電気代はどうやって決まる?再エネ賦課金とは?徹底解説!
私たちの生活に直結する電気料金ですが、料金表を見てみると、基本料金や電力使用料の他に「再エネ賦課金」という項目があります。
なぜ、利用者がこのような料金を負担しているのでしょうか。
本記事では電気代の決まり方や再エネ賦課金のしくみや目的、再生可能エネルギーの種類や特徴、再エネ賦課金の金額の推移、2023年度の再エネ賦課金などについてわかりやすく解説します。
目次
電気代の決まり方
電気料金は3つのパートで成り立っています。
契約しているアンペア数にもとづく「基本料金」と、電力の使用量に応じて支払う「電力量料金」、これに「再生可能エネルギー発電促進付加金」(以下、再エネ賦課金)の合算で求められます。
基本料金は電力を使用してもしなくても支払う料金です。
アンペア数が多くなるほど基本料金が高くなります。
ちなみに、アンペア数が低いと基本料金を節約できますが、同時に使用できる電化製品は少なくなります。
電力量料金は使用する電力によって決められています。
電力量料金は東京を含む関東地域は1〜120kW、121kWh〜300kWh、301kWh以上の3つの価格帯に分かれ、使用量に応じて支払います。
再エネ賦課金は次の項目で詳しく説明します。
再エネ賦課金とは?
再エネ賦課金とは、電力会社が再エネ由来の電力を買い取る費用の元手とするために電気使用者から徴収しているお金のことです。
再生可能エネルギーの普及促進を行うため、電気料金に上乗せする形で電気使用者から徴収しています。
再エネ賦課金の金額は毎年変わります。
2012年に開始した当初は88円でしたが、2022年には1380円となりました。
実に、15倍もの金額に増加しています。
再エネ賦課金があるおかげで、電力会社は一定期間、同じ金額で再エネを買い取れます。
再エネの種類・特徴
再生可能エネルギー(以下、再エネ)とは化石燃料(天然ガス・石油・石炭)のように使用したらなくなってしまうものではなく、自然界に普遍的に存在するエネルギーです。
枯渇せず、どこにでもあり、二酸化炭素を増やさないことが再エネの条件です。
国が固定価格買取制度の対象としている5つの再エネを紹介します。
太陽光発電
太陽光発電は太陽から降り注ぐ光エネルギーを太陽電池で電力に変換する発電方法で、家庭用から産業用まで幅広く利用されています。
再エネ全体に占める割合は最大で、今後も再エネの主力として日本の発電を支えるでしょう。
他の発電方法よりもメンテナンスが容易ですが、天候によって発電量に波があります。
また、災害発生時に太陽光発電設備がダメージを受けるなどして、近隣に被害を与えている事例も見られます。
風力発電
風の力で風車を回して発電する方法です。
欧米で広く用いられているものの、日本では普及が遅れていました。
しかし、2000年以降は導入が加速しています。
最近は、洋上風力発電にも力を入れています。
大規模施設を整備すれば、火力発電並みにコストを下げられるため、経済面からも注目されています。
風さえ吹いていれば夜間でも発電可能ですので、太陽光発電の補完という観点からも、期待できる発電方法です。
現在は発電コストを下げ切れていないことや、発電した電力を電力系統とつなげるときの系統制約、洋上風力発電導入時の漁業者との調整などが課題となっています。
水力発電
水力発電は河川の高低差を利用して水を上から下に流し、そのエネルギーで水車を回転させて発電する方法です。
電力を得るため各地に大規模ダムが建設されましたが、環境への影響が大きいため、大規模な水力発電を行う際には慎重に検討しなければなりません。
その一方、流量が少ない場所でも発電できる中小規模の水力発電は新たな発電方法として注目を集めています。
大規模なダムとことなり環境負荷が小さく、開発余地が残されています。
ただし、コストが高くなりがちという問題を抱えています。
地熱発電
地下の地熱エネルギーを蒸気や熱水という形で取り出し、タービンを回して発電します。
火山が多い日本では活用しやすい資源です。
出力が安定していて24時間利用できるのがメリットです。
しかし、開発が始まってから期間が短いため開発費用がかさんでしまうのがデメリットです。
また、温泉や公園施設に与える影響が未知数であるため、地元との調整が必要です。
バイオマス発電
動植物などの生物資源をエネルギー源として発電する方法です。
生物資源として利用できるのは家畜の排せつ物などの畜産資源、食品加工の残滓などの食品資源、製材過程で出る廃材などの林業資源などがあります。
