太陽光発電の撤去費用の相場は?処分の流れや注意点も徹底解説!
「古くなった太陽光発電の処分を考えているが、撤去費用が高そうで行動に踏み切れない…」とお困りの方は意外と多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、太陽光発電の撤去費用の目安や内訳、近年義務化された「撤去費用の積み立て」についての詳細を、初心者にもわかりやすく解説していきます。
記事の後半では、実際に太陽光発電を撤去する際の手順や注意点などもご紹介していますので、老朽化した設備の処分をお考えの方はぜひ目を通してみてくださいね。
目次
太陽光発電の撤去費用の相場はいくら?内訳もくわしくご紹介!
まずはじめに、一般的な太陽光発電の撤去費用の相場や内訳、住宅用・産業用の太陽光発電の処分費用の違いをご紹介していきます。
【結論】太陽光発電の撤去費用は「総費用の5%」ほどかかる
経済産業省のデータによると、 平地などを利用した産業用の太陽光発電の撤去費用は「導入費用の5%」ほどが相場となっています。
導入費用とは「土地購入費」なども含むすべての出費を指し、たとえば1,500万円のコストがかかっていた場合「75万円」が撤去費用の目安となります。
一方で、家庭用の太陽光発電は導入費用に関わらず「作業員の人件費」や「足場の設置費用」などが必要なため、最低でも「10万以上」の撤去費用がかかります。
【内訳】太陽光発電の撤去にかかる「3つの費用」とは?
太陽光発電の撤去費用の内訳は、大きく分けて以下の3種類となります。
撤去費用の内訳 | 費用の詳細 |
撤去費用 | 太陽光パネルやパワコン、架台の撤去にかかる人件費や作業費 |
処分費用 | 太陽光パネルやパワコン、その他の資材など産業廃棄物の処分にかかる費用 |
運搬費用 | 産業廃棄物に指定される資材を処理施設まで運搬する費用 |
ほかにも、屋根などの高所に太陽光パネルを設置している場合は「足場費用」が、賃借地などで土地の原状回復が必要な場合は「復帰費用」なども別途発生します。
【ケース①】住宅用の太陽光発電の撤去費用は「15万円」ほど
パネルの枚数が「15〜20枚」、もしくは総出力が「4〜6kW」ほどの一般的な家庭用太陽光発電の場合、撤去費用は「15万円」程度になることが多いでしょう。
費用の内訳としては、足場代を含む撤去費用に「約10万円」、運搬費用・処分費用に「約5万円」となりますが、業者によっても上下するため参考程度にお考えください。
また、パネル枚数が20枚を超える場合や、屋根以外の場所にもパネルを設置している場合は15万円を超えるケースがほとんどですので、前もって見積もりしておくと安心です。
【ケース②】50kW以上の設備の撤去には「80万円」以上かかる
パネルの総出力が「50kW」を超える大規模な産業用太陽光発電の場合、撤去費用は「約80万円」ほどかかるのが相場となります。
費用の内訳としては、パネルや架台の撤去・廃棄に「約6,000円 / kW」、基礎やスクリュー杭の処分に「約1万円 / kw」程度の費用が発生します。
賃借地の場合、原状復帰費用を含めると撤去費用が「100万円」を超えるケースもありますので、急な出費で困らないように事前に資金準備をしておきましょう。
太陽光発電の撤去費用は積み立てが「義務化」されたって本当?
