【目的別】蓄電池の選び方6選を紹介!容量の決め方も解説
蓄電池は電力の効率化や停電対策に注目されていますが、選び方で悩む方もいるかもしれません。
蓄電池を選ぶ際は、家庭の状況やニーズに合った選択が重要です。
今回は、蓄電池の選び方や容量の決め方についてわかりやすく紹介します。
目次
蓄電池を選ぶ前にチェックしたい3つの機能
蓄電池を選ぶ前に押さえておきたい機能は以下の3つです。
- 単機能型
- ハイブリッド型
- トライブリッド型
蓄電池を選ぶ際には非常に重要なポイントなので、機能について理解を深めていくことが大切です。
それぞれの機能について、詳しく紹介し紹介します。
蓄電池のみで使える「単機能型」
「単機能型」の蓄電池は、電力会社から供給される電力を貯めるためのシステムです。
使い方によっては、家全体に電力を供給するブレーカーにつなぐタイプや、個々の家電に直接繋ぐタイプがあります。
単機能型の利点は、夜間に安い電力を蓄えて昼間に使うことで電気代を節約できることや、災害時の予備電源として役立つことです。
太陽光発電のパワコンが新しい場合は、別々に蓄電池のパワコンを追加することが可能です。
また、太陽光発電の機器が古くて寿命が短い場合は、新しい蓄電池と交換することでパワコンを新品にできます。
太陽光発電+電力会社の電力を蓄電できる「ハイブリッド型」
「ハイブリッド型」の蓄電池は、電力会社からの供給だけでなく、太陽光発電で作った電力も貯めることができます。
ハイブリッド型は、太陽光発電と蓄電池用のパワコンが一体化しているため、電圧変換時の損失が少なく、スペースを節約できるのが利点です。
また、ハイブリッド型の蓄電池に貯めた電力は家中に供給されるため、電力会社の供給がなくても安心です。
太陽光発電による持続的な充電が可能なため、停電時でも長時間にわたって蓄電池を利用することができます。
電気自動車にも充電+放電できる「トライブリッド型」
トライブリッド型は、電力系統と太陽光発電に加えて、電気自動車(EV)とも連携できる進化した蓄電池です。
家庭では太陽光発電を利用し、昼間に余剰の電力を貯めておくことで、夜間や曇りの日でも家庭の電力需要を満たすこともできます。
さらに、余剰電力を利用して夜間に電気自動車を充電できるため、家庭の電力使用量を効率的に管理できる利点があります。
また、トライブリッド蓄電システムを導入すると、後から太陽光パネルや蓄電池を増設したり、後からV2Hスタンドを追加したりすることも可能です。
つまり、トライブリッド型は、柔軟な対応が可能で、生活スタイルの変化に合わせて調整できる点が特徴です。
蓄電池選びの方法とチェックリスト
蓄電池を選ぶ際の方法とチェックリストは次の6つです。
- サイズ
- 設置スペース
- 保証の長さ
- 最大出力
- 耐久性
- 容量
それぞれの選び方について、詳しく紹介します。
選び方①設置場所を決定する上で重要な「サイズ」
蓄電池のサイズは、容量や機能、設置場所によって大きく異なります。
たとえば、屋内に設置する場合、限られたスペースに大型の蓄電池を設置することはむずかしいかもしれません。
そのため、コンパクトな蓄電池を選ぶことが重要です。
一方、屋外に設置する場合は、天候の影響を受けやすいため、耐久性の高い大型蓄電池が適しています。
蓄電池を設置する際は、場所に合ったサイズのものを選ぶことが大切です。
選び方②屋内か屋外かを決定する「設置スペース」
蓄電池の設置場所には、屋内と屋外の2つのタイプがあります。
屋外の蓄電池は防水性が高く、耐久性がありますが、気候条件の影響を受けやすいため、故障のリスクが高くなります。
一方、屋内の蓄電池は外部の気候条件に影響されにくく、安定した環境下での運用が可能です。
設置場所を選ぶ際には、メリットとデメリットを考えて慎重に選びましょう。
選び方③修繕費を削減できる「保証の長さ」
蓄電池は故障のリスクがあるため、保証期間や保証内容をよく確認する必要があります。
一般的には10年〜15年程度の保証がありますが、保証期間を過ぎると修理費用は自己負担となります。
さらに、蓄電池の容量保証や遠隔サービスの提供状況も重要なポイントです。
遠隔サービスがある場合は、専門家が遠隔でチェックしてくれるので、お手入れやトラブル時にも適切なサポートが期待できます。
各メーカーや販売店の保証内容を理解しておくことで、故障時の負担を安くおさえられるでしょう。
選び方④電力の強さを示す「最大出力」
定格出力の数字が多いほど、一度に使える家電の数が増えます。
たとえば、定格出力が3kWの蓄電池は、エアコンや洗濯機、冷蔵庫などの複数の家電を同時に動かすことができます。
一方、定格出力が1kWの蓄電池では、これらの家電を同時に稼働させることはむずかしい場合もあります。
定格出力は家庭で使用する電化製品の種類や同時に使用できる機器の制限を決定します。
そのため、家庭の電力ニーズに合わせて適切な定格出力の蓄電池を選ぶことが大切です。
