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蓄電池補助金を活用して高額な初期費用をカバーするには?

補助金関連 2024年01月04日更新

「もしもの時のために蓄電池を購入したい」

「太陽光発電と組み合わせて再生可能エネルギーをもっと使いたい」

そう考えている人にとってネックとなるのが高額な初期費用です。

それをカバーする助けになるのが国や自治体が交付している補助金です。

今回は家庭用蓄電池の必要性や蓄電池整備の初期費用、国や地方自治体の補助金などについて解説します。

家庭用蓄電池の必要性

家庭用蓄電池が必要な理由は2つあります。

1つ目の理由は非常時に備えるためで、もう1つの理由は太陽光発電設備を有効活用するためです。

理由の詳細を見てみましょう。

非常時に備えるために必要

近年、報道などで異常気象に関するニュースを目にする機会が増えていると感じているかもしれません。

実は、感覚だけではなく、実際に異常気象の頻度が増加しています。

気象庁が100年以上にわたる降水量データを調査したところ、昔に比べて大雨の頻度が増加しています。

1901年からの30年間と1977年からの30年間を比較してみると、1977年からの30年間の方が大雨の日数が増えていることがわかりました。

全国51地点のデータを見てみると、100mm以上の大雨の日数は20世紀初頭よりも20世紀後半の方が多い月が目立ちます。

参考:気象庁

大雨の日が多くなれば、洪水や土砂災害の頻度も増え、ライフラインが寸断されるリスクも増大します。

大雪でも同様のことが発生します。

2022年に新潟県佐渡市を襲った大雪により、一部地域で1週間以上も停電が続きました。

停電は雨や雪だけではなく地震によってももたらされます。

2018年9月6日におきた胆振東部地震では北海道全域の電気が消えるブラックアウトが発生し、大半の地域が復旧するまで2日以上かかりました。

こうした非常事態に備える方法の一つが蓄電池の設置です。

蓄電池があれば、ライフライン復旧まで必要最低限の電力を確保できます。

太陽光発電設備を有効活用するのに必要

太陽光発電設備があれば、電力の自給自足が可能となります。

発電した電力を自家消費し、残りを売電すれば収入も得られました。

しかし、電力の固定価格買取制度(FIT制度)による電力の買取価格が低下したため、以前ほど売電収入が得られないのが現状です。

その一方で、エネルギー資源の高騰や円安の影響で電気料金は高い状態が続いています。

れまで売電していた分の電力を自家消費に回すには蓄電池が必要です。

蓄電池があれば日没後も太陽光由来の電力を自家消費できるからです。

蓄電池導入のネックとなる初期費用

蓄電池があれば非常時のリスクに備えられ、太陽光発電との組み合わせで電力の自給自足が可能となる点はわかりました。

しかし、蓄電池の初期費用は決して安いものではありません。

蓄電池の初期費用は容量や費用によって異なります。

一般的に大容量になればなるほど初期費用が多く必要です。

設置費用の総額は蓄電池本体の価格と工事費の合計で割り出せます

経済産業省に提出された三菱総合研究所の調査報告書によると、蓄電池本体の価格は1kWhあたり11.7万円でした。

5kWhであれば58.5万円、8kWhであれば93.6万円となります。

工事費は1kWhあたり2.2万円ですので、5kWhなら11万円、8kWhなら17.6万円です。

となると、5kWhの蓄電システムの合計金額は69.5万円、8kWhであれば111.2万円となります。

資源価格や為替相場の動向次第では、さらに初期費用が膨らむ可能性も否定できません。

2023年度に国が実施した蓄電池に関する補助金

蓄電池の初期費用は100万円前後かかることがわかりました。

こうした高額な初期費用を少しでも緩和するために活用したいのが国による補助金です。

ここでは過去に実施された国による蓄電池補助金について解説します。

こどもエコすまい支援事業

2004年4月2日以降に出生した子を有する子育て世帯や夫婦いずれかが1982年4月2日以降に出生した若者夫婦世帯の新築住宅取得や省エネリフォームに対して交付される補助金です。

