太陽光売電11年目以降のおすすめは?卒FIT後の選択肢

ご自宅の太陽光発電システムが設置から10年を経過し、いわゆる「11年目」を迎えようとしている、あるいは既に迎えた皆様。「固定価格での売電が終わった後、発電した電気はどうするのが一番お得なんだろう?」と疑問に思っていませんか?FIT制度(固定価格買取制度)の適用期間が終了する「卒FIT」は、太陽光発電との付き合い方を見直す大きな転換点です。売電価格が大幅に下がる中で、発電した電気を最大限に活かすためには、いくつかの選択肢があります。この記事では、卒FIT後の具体的な選択肢と、それぞれのメリット・デメリット、そして2025年現在、特におすすめの活用法について、分かりやすく解説していきます。ご自身のライフスタイルや価値観に合った、最も賢い選択を見つけるためのヒントがここにあります。
目次
なぜ「太陽光売電11年目以降」が重要?FIT制度終了(卒FIT)とは
太陽光発電を設置して間もない方や、これから導入を検討される方にとっては、「11年目以降」というキーワードにピンとこないかもしれません。しかし、既に10年近く太陽光発電を利用されているご家庭にとっては、非常に重要な意味を持つ言葉です。これは、国が定めた「FIT制度(固定価格買取制度)」の適用期間が終了することを指しています。この制度のおかげで、多くのご家庭が比較的高い価格で電気を電力会社に買い取ってもらえていました。しかし、その保証期間が終わると、状況は大きく変わります。まずは、FIT制度とは何か、そしてその終了(卒FIT)が何を意味するのかを正しく理解することが、11年目以降の最適な選択をするための第一歩となります。
FIT制度(固定価格買取制度)の仕組み
FIT制度(Feed-in Tariff、固定価格買取制度)は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)で発電した電気を、国が定めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務付ける制度です。住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合、この買取期間は「10年間」と定められています。この制度の目的は、再生可能エネルギーの導入を促進し、エネルギー自給率の向上や環境負荷の低減を図ることにありました。制度開始当初は比較的高額な買取価格が設定されたため、多くのご家庭で太陽光発電の導入が進む大きな要因となりました。つまり、設置から10年間は、発電した電力の余剰分を有利な条件で売電することが保証されていたのです。
卒FIT後の売電価格はどうなる?
FIT制度による10年間の買取期間が終了すること、これが「卒FIT」と呼ばれます。卒FITを迎えると、国が定めた固定価格での買取保証がなくなります。では、その後はどうなるのでしょうか?発電した電気の余剰分を売電すること自体ができなくなるわけではありません。しかし、FIT期間中のような高い価格での買取は期待できず、売電価格は大幅に下落するのが一般的です。 具体的な買取価格は、各電力会社が独自に設定するプランや、市場価格に連動するプランによって異なりますが、多くの場合、FIT期間中の価格の数分の一程度(例えば、1kWhあたり7円~11円程度)になることが想定されます。これは、電力会社から電気を購入する価格(1kWhあたり30円以上が一般的)よりもはるかに安い価格です。このため、卒FIT後は「売電による収入を期待する」よりも、「発電した電気をいかに自家消費するか」が経済的なメリットを得るための鍵となります。
卒FIT後の選択肢:あなたにおすすめの活用法は?
