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余剰電力とは?FIT制度の特徴や買取単価が下がっている理由を解説!

太陽光発電 2024年01月04日更新

自宅で発電したエネルギーを売却できると評判の太陽光発電ですが、基本的には「自家消費で余った電気しか売電できない」というルールがあることをご存じでしょうか?

太陽光発電の売電制度は「余剰売電」と「全量売電」の2種類に分けられており、それぞれの違いを理解しておかないと売電収入で損してしまうこともあります。

そこで本記事では、「余剰電力」や「FIT制度」といった用語の解説や、2023年の買取単価や現在までの推移、買取単価が下がっている理由などを解説していきます。

記事の後半では、太陽光発電の設置から10年後に売電収入が激減する「卒FIT」に対策する方法もご紹介していますので、売電に興味がある方はぜひご覧ください!

余剰電力とは?FIT制度の特徴や買取単価の推移も解説!

まずはじめに、「余剰電力」という用語の意味や、太陽光発電の売電収入に大きく関わる「FIT制度」の詳細について解説していきます。

余剰電力とは太陽光発電で「自家消費」しきれない電気のこと

余剰電力とは、太陽光発電で作ったエネルギーのうち、家庭で使いきれない「余った電気」のことです。

余剰電力は国が定めた「FIT」という制度により、10〜20年の間、通常の買取価格の相場より優遇された価格で電力会社に売却することができます。

太陽光発電は、自家消費で節約できる電気代と、売電による収入を合わせることで「10〜15年」ほどで初期費用の大半を回収できるといわれています。

余剰電力を売却できる「FIT制度」とは?

FIT制度とは、太陽光をはじめとする「再生可能なエネルギー」で発電した電気を、電力会社が一定期間、一定価格で買い取る制度です。

FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは「太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス」の5種類であり、買取資金には毎月の電気代に含まれる「再エネ賦課金」が利用されています。

買取価格が優遇される期間は設備の規模によって異なり、太陽光発電の場合は「出力10kW未満の設備は10年間、10kW以上は20年間」と定められています。

【推移も解説】FIT制度の2023年の買取単価はいくら?

太陽光発電でFIT制度を利用した場合、2023年の買取単価は「出力10kW未満の設備は16円 / kWh」「10〜50kW未満は10円 / kWh」と設定されています。

参考までに、FIT制度が開始された2012年から2023年までの買取単価を、以下の表で確認していきましょう。

年度

10kW未満の設備

10〜50kW未満の設備

2012年

42円

40円

2013年

38円

36円

2014年

37円

32円

2015年

33円

29円

2016年

31円

24円

2017年

28円

21円

2018年

26円

18円

2019年

24円

14円

2020年

21円 

13円

2021年

19円

12円

2022年

17円

11円

2023年

16円

10円

表を見てわかるとおり、FIT制度の買取単価は2012年から一度も上がることなく、少しずつ下がり続けています

FIT制度の買取単価が値下げしている理由とは?

FIT制度の買取単価が下がり続ける理由は、「買取単価は太陽光発電の導入費用の相場を元に決められており、相場価格が毎年安くなっているから」です。

買取単価は「10〜15年間で初期費用の元が取れる」程度にうまく設定されているため、単価が安くなったからといって購入を諦める必要性はありません

最近の物価高の影響で導入費用の相場が値上がりした場合、FIT制度の買取単価が上がる可能性も充分ありますので、こまめにチェックしておくとよいでしょう。

余剰売電と「全量売電」の違いをわかりやすく解説!

太陽光発電で作ったエネルギーをFIT制度を利用して売電する場合、「余剰売電」と「全量売電」の2種類の売電方法を選択できます。

2つの売電方法の特徴や条件、買取期間などの違いを以下にまとめました。

 

余剰売電

全量売電

特徴

発電した電気のうち、自家消費しきれない分のみ売電できる

発電した電気はすべて売電できるが、原則として自家消費ができない

利用条件

設備の総出力が50kW未満であること

設備の総出力が50kW以上であること

買取期間

10年

20年

買取単価

16円 / kWh

10円 / kWh

「出力50kW以上」の太陽光発電は自宅への設置例が少ないため、基本的には家庭用の設備は余剰売電、産業用の設備は全量売電となるケースが大半です。

家庭用の太陽光発電でも全量売電はできる?

