太陽光発電のメリット・デメリット完全解説

目次
太陽光発電システムの基本的な仕組み
太陽光発電システムは、太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換する仕組みです。太陽光パネルに含まれる半導体が太陽光を受けることで発電し、パワーコンディショナーで家庭用の交流電力に変換します。
発電した電力は、まず住宅内で使用され、余剰分は電力会社に売電することができます。逆に発電量が少ない時間帯や夜間は、電力会社から電気を購入して使用します。
系統連系と呼ばれる電力会社との接続手続きは、申請から承認までに通常3ヵ月~6ヵ月程度を要します。この期間中に設置工事を進められるため、実際の運転開始までの期間を短縮できます。
太陽光発電のメリット
電気料金の削減効果
太陽光発電システムを導入することで、昼間の電力を自家発電で賄えるため、電気料金を大幅に削減できます。特に在宅勤務が増加した現在では、昼間の電力消費量が多い家庭ほど削減効果が高くなります。
一般的な家庭での年間電気料金削減額は、システム容量や電力使用パターンにより異なりますが、月額数千円から1万円程度の削減が期待できます。
売電収入による経済効果
余剰電力を電力会社に売電することで、収入を得ることができます。住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は、1kWhあたり15円となっており、設置年度や電力会社によって異なる場合があります。
売電収入は、発電量と自家消費量のバランスによって決まります。発電量が多く、自家消費量が少ない時間帯に多くの電力を売電できれば、より高い収入を得られます。
環境への貢献
太陽光発電は、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーです。化石燃料による発電と比較して、大幅な温室効果ガス削減に貢献できます。
一般的な家庭用太陽光発電システム(4kW~5kW)を設置することで、年間約2〜3トンの二酸化炭素削減効果があるとされています。これは、自動車を約1万キロメートル運転した際の排出量に相当します。
災害時の電力確保
停電時でも太陽光発電システムがあれば、日中に限り自立運転機能により電力を確保できます。これにより、冷蔵庫や携帯電話の充電など、最低限の電力需要を満たすことが可能です。
蓄電池と組み合わせることで、夜間や曇天時にも電力を使用できるため、より安心な災害対策となります。
長期的な資産価値
太陽光発電システムは、適切なメンテナンスを行えば20年以上にわたって発電を続けることができます。設置費用は初期投資として必要ですが、長期的には電気料金削減と売電収入により投資回収が見込めます。
また、住宅の資産価値向上にも寄与するため、将来的な売却時にもメリットがあります。
太陽光発電のデメリット
高額な初期投資
太陽光発電システムの最大のデメリットは、高額な初期投資が必要なことです。一般的な家庭用太陽光発電システム(4kW~5kW)を導入する場合の費用相場は140万円~200万円程度が目安となります。
太陽光パネルの設置費用の相場は、パネルの種類や設置面積、工事内容などによって大きく異なりますが、一般的には1kWあたり35万円~40万円程度となります。
天候や季節による発電量の変動
太陽光発電は、天候や季節によって発電量が大きく変動するという特徴があります。雨や曇りの日は発電量が少なくなり、冬季は夏季と比べて発電量が減少します。
特に梅雨や台風シーズンには発電量が大幅に減少するため、年間を通じて安定した発電量を期待することは困難です。
屋根の条件による制約
太陽光パネルの設置には、屋根の方角、角度、面積などの条件が重要な影響を与えます。北向きの屋根や日陰の多い環境では、十分な発電量を得ることが困難です。
また、築年数が古い住宅では、屋根の補強工事が必要になる場合があり、追加費用が発生する可能性があります。
メンテナンスの必要性
太陽光発電システムは、定期的なメンテナンスが必要です。パネルの清掃、配線の点検、パワーコンディショナーの動作確認など、年間数万円のメンテナンス費用が発生します。
特にパワーコンディショナーは、電力会社との系統連系において重要な役割を果たしますが、経年劣化が早まることがあります。一般的に10年~15年で交換が必要となり、交換費用は20万円~30万円程度かかります。
売電価格の変動リスク
売電価格は年々低下傾向にあり、将来的にはさらに下がる可能性があります。現在の売電価格を基に投資回収期間を計算しても、実際の収益は予想を下回る可能性があります。
また、電力業界の制度変更により、売電条件が変更される可能性もあります。
撤去・処分費用
太陽光発電システムの寿命を迎えた際には、撤去・処分費用が発生します。太陽光パネルの処分費用は1枚あたり5,000円からが相場となっており、システム全体では数十万円の費用が必要になります。
費用対効果の検証
初期投資と回収期間
太陽光発電システムの投資回収期間は、設置費用、発電量、電気料金削減額、売電収入によって決まります。一般的には10年~15年程度での回収が見込まれます。
例えば、150万円で4kWのシステムを導入した場合、年間の電気料金削減額と売電収入を合わせて10万円~15万円程度の経済効果が期待できれば、約10年~15年で投資回収が可能です。
長期的な経済性
太陽光発電システムの法定耐用年数は20年とされていますが、実際には適切なメンテナンスを行えば25年~30年程度の発電が期待できます。
