マンションのトイレリフォーム完全ガイド|費用相場と失敗しないための制約・注意点

マンションのトイレが古くなり、「節水型に交換したい」「内装も一新してきれいにしたい」とリフォームを検討していませんか?
結論から言うと、マンションのトイレリフォームは可能ですが、戸建てと異なり「管理規約」と「排水方式」という特有の制約をクリアすることが最重要です。これらの確認を怠ると、希望のトイレが設置できない、最悪の場合は規約違反となる可能性もあります。
費用相場は、便器交換のみで約15万円~30万円、床や壁紙(クロス)の内装張り替えを含めると約20万円~45万円程度が目安となります。
この記事では、マンションのトイレリフォームで後悔しないために、以下の点を専門編集部が詳しく解説します。
- 最重要:マンション特有の4つの制約(管理規約・排水方式・搬入・近隣)
- 工事内容別の費用相場とトイレの種類別(タンクレス等)の注意点
- 最新の節水・節電効果と、活用できる補助金制度(子育てエコホーム等)
- 失敗しない業者選びのポイントとリフォームの流れ
まずはご自宅のマンションの「ルール」と「構造」を把握することから始めましょう。
目次
1. 【最重要】戸建てと違う! マンションのトイレリフォーム特有の制約と確認事項
要旨:
マンションのトイレリフォームにおける最大の関門は「管理規約」です。工事の可否、使用できる床材、申請手続きなどが定められています。また、戸建てと異なる「排水方式(壁排水/床排水)」や「搬入経路」の確認も不可欠です。
戸建ての感覚でリフォームを進めると、「工事が許可されない」「選んだトイレが設置できない」といったトラブルになりかねません。以下の4つの制約を必ず確認してください。
1. 管理規約(専有部分と共用部分)
マンションには、区分所有者全員のルールである「管理規約」があります。リフォームに関して、以下の点を確認する必要があります。
- 専有部分と共用部分の区分:
トイレ室内(便器、床、壁紙)は「専有部分」であるため、基本的にリフォーム可能です。しかし、トイレの排水管(建物全体につながる縦管)は「共用部分」であることが多く、この縦管自体を移動・変更することはできません。 - リフォームの届け出・申請:
専有部分のリフォームであっても、管理組合への「届け出」や「承認申請」が必要な場合がほとんどです。必要な書類や承認までの期間を確認しましょう。 - 床材の規定(防音規定):
床材をフローリングなどに変更する場合、騒音防止のために「防音等級(L値)」が定められていることがあります。クッションフロアやフロアタイルの使用が一般的です。
確認方法: 「管理規約」および「使用細則」の原本を確認するか、管理会社・管理組合に直接問い合わせます。
2. 排水方式(「壁排水」か「床排水」か)
トイレの排水管が「壁」につながっているか、「床」に抜けているか、これは設置できる便器を左右する極めて重要なポイントです。
- 床排水
- 便器から床下へ排水管が抜けているタイプ。近年の多くのマンションや戸建てで採用されています。便器の後ろに太い配管が見えません。
- 壁排水
- 便器の後ろから壁に向かって太い排水管が接続されているタイプ。比較的古いマンションや、壁の裏に排水スペース(パイプスペース)がある構造の場合に見られます。
選んだ便器が、ご自宅の排水方式に対応していないと設置できません。
3. 排水芯(排水管の位置)
排水方式と並んで重要なのが「排水管の位置」です。
- 床排水の場合:「排水芯」
壁から床の排水管の中心までの距離(例:200mm、305mm~540mmなど)。この位置によって設置できる便器が決まります。最近は、多様な排水芯に対応できる「リモデル(リフォーム)タイプ」の便器が主流です。
- 壁排水の場合:「排水高」
床から壁の排水管の中心までの高さ(例:120mm、155mmなど)。
この確認は専門知識が必要なため、業者による現地調査が必須です。
4. 搬入経路と近隣への配慮
マンションは共用部(エントランス、エレベーター、廊下)を通って資材や便器を搬入します。
- 搬入経路の確認: エレベーターのサイズや廊下の幅を確認し、リフォーム会社に伝えます。
