太陽光発電の売電の仕組みを完全解説

目次
太陽光発電の売電とは
太陽光発電の売電とは、太陽光パネルで発電した電力のうち、自宅で消費しきれない余剰電力を電力会社に販売する仕組みです。この制度により、太陽光発電システムを導入した家庭は、発電した電力を有効活用しながら電気代の削減と収入の両方を実現できます。
売電制度は固定価格買取制度(FIT制度)に基づいて運営されており、一定期間にわたって安定した価格で電力を販売することが可能です。住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は、1kWhあたり15円とされており、設置年度や電力会社によって異なる場合があります。
太陽光発電の売電の基本的な流れ
発電から売電までのプロセス
太陽光発電システムによる売電は、以下の流れで行われます。
- 太陽光パネルが太陽光を受けて直流電力を発電
- パワーコンディショナーが直流電力を交流電力に変換
- 自宅の電力消費量を差し引いた余剰電力が発生
- 余剰電力が電力会社の送電網に送られる
- 電力会社が買取価格に基づいて電力を購入
この一連の流れは全て自動的に行われるため、設置後は特別な操作や手続きは必要ありません。
系統連系の重要性
太陽光発電システムを電力会社の送電網に接続することを系統連系と呼びます。系統連系は申請から承認までに通常3ヵ月~6ヵ月程度の期間を要します。
(※電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります)
売電価格と買取期間
固定価格買取制度(FIT制度)の概要
FIT制度は、再生可能エネルギーの普及促進を目的とした国の制度です。太陽光発電で作られた電力を、電力会社が一定期間、固定価格で買い取ることを義務付けています。
住宅用太陽光発電システム(10kW未満)の場合、買取期間は10年間と定められており、この期間中は設置時点で決定された価格での売電が保証されます。
売電価格の推移と現状
売電価格は年度ごとに見直されており、近年は段階的に引き下げられる傾向にあります。これは太陽光発電システムの導入コストが下がっていることや、制度の安定化を図るためです。
2025年度の住宅用太陽光発電の売電価格は1kWhあたり15円となっており、設置を検討する際は最新の価格情報を確認することが重要です。
売電収入の計算方法
基本的な計算式
売電収入は以下の式で算出できます:
売電収入 = 余剰電力量(kWh)× 売電価格(円/kWh)
例えば、月間で300kWhの余剰電力が発生した場合: 300kWh × 15円/kWh = 4,500円の売電収入
実際の収入例
一般的な4kWの太陽光発電システムを設置した場合の年間発電量は約4,000kWh程度です。このうち約70%を自家消費し、30%を売電すると仮定すると:
- 年間売電量:4,000kWh × 30% = 1,200kWh
- 年間売電収入:1,200kWh × 15円/kWh =
18,000円
月平均では約1,500円の売電収入が期待できます。
太陽光発電システムの導入費用
システム全体の費用相場
太陽光発電システムの導入には初期投資が必要です。一般的な家庭用太陽光発電システム(4kW~5kW)を導入する場合の費用相場は140万円~200万円程度が目安となります。
太陽光パネルの設置費用の相場は、パネルの種類や設置面積、工事内容などによって大きく異なりますが、一般的には1kWあたり35万円~40万円程度です。
工事期間と手続き
太陽光発電システムの設置工事は、一般的な住宅用システムの場合、1~2日程度で完了します。ただし、工事前には電力会社への連系申請や各種手続きが必要で、申請から工事完了まで全体では3~6ヶ月程度の期間を要することが一般的です。
売電制度の今後の展望
FIT制度から自家消費へのシフト
FIT制度の買取価格が年々下がる中、太陽光発電の導入目的は売電収入よりも自家消費によるメリットを重視する傾向が強まっています。
自家消費を増やすことで、電力会社から購入する電力量を削減し、電気代の節約効果を最大化できます。また、蓄電池との組み合わせにより、夜間や悪天候時にも太陽光発電の恩恵を受けることが可能になります。
卒FIT後の選択肢
FIT制度の買取期間が終了した後(卒FIT)も、電力会社との相対契約により売電を継続することができます。ただし、買取価格はFIT制度時より大幅に下がるため、蓄電池の導入や自家消費率の向上が重要な課題となります。