FIT期間が終了し、売電価格が大幅に下がることが分かったところで、次に考えるべきは「発電した電気をどう活用するのが最も賢いのか?」という点です。卒FIT後の選択肢は、大きく分けて4つ考えられます。それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあり、どの方法が最適かは、ご家庭の電力消費パターン、ライフスタイル、そして価値観によって異なります。ここでは、各選択肢の特徴を詳しく見ていき、2025年現在、特におすすめと考えられる方法についても解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、最適な活用法を見つけていきましょう。
選択肢1:自家消費を増やす(蓄電池なし)
最もシンプルで初期投資がかからない方法は、発電している昼間の時間帯に、可能な限り電気を使うようにライフスタイルをシフトすることです。例えば、電気料金が高い昼間に洗濯機や乾燥機、食洗機、掃除機など電力消費の大きい家電製品を稼働させたり、エコキュートの沸き上げ時間を昼間に設定変更したりする方法が考えられます。これにより、電力会社から購入する電力量を減らし、電気代を節約することができます。特別な機器導入が不要なため手軽に始められますが、効果は限定的です。昼間に在宅している時間が短いご家庭や、電力消費量が少ないご家庭では、節約効果を実感しにくい可能性があります。また、発電量が天候に左右されるため、安定した節約効果を得るのが難しい点もデメリットと言えるでしょう。
選択肢2:新たな電力会社と契約して売電継続
卒FIT後も、余剰電力を買い取ってくれる電力会社と新たに契約を結び、売電を継続するという選択肢もあります。FIT期間終了後は、大手電力会社だけでなく、様々な新電力会社も独自の買取プランを提供しています。これらのプランの中には、特定の条件(例:その電力会社の電気供給プランとセットで契約するなど)を満たすことで、比較的高い単価で買い取ってくれるものや、ポイント還元などの特典が付くものもあります。ただし、前述の通り、FIT期間中のような高い買取価格は期待できません。複数の電力会社のプランを比較検討し、少しでも有利な条件で契約することが重要ですが、売電収入自体は大幅に減少することを理解しておく必要があります。売電による収入を少しでも維持したいと考える方には選択肢の一つとなりますが、自家消費を優先する方が経済的メリットは大きくなる傾向にあります。
主要電力会社の卒FIT買取プラン比較(2025年版)
卒FIT後の余剰電力買取は、お住まいのエリアの大手電力会社(東京電力、関西電力など)が引き続き行っている場合がほとんどです。各社はウェブサイトなどで卒FIT向けの買取プランや単価を公表しています。2025年5月現在、多くの大手電力会社では、1kWhあたり7円~9円程度の買取単価を設定していることが多いようです。ただし、これは標準的なプランであり、電力会社によっては、自社の電気供給サービスを利用している顧客向けに、少し高い単価を設定している場合もあります。例えば、特定のポイントが付与されたり、関連サービスとの連携で特典があったりするプランも存在します。重要なのは、契約中の電力会社だけでなく、他の大手電力会社のプランも比較検討することです。 契約手続きや条件は各社で異なるため、必ず公式ウェブサイトで最新情報を確認し、ご自身の状況に合ったプランを選びましょう。手続きをしない場合、非常に低い単価(または無償)での買取となる可能性もあるため、注意が必要です。
新電力の買取プランも検討
大手電力会社だけでなく、多くの新電力会社も卒FIT電力の買取サービスを提供しています。新電力の中には、大手電力会社よりも高い買取単価を提示したり、独自の特典(例えば、特定のサービスの割引、ギフト券への交換など)を用意したりしている場合があります。特に、環境価値を重視するプランや、地域貢献を謳うプランなど、多様な選択肢があるのが特徴です。ただし、新電力会社は事業規模や経営基盤が様々であり、将来的にサービス内容が変更されたり、事業から撤退したりするリスクもゼロではありません。契約前には、買取単価だけでなく、契約期間、解約条件、企業の信頼性などを総合的に比較検討することが重要です。インターネット比較サイトなどを活用し、複数の新電力のプランを比較してみるのも良いでしょう。少しでも有利な条件で売電したい場合は、新電力も選択肢に入れる価値があります。
選択肢3:家庭用蓄電池を導入して自家消費を最大化【特におすすめ】