- 養生: 共用部を傷つけないよう、床や壁を保護する「養生」が必須です。管理規約で養生の範囲が指定されていることもあります。
- 近隣への事前挨拶: 工事中は騒音や業者の出入りが発生します。管理組合への届け出とあわせ、両隣や上下階の住民へ事前に挨拶(工事日程の連絡)をしておくのがマナーです。
簡易まとめ:
マンションのトイレリフォームは、まず「管理規約」でルールを確認し、次に「排水方式・排水芯」を業者に調査してもらうことから始まります。これらの制約内で最適なプランを立てることが成功の鍵です。
2. マンションのトイレリフォーム費用相場と工事内容
要旨:
費用相場は、便器交換のみで約15万円~30万円、内装(床・壁)も一新する場合は約20万円~45万円が目安です。タンクレスなど高機能な便器を選ぶと費用は上がりますが、マンション特有の水圧の確認が必須です。
リフォーム費用は、「どのグレードの便器を選ぶか」と「どこまで工事(内装)を行うか」で大きく変動します。
工事内容別の費用相場
以下は、一般的な工事内容別の費用目安です。
| 工事内容 | 費用相場(目安) | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 1. 便器・便座の交換のみ | 約15万円 ~ 30万円 | ・便器本体(温水洗浄便座含む) ・既存便器の撤去・処分費 ・新規便器の設置費、配管接続費 |
| 2. 便器交換 + 内装(床・壁) | 約20万円 ~ 45万円 | ・上記1の費用 ・床(クッションフロア等)の張り替え ・壁、天井の壁紙(クロス)張り替え |
| 3. 便器交換 + 内装 + α | 約30万円 ~ 60万円以上 | ・上記2の費用 ・手洗い場の新設 ・収納棚の設置 ・手すり設置(バリアフリー化) |
トイレ本体の種類と特徴(マンションでの注意点)
選ぶ便器タイプによっても費用や機能、注意点が異なります。
- 1. 組み合わせ便器
- 便器、タンク、便座(温水洗浄便座)を別々に組み合わせるタイプ。
メリット: 費用を最も抑えやすい。便座のみの故障時に交換が容易。
デメリット: 凹凸があり掃除がしにくい。タンクがあるためスペースが必要。
- 2. 一体型トイレ
- 便器、タンク、温水洗浄便座が一体化しているタイプ。
メリット: タンクと便器の継ぎ目がなく、デザイン性が高く掃除がしやすい。
デメリット: 便座部分が故障すると、修理が高額になるか、全体交換が必要になる場合がある。
- 3. タンクレストイレ
- 水道直結型で、水を貯めるタンクがないタイプ。
メリット: デザインが非常にスッキリし、空間が広く見える。掃除が最も簡単。
デメリット: 費用が最も高額になる。
【マンションでの最重要注意点】:
水道直結型のため、一定以上の水圧(最低水圧)が必要です。高層階など水圧が低いマンションでは、設置できないか、別途「ブースター(加圧装置)」が必要になり、さらに費用がかかります。必ず業者の現地調査で水圧を測定してもらう必要があります。
簡易まとめ:
費用は「内装もやるか」と「どの便器を選ぶか」で決まります。特に人気のタンクレストイレは、マンションの高層階では水圧不足で設置できないケースがあるため、現地調査での水圧測定が必須です。
3. 節水・節電効果と活用できる補助金制度(2024年〜2025年)
要旨:
最新のトイレは、20年ほど前の製品に比べ約70%以上の節水効果が期待でき、水道光熱費の削減に直結します。リフォーム内容によっては「子育てエコホーム支援事業」や「介護保険」などの補助金も活用可能です。
トイレリフォームは、見た目がきれいになるだけでなく、長期的な家計の節約にも貢献します。また、初期費用を抑えるための補助金制度も確認しましょう。
節水・節電による光熱費削減効果
トイレは家庭内で最も水を使う場所の一つです。最新のトイレは劇的に進化しています。
- 節水効果
- TOTOやLIXILなど大手メーカーの資料によると、1990年代のトイレ(大洗浄で13L~20L)と比較し、現在の最新トイレ(大洗浄で3.8L~5L)は、1回あたり約70%以上の水量を削減できます。
4人家族の場合、年間の水道代で約1万円~1万5千円程度の節約になる試算もあり、長期的に見ればリフォーム費用の一部を回収できる可能性があります。
