新築住宅で蓄電池は必要?設置のメリットと注意点を徹底解説!
新築住宅は一生に一度といってもよいほど大きな買い物です。
どのような設備をつけるか考えるのはとても楽しいのではないでしょうか。
色々な設備の中で、最近注目を集めているのが太陽光発電や蓄電池といったエネルギー関連の設備です。
新築住宅を建てるとき、蓄電池も一緒に設置したほうがよいのでしょうか。
今回は家庭用蓄電池の必要性や新築時に設置するメリット、設置するときの注意点などについて徹底的に解説します。
目次
家庭用蓄電池はなぜ必要?
住宅用蓄電池の設置数は近年増加傾向にあります。
三菱総合研究所が2023年2月に経済産業省へ提出した調査報告書によると、2011年以降、日本の国内定置用蓄電システムの市場は拡大の一途をたどってきました。
2021年のデータを見れば、その3分の2ほどが家庭用です。
いかに家庭用蓄電池の設置数が増えているかを物語っています。
参考:経済産業省
なぜ、家庭用蓄電池の市場は年々拡大してきたのでしょうか。
ここでは、災害対策と卒FIT対応の2点について解説します。
災害などの備えとして必要
蓄電池と聞いて真っ先に頭に浮かぶのが、非常時電源としての活用ではないでしょうか。
災害が発生すると電気・ガス・水道といったライフラインが大きなダメージを受けます。
どのライフラインが被害を受けるかは災害の性質や規模によって異なります。
大規模な地震や津波が発生すれば、東日本大震災のように全てのライフラインに甚大な被害を与えるでしょう。
台風や大雨といった気象災害が発生すると、しばしば停電が起こります。
ガスや水道について、自分でできる対策は限られてしまいますが、停電については蓄電池を活用することでかなりカバーできます。
一日に消費する電力量を把握し、それに見合った蓄電池を用意すれば、停電しても丸1日は生活できることになります。
1日の消費電力量は家庭の人数や季節によって変動しますので、電気料金の検針票などでチェックしておきましょう。
卒FIT設備を有効活用するために必要
卒FIT設備とは、FIT制度の適用が終了した太陽光発電設備のことです。
FIT制度は再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度のことで、家庭に設置された太陽光発電設備も対象となります。
買取期間は容量によって異なりますが、家庭用に多い10kW未満は10年間と定められています。
2013年に設置した場合は、2023年にFIT制度の期限が切れてしまいます。
卒FIT設備の使い道は売電の継続、撤去、自家消費の3つです。
売電については最初の10年よりもかなり低い価格での買取となります。
2013年度の買取価格は1kWあたり38円ですが、2023年度の買取価格は16円となっています。
買取価格が半額以下ですので、売電のメリットは大きく減少しているといえます。
卒FIT後は市場価格が適用されるため大幅に買取価格が下がります。
2023年の買取価格は1kWhあたり10円前後ですので、売電のメリットは大きく低下しているといえます。
撤去するとなると別途費用が必要となり、経済的な負担が増えてしまいます。
そこで注目されているのが自家消費です。
2022年から2023年にかけて、国際情勢の悪化や円安の影響でエネルギー資源の価格が高騰し電気代が上がりました。
卒FIT設備を活用して電力の自家消費をすることで電気代を削減できます。
しかし、太陽光発電は夜に発電できませんので、夜間に使用する分の電力は電力会社から購入しなければなりません。
蓄電池があれば、これまで売電してきた電気を蓄え、夜に使用することができます。
そうなると、終日、自家発電した電力で生活することも可能となります。
新築時に蓄電池を設置するメリット
蓄電池が災害時の備えや卒FIT設備の有効活用という点で役立つことがわかりました。
あとから取り付けられることが多い蓄電池ですが、新築時に最初から購入することで3つのメリットが得られます。
ここでは新築時に設置するメリットを紹介します。
設置時の窓口が一つだから楽である
1つ目のメリットは、窓口を一本化できることです。
既存の住宅に蓄電池を設置する場合、ハウスメーカーと蓄電池を設置する事業者は別ですので、各々と連絡を取らなければなりません。