つづいて、近年義務化された「太陽光発電の撤去費用の積み立て」についての詳細や、積み立てが必要となる条件などをわかりやすく解説していきます。
【条件】10kW以上の太陽光発電は撤去費用の積み立てが必要
2022年7月に改正された「再エネ特措法」により、特定の条件を満たす太陽光発電のみ「撤去費用を積み立てること」が義務化されました。
設置する太陽光発電の出力が「10kW以上」かつ、「FIT制度」の認定を受け売電している場合は、売電収入の3〜4%を積み立てなくてはなりません。
積み立ての期間は「FIT制度による売電開始日から10年間」と定められており、「電力広域的運営推進機関」という国指定の組織が積立金の管理を行います。
【制度の仕組み】積立金額は売電収入から毎月差し引かれる
太陽光発電の撤去費用の積立金は、毎月の売電収入から3〜4%が自動的に差し引かれる仕組みとなっており、事業者が自分で支払いを行う必要はありません。
差し引かれる金額は「FIT制度の買取単価」と連動しており、単価が高いほど多くの金額が積立金として以下のように徴収されます。
FIT制度の認定年度 | 積立終了年度 | 買取単価 | 積立費用 |
2012年 | 2022年 | 40円 / kWh | 1.62円 / kWh |
2013年 | 2023年 | 36円 / kWh | 1.40円 / kWh |
2014年 | 2024年 | 32円 / kWh | 1.28円 / kWh |
2015年 | 2025年 | 27〜29円 / kWh | 1.25円 / kWh |
2016年 | 2027年 | 24円 / kWh | 1.09円 / kWh |
10年間積み立てたお金は電力広域的運営推進機関によって保管され、撤去する際に申請することで受け取れます。
太陽光発電を撤去する手順や注意点・費用を抑えるコツを解説
さいごに、太陽光発電を実際に撤去する際の手順や注意すべきポイント、撤去費用をなるべく抑えるコツを解説していきます。
【撤去の流れ】現地調査や見積もりの後に撤去作業が始まる
太陽光発電の撤去を決断してから、作業が完了するまでの流れを以下にまとめました。
撤去完了までの流れ | ポイント |
①撤去工事を行う業者に連絡する | ・撤去と運搬をまとめて請け負う業者のほうが費用が安く済むことが多い |
②業者に現地調査・見積もりを依頼し、契約を行う | ・工事業者によって見積もり金額は違うため、なるべく複数社で比較したい |
③撤去や搬出、後片付けを行い作業完了 | ・工事には騒音が発生するため、近隣住民には事前に説明しておきたい |
【注意点】撤去費用や作業日数は業者によってまちまち
太陽光発電の撤去費用や作業日数、作業員の数や見積もりの詳細などは工事業者によっても違うため、不明点があれば細かく確認しておくと安心です。
「見積もり内容がわかりにくい」「質問しても答えられない」など信頼性に欠ける業者は、作業後のトラブルを避けるためにも契約しないほうが良いでしょう。
太陽光パネルには「鉛」や「カドミウム」など人体に有害な物質も含まれていますので、見積もり額が多少高くても、確実に撤去作業してくれる業者を選びたいものです。
【節約のコツ】2〜3社の見積もりを比較してから決めるべき
太陽光発電の撤去費用をできるだけ節約するには、少なくとも2〜3社の見積もりを比較してから決めるのがおすすめです。
工事業者によっては「相場がわからない」ことを利用して高額な費用を請求するケースもあるため、損しないためにも相見積もりで相場を把握しましょう。
また、他社の見積結果を提示することで「値下げ」を提案される可能性もありますので、1社だけで即決せずに、複数の見積もりから最適解を選んでください。
まとめ・太陽光発電の撤去費用は2022年から積み立てが義務化!
本記事でくわしく解説してきた「太陽光発電の撤去費用の相場と注意点」についての重要ポイントを、以下にもう一度まとめていきます。
- 経済産業省によると、産業用太陽光発電の撤去費用は「導入費用の約5%」が相場
- 家庭用太陽光発電の撤去費用は、設備の規模に関わらず「15万円」程度が相場
- 2022年から出力10kW以上の太陽光発電には、撤去費用の積み立てが義務化された
- 積立金額は売電収入の3〜4%であり、自動的に差し引かれる仕組みとなっている
- 撤去に必要な工事費は業者によって違うため、複数社を比較してから選びたい
総出力が10kW未満の家庭用太陽光発電は撤去費用を積み立てる義務はないものの、前もって別口座などに貯金しておくと、いざというときに安心ですね。
パネルやパワコンの状態によっては、撤去ではなく「中古買取」してもらえる場合もありますので、工事の見積もりと同時に検討してみてくださいね!
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この記事の監修者
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