- 節電効果
- 温水洗浄便座も、使わない時間帯のヒーターを自動で切る「瞬間暖房便座」や「タイマー節電」機能が進化しており、古いモデルに比べて年間の電気代を数千円単位で節約できる場合があります。
節水・節電は、家計だけでなく環境負荷の低減にもつながります。
活用できる補助金・助成金制度
リフォーム内容が要件を満たせば、以下の制度を活用できる可能性があります。
1. 子育てエコホーム支援事業(2024年度〜)
国の「住宅省エネ2024キャンペーン」の一環です。リフォームにおいては、子育て世帯以外も利用可能です。
- 対象工事:
- 節水型トイレ(掃除しやすい機能付き): 22,000円/台
- 手すりの設置: 5,000円/カ所
- バリアフリー改修(段差解消など): 6,000円/カ所
- 注意点: 補助申請額の合計が5万円以上である必要があります。トイレ交換(22,000円)だけでは申請できないため、浴室のシャワー(節湯水栓 5,000円)や、窓の断熱改修など、他の対象工事と組み合わせる必要があります。
- 申請者: 施主(あなた)ではなく、登録事業者が申請します。
- 期限: 予算上限に達し次第終了となります(2024年度事業は終了間近。2025年度も同等の事業が期待されますが、詳細は公式発表をご確認ください)。
- 出典: 子育てエコホーム支援事業【公式】
2. 介護保険(住宅改修費の支給)
要支援・要介護認定を受けている方がバリアフリー目的でリフォームする場合に利用できます。
- 対象工事: 手すりの設置、床の段差解消、和式から洋式への便器交換 など。
- 支給限度額: 工事費用20万円まで(うち自己負担は1割~3割)。
- 注意点: 必ず着工前にケアマネジャーを通じて市区町村への申請が必要です。
- 出典: 厚生労働省(お住まいの市区町村の介護保険窓口にご確認ください)
3. 自治体独自の助成金
お住まいの市区町村が独自にリフォーム助成金(例:バリアフリー改修支援、環境配慮型リフォーム支援など)を実施している場合があります。
簡易まとめ:
最新トイレへの交換は、水道代・電気代の節約につながります。リフォームの際は、「子育てエコホーム支援事業」や「介護保険」が使えないか、必ず業者に相談しましょう。
補助金制度は複雑で、「結局いくらトクになるの?」と分かりにくいものです。まずは「マンガでわかる!リフォーム補助金」を無料で読んで、制度活用のイメージを掴んでおくと判断がしやすくなります。
※補助金制度の概要や節約のポイントを分かりやすく解説した資料です。
4. 失敗しない業者選びとリフォームの流れ
要旨:
マンションのトイレリフォームで失敗しないためには、「マンションリフォームの実績」が豊富で、「現地調査」と「管理規約の確認」を丁寧に行う業者を選ぶことが重要です。必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。
制約が多いマンションリフォームだからこそ、業者選びが成功の9割を占めると言っても過言ではありません。
マンションリフォームの業者選び 3つのポイント
- 1. マンションリフォームの実績が豊富か
- 戸建てとは異なるマンション特有の制約(排水方式、規約、搬入、養生)を熟知している業者を選びましょう。施工事例などでマンションの実績が多いかを確認します。
- 2. 現地調査が丁寧か
- 「管理規約の確認」「排水方式(床/壁)と排水芯/排水高の計測」「タンクレストイレ希望の場合の水圧測定」をしっかり行ってくれる業者は信頼できます。電話やメールだけで安易に「できます」と答える業者には注意が必要です。
- 3. 見積書と保証内容が明確か
- 見積書に「便器本体(型番)」「内装材」「撤去・処分費」「設置工事費」「諸経費」などの内訳が明記されているかを確認します。また、工事後の保証(メーカー保証とは別の、施工不良に対する「工事保証」)の期間と内容も確認しましょう。
リフォームの基本的な流れ
一般的なリフォームの流れは以下の通りです。
- 情報収集・業者選定: 本記事のような情報で基礎知識をつけ、複数の業者に相談します。
