グリーン電力証書とは?特徴や発行価格・他の制度との違いを解説!
大規模な太陽光発電システムなどを導入しなくても、購入するだけで「エコな電気を使っている」ことを証明できる「グリーン電力証書」をご存じですか?
「CDP」や「RE100」の調査報告書にも「CO2削減実績」として報告できるグリーン電力証書ですが、くわしい仕組みや活用方法なども知っておきたいですよね。
そこで本記事では、「グリーン電力証書の特徴や仕組み」「発行側・購入側それぞれのメリット」をわかりやすく解説していきます。
記事の後半には、グリーン電力証書と「J-クレジット」「非化石証書」との違いもご紹介していますので、環境付加価値の購入を検討している方はぜひご覧ください!
目次
グリーン電力証書とは?仕組みや使い道・制度の目的を解説
まずはじめに、グリーン電力証書の特徴や仕組み、実際の使い道や制度が作られた目的について、初めての方にもわかりやすく解説していきます。
【仕組み】グリーン電力証書とはどんなもの?
グリーン電力証書とは、太陽光や風力などで発電された「グリーン電力」が持っている「環境価値」を、証書として取引できるようにしたものです。
たとえばグリーン電力には「化石燃料を使わず、CO2も排出しない」という環境価値があり、グリーン電力証書を購入することで、間接的に地球環境へ貢献することができます。
グリーン電力証書の発行には「日本品質保証機構(JQA)」の認証が必要ですが、証書は企業のPRや環境努力の成果として発表できるため、需要の拡大が期待されています。
【使い道】グリーン電力証書を使ってできること
企業が発電事業者からグリーン電力証書を購入すると、以下のような使い道で活用できます。
- 企業の環境に対する貢献として、「CO2の削減量」を公表できる
- グリーン電力証書のロゴを使用でき、環境への貢献を効果的にPRできる
- 「CDP」や「RE100」などの調査報告にも、「再エネ調達量」として報告できる
【制度の目的】グリーン電力証書システムが作られた目的
グリーン電力証書が作られた目的は、「エコに貢献したい企業」と、「再エネを拡大したい発電事業者」の利益を一致させるためです。
グリーン電力証書があれば、発電所などを所有しなくてもCO2の削減量を増やせるため、「節電はもう限界…」とお悩みの企業には最適な仕組みといえるでしょう。
一方で、発電事業者には「証書を発行した代金で業務を維持できる」という後押しになるため、結果的に再生エネルギーの普及に大きく貢献することができます。
グリーン電力証書を発行・購入するメリットとは?
つづいて、グリーン電力証書を「発行する企業側のメリット」と「購入する企業側のメリット」を、それぞれくわしくご紹介していきます。
【発行する企業】売上増加で再エネ事業をさらに拡大できる
発電事業者がグリーン電力証書を発行するメリットは、シンプルに「販売する電気に付加価値がつけられる」ことです。
そもそも太陽光や水力、風力などのグリーン電力は現状コストが高いため、発電事業者は設備の拡大・維持が容易ではありません。
グリーン電力証書により、「電気」と「付加価値」を別々に販売できるようになった現在では、新規参入に名乗りをあげる事業者も着実に増えてきています。
【購入する企業】再エネ設備がなくてもエコな電気が使える
企業がグリーン電力証書を購入するメリットは、「ムリな節電や発電所の建設などをしなくても、手軽にエコな電気を使える」ことです。
一昔前は企業の社会貢献として太陽光発電所を作ることも珍しくありませんでしたが、現在では証書を購入するだけでCO2の削減に協力できるようになりました。
法令の変化などでCO2削減目標が増えたときも「証書を買い増しする」だけで済むため、すばやくエコな企業であることを内外にアピールできます。
グリーン電力証書の価格相場は?他の制度との違いも解説
さいごに、グリーン電力証書によく似た「J-クレジット」や「非化石証書」との特徴や価格の違いを、以下に簡潔に解説していきます。
【J-クレジット】もっとも発行数の多い「国」の制度
「J-クレジット」とは、省エネや再エネによるCO2の「削減量・吸収量」を、国が「クレジット」として認証する制度です。
再エネで作られた「電気」の付加価値を認証するグリーン電力証書に対して、J-クレジットは「CO2」の削減や吸収に焦点が当てられています。
発行されたJ-クレジットは、グリーン電力証書と同じように企業PRや商品のブランディング、CDPやRE100の報告にも活用できます。
【非化石証書】一般家庭でも気軽にエコに貢献できる
「非化石証書」とは、石油や石炭などの「化石燃料」ではなく、太陽光などの「非化石」で作られた電気の付加価値を証書化したものです。
「グリーン電力証書」や「J-クレジット」との大きな違いは「原子力発電も非化石として一部認めている」ことであり、証書の種類によってはRE100などで報告できません。
非化石証書には「FIT非化石証書」や「非FIT非化石証書」などさまざまな種類が存在するため、購入時には目的に合ったものを選ぶ必要があります。
【価格の違い】グリーン電力証書は他の制度より高め
グリーン電力証書・J-クレジット・非化石証書の「価格やさまざまな違い」を、以下の表で見比べていきましょう。
グリーン電力証書 | J-クレジット | 非化石証書 | |
エネルギー | 再エネで作られた電気 | 再エネで作られた電気 (一部原子力も含む) | CO2の削減量・吸収量 |
価格(1kWhあたり) | 2円〜7円 | 1.3円〜4円 | 1円〜2円 |
転売 | できない | できる | できない |
報告などでの活用例 | CDP、SBT、RE100 | CDP、SBT、RE100(一部不可) | CDP、SBT、RE100 |
表を比較すると「現状ではグリーン電力証書は高め」ですが、実際の販売価格は発行者との交渉などで大きく変化するため、あくまで参考程度にお考えください。
まとめ・グリーン電力証書は企業のエコPRに最適!報告にも使える
本記事でくわしく解説してきた「グリーン電力証書の特徴やメリット」についての重要ポイントを、以下にもう一度まとめていきます。
- グリーン電力とは、太陽光や風力、水力発電などで作られた再生可能な電気のこと
- グリーン電力証書とは、グリーン電力の「環境価値」だけを証書として切り取ったもの
- 企業が証書を購入すると、CO2の削減実績としてCDPに報告したり外部にPRできる
- 発行する発電事業者は、証書の収益で再エネ事業を拡大できるため双方に利益がある
- 「J-クレジット」や「非化石証書」よりも価格は割高だが、注目している企業も多い
コストのかかる太陽光発電の維持や、過度な節電をせずに「CO2削減目標」をクリアできるグリーン電力証書は、発電事業者にとっても企業にとってもWin-Winな仕組みです。
似たような証書にJ-クレジットや非化石証書がありますが、「CDPやRE100にも使える」など用途はほぼ同じですので、発行する企業の理念や価格などで自由に選びましょう。
「地球環境に優しい電気を使っている」というPRは、商品にも大きな価値を与えてくれます。
CO2の削減量でお悩みの企業は、ぜひグリーン電力証書を検討してみてくださいね!
▼関連記事はこちら
この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。
光熱費削減コンサルタント
中田 萌ご相談やお見積もりは
完全無料です!