新築時に蓄電池を設置する予定があれば、間取りや設置場所についても一緒に考えることができ、依頼するときも、購入する蓄電池を決めた後はハウスメーカーに一任することができます。
支払いを一本化できる点でも利便性が高いといえるでしょう。
最初から電気系統太陽光発電との連携を考えて設置できる
2つ目のメリットは太陽光発電との連携を考えて電気系統の接続ができることです。
蓄電池を後付けする場合、既にある電気系統に蓄電池をつなげることになります。
もちろん、それでも問題なく工事ができますが、蓄電池の設置場所などで工夫が必要となります。
新築時であれば最初から配線などを決めることができるため、よりスムーズに蓄電池を設置できます。
ZEHの補助金対象となる
ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で、住宅のエネルギー収支をゼロ以下にする住宅のことです。
わかりやすくいいかえれば、住宅で消費するエネルギーと同じかそれ以上のエネルギーを生み出す家となります。
国は二酸化炭素の排出量を減らす低炭素社会の実現のため、ZEHの普及を進めています。
ZEH補助金は3つの段階に分かれています。
ベースとなるZEH、ZEHよりも高性能なZEH+、ZEH+以上に再エネを消費する次世代ZEH+の3つです。
ZEHの条件を満たせば1戸あたり55万円、ZEH+や次世代ZEH+の条件を満たせば100万円が交付されます。
さらに、蓄電システムを導入すると1kWあたり2万円の補助金が追加で交付されます。
新築で最初から蓄電池を設置するだけで補助金が増えるので非常にお得です。
新築時に蓄電池を設置するときの注意点
新築時に蓄電池を設置すると、窓口の一本化や設計のしやすさ、補助金の面でメリットがあるとわかりました。
その一方で注意すべき点が3点あります。
ここからは3つの注意点について解説します。
蓄電池のノウハウが少ない業者による施工の可能性がある
1つ目の注意点は施工業者についてです。
新築時に設置する場合、ハウスメーカーに設置を依頼しますが、ハウスメーカーによっては蓄電池に関するノウハウが不足しているケースがあります。
依頼するハウスメーカーが太陽光発電や蓄電池に関する施工経験をどのくらい持っているかを確認しましょう。
設置コストがかかる
2つ目の注意点は設置コストが追加で必要になることです。
先ほど取り上げた三菱総合研究所の調査報告書によれば、蓄電システムの価格と工事費の合計は1kWあたり14.9万円(5〜10kWh未満)です。
5kWhであれば74.5万円、10kWhであれば149万円となり、かなり大きな負担増となります。
参考:経済産業省
設置コストを少しでも抑えたいのであれば国や自治体の補助金を利用したり、ZEH関連の補助金を利用するとよいでしょう。
設置スペースが必要
3つ目の注意点は設置スペースが必要なことです。
幅が50〜70センチほど、奥行きが30〜40センチほど必要となります。
レンジ台や冷蔵庫くらいの横幅が必要となるので、ある程度の幅をとると認識しなければなりません。
蓄電池の現物を見てサイズ感を把握してから購入するのがベストです。
まとめ
今回は住宅新築時に蓄電池を設置するメリットについてまとめました。
非常時対策や卒FIT設備の有効活用という点で蓄電池に注目が集まっています。
リスク管理、環境対策、非常時対応などの点で蓄電池が有効であるため、住宅を建てるときに蓄電池を設置する人が増えても不思議はありません。
新築時であればハウスメーカーに窓口を一本化できますし、太陽光発電との連携を前提とした設計も可能となります。
加えて、新築住宅を対象としたZEH補助金の追加交付を受けられるのでお得です。
新築住宅を建てる予定があり、電力の自家消費に関心を持っているのであれば、蓄電池を一緒に設置することを検討してみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者
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太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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