- 現地調査・見積もり: 業者に自宅のトイレを見てもらい、排水方式や採寸、水圧などを確認の上、見積もりとプランを提案してもらいます。
- 管理組合への申請: 業者が作成したプラン(工事内容、日程、図面など)を基に、管理組合へリフォームの承認申請を行います。(※業者がサポートしてくれる場合もあります)
- 契約: 管理組合の承認が下りたら、正式に業者と契約します。
- 近隣への挨拶: 工事日程が決まったら、業者が挨拶回りを行うか確認し、必要に応じて施主からも挨拶します。
- リフォーム工事: 当日は、まず共用部分の養生から始まります。便器交換と内装工事を同時に行っても、工事期間は半日~1日で完了するのが一般的です。
- 完了・引き渡し: 工事完了後、業者と一緒に動作確認や仕上がりをチェックし、引き渡しとなります。
簡易まとめ:
業者選びは「マンション実績」と「現地調査の丁寧さ」を重視しましょう。必ず管理組合の承認を得てから契約・着工する流れを守ることが、トラブル回避の鍵です。
リフォーム費用や補助金の話では「実質無料」や「大幅値引き」といった言葉が出がちですが、その根拠が重要です。「電気代・光熱費の見直しポイント」などを参考に、見積もりの妥当性や費用対効果を冷静に判断する目線を養っておきましょう。
※見積もりや契約に関する一般的な注意点を含む情報提供です。
マンションのトイレリフォーム よくある質問(FAQ)
Q1. マンションのトイレリフォーム費用は結局いくら?
リフォーム内容によって大きく異なりますが、以下の費用レンジが目安となります。
- 便器交換のみ(温水洗浄便座付き): 約15万円 ~ 30万円
- 便器交換 + 内装(床・壁紙)の張り替え: 約20万円 ~ 45万円
- タンクレストイレへの交換(内装含む): 約30万円 ~ 50万円
タンクレストイレで水圧が足りずブースター(加圧装置)が必要な場合や、手洗い場を新設する場合は、さらに10万円以上の追加費用がかかることがあります。
※金額はあくまで目安です。便器のグレード、内装材、現場の状況により変動します。
Q2. 工事期間はどれくらい? トイレが使えない時間は?
工事内容によりますが、便器の交換と内装(床・壁紙)の張り替えを同時に行っても、工事は1日(朝から夕方まで)で完了するのが一般的です。便器交換のみであれば、半日程度(約2~4時間)で終わるケースもあります。
工事期間中は、当然ながらご自宅のトイレは使用できません。事前に近くのコンビニや公園、マンションの共用施設(集会室など)のトイレを使えるか確認しておくと安心です。
Q3. 自宅が「床排水」か「壁排水」か見分ける方法は?
簡易的な見分け方として、便器の後ろ側を確認してください。
- 壁排水: 便器の後ろから、太い排水管(直径10cm程度)が壁に向かって接続されています。
- 床排水: 便器の後ろに太い排水管が見えず、便器が直接床に固定されています。(便器の後ろにある細い管は、給水管(水を供給する管)ですのでお間違いなく)
ただし、便器の形状(スカート型など)によっては隠れて見えないこともあります。最終的な判断は、必ずリフォーム業者の現地調査で確認してもらってください。
Q4. 和式トイレから洋式トイレへの変更は可能?
マンションでも和式から洋式へのリフォームは可能ですが、戸建てより制約が大きくなります。
和式トイレは、床面を一段高くして設置(段差)されているか、床に埋め込まれているケースがほとんどです。この床(コンクリートスラブ)を壊して配管を動かす工事は、共用部分に影響するため管理規約で禁止されている場合が多いです。
そのため、既存の床や配管を活かしつつ、段差を解消したり、かさ上げしたりして洋式便器を設置する工法が取られます。費用は通常の便器交換よりも高額(例:40万円~)になり、工事も数日かかる場合があります。
※この工事は「介護保険」の住宅改修(バリアフリー)の対象となる可能性がありますので、該当する場合はケアマネジャーにご相談ください。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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