アモルファスシリコンの太陽電池とは?特徴や結晶系シリコンとの違い
「アモルファスシリコン太陽電池?」という言葉にピンとこない方も多いでしょう。
この記事では、アモルファスシリコン太陽電池の特徴や他のシリコン太陽電池との違い、そして最適な設置方法について、わかりやすく紹介いたします。
目次
アモルファスシリコン太陽光電池とは?特徴
アモルファスシリコン太陽電池とは、シリコンが整っていない非結晶状態を指し、砂の粒子もバラバラな形が特徴です。
アモルファスシリコンは結晶のパターンが整っていないため、機械の強さや耐摩耗性、電気の性質などが独自の特徴を持っています。
また、太陽光電池などの製造にも使われ、その柔軟性や軽さから、建築材料や電子機器にも活用されています。
特徴①:薄くて軽い柔軟さ
アモルファスシリコンは、1平方メートルあたりわずか1キログラムの軽さで、従来の太陽光電池の厚みは10分の1以下です。
鋼板を含めたアモルファスシリコン太陽光パネルは、1平方メートルあたり4~8キログラムで、従来の据置型の半分以下の軽さです。
アモルファスシリコンはとても薄くて柔軟なため、屋根やソーラーカーポートにスッキリと取り付けることができます。
特徴②:高い出力電圧
アモルファスシリコンは、独自の直列接続構造を持つため、インバータに直接つなげると、非常に高い電力が手に入ります。
また、外部接続は全て並列に簡単に接続できるので、結晶系を使用する場合でも、太陽電池を並べる時のミスが少なくて済みます。
特徴③:年間発電量が高い
アモルファスシリコンの特徴は、年間を通して高い発電量が得られることです。
アモルファスシリコンの太陽光パネルは、夏場でも性能があまり下がらないので、結晶系よりも発電効率が良く、年間で約10%ほど発電量を多く得られます。
また、夏でも安定して発電ができ、結晶系よりも多く電力を作れるので、一年を通して年間発電量に期待が持てます。
特徴④:製造時のエネルギー消費量が少ない
アモルファスシリコンは、製造時のエネルギー消費量が少なく、環境にやさしい太陽電池です。
アモルファスシリコンの製造は高温が不要で、低温で済むためエネルギー効率が向上します。
同時に、有毒なカドミウムが少ないので、環境への負荷が少なく、エネルギー消費も抑えられます。
シリコン太陽電池対決!アモルファス vs 結晶系の違い
アモルファスシリコンと結晶系シリコンの主な違いをまとめた表です。
原子配列 | 太陽電池の厚さ | 電子の動きやすさ | 反射光 | |
結晶系 | まとまりがある | 200mm~ | 速い | 起きやすい |
アモルファスシリコン | バラバラ | 0.5~1mm | 遅い | 起きにくい |
結晶系シリコンは電子の動きが比較的遅い傾向がありますが、太陽電池の厚みがあるために光をより多く吸収できる反面、反射光の影響を受けやすい特徴があります。
一方で、アモルファスシリコンは電子が速く動く優れた特性がありながら、太陽電池が薄いために光の反射を抑えやすくなっています。
どちらも、使う場面によって選ばれており、太陽光の有効な利用を助けています。
おトクでエコ!アモルファスシリコン太陽光電池のメリット
アモルファスシリコン太陽光電池のメリットを詳しく紹介します。
経済的な生産コスト
アモルファスシリコンは薄くて材料の使用が少ないため、コストが抑えられ、大量生産が可能です。
プラスチックなどの柔軟な素材でも製造ができ、結晶系シリコンの太陽電池よりも製造が簡単です。
さらに、薄膜技術を使うことで、材料の使用を効果的に削減できます。
加工に優れている
アモルファスシリコンは、太陽電池の価格や使い道を大きく変えました。
TDKが世界で初めて成功させた技術で、薄くてしなやかなアモルファスシリコン薄膜をプラスチックフィルムに形成します。
この特性を活かして、複雑な形状にも簡単に加工でき、ソーラー付きの腕時計などに多く活用されています。
優れた光吸収率
アモルファスシリコンは結晶系シリコンよりも優れた光吸収特性を持っています。
アモルファスシリコンは、赤い光(波長)を透過しやすく、薄い層でも光をよく吸収する素材です。
この材料は結晶シリコンよりも急激に光を吸収する傾向があるため、薄い膜でも効率的に光を吸収できます。
光を強く吸収する素材は、太陽光を電気に変える際にとても効果的で、エネルギー変換の効率がアップします。
はじめは頼りない?アモルファスシリコン太陽光電池のデメリット
アモルファスシリコン太陽光電池のデメリットについて紹介します。
他の太陽電池より変換効率が低め