選び方⑤充放電サイクルの数を表す「耐久性」
蓄電池は何度も充放電できますが、その回数には限界があります。
1サイクルとは、蓄電池が満充電から空になり、再び満充電になる過程を指します。
使用するたびに蓄電池の容量が少しずつ減少し、最終的に寿命がくると取り換える必要があります。
ただ、サイクル数を重ねるごとに徐々に劣化していき、少しずつ最大容量が減少していきます。
サイクル回数は蓄電池の種類やメーカーによって使える回数は異なります。
使える回数が多いほど長く使えるので、サイクル回数をチェックすることが重要です。
選び方⑥蓄電量を示す「容量」
蓄電池を選ぶ際は、少し余裕のある蓄電池を選ぶことが大切です。
「蓄電容量」とは、蓄電池に蓄えられる電力量を示します。
大容量の蓄電池は費用が高くなりますが、適切な容量を選ぶことが便利さとコスト面で重要です。
たとえば、家庭の電力消費が少ない場合は、小型の蓄電池を選ぶことでコストを抑えることができます。
一方、電力消費が多い場合は大容量の蓄電池を選ぶことで、より長時間使用できるようになります。
将来の電力使用の増加も考えつつ、余裕のある容量や電力量に応じて蓄電容量を選びましょう。
目的に適した蓄電池の選び方
蓄電池は、使用目的によって選び方が大きく変わります。
目的に合った蓄電池の選び方について、詳しく紹介します
太陽光発電との併用を考える場合
蓄電池を選ぶ際には、太陽光発電の発電量や消費量を考慮することが重要です。
たとえば、太陽光発電が1日に30kWhの電力を発電し、家庭での電力消費が20kWhの場合、蓄電池の容量は最低でも10kWh以上必要となります。
また、既に太陽光発電を導入している場合は、システムを入れ替えるか単機能型の蓄電池を選ぶか検討する必要があります。
同時に導入する場合は、パワコンを1台にまとめてスペースを節約できるハイブリッド型がおすすめです。
夜間の電力を効率的に利用する場合
蓄電池を使えば、「安い深夜の電気を貯めて、高い昼間に使う」ということができます。
電気会社の料金は常に一定ではなく、昼間は多くの人が使用するため高くなり、深夜は使用者が少ないため安くなるプランもあります。
昼間の電気使用量が多い場合は大きな蓄電池が必要ですが、深夜の使用量が少ない場合は小さな蓄電池で十分です。
深夜の電気を有効に活用したい場合は、昼と夜の電気の使い方を考えて適切な大きさの蓄電池を選びましょう。
停電に備えたいと考える場合
蓄電池の大きな利点は、外部からの電力供給が途絶えても電力を利用できることです。
短い停電なら少し不便かもしれませんが、災害時には数日間も停電が続くことで、生活が困難になることがあります。
そんな時に蓄電池があれば、生命を守ることにつながるかもしれません。
蓄電池の使用可能時間は、蓄電容量(kWh)を電化製品の合計消費電力(W)で割った値に1,000をかけることで算出できます。
停電時にどのくらいの時間、電力を使えると安心できるかをしっかりと把握しましょう。
蓄電池を選ぶ際に注意したい5つのポイント
蓄電池を選ぶ際に注意したいポイントは、以下の5つです。
- 蓄電池の実効容量と定格容量の違いを理解する
- 蓄電池の設置場所に注意すること
- 太陽光発電メーカーの保証が適用されるのか
- 補助金の対象となる蓄電池なのか
- 契約中の電気会社の料金プランの見直し
- 蓄電池の価格相場から希望の商品を比較する
それぞれの注意点について、くわしく紹介します。
蓄電池の実効容量と定格容量の違いを理解する
蓄電池の容量を考える際には、まず「定格容量」と「実効容量」の違いを理解しましょう。
- 定格容量:特定の条件で蓄えられる電気の量
- 実効容量:実際に利用できる電気の量
蓄電池を選ぶ際には、実際に利用できる容量を見て判断するのが大切です。
実効容量は、「初期実効容量」と記載しており、製造業者によっては、実効容量の表示がカタログにない場合もあります。
その場合は、SII(一般社団法人 環境共創イニシアチブ)登録製品に記載されている値を確認しましょう。
希望の製品の実効容量がわからない場合は、サイトから確認できます。
蓄電池の設置場所に注意すること
蓄電池の置く場所は、使う環境と大きさ・重さの両方を考えて慎重に選ばないといけません。
蓄電池は屋内の乾燥した場所が最適ですが、屋外や高温多湿な地域では劣化しやすくなります。
また、蓄電池を設置する際は、蓄電池の大きさだけでなく、周囲に作業スペースも確保する必要があります。
設置前に現地でしっかり調査して、最適な場所や大きさを選ぶことが重要です。
太陽光発電メーカーの保証が適用されるか確認すること
太陽光発電と蓄電池を一緒に使うときは、メーカーが異なる場合には特に注意が必要です。
異なるメーカーの蓄電池を使うと、太陽光発電の保証が使えなくなることがあります。
同じメーカーの製品を選ぶことで、保証が継続されるので安心です。
最近は、多くのメーカーが太陽光発電と蓄電池の組み合わせを確認しているため、事前に製品の適合性を確認することで安心して蓄電池を選ぶことができます。