投資回収後の10年~15年間は、純粋な経済効果を享受できるため、長期的には十分な投資価値があります。
導入前に確認すべき重要事項
住宅・屋根の条件
太陽光発電システムの導入前には、住宅の条件を詳しく確認する必要があります。屋根の方角、角度、面積、築年数、耐荷重性能などを専門業者に診断してもらうことが重要です。
特に南向きの屋根で、角度が30度程度であれば最も効率的な発電が期待できます。
近隣環境の影響
周辺の建物や樹木による日陰の影響を確認することも重要です。一部のパネルに日陰がかかるだけで、システム全体の発電効率が大幅に低下する可能性があります。
補助金制度の活用
国や地方自治体では、太陽光発電システムの導入を支援する補助金制度を設けている場合があります。これらの制度を活用することで、初期投資を軽減できます。
ただし、補助金制度は予算枠や申請期間が限定されているため、事前に詳しく調べておく必要があります。
業者選定のポイント
太陽光発電システムの導入には、信頼できる業者選定が重要です。施工実績、保証内容、アフターサービス体制などを総合的に評価し、複数の業者から見積もりを取得することをお勧めします。
保証対応について、基本的には機器保証とシステム保証が提供されますが、内容は業者により異なるため、詳細な確認が必要です。
太陽光発電と蓄電池の組み合わせ
蓄電池導入のメリット
太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、発電した電力を貯めて夜間や停電時に使用できます。これにより、電力の自給自足率を高めることができます。
家庭用蓄電池の費用相場は容量1kWhあたり20万円~30万円程度となり、家庭用蓄電池(4kWh~7kWh)を導入する場合の費用相場は100万円~200万円程度が目安です。
蓄電池の種類と特徴
蓄電池には、リチウムイオン蓄電池、鉛蓄電池、NAS電池などの種類があります。最新のリチウムイオン蓄電池の充放電サイクル数は6,000回から12,000回程度で、寿命は30年前後とされています。
一方、NAS電池の寿命は15年程度とされており、用途に応じて適切な蓄電池を選択する必要があります。
容量別の価格相場
蓄電池の種類別の価格相場は以下のようになります:
- 小容量の3kWh~5kWhタイプ:100万円~150万円
- 中容量の6kWh~10kWhタイプ:150万円~200万円
- 大容量の10kWh以上:200万円~350万円程度
蓄電池の標準的な設置工事費用は20万円~35万円程度で、設置環境や配線の複雑さ等により変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
今後の展望と技術動向
技術の進歩
太陽光発電技術は継続的に進歩しており、パネルの発電効率向上や耐久性の向上が図られています。また、設置コストの低減も進んでおり、今後はより導入しやすくなることが期待されます。
政策動向
政府は2050年カーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの普及拡大を推進しています。これにより、太陽光発電の導入促進政策が継続される見込みです。
電力市場の変化
電力小売り自由化の進展により、電力の選択肢が増加しています。太陽光発電システムを導入することで、電力会社との交渉力も高まる可能性があります。
まとめ
太陽光発電システムは、高額な初期投資が必要である一方で、長期的な経済効果と環境貢献が期待できるシステムです。導入を検討する際は、住宅の条件、費用対効果、メンテナンス体制などを総合的に評価することが重要です。
特に、蓄電池との組み合わせや補助金制度の活用により、導入効果を最大化できる可能性があります。専門業者による詳細な診断と提案を受けながら、慎重に検討することをお勧めします。
よくある質問
太陽光発電システムの寿命はどれくらいですか?
太陽光発電システムの寿命は、適切なメンテナンスを行えば20年以上の発電が期待できます。太陽光パネル自体は25年~30年程度の寿命がありますが、パワーコンディショナーは10年~15年で交換が必要となることが一般的です。
曇りの日でも発電できますか?
太陽光発電システムは、曇りの日でも発電は可能ですが、発電量は晴れの日と比べて大幅に減少します。一般的に、曇りの日の発電量は晴れの日の10%~30%程度となります。
雪が積もった場合の対処方法は?
雪が太陽光パネルに積もった場合、発電量は大幅に減少します。安全上の理由から、無理に雪を取り除く必要はありません。一般的に、雪は自然に溶けて滑り落ちるため、数日程度で発電が回復します。
台風や地震などの自然災害への対策は?
太陽光発電システムは、建築基準法に基づいた耐風・耐震設計が行われています。ただし、極端な自然災害による損害は保険でカバーされる場合があるため、火災保険の補償内容を確認することが重要です。
太陽光発電システムを設置するための手続きは?
太陽光発電システムの設置には、電力会社への系統連系申請が必要です。申請から承認までに通常3ヵ月~6ヵ月程度を要しますが、設置業者が代行することが一般的です。その他、建築確認申請が必要な場合もあります。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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