卒FIT後の最も経済的メリットが大きく、かつ今後の主流になると考えられているのが、家庭用蓄電池を導入し、太陽光発電で作った電気の自家消費率を最大限に高める方法です。蓄電池があれば、昼間に発電して使いきれなかった余剰電力を貯めておき、発電しない夜間や、発電量の少ない曇り・雨の日に使うことができます。これにより、電力会社から高い単価で電気を買う量を大幅に減らすことができ、電気代の削減効果が非常に大きくなります。 さらに、災害などで停電が発生した場合でも、蓄電池に貯めた電気を非常用電源として利用できるため、生活の安心感も高まります。初期投資は必要になりますが、国や自治体の補助金制度を活用できる場合もあり、長期的に見れば十分な経済的メリットと安心を得られる可能性が高い、最もおすすめの選択肢と言えます。
蓄電池導入のメリット・デメリット
家庭用蓄電池導入の最大のメリットは、太陽光発電の自家消費率を大幅に向上させ、電気代を削減できる点です。特に電力単価が高い時間帯の電力購入を避けられる効果は大きいです。また、停電時にも電気が使える安心感(レジリエンス向上)は、近年頻発する自然災害への備えとして非常に重要です。さらに、電力系統への負荷を軽減する効果も期待されます。一方、デメリットとしては、導入時にまとまった初期費用がかかる点が挙げられます。機種や容量にもよりますが、工事費込みで100万円以上の費用が必要になることが一般的です。ただし、国や自治体からの補助金制度を利用できる場合があり、負担を軽減できます。また、蓄電池本体の設置スペースが必要になること、充放電を繰り返すことによる経年劣化(寿命は約10~15年程度が目安)があることも考慮すべき点です。
蓄電池の選び方とポイント
家庭用蓄電池を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。
- 蓄電容量: ご家庭の1日の電力消費量や太陽光発電の発電量、停電時に使いたい電力量などを考慮して、適切な容量(kWh)を選びます。容量が大きすぎると価格が高くなり、小さすぎると十分な効果が得られません。
- 機能: 特定の家電製品だけを動かす「特定負荷型」か、家全体で電気を使える「全負荷型」かを選びます。ライフラインを重視するなら全負荷型が安心ですが、価格は高めです。また、AIによる充放電制御機能など、付加機能も確認しましょう。
- 寿命と保証: 蓄電池には寿命があります。メーカーが保証する充放電サイクル数や保証年数を確認し、長期的に安心して使える製品を選びましょう。
- サイズと設置場所: 設置スペースに収まるか、屋外設置か屋内設置かなどを確認します。
- 補助金: 国や自治体の補助金制度の対象機種かどうかを確認し、申請手続きについても調べておきましょう。 信頼できる販売・施工業者に相談し、複数の機種を比較検討して、ご自身のニーズに最適な蓄電池を選ぶことが重要です。
選択肢4:エコキュートやEV(電気自動車)と連携
太陽光発電の自家消費率をさらに高める方法として、エコキュートやEV(電気自動車)・V2H(Vehicle to Home)システムとの連携も有効です。エコキュートは、通常電気料金の安い深夜電力でお湯を沸かしますが、設定を変更し、太陽光発電が稼働している昼間に沸き上げを行うことで、発電した電気を有効活用できます(対応機種が必要な場合があります)。また、EVをお持ちの場合は、昼間の発電電力で充電することで、ガソリン代の節約につながります。さらにV2Hシステムを導入すれば、EVの大容量バッテリーを家庭用蓄電池のように活用し、夜間や停電時にEVから自宅へ電力を供給することも可能になります。これらの連携は、エネルギーを無駄なく使い切り、経済的なメリットを追求する上で非常に効果的です。ただし、対応機器の導入や設定変更が必要となる場合があります。
11年目以降も安心!太陽光発電システムのメンテナンス
卒FITを迎える11年目以降も、太陽光発電システムを安全かつ効率的に使い続けるためには、定期的なメンテナンスが非常に重要です。長期間使用することで、太陽光パネルの汚れや劣化、接続部分の不具合、パワーコンディショナの性能低下などが発生する可能性があります。これらを放置すると、発電量の低下だけでなく、漏電や火災などの重大な事故につながるリスクもあります。FIT期間が終了したからといってメンテナンスを怠るのではなく、むしろ長期的に安心して利用するために、適切な点検と必要に応じた部品交換を行うことが大切です。専門業者による定期点検を受け、システムの健康状態を把握しておくことを強くおすすめします。
定期点検の重要性
