太陽光発電売電仕組みを解説

太陽光発電システムを導入する際、多くの方が注目するのが売電による収益です。自宅で発電した電力を電力会社に売却することで、初期投資の回収や家計の節約につながる可能性があります。本記事では、太陽光発電の売電制度について、基本的な仕組みから具体的な手続きまで詳しく解説します。
目次
太陽光発電の売電制度とは
売電制度の基本概念
太陽光発電の売電制度とは、自宅の太陽光パネルで発電した電力のうち、自家消費しきれない余剰電力を電力会社に売却できる制度です。この制度により、太陽光発電システムの導入者は発電量に応じた収入を得ることができます。
売電制度は、再生可能エネルギーの普及促進を目的として2009年に開始された「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」を基盤としています。この制度により、太陽光発電で作られた電力は一定期間、固定価格で買い取られることが保証されています。
売電の対象となる電力
太陽光発電システムから売電できる電力は、発電量から自家消費分を差し引いた「余剰電力」です。日中に太陽光パネルで発電した電力は、まず家庭内で使用される電力として優先的に消費され、それでも余った分が電力会社に売却されます。
住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合、余剰電力のみが買取対象となり、産業用太陽光発電(10kW以上)の場合は全量買取も選択可能です。
売電の仕組みと流れ
発電から売電までのプロセス
太陽光発電システムの売電は、以下のような流れで行われます:
- 発電:太陽光パネルが太陽光を電気エネルギーに変換
- 変換:パワーコンディショナーが直流電力を交流電力に変換
- 分配:発電した電力が家庭内使用分と余剰分に自動的に分配
- 計測:売電メーターが余剰電力量を計測
- 送電:余剰電力が電力会社の送電網に送られる
- 精算:月ごとに売電量に応じた料金が支払われる
必要な設備と機器
売電を行うためには、以下の設備が必要です:
- 太陽光パネル:太陽光を電気に変換する主要設備
- パワーコンディショナー:直流電力を交流電力に変換(※電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります)
- 売電メーター:余剰電力量を計測する専用メーター
- 分電盤:電力の分配を制御する設備
これらの設備一式の導入費用は、一般的な家庭用太陽光発電システム(4kW~5kW)の場合、140万円~200万円程度が目安となります。
売電価格と買取期間
現在の売電価格
2025年度現在、住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は、1kWhあたり15円となっています(設置年度や電力会社によって異なる場合があります)。この価格は、太陽光発電システムを設置した年度によって決定され、買取期間中は固定価格が適用されます。
買取期間
住宅用太陽光発電の場合、FIT制度による買取期間は10年間です。この期間中は設置時に決定された固定価格での買取が保証されます。10年経過後は、電力会社との個別契約による買取や、蓄電池を併用した自家消費の拡大などの選択肢があります。
売電収入の計算例
4kWの太陽光発電システムを設置した場合の売電収入例:
- 年間発電量:約4,000kWh
- 自家消費率:約30%
- 売電量:約2,800kWh
- 年間売電収入:2,800kWh × 15円 ≒ 42,000円
実際の売電収入は、設置環境や天候条件、家庭の電力使用パターンによって大きく変動します。
売電開始までの手続き
系統連系申請
太陽光発電システムを電力会社の送電網に接続するには、「系統連系申請」が必要です。この申請により、自宅の太陽光発電システムが電力会社の電力網と安全に接続できることが確認されます。
系統連系は申請から承認までに通常3ヵ月~6ヵ月程度を要します。申請書類には以下の情報が必要です:
- 太陽光発電システムの仕様
- 設置場所の詳細
- 電気配線図
- 設備認定書類
設備認定の取得
FIT制度を利用するためには、経済産業省による「設備認定」の取得が必要です。設備認定では、太陽光発電システムが技術基準を満たしていることが確認されます。
売買契約の締結
系統連系の承認後、電力会社との間で「電力受給契約」を締結します。この契約により、売電の条件や料金の支払い方法などが確定します。
売電メーターの設置と管理
売電メーターの種類
売電には専用のメーターが必要です。一般的には以下の種類があります:
- 買電メーター:電力会社から購入する電力を計測
- 売電メーター:電力会社に売却する電力を計測
- 双方向メーター:買電・売電両方を計測できる統合型