出力50kW以上の太陽光発電を自宅の敷地内に設置できれば、家庭用であっても全量売電することは可能です。

しかしながら、50kWを超える太陽光パネルを並べるには「150坪(500㎡)」ほどのスペースが必要ですので、土地に余裕のある方でないと実現は難しいでしょう。

例外として、農地の上部にパネルを設置する「ソーラーシェアリング」であれば出力10〜50kW未満でも全量売電できますので、農業を営む方なら検討する価値があります。

注意点として、10kW以上の太陽光発電を設置すると「固定資産税」の課税対象となる可能性があるため、導入前にはしっかり確認しておきましょう。

太陽光発電の大きなデメリット!「卒FIT」とは?

卒FITとは、FIT制度で買取単価が優遇される「10〜20年」の期間が終了した状態を指す言葉であり、卒FITを迎えると売電収入が激減することが問題視されています。

たとえば、2023年に卒FITを迎える方は、2013年のFIT買取単価である「38円 / kWh」から、現在の相場価格である「7〜14円 / kWh」ほどまで下がってしまいます。

太陽光発電の設備寿命は「25〜30年以上」と長いため、卒FIT後も安定して稼働することは可能ですが、収益を期待して導入した方は対策が急務となるでしょう。

卒FITによる収入低下をなるべく抑える方法はある?

卒FITによる収入低下のダメージを抑えるためには、「自家消費の徹底」や「蓄電池の導入」、「契約会社の変更」といった対策法が有効です。

それぞれの対策法の特徴やメリットを以下にまとめました。

卒FIT後の対策法

特徴やメリット

自家消費の徹底

・卒FIT後の買取単価に比べて最近の電気代ははるかに高いため、無理して売るより自宅で消費したほうがお得

・「エコキュートを昼間に沸かす」「料理の作り置き」など、工夫次第で電気代を大きく節約できる

蓄電池の導入

・自家消費で余った電気を充電することで、夕方以降も電気代を節約できる

・発電できない時間帯も停電対策できるため、防災設備としても優秀

・深夜のお得な電気を充電して昼間に使えば、毎月の請求額をさらに抑えられる

契約会社の変更

・卒FIT後の買取単価は電力会社によって異なるため、より条件の良い会社に切り替えれば収入低下を軽減できる

・軽減できる損失には限界があるため、自家消費量を増やす工夫なども合わせて実践したい

まとめ:太陽光発電の余剰電力は売却可能!蓄電池への充電も効果的

本記事でくわしく解説してきた「太陽光発電の余剰電力のお得な売電方法」についての重要ポイントを、以下にもう一度まとめていきます。

  • 余剰電力とは、太陽光発電で作った電気のうち「自家消費しきれない余り」のこと
  • 太陽光発電の余剰電力は「FIT制度」により10〜20年間、優遇された固定価格で売電できる
  • 太陽光発電の出力が「50kW」を超えれば全量売電できるが、大きなスペースと費用が必要
  • 設置から10〜20年後は買取単価が激減するため、自家消費量を増やす対策がおすすめ
  • 蓄電池を設置すれば夜間も自家消費ができるうえに、24時間の停電対策としても使える

家庭に設置する太陽光発電の大半は「余剰売電」となるため、売電収入を増やすには「どれだけ日中に節電するか」がカギを握っています。

FIT制度が適用される10年の間にうまく売電すれば、太陽光発電の初期費用はほとんど回収できますので、興味がある方はぜひ導入を検討してみてくださいね!

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この記事の監修者

中田 萌

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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