蓄電池業務用の選び方と導入メリット

目次
業務用蓄電池とは何か
業務用蓄電池は、企業や工場、商業施設などで使用される大容量の電力貯蔵システムです。家庭用蓄電池と比較して容量が大きく、より多くの電力を長時間にわたって供給できる特徴があります。
業務用蓄電池は、停電時の事業継続性確保や電力コストの削減を目的として導入されることが多く、近年の電力需給の不安定化により注目が高まっています。
家庭用蓄電池との違い
業務用蓄電池と家庭用蓄電池の主な違いは以下の通りです。
容量の違い
- 家庭用蓄電池:4kWh~12kWh程度
- 業務用蓄電池:50kWh~数MWh以上
用途の違い
- 家庭用:日常生活の電力確保、太陽光発電との連携
- 業務用:事業継続、ピークカット、電力コスト削減
設置環境の違い
- 家庭用:屋内・屋外の限られたスペース
- 業務用:専用の設置スペース、コンテナ型など大型設備
業務用蓄電池の種類と特徴
業務用蓄電池には主に以下の種類があります。
リチウムイオン蓄電池
最も普及している業務用蓄電池の種類です。最新のリチウムイオン蓄電池の充放電サイクル数は6,000回から12,000回程度で、寿命は30年前後と長期間の使用が可能です。
メリット
- 高いエネルギー密度
- 充放電効率の良さ
- メンテナンスが比較的簡単
デメリット
- 初期投資が高額
- 温度管理が必要
NAS電池(ナトリウム硫黄電池)
大容量の電力貯蔵に適した蓄電池です。NAS電池の寿命は15年程度とされており、メガワット級の大規模蓄電システムに適用されることが多いです。
メリット
- 大容量化が可能
- 長時間の放電が可能
- 資源が豊富で安価
デメリット
- 高温での運転が必要(300℃程度)
- 設置・保守にコストがかかる
鉛蓄電池
従来から使用されている蓄電池で、比較的安価です。
メリット
- 初期コストが安い
- 技術が確立されている
- リサイクル体制が整っている
デメリット
- 寿命が短い(5~7年程度)
- エネルギー密度が低い
- 定期的なメンテナンスが必要
業務用蓄電池の導入メリット
電力コストの削減
業務用蓄電池を導入することで、電力料金の安い夜間に電力を蓄えて昼間に使用することで、電力コストを大幅に削減できます。
ピークカット効果
電力使用量のピーク時間帯の電力使用を抑制し、電力基本料金の削減が可能です。
電力単価の活用
時間帯別電力料金制度を活用し、安い時間帯に充電して高い時間帯に放電することで経済効果を得られます。
事業継続性の向上
停電や電力供給不安定時でも、蓄電池から電力を供給することで事業活動を継続できるため、業務停止による損失を防げます。
重要設備の保護
サーバーや製造装置など、停電による損害が大きい設備を保護できます。
段階的な停止処理
突然の停電でも、蓄電池から電力を供給して安全に設備を停止する時間を確保できます。
環境負荷の軽減
再生可能エネルギーとの組み合わせにより、CO2削減効果が期待できます。
業務用蓄電池の費用相場
初期投資費用
業務用蓄電池の費用は容量と種類によって大きく異なります。
リチウムイオン蓄電池の場合、容量1kWhあたり20万円~30万円程度が目安となります。ただし、大容量になるほど単価は下がる傾向があります。
容量別費用の目安
- 50kWh:1,000万円~1,500万円
- 100kWh:1,800万円~2,800万円
- 500kWh:8,000万円~1億2,000万円
設置工事費用
蓄電池の標準的な設置工事費用は20万円~35万円程度ですが、業務用の場合は設置環境や配線の複雑さ等により大幅に変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
ランニングコスト
- 定期点検費用:年間50万円~200万円
- 保険料:年間数十万円~
- 電力管理システム運用費:月額数万円~
導入時の注意点とポイント
設置場所の検討
業務用蓄電池は大型で重量があるため、十分な設置スペースと基礎工事が必要です。
必要な条件
- 平坦で強固な地盤
- 適切な換気設備
- 消防法に適合した安全対策
- メンテナンス用のアクセス路
法規制への対応
業務用蓄電池の設置には各種法規制への対応が必要です。
主な関連法令
- 電気事業法
- 消防法
- 建築基準法
- 環境関連法令
保証とメンテナンス
基本的には製品保証が10年~15年程度付帯されますが、業務用の場合は使用頻度が高いため、定期的なメンテナンス契約の締結が重要です。
補助金制度の活用
国の補助金制度
2025年度も業務用蓄電池導入に対する補助金制度が継続されています。
主な補助金
- 需要家主導による太陽光発電導入促進補助金
- 蓄電池等の分散型エネルギーリソース導入支援事業
- 地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業
補助金の申請には条件があり、事前の計画策定や効果測定が求められるため、早期の準備が重要です。
地方自治体の補助金
多くの自治体でも独自の補助金制度を設けています。導入前に該当地域の制度を確認することをお勧めします。
業務用蓄電池の選び方
必要容量の算出
電力使用量のデータを基に、停電時に必要な時間と電力量から適切な容量を算出することが重要です。
計算方法
必要容量(kWh)= 必要電力(kw)× 使用時間(h)× 安全率(1.2~1.5)
設置環境の確認
- 屋内設置 vs 屋外設置
- 温度管理の必要性
- 湿度対策
- 地震対策
将来の拡張性
事業拡大や電力需要の変化に対応できる拡張性も考慮しましょう。
まとめ
業務用蓄電池は初期投資が大きいものの、電力コストの削減や事業継続性の向上により、長期的には大きなメリットをもたらします。導入を検討される際は、自社の電力使用パターンや事業特性を十分に分析し、最適なシステムを選択することが成功の鍵となります。
詳しい導入計画の策定や費用の詳細については、お気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
よくある質問
業務用蓄電池の導入にはどのくらいの期間が必要ですか?
設計から設置完了まで通常6ヶ月~1年程度の期間が必要です。規模が大きくなるほど、また法規制対応が複雑になるほど期間は延びる傾向があります。事前の計画策定や各種申請手続きに時間を要するため、早期の検討開始をお勧めします。
業務用蓄電池のメンテナンス頻度はどの程度ですか?
リチウムイオン蓄電池の場合、年1~2回の定期点検が一般的です。点検内容には電池の性能チェック、制御システムの動作確認、安全装置の点検などが含まれます。適切なメンテナンスにより30年前後の長期使用が可能となります。
既存の太陽光発電システムと連携できますか?
はい、多くの業務用蓄電池は既存の太陽光発電システムと連携可能です。ただし、パワーコンディショナーの容量や制御システムの互換性を事前に確認する必要があります。連携により、発電した電力の有効活用と更なるコスト削減効果が期待できます。
停電時はどのくらいの時間電力供給できますか?
供給時間は蓄電池の容量と使用する電力量によって決まります。例えば100kWhの蓄電池で平均10kwの電力を使用する場合、約10時間の供給が可能です。重要設備のみに絞った場合は、より長時間の電力供給が可能となります。
業務用蓄電池の廃棄処理はどうなりますか?
業務用蓄電池も適切なリサイクル処理が必要です。特にリチウムイオン蓄電池は貴重な金属を含むため、専門業者による回収・リサイクルが行われます。導入時にリサイクル費用も含めた総合的なコスト計算を行うことが重要です。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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