メーターの設置費用は電力会社が負担するのが一般的ですが、設置条件によっては工事費用が発生する場合があります。
メーター検針と料金精算
売電メーターは月1回検針され、売電量に応じた料金が翌月以降に指定口座に振り込まれます。検針票には売電量と売電収入が明記され、家計管理の参考となります。
売電効率を高めるポイント
自家消費の最適化
売電収入を最大化するには、発電量を増やすだけでなく、自家消費パターンを最適化することが重要です。日中の電力使用量を調整することで、より多くの余剰電力を売電に回すことができます。
具体的な方法:
- 電力消費の大きな家電の使用時間帯の調整
- 蓄電池の導入による電力使用の平準化
- エコキュートなどの時間シフト可能な機器の活用
システムメンテナンス
太陽光発電システムの発電効率を維持するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。パネルの清掃や点検により、発電量の低下を防ぎ、安定した売電収入を確保できます。
発電量の監視
多くの太陽光発電システムには発電量監視機能が付いており、リアルタイムで発電状況を確認できます。異常な発電量の低下を早期発見することで、適切な対応が可能になります。
売電制度の注意点
税務上の取り扱い
売電収入は所得税の課税対象となる場合があります。年間の売電収入が20万円を超える場合や、給与所得者以外の方は確定申告が必要になる可能性があります。詳しくは税務署や税理士にご相談ください。
契約期間終了後の対応
FIT制度による10年間の買取期間終了後は、以下の選択肢があります:
- 電力会社との相対契約による継続売電
- 蓄電池併用による自家消費率の向上
- 新たな電力販売サービスの利用
買取期間終了前に、将来の電力利用計画を検討しておくことをお勧めします。
設備の維持管理責任
太陽光発電システムの所有者は、設備の適切な維持管理を行う責任があります。故障や不具合により近隣に迷惑をかけた場合の責任も含まれるため、定期点検や保険加入を検討することが重要です。
蓄電池との組み合わせ効果
蓄電池導入のメリット
蓄電池を併用することで、日中発電した電力を夜間に使用でき、電力の自給自足率が向上します。これにより、電力購入量の削減と売電収入の安定化を同時に実現できます。
蓄電池の導入費用は容量1kWhあたり20万円~30万円程度が相場で、家庭用蓄電池(4kWh~7kWh)の場合、100万円~200万円程度が目安となります。蓄電池の寿命は30年前後とされており、長期的な投資効果が期待できます。
V2H(Vehicle to Home)の活用
電気自動車をお持ちの場合、V2Hシステムの導入により、車両のバッテリーを家庭用蓄電池として活用できます。これにより、太陽光発電の余剰電力を電気自動車に蓄電し、必要時に家庭で使用することが可能になります。
よくある質問
太陽光発電の売電収入はどのくらい期待できますか?
売電収入は発電量、自家消費量、売電価格によって決まります。4kWシステムの場合、年間約4万円程度の売電収入が期待できますが、設置環境や使用パターンにより大きく変動します。正確な収支予測については、お気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
売電開始までにどのくらいの期間がかかりますか?
太陽光発電システムの設置工事は一般的な住宅用システムの場合、1~2日程度で完了します。ただし、工事前には電力会社への連系申請や各種手続きが必要で、申請から工事完了まで全体では3~6ヶ月程度の期間を要することが一般的です。
10年後の買取期間終了後はどうなりますか?
FIT制度による10年間の固定価格買取期間終了後は、電力会社との相対契約や新電力会社との契約により売電を継続できます。買取価格は市場価格に連動するため、蓄電池の導入による自家消費拡大も有効な選択肢となります。
売電収入に税金はかかりますか?
売電収入は雑所得として課税対象となる場合があります。給与所得者の場合、年間20万円を超える売電収入がある場合は確定申告が必要です。事業所得に該当する場合は金額に関わらず申告が必要になるため、詳しくは税務署にご相談ください。
太陽光パネルのメンテナンスは必要ですか?
太陽光パネルは基本的にメンテナンスフリーですが、発電効率を維持するため年1〜2回の清掃や点検をお勧めします。パワーコンディショナーは約10〜15年で交換が必要になる場合があります。定期的な点検により、長期間安定した売電収入を確保できます。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
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