日でV2H補助金の受付が終了してしまいました。
来年以降も同様の補助金を交付する可能性がありますが、その場合も早めに申し込み受付が終了すると想定されるため、早めの申請が必要となるでしょう。
地方自治体のV2H補助金
V2H補助金を交付するか否かは、各自治体の判断にゆだねられます。
たとえば、東京都では496億円の予算を設定し、V2H補助金を交付しています。
補助金の助成率は本体購入費と設置工事費の合計額の半分までで、上限は50万円です。
23区の一つである練馬区では、区独自のV2H補助金を設定しています。
上限額は10万円です。
区では国や東京都の補助金を受けている場合でも、一定の条件を満たせば併用可能としています。
このように、複数の補助金を組み合わせることで、さらに負担を削減することも可能です。
まとめ:補助金を活用しV2Hをお得に導入できる
今回はV2H補助金について解説しました。
V2H機器や工事費を合わせると150万円前後の費用がかかるため、V2Hの導入に慎重になるのも理解できます。
しかし、V2Hは電気自動車のバッテリーを大型蓄電池として利用できることや、太陽光発電と組み合わせて電気代を削減する効果を考えると魅力的な機器です。
国の補助金はすぐに締め切られてしまいましたが、まだ受付している補助金もあります。
これらの補助金をうまく活用すると、初期費用を抑えながらV2Hを導入できます。
太陽光発電設備やV2H対応の電気自動車を保有しているのであれば、補助金を利用してV2Hを導入する絶好のチャンスではないでしょうか。
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