蓄電池との組み合わせによるメリット
自家消費率の向上
蓄電池を併設することで、昼間に発電した電力を夜間に使用できるようになり、自家消費率を大幅に向上させることができます。これにより、電力会社からの購入電力量を削減し、電気代のさらなる節約が可能になります。
蓄電池の導入費用
家庭用蓄電池の費用相場は容量1kWhあたり20万円~30万円程度が基準となります。一般的な家庭用蓄電池(4kWh~7kWh)を導入する場合の費用相場は100万円~200万円程度が目安です。
蓄電池の標準的な設置工事費用は20万円~35万円程度であり、設置環境や配線の複雑さ等により変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
注意すべきポイント
売電収入と税金
売電収入は所得として扱われる場合があります。年間の売電収入が20万円を超える場合は確定申告が必要になる可能性があるため、事前に税務署や税理士に相談することをお勧めします。
メンテナンスの重要性
太陽光発電システムの性能を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。パネルの清掃や機器の点検を怠ると、発電効率が低下し、売電収入にも影響を与える可能性があります。
廃棄費用の積立て
太陽光発電設備の廃棄等費用の積立ては2022年7月1日から義務化されており、10kW以上の太陽光発電設備については、発電事業者が廃棄費用を事前に積み立てることが求められています。住宅用の10kW未満のシステムでも、将来的な廃棄費用を考慮した資金計画を立てることが重要です。
まとめ
太陽光発電の売電制度は、環境に配慮しながら経済的なメリットを得られる優れた仕組みです。適切なシステム設計と運用により、長期間にわたって安定した売電収入を得ることができます。
ただし、売電価格の下降傾向や卒FIT後の対応を考慮すると、今後は自家消費を中心とした導入計画を立てることが重要になります。蓄電池との組み合わせや、エネルギー管理システムの活用により、太陽光発電のメリットを最大限に活用した持続可能な暮らしを実現することが可能です。
導入を検討される際は、ご家庭の電力使用パターンや設置条件を十分に検討し、最適なシステム構成を選択することをお勧めします。
よくある質問
太陽光発電の売電で月にどのくらい収入が得られますか?
一般的な4kWシステムの場合、月平均で約1,500円程度の売電収入が期待できます。ただし、発電量は季節や天候、設置条件によって変動するため、実際の収入は月ごとに異なります。年間を通じて安定した収入を得るためには、適切なシステム設計と定期的なメンテナンスが重要です。
売電価格は今後も下がり続けるのでしょうか?
売電価格は制度の見直しにより年々下降傾向にあります。これは太陽光発電システムの導入コストが下がっていることや、制度の安定化を図るためです。今後も段階的な価格の見直しが予想されるため、導入を検討される場合は早期の決断が有利になる可能性があります。
太陽光発電システムの設置から売電開始までどのくらいの期間がかかりますか?
工事前の電力会社への連系申請から工事完了まで、全体では3~6ヶ月程度の期間を要することが一般的です。設置工事自体は1~2日程度で完了しますが、各種手続きに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで計画することをお勧めします。
曇りや雨の日でも売電収入は得られますか?
曇りや雨の日でも太陽光パネルは発電を続けますが、発電量は大幅に減少します。このため、売電できる余剰電力も少なくなり、売電収入は晴天時と比べて大幅に減少します。年間を通じた収支計算では、こうした天候の影響も考慮した現実的な数値で検討することが重要です。
10年後のFIT期間終了後はどうすれば良いですか?
FIT期間終了後も電力会社との相対契約により売電を継続できますが、買取価格は大幅に下がります。このため、蓄電池を導入して自家消費率を高めることや、電力小売事業者を比較検討して有利な条件での売電契約を結ぶことが重要になります。事前に複数の選択肢を検討しておくことをお勧めします。
この記事の監修者

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