太陽光発電の10年後は?仕組みや設置メリット・デメリットを解説
太陽光発電は電気代を節約し、余った電気を売って収入も得られる注目の設備です。
ただし、仕組みや特徴を理解して計画的に導入することが大切です。
そこで今回は、太陽光発電の仕組みや特徴、元を取る方法をわかりやすく紹介します。
目次
太陽光パネルの「発電」と「売電」の仕組みを大解剖
「太陽光パネルって、実際にどうやって電気を作っているんだろう?」そして、「その電気はどうやって売られているんだろう?」と仕組みについて気になりますよね。
ここからは、「発電」と「売電」の仕組みについて、詳しく紹介します。
発電の仕組み
発電の仕組みや方法、発電に必要なシステムについて、詳しく紹介します。
「ソーラーパネル」が光を電気に変換する
太陽光パネルは、太陽の光を受けて電気に変えるシステムです。
パネルの表面には、光を電気に変えるためのシリコンチップがあり、光が当たると、このチップが中の電子を動かします。
すると、電気が生まれ、家庭や建物で使う電力になるのが仕組みです。
太陽光発電に必要なシステム
太陽光発電に必要な機器は、以下の6つです。
機器 | 特徴 |
太陽光パネル | 太陽の光を電気に変えるパネル |
パワーコンディショナー | パネルから出る電気を家庭で使える形に変える装置 |
架台 | パネルを屋根や地面に取り付けるフレームや支柱 |
接続箱 | パネルと家の電力網をつなぐ電線やコネクター |
電力量計(売電メーター) | 発電量や電力消費量を計測する計器 |
モニター | 日射量、気温、発電量などのデータを収集 |
上記の機器を使って太陽光発電は昼間に電気を作ります。
しかし、夜間や曇りの日には不足しますが、蓄電池を使えば、昼間の電気を貯めて夜や停電時に使えます。
売電の仕組み
太陽光パネルの売電方法の仕組みは主に2つあります。
- 太陽光発電の売電方法
- 発電した電力を売る方法
それぞれの方法について、詳しく紹介します。
太陽光発電の売電方法
売電とは太陽光パネルで電気を作り、余った電気を電力会社に売る仕組みです。
売電までの流れは、以下の5つのステップでおこなわれます。
- 発電:太陽光から電気を生み出す
- 変換:直流(発電した電力)→交流(家庭で使える電力)に変換する
- 接続:電力網につながり、利用や売電を決める
- 売電:売電価格で電力を供給する
- 計測:売電した電力量は電力メーターで計測され、売電収入が決まる
発電した電力を売る方法
売電方法には、以下の2パターンがあり、それぞれのパターンは、パネルの容量や特徴が異なります。
売電方法 | 太陽光パネルの大きさ | 特徴 |
作った電気をすべて売る (全量売電) | 50kW以上の太陽光パネル | 20年間、決まった価格で電力が売れる 畑や空き地に設置して売電収入を得る |
余った電気を売る (余剰売電) | 10kW~50kW未満 | 7割は売電し、3割は自家消費に回せる 発電して余った電力を蓄電池に貯めて夜間や天気が悪い日に利用する |
「全量売電」は安定した収入が得られますが、電力価格変動には影響を受けます。
一方、「余剰売電」は自家消費分があり、売電量と自家消費量を調整でき、柔軟性が高くなります。
1日の発電量は?太陽光発電の平均発電量や計算方法を解説
太陽光発電の発電量は、一日にどれくらいなのか気になりますね。
ここからは、1日の発電量や計算方法について、分かりやすく紹介します。
太陽光発電の電力計算方法
太陽光発電の1日の電力量は、「電力(kW)×時間(h)」で計算できます。
たとえば、4kWの太陽光パネルが11時から14時までの3時間発電した場合、その発電量は以下のように計算できます。
4(kW) × 3(時間) = 12kWh
したがって、このパネルは1日に12kWhの電力を発電します。
家庭用の太陽光発電からの平均発電量
JPEA太陽光発電協会によれば、年間発電量はおおよそ1000kWhが目安であり、これを1年間で均等に割ると、1日あたり約2.7kWhの電力を発電します。
一般的な家庭用太陽光パネルの大きさは、約3kWから5kWです。
パネルの大きさから、1日の発電量を求めてみました。
パネル容量 | 1日の発電量 |
3kW | 8.1kWh |
4kW | 10.8kWh |
5kW | 13.5kWh |
家庭用の太陽光発電は、1日の発電量が8.1kWh~13.5kWhが目安です。
一般家庭の電力使用量の平均は、3人家族で12.2kWh、4人家族で13.1kWhです。
したがって、4kW~5kWの太陽光パネルを設置すれば、必要な発電量を確保できます。
太陽光パネルの寿命
太陽光パネルは、一般的には20年から30年の寿命があります。
