長州産業「ソラトモ」とは？ 機能・使い方・蓄電池連携を徹底解説

太陽光発電システムを検討する際、パネルの性能と同じくらい重要なのが、日々の発電状況を確認・操作する「カラーモニター（表示器）」の存在です。

長州産業が提供する「ソラトモ」は、単なる表示パネルにとどまらず、蓄電池やエコキュートと連携してエネルギーを賢く管理するHEMS（Home Energy Management System）の中核を担うシステムです。発電量が見える楽しさだけでなく、電気代削減の実益を最大化するための重要なツールと言えます。

1. ソラトモ（長州産業）とは？ 基本機能と「見える化」の効果

要旨：ソラトモは長州産業の太陽光発電システム専用のカラーモニターです。直感的なタッチ操作と、電力の流れをアニメーションやグラフで可視化する機能により、無理のない節電生活をサポートします。

太陽光発電を導入しても、実際にどれくらい発電し、どれくらい自家消費しているのかは、目に見えなければ実感できません。ソラトモは、この「電気の流れ」を誰にでも分かりやすく表示するインターフェースを持っています。

リアルタイムで電力状況を把握

ソラトモのホーム画面では、現在の「発電量」「消費量」「売電量（または買電量）」が大きな数値とイラストで表示されます。例えば、発電量が消費量を上回っているときは「売電中」として矢印が外へ向かい、逆の場合は電力会社から電気を買っていることが一目でわかります。

• 発電状況：今の天候でどれくらい電気が作られているか確認できます。
• 消費状況：ドライヤーやエアコンを使った瞬間に数値が跳ね上がるため、どの家電が電気を多く使うかを学習できます。
• 履歴確認：過去の日・月・年単位での発電・消費履歴をグラフで振り返ることができ、前年比較も容易です。

直感的な操作性とワイヤレス接続

近年のモデルはタッチパネル式が採用されており、スマートフォンやタブレットのような感覚で操作が可能です。また、パワーコンディショナ（送信ユニット）と室内のモニター間は特定の無線通信を行うモデルが主流であり、壁の中に配線を通す大掛かりな工事が不要になるケースが多いのもメリットです。

この「見える化」機能があるだけで、家庭の平均的な省エネ効果が期待できると言われています。。数値を見ることで自然と節電意識が働くためです。

簡易まとめ：ソラトモは電気の「今」と「過去」を可視化し、家族全員の省エネ意識を自然に高める司令塔のような役割を果たします。

2. 蓄電池・エコキュートとの連携（Smart PV）

要旨：ソラトモの真価は、周辺機器との連携にあります。特に「Smart PV Multi（スマートPVマルチ）」などのシステムでは、蓄電池やエコキュートの運転モードを一括で管理・制御可能です。

単に発電を見るだけでなく、創った電気を「貯める（蓄電池）」「お湯に変える（エコキュート）」というコントロールを、ソラトモの画面上で行うことができます。長州産業のハイブリッドパワーコンディショナやマルチ蓄電システムと組み合わせることで、以下のような高度なエネルギー管理が実現します。

ライフスタイルに合わせた運転モード切替

ユーザーの生活スタイルやFIT（固定価格買取制度）の状況に合わせて、ワンタッチで運転モードを切り替えられます。

運転モード名	特徴・目的	推奨されるユーザー
経済モード（売電優先）	太陽光の余剰電力は売電し、夜間の安い電力を蓄電池に充電して朝夕に使う。	FIT期間中（売電単価が高い）の方 オール電化プランの方
グリーンモード（環境優先）	余剰電力を売電せず、蓄電池に充電。できるだけ自家発電で賄う。	FIT終了後（卒FIT）の方 電気代高騰対策を重視する方
安心モード（蓄電優先）	災害時に備え、常に蓄電池の残量を満タン近くに維持する。	台風接近時や停電が心配な時期