稲わらや間伐材もバイオマスとして利用できます。
これらの資源を燃焼させて電気や熱として利用します。
バイオマスを燃やすと二酸化炭素が発生しますが、バイオマスの成長過程で二酸化炭素を取り込んでいますので、化石燃料のようにあらたに二酸化炭素を放出するわけではありません。
バイオマスは新たに二酸化炭素を増やさないため、再生可能エネルギーに区分されるのです。
再エネ賦課金の推移
政府は太陽光・風力・水力(小水力)・地熱・バイオマスなどの発電を促進するため、再エネ賦課金で支援しています。
再エネ賦課金が始まってから、金額はどのように推移したのでしょうか。
年度 | 単価(円/kWh) |
2013年 | 0.35 |
2014年 | 0.75 |
2015年 | 1.58 |
2016年 | 2.25 |
2017年 | 2.64 |
2018年 | 2.9 |
2019年 | 2.95 |
2020年 | 2.98 |
2021年 | 3.36 |
2022年 | 3.45 |
2023年 | 1.4 |
出典:自然エネルギー財団
再エネ賦課金が設定された2012年、賦課金の単価は0.22円/kWhでした。
それが、毎年上昇を続け2022年には3.45円/kWhに達します。
15倍以上に跳ね上がった計算です。
2023年度の再エネ賦課金は減額
2023年3月、経済産業省は2023年度の再エネ賦課金を1.40円/kWhとすると発表しました。
制度が始まって以来、はじめて再エネ賦課金が引き下げられました。
なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。
端的にいえば電力価格が高騰し、再エネ由来の電力の価格も上がったからです。
もともと、再エネ賦課金は火力発電などの電力よりも割高になりやすい再エネに補助金を支出することで普及を促すものでした。
電力価格が高騰した要因は2つです。
1つ目の要因はロシア軍のウクライナ侵攻です。
国際情勢が不安定化し、天然ガスをはじめとする化石燃料が高騰し、電力価格が世界的に上昇しました。
その結果、太陽光発電との格差が縮まり、買取費用を節約できます。
2つ目の要因は円安によるエネルギー資源の実質的な値上がりです。
世界の主要国がインフレを抑えるために利上げを実施する中、日本銀行は利上げを見送ってきました。
そのため、米ドルなどと日本円との金利差が一気に拡大しました。
そうなると、円を持っているより米ドルなどの他国の通貨を持っている方が有利になります。
そうした事情から、日本円が売られやすくなり円安傾向が強まっています。
つまり、円が安くなったせいで天然ガスなどが買いにくくなり、電力価格が高騰したのです。
以上の要因から再エネ購入にかかる費用が少なくなるため、再エネ賦課金の引き下げが行われたのです。
再エネ賦課金を払わず光熱費を下げる方法
再エネ賦課金を払わずに済む方法があることをご存じでしょうか。
その方法とは、化石燃料由来の電力を使用しないことです。
再エネ賦課金は火力発電などで生み出された電力に課されるものです。
そのため、電力会社から電力を購入せず、太陽光発電の電力を使用すれば再エネ賦課金を支払う必要がなくなります。
賦課金を支払わなくてよいため、その分、光熱費を下げられるのです。
まとめ:太陽光発電で自家発電すれば再エネ賦課金を払わなくてもよい
今回は再エネ賦課金について解説しました。
再エネ賦課金は太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及を目的に課されたもので、電力の固定価格買取の財源などとして利用されてきました。
当初は少なかった再エネ賦課金ですが、約10年間の間に15倍以上となってしまいました。
2023年、再エネ賦課金は2023年の半分以下にまで下がります。
その理由は再エネ電力の価格が上がったからです。
このように、再エネ賦課金は国際情勢や為替によって大きく変動します。こうした影響を受けない最善の方法は太陽光発電を導入することです。
蓄電池も併せて導入すると、再エネ賦課金をほとんど払わずに済ませることも不可能ではありません。
電力価格高騰の対策も兼ねて、太陽光発電の自家発電を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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