多くのメーカーが25年の出力保証を提供していますが、実際には30年以上も安定して稼働している事例もあります。
そのため、太陽光パネルは少なくとも20~30年は持つと考えられています。
太陽光発電のメリット・デメリットを徹底解説
太陽光発電には、良い点と悪い点がありますので、事前に理解することが重要です。
紹介するメリット・デメリットを理解してから太陽光発電の利用を検討しましょう。
太陽光発電のメリット
太陽光発電のメリットは、おおよそ以下の4つにまとめられます。
- 自家消費により電気代が削減される
- 売電による収入が得られる
- 停電時にも電力が利用可能で、安心感がある
- 二酸化炭素の排出がなく、地球環境にやさしい
太陽光発電の一番大きなメリットは、家庭で使う分の電気代を減らせることです。
毎月かかるお金を節約できるのは重要なポイントです。
家庭の電気代が減るというのは、誰にでも直接的なメリットがあるのはうれしいですよね。
太陽光発電のデメリット
太陽光発電のデメリットは、大まかに以下の4つに分類されます。
- 設置費用は約200万円前後
- 定期的なメンテナンスが必要
- 天候や季節によって発電量が変わる
- 屋根の形や場所によって設置が制限される
上記の中で大きなデメリットは、高額な設置費用です。
多くの家庭や事業所が最初に支払うお金が多くなり、太陽光発電を始めることをあきらめることがあります。
そのため、環境への貢献や電気代の節約といったメリットを逃してしまうことになるでしょう。
太陽光パネルを設置後、元を取るポイント
太陽光パネルを設置した後、元を取るのはいつごろか気になる人もいますよね。
ここからは、元を取る方法について紹介します。
家庭での電力自給を重視
住宅用太陽光発電では、自分で発電した電気をなるべく使うことが大事です。
たとえば、4kWの太陽光パネルを設置すると、年間で7,000円~10,000円ほどの電気代を節約できます。
年間で約10万円の電気代の削減につながります。
自宅で発電した電気を無駄にしないで使うと、電力会社からの買い取り量が減るので、電気料金を節約できます。
売電収入を初期費用に充てる
住宅用太陽光発電の売電収入は、まずは初期費用に充てることが大切です。
余ったお金を貯蓄や他の用途に使う前に、ローン返済に充てることで費用回収期間を短縮できます。
たとえば、4kWの太陽光パネルの売電収入は、1ヵ月で5,000円ほど見込めます。
1年間で60,000円の収入になるため、この収入を初期費用の負担に充てることができるでしょう。
初期費用を抑えるために慎重に計画
初期費用を抑えることは、設置後の元を取るためにとても大切です。
なぜなら、高額な初期費用は元を取るのに時間がかかり、投資のリターンが遅れる可能性があるからです。
だからこそ、業者や製品を選ぶ際には、コストと性能をバランス良く考えて、慎重に選ぶ必要があります。
蓄電池の活用
家庭用蓄電池を使うと、初期費用を返済する期間が短くなるかもしれません。
なぜなら、家庭用蓄電池を使うと、太陽光で余った電気を貯めて、必要な時に使えるからです。
蓄電池の設置で自家消費を増やせたり、電気の購入量を減らせたり、売電収入を増やせたりします。
そのため、太陽光パネルのと蓄電池の併用により、初期費用を早く回収できるのです。
節電の意識を高める
太陽光発電の費用を早く回収するためには、日常的に節電を心がけることも大切です。
なぜなら、節電すると家の電気使用量が減るからです。
具体的には、LED電球に変える、家電の使用時間を減らす、不要な電化製品を使わないようにするなどの取り組みが考えられます。
その結果、太陽光発電で賄うべき電力の量も減り、余った電気を売る機会が増えるでしょう。
適切な電気料金プランを選択
消費電力や生活スタイルに合わない電気料金プランを見直すことがおすすめです。
なぜなら、適切なプランを選ぶことで、電気料金を最適化し、節約できるからです。
たとえば、夜間に電力を使うことが多い場合は夜間電力プランを選ぶことで料金を削減できますし、家族が多い場合は家族割引プランを利用することで割引を受けることができます。
これにより、無駄な支出を減らし、太陽光発電の費用の回収期間を短縮できるでしょう。
燃料費調整上限のあるプランに移行
電気料金の負担を減らして、太陽光発電の費用を早く回収するために、電気料金プランの「燃料費調整額」を確認するのが大切です。
なぜなら、この項目は電気料金がいつどれくらい変動するかを示しているからです。
燃料費調整額が低いプランを選ぶと、電気料金の負担を抑えられるので、余ったお金を費用回収のために使えます。
導入前に未来を予測!太陽光発電のシミュレーション
以下の条件で太陽光発電の設置後のシミュレーションをまとめてみました。
- 設置エリア:東京都
- 設置容量:4kW