出典：長州産業株式会社 製品情報

エコキュートの沸き上げ制御

対応するエコキュート（HEMS対応機種）と連携すれば、昼間の余った太陽光電力を使ってお湯を沸かす設定も可能です。これまで「夜間に沸かす」のが常識だったエコキュートを、「昼間の発電した電気で沸かす」運用に変えることで、買電量をさらに削減できます。

簡易まとめ：ソラトモは単なる表示器ではなく、蓄電池や給湯機器をコントロールし、経済メリットを最大化するための「司令塔」です。

3. 導入前に知っておくべき注意点と他社比較

要旨：非常に便利なソラトモですが、導入にあたってはインターネット環境の要否や、将来的な機器追加時の互換性について確認が必要です。他社モニターやアプリとの違いも解説します。

インターネット環境とHEMS

ソラトモの機能をフル活用し、外部からの確認やファームウェアのアップデートを行うには、家庭内のインターネット環境（無線LANルーター）への接続が推奨されます。ネット環境がない場合でも基本的な表示は可能ですが、外出先からのチェック機能などが制限される場合があります。

スマホアプリか、専用モニターか

最近の海外メーカー製太陽光システムでは、専用モニター（壁掛けなど）を廃止し、すべて所有者のスマートフォンアプリで確認するタイプも増えています。これに対し、長州産業のソラトモのような「専用モニター」があることには、以下のメリット・デメリットがあります。

• メリット（専用モニター）：アプリを立ち上げる手間がなく、リビングで常に家族全員が目視できるため、家族全体の省エネ意識が育ちやすい。スマホを持たない高齢者や子供でも確認できる。
• デメリット（専用モニター）：機器代金がシステム費用に含まれる（またはオプション費用がかかる）。設置場所の確保が必要。

長州産業は国内メーカーとして、ユーザビリティ（使いやすさ）を重視しており、機械操作が苦手な方でも扱いやすい設計になっている点が評価されています。

機器の互換性（後付けの場合）

将来的に蓄電池を後付けしたい場合、現在設置しているソラトモ（およびパワーコンディショナ）がそのまま使えるか、交換が必要かは重要なポイントです。長州産業の「Smart PV Multi」シリーズであれば、後からの蓄電池増設にも柔軟に対応できる設計になっていますが、古い型番のソラトモの場合はモニターごとの交換が必要になることもあります。

簡易まとめ：「家族全員で見える」利便性を取るならソラトモのような専用モニターが有利です。将来の拡張性も含めて機種選定を行いましょう。

よくある質問（FAQ）

Q1. ソラトモ（モニター）だけの交換は可能？

モニターが故障した場合、原則として同等機種への交換が可能です。ただし、太陽光発電システム全体の年式が古い場合、パワーコンディショナ（送信機）との通信互換性がないケースがあります。その場合はシステム全体の点検・更新が推奨されます。

※型番によって対応可否が異なるため、施工店またはメーカーへの確認が必要です。

出典：長州産業 お客様サポート

Q2. 停電時でも画面は映りますか？

はい、自立運転機能付きのシステムであれば、停電時でも太陽光発電や蓄電池からの電力供給がある限り、モニターを表示させることが可能です。これにより、停電中にあとどれくらい電気が使えるか（蓄電池残量など）を確認しながら生活できます。

• 電源供給：自立運転コンセント等から電源を取る必要がある機種もあります。
• 夜間・雨天：発電がなく蓄電池も空の場合は表示されません。

Q3. ソラトモの費用や相場は？

通常、ソラトモ単体での販売価格というよりは、太陽光発電システム一式（パネル・パワコン・モニター・工事費）の見積もりに含まれています。システム全体の価格に含まれており、モニター単体の参考価格は数万円〜10万円程度とされますが、セット割引等が適用されるのが一般的です。

出典：資源エネルギー庁

Q4. 長州産業以外のパネルでも使える？

ソラトモは基本的に長州産業製のパワーコンディショナおよびシステム専用に設計されています。他社製パネルであっても、パワーコンディショナが長州産業製であれば使用できるケースがありますが、メーカー保証の観点から、システム全体を同一メーカーで統一することが強く推奨されます。