太陽熱システムや高断熱浴槽、エコキュートなどの高効率給湯器、蓄電池を設置すると補助金が交付されます。

蓄電池は1戸あたり64,000円交付されます。

DR補助金

DR補助金は経済産業省がSii(環境共創イニシアチブ)を通じて交付する補助金です。

補助金額は初期実効容量1kWhあたり3.2万円、または機器工事費の3分の1、あるいは60万円のいずれかです。

DR補助金には2つの注意点があります。

1つ目の注意点は電力不足の際に遠隔操作で蓄電池の電気を放電してしまうことです。

放電は補助金交付の条件ですので避けられません。

2つ目の注意点は子どもエコすまい支援事業やDER補助金と併用できないことです。

また、HEMS(ヘムス)という機器を導入することが補助金交付の条件となります。

家庭内の電力使用量を把握する便利な機能がある機器ですが、設置に数万円から20万円程度の費用がかかります。

DER補助金

DER補助金もSiiを通じて交付される補助金です。

交付条件は太陽光発電設備と蓄電池、HEMSを有していることです。

補助金額は初期実効容量1kWあたり3.7万円設備費・工事費用の3分の1以内です。

地方自治体が交付する補助金

国が交付する補助金とは別に、地方自治体が独自に交付する補助金もあります。

今回は東京都、愛知県名古屋市、熊本県熊本市を例として取り上げます。

東京都の補助金

東京都では「家庭における蓄電池導入促進事業」として蓄電池システムの導入に補助金(助成金)を出しています。

対象者は該当する機器を持つ個人や法人で、都内の住宅に設置された機器です。

助成金対象となるのは蓄電池システムの機器や工事の費用です。

太陽光発電の容量によって交付金額が異なります。

4kW以上の太陽光発電設備と蓄電池を一緒に設置する場合、以下の中から最も金額の小さい額が交付されます。

  • 蓄電容量6.34kWh以上:1kWhあたり15万円
  • 蓄電容量6.34kWh以下:1kWhあたり19万円(最大95万円)
  • 太陽光発電システムの発電出力1kWhあたり30万円

4kW未満の太陽光発電設備と蓄電池を併用するか、蓄電池単独で設置する場合は以下の中で最も金額の小さい額が交付されます。

  • 蓄電容量6.34kWh以上:1kWhあたり15万円(最大120万円)
  • 蓄電容量6.34kWh以下:1kWhあたり19万円(最大95万円)

他の自治体と比較してもかなり金額が大きい補助金ですので、東京都に住んでいるのであれば積極的に活用したいところです。

愛知県名古屋市の補助金

名古屋市では既にある住宅に太陽光発電システムと蓄電システム、HSMSを同時に導入すると補助金が交付されます。

補助金額は築10年以上なら1kWhあたり3万円築10年以下なら1kWhあたり2万円集合住宅なら1kWhあたり2.5万円が交付されます。

ZEHやV2H充放電設備の補助金と併用できます。

熊本県熊本市の補助金

熊本市ではFIT制度が終了したいわゆる卒FIT設備を有する家庭を対象とした蓄電池補助金を交付していました。

卒FIT設備をどうするかは、今後考えなければならない課題であり、熊本県の取り組みは注目に値するのではないでしょうか。

補助金額は1件につき8万円で国の補助金との併用が可能です。

ただし、ZEH導入補助金との併用はできません。

補助枠が50件と比較的少なかったため、現在は募集が終了しています。

まとめ

今回は家庭用蓄電池の補助金についてまとめました。

蓄電池の必要性は認識していても、100万円前後の初期費用を考えると中々踏み出せないのが正直なところではないでしょうか。

国や地方自治体は太陽光発電や蓄電池の普及を図るためさまざまな補助金を設定しています。

電池に対する関心が高まっているため、国の補助金枠はすでに埋まってしまいましたが、地方自治体の中にはまだ募集しているものもあります。

また、来年度以降も国や地方自治体が補助金を交付する可能性があります

次年度以降に購入を検討しているのであれば、補助金情報をこまめにチェックすることをおすすめします。

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この記事の監修者

中田 萌

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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