補助金の対象となる蓄電池かどうかを確認すること
蓄電池を設置する際は、Siiや地方自治体の補助金の対象か確認しておきましょう。
Siiの補助金は、特定の条件を満たす蓄電池が対象で、通常はメーカーや販売店が対象製品を知っています。
また、地方自治体の補助金も条件は異なりますが、ほとんどはSiiと同じ要件を採用しています。
地域によってはSiiと地方自治体の両方から補助金を受け取れます。
その場合は、まずSiiの対象蓄電池を購入し、その後に地方自治体の申請をします。
また、どちらの補助金も申請期限が早いので、早めの手続きが大切です。
契約中の電気会社の料金プランをチェックすること
現在契約中の電気料金プランについても把握しておきましょう。
料金プランによっては、他の電力会社やプランへの切り替えを検討した方がいいケースもあります。
たとえば、もし夜間に電気をたくさん使うことが多い場合、現在の電気料金プランが合っていないのかもしれません。
その場合、別のプランに切り替えたり、蓄電池の容量を増やしたりすると、夜の電気代を大幅に削減できます。
蓄電池を選ぶ前には、いくつかのプランを比較して、一番いい選択を見つけましょう。
蓄電池の価格相場から希望の商品を比較すること
以前は家庭用の蓄電池は高価でしたが、普及するにつれて価格が下がりました。
設置コストは、蓄電容量が大きくなるごとに安くなります。
- 5kWh未満:16.5万円
- 5~10kWh未満:14.9万円
- 10kWh以上:12.5万円
(※1kWhあたりの価格相場「システム価格+工事費込み」)
(引用元:定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査)
5kWh未満と10kWh未満の蓄電容量では、1kWhあたりの価格差は1万6,000円です。
また、5kWh未満と10kWh以上では、4万円も価格差があります。
容量が大きくなれば価格は下がりますが、実際の電気使用量を正確に調査して、本当にその容量が必要かを検討しましょう。
太陽光発電あり・なしから蓄電容量を選ぶ方法
「太陽光発電と蓄電池を設置する場合」と「蓄電池のみを設置する場合」で必要な蓄電容量を計算できます。
太陽光発電あり・なしで選ぶ方法について、紹介します。
太陽光発電+蓄電池を設置する場合
太陽光発電と蓄電池を設置した場合に、必要な蓄電容量の目安を以下の条件で求めてみました。
- 年間発電量:4500kWh(1ヵ月あたり375kWh)
- 太陽光発電の平均設置容量:4.5kW
- 発電した電力の内、自家消費30%の場合
世帯人数 | 1ヵ月あたり | |||
電気使用量 | 自家消費の割合 | 買電量 | 必要な蓄電容量 | |
2人家族 | 331kWh | 112kWh | 219kWh | 7.3kWh |
3人家族 | 386kWh | 116kWh | 270kWh | 9kWh |
4人家族 | 436kWh | 130kWh | 306kWh | 10.2kWh |
(引用元:平成26年度 東京都家庭エネルギー消費動向実態調査報告書)
太陽光発電を利用すると、同じ状況下であれば容量を3分の1程度に抑えられます。
買う電力も130kWh前後で押さえられるため、電気代を1ヵ月あたり4,000円ほど削減できます。
年間では、48,000円も節約できるのは大きいですよね。
蓄電池のみを設置する場合
昼間の電気使用量が70%の場合、2人~4人家族に必要な蓄電容量の目安は下記のとおりです。
世帯人数 | 1ヵ月の電気使用量 | 1日の昼間の電気使用量 | 必要な蓄電容量 |
2人家族 | 331kWh | 7.91kWh | 11.3kWh |
3人家族 | 386kWh | 9.03kWh | 12.9kWh |
4人家族 | 436kWh | 10.1kWh | 14.5kWh |
(引用元:平成26年度 東京都家庭エネルギー消費動向実態調査報告書)
2人~4人の家庭には、10kWh~15kWh程度の蓄電池が最適です。
これにより、深夜に充電した電力を昼間に利用することができます。
蓄電池の機能を理解し、使い勝手に合わせたものを選ぼう
今回は、蓄電池の選び方や選ぶときの注意点について、詳しく紹介しました。
蓄電池を選ぶ際には、「単機能型」、「ハイブリッド型」、「トライブリッド型」といった機能から、蓄電容量や保証、設置場所などを選ぶ必要があります。
また、太陽光発電の発電量や実効容量、停電時の使用量、朝夕の電力消費量などをバランスよく考えて、蓄電池の容量を検討することが最も効果的です。
ぜひ、この情報を参考にして、自宅に最適な蓄電池を選びましょう。
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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