- 太陽光パネルの価格:120万円
- 年間発電量:4,800kWh
- 傾斜角度:5寸(26度)
- 設置向き:南向き
月平均の利益 | 年間の利益 | 10年間の回収金額 | |
電気代の節約料金 | 4,896円 | 48,960円 | 48万9,600円 |
売電金額 | 8,659円 | 86,590円 | 85万6,590円 |
10年間の回収金額は、電気代の節約料金と売電収入を合わせて約130万円になります。
また、太陽光発電システムは20年以上も持ちますので、売電価格が下がっても、電気代の節約分は変わらず利用できます。
したがって、設置コスト以上の利益が見込めます。
【2024年】太陽光発電の導入コストの目安
2023年と2024年の導入コストの目安は、以下のとおりです。
年度 | 1kWあたりの価格相場 |
2023年 | 26.1万円 |
2024年 | 25.5万円 |
(経済産業省|令和5年度以降の調達価格等に関する意見)
2024年の太陽光発電設置費用は1kWあたり約25.5万円で、4kWの太陽光発電システムを設置する場合、約102万円かかります。
ただし、2023年とくらべると、1kWあたり6,000円ほど安くなったことで、導入しやすくなっています。
予算内で太陽光発電を導入する方法
予算内で太陽光発電を導入する方法は、多くの人が関心を持っていますよね。
そこで今回は3つのポイントに絞って、予算内で導入する方法を解説していきます。
補助金制度を利用する
太陽光発電のみの補助金は期待できませんが、同様の制度を利用できる可能性があります。
2024年には、ZEH補助金の応募が予想されています。
2023年の補助金内容を以下の表にまとめてみました。
補助金制度 | 補助金額 |
ZEH補助金 | 55万円/戸 注文住宅で蓄電池を設置する場合 2万円/kWh(上限20万円)、または補助対象経費の1/3以内 |
こどもエコすまい支援事業 | 100万円/戸 |
地域型住宅グリーン化事業 | 140万円/戸 |
「こどもエコすまい支援事業」と「地域型住宅グリーン化事業」では、ZEH補助金との併用はできません。
ただし、国の予算が使われていない地方自治体の補助金制度に関しては、併用可能な場合もあります。
各自治体に問い合わせて確認しましょう。
コストと効果のバランスを考える
太陽光発電の価格や収支を確認し、計画を立てることが大切です。
価格相場を知り、予算内で計画を進めるためには、見積もりを取得することが必要です。
また、年間の収支を把握することで、投資回収期間や収益性を見極めることができます。
これにより、効果的な運用計画を立てることができるでしょう。
施工業者から複数の見積もりを取る
太陽光発電の工事業者から複数の見積もりを取ることで、料金やサービス内容を比較して最適な業者を選ぶことができます。
異なる業者の見積もりを比べることで、適切な価格や品質を確認し、コストと品質のバランスを見極めることができます。
また、複数の見積もりを取ると、価格の違いや保証サービスを見つけることもできます。
10年後も光る!太陽光発電の活用方法
太陽光発電を10年後も有効に使うためには、使い方を知っておくことが大切です。
ここからは、太陽光発電の活用方法を2つ紹介していきます。
電力を売って収入を得る
太陽光発電で元が回収された後、余剰の電力を大手電力会社に売ることで収入が得られます。
ただし、売電単価は元の半分以下になることがあり、電気料金の単価よりも低くなる場合もあります。
そのため、売電で損をしたくない場合は、次に紹介する対策を検討してみると良いでしょう。
発電した電力をすべて家庭にまわす
太陽光発電で作った電気を自分で使うと、電気代を下げることができます。
そのためには蓄電池が必要です。
自分で作った電気を使えば、電気代を支払う必要がなくなり、長い目で見れば大きな節約になります。
また、既設の太陽光発電があれば、補助金を活用できるので、導入費用を削減できるでしょう。
蓄電池や補助金の活用で、太陽光発電の初期費用回収が早まる!
今回は、太陽光発電の仕組みや設置メリット・デメリット、10年後の活用方法まで紹介しました。
太陽光発電の設置費用は高額で、諦める人もいますが、補助金を活用し、電気代の節約や売電収入で回収できる可能性もあります。
ただし、単体では補助金の種類も限られるので、費用対効果の高い蓄電池とのセットを検討することが大切です。
ぜひ、電気代の節約や自家消費に効果的な太陽光発電と蓄電池の設置を検討してみてください。
この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。
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