太陽光発電システムは屋外に設置されるため、風雨や紫外線、鳥の糞、落ち葉などの影響を受けやすい設備です。太陽光パネル表面の汚れは発電効率を低下させる原因になりますし、架台の緩みや配線の劣化は、強風によるパネルの飛散や漏電のリスクを高めます。また、目視では確認しにくい部分の不具合(セル内部の劣化、接続箱の異常など)も考えられます。専門業者による定期点検では、パネルの洗浄、ネジの増し締め、配線チェック、発電量測定、赤外線カメラによるパネル異常検知などが行われ、システムの性能維持と安全確保につながります。一般的には、4年に1回程度の定期点検が推奨されています。 費用はかかりますが、発電量低下による損失や、事故発生のリスクを考えれば、必要な投資と言えるでしょう。
パワーコンディショナの交換時期
太陽光発電システムの中で、太陽光パネルよりも寿命が短いとされるのが、直流電力を家庭で使える交流電力に変換する「パワーコンディショナ(パワコン)」です。パワコンは複雑な電子機器であり、一般的に寿命は10年~15年程度と言われています。ちょうど卒FITを迎える時期が、パワコンの交換時期と重なるケースも少なくありません。パワコンが故障したり、性能が低下したりすると、発電した電気を効率よく変換できなくなり、発電量の低下につながります。交換にはある程度の費用(機種によりますが、15万円~30万円程度)がかかりますが、最新機種は変換効率が向上していることも多いため、交換によって発電量が改善する可能性もあります。定期点検時にパワコンの状態もチェックしてもらい、必要に応じて交換を検討しましょう。
まとめ:卒FIT後はライフスタイルに合わせた選択を
太陽光発電のFIT期間終了(卒FIT)は、売電中心から自家消費中心へと、エネルギーとの付き合い方を見直す絶好の機会です。売電価格が大幅に下がる11年目以降は、発電した電気をいかに自宅で有効活用するかが経済的なメリットを得るための鍵となります。選択肢としては、①ライフスタイルの変更による自家消費増、②新たな電力会社との売電契約継続、③蓄電池導入による自家消費最大化、④エコキュートやEVとの連携、などが挙げられます。2025年現在、最もおすすめなのは、初期投資は必要ですが、電気代削減効果と災害時の安心感を両立できる「家庭用蓄電池の導入」です。 しかし、最適な選択は、ご家庭の電力使用状況や予算、価値観によって異なります。各選択肢のメリット・デメリットをよく理解し、必要であれば専門家にも相談しながら、ご自身のライフスタイルに合った、後悔のない方法を選びましょう。そして、長期的にシステムを活用するために、定期的なメンテナンスを忘れないようにしてください。
太陽光売電11年目以降に関するQ&A
Q1: FIT終了(卒FIT)って何ですか?何が変わるのですか?
A1: FIT制度は、住宅用太陽光発電(10kW未満)で発電した余剰電力を10年間、国が決めた固定価格で電力会社が買い取る制度です。卒FITとは、この10年間の買取期間が終了することです。卒FIT後は固定価格での買取保証がなくなり、売電価格が大幅に下落します(多くの場合、電力購入価格よりかなり安くなります)。
Q2: 11年目以降、売電は全くできなくなるのですか?
A2: いいえ、売電自体ができなくなるわけではありません。多くの大手電力会社や新電力が、卒FIT後の余剰電力を買い取るプランを提供しています。ただし、買取価格はFIT期間中より大幅に安くなります。各社のプランを比較検討して契約する必要があります。
Q3: 卒FIT後、何もしないとどうなりますか?
A3: 何も手続きをしない場合、余剰電力は非常に安い単価で買い取られるか、場合によっては無償で電力会社の電力網に流れることになります(契約状況によります)。経済的なメリットを最大化するためには、自家消費を増やす、新たな売電契約を結ぶ、蓄電池を導入するなどの対策を検討することが重要です。
Q4: 結局、11年目以降は何をするのが一番おすすめですか?
A4: 2025年現在、最もおすすめなのは「家庭用蓄電池を導入して自家消費を最大化する」ことです。電気代削減効果が高く、停電時の備えにもなります。初期費用はかかりますが、補助金を活用できる場合もあり、長期的なメリットが大きいと考えられます。ただし、ライフスタイルや予算に合わせて他の選択肢(継続売電、EV連携など)と比較検討することが大切です。
Q5: 11年目以降、太陽光発電のメンテナンスは必要ですか?
A5: はい、非常に重要です。FIT期間が終わっても、システムを安全かつ効率的に使い続けるためには定期的な点検が必要です。特にパワコンは10~15年で寿命を迎えることが多く、交換が必要になる場合があります。専門業者による点検を定期的に受け、必要に応じてメンテナンスを行いましょう。
この記事の監修者

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