アモルファスシリコンは、他の太陽電池にくらべて変換効率が低い傾向です。
- 単結晶シリコン:15〜20%
- 多結晶シリコン:15〜18%
- アモルファスシリコン:7~9%
- ヘテロ結合:19%
アモルファスシリコン入りの太陽光パネルは、他の太陽電池にくらべて同じ広さで発電能力が半分以下です。
効率の高いパネルを検討すると、同じ場所でより多くのエネルギーが得られます。
比較するときは、変換効率だけでなく、設置面積やコストも考えて選びましょう。
劣化スピードが速い
アモルファスシリコンは、他の太陽電池よりも、光による劣化が早い傾向です。
年劣化率 | |
単結晶パネル | 0.47~0.75% |
多結晶パネル | |
アモルファスシリコン | 1% |
ヘテロ結合 | 0.87% |
(参照:RCPV)
アモルファスシリコンは劣化が早いですが、初期の導入コストが非常に安いので、産業用途などでよく使われています。
太陽光パネルを導入する際は、価格や発電効率だけでなく、劣化の進行具合も考える必要があります。
使い始めは性能が下がることも
アモルファスシリコンは、強い光にさらされると、内部の水素結合が切れることがあります。
なぜなら、太陽光に長くさらされると内部の結びつきが変わり、光の吸収や電気性能に影響を与える可能性があるからです。
そのため、使い始めは性能が急激に低下することも考えておくべきです。
アモルファスシリコン太陽光電池の利用にぴったりな人の特徴
アモルファスシリコン太陽光電池の利用に向いている人の特徴は以下の通りです。
- 非常時や影の多い場所で利用したい人
- 環境に優しい生活を重視する人
- 設置の柔軟性を求める人
アモルファスシリコン太陽光電池は、日照が不足しても発電でき、非常時や影の多い場所でも頼りになります。
また、環境にやさしく、設置が柔軟なので、災害時の備えや美しさを大切にする人に最適です。
アモルファスシリコン太陽電池の効果的な設置方法
アモルファスシリコン太陽電池を効果的に設置する方法は、以下のとおりです。
- 適切な場所を選ぶ:十分な太陽光を受けられる場所を選ぶ
- 定期的なお手入れ:パネルを定期的に清掃して効率を維持する
- 影響を避ける:周りの建物や樹木の影響を最小限に抑える
- 品質と保証を確認:高品質なパネルを選び、メーカーの保証や性能評価を確認する
- 発電力アップ:最適な傾斜角や方向に調整して発電力を向上させる
アモルファスシリコン太陽電池を有効に利用するためには、上記のポイントを考えて設置・運用しましょう。
アモルファス太陽電池の取り扱いメーカー
アモルファス太陽電池の主なメーカーは次の通りです。
メーカー名 | 製品名 | 最大出力 | 変換効率 | サイズ (幅×奥行×高さ) | 重さ | 希望小売価格/kW(税込) |
パナソニック | HITシリーズ(HIT240α) | 240W | 18.7% | 1580×81 35mm | 15kg | 13万9,650円 |
長州産業 | Gシリーズ(CS-275G51S) | 275W | 20.1% | 1626×840×35mm | 15.3kg | 19万6,680円 |
NexPower Technology | U-NB110 | 110W | 8.8% | 1240×1008×40mm | 18.3kg | オープン価格 |
アモルファスシリコン入りの太陽光パネルは、1kWあたり約14~20万円です。
アモルファスシリコンは発電効率が低く、耐久性も限られています。
そのため、他の太陽電池といっしょに組み合わせて利用され、ハイブリッドとして役立っています。
アモルファスシリコンは、発電効率が向上し、価格、重さ、サイズも改善されつつあります。
手頃な価格でエコな未来を!アモルファスシリコン太陽電池を始めよう
アモルファスシリコン太陽電池について、特徴やメーカーの紹介をしました。
アモルファスシリコンは手ごろな価格で、高温にも強く、電圧の調整がしやすいメリットがあります。
一方で発電効率が低く、耐久性には制約がありますが、最近はその向上や価格・軽量・サイズの改善が進んでいます。
また、環境にもやさしく、設置が柔軟で美観を損なわないので、デザインやエコ志向を大切にする方に特におすすめです。
この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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