スマートグリッドって何?特徴や仕組み・長所や問題点を解説!
大型発電所を中心とした従来の電力網に比べて、電力ロスが少なく災害による停電にも強い「スマートグリッド」という電力網の普及が進んでいることをご存じですか?
本記事では、スマートグリッドという用語の意味合いや特徴、従来の電力網との違いを初心者にもわかりやすく解説していきます。
記事の後半では、スマートグリッドを導入するメリットや、今後の課題ともいえるデメリットもご紹介していますので、ぜひ最後まで目を通してみてくださいね!
目次
スマートグリッドとは?特徴や仕組みをわかりやすく解説
まずはじめに、スマートグリッドの特徴や電力供給の仕組み、従来の電力網や「マイクログリッド」との違いを解説していきます。
スマートグリッドとは「次世代の送電ネットワーク」のこと
スマートグリッドとは「Smart = 賢い」「Grid = 電力網」を合わせた造語であり、従来の電力網より高効率な送電ネットワークとして普及が進んでいます。
従来の電力網では発電所から一方的に電気を送り出していましたが、スマートグリッドはIT技術を利用することにより、電気の需要に合わせて送電量をコントロールすることが可能です。
需要に合わせて発電量や送電量を調整することで「電力ロス」を最小限に抑えられるため、より低価格で安定した電気を各家庭に供給できます。
スマートグリッドの仕組みを解説!どんな機器が利用されている?
スマートグリッドは、「スマートメーター」や「HEMS(ヘムス)」という機器を使って、各家庭やオフィスなどの電力需要をリアルタイムで計測する仕組みとなっています。
スマートメーターとは通信機能が搭載された電力メーターのことであり、30分ごとに電気使用量を自動で測定することで、電気をよく使う時間帯の把握に役立ちます。
HEMS(Home Energy Management System)とは、スマートメーターで得た情報を電力会社や発電所と共有する機器であり、電気の需要に合わせて発電量をコントロールします。
スマートグリッドと比較される「マイクログリッド」とは?
マイクログリッドとは「スマートグリッドより小さなエリアを対象とした電力網」のことで、電力需要の把握や管理にはスマートグリッドと同じIT技術が使われています。
マイクログリッドには「太陽光発電」や「蓄電池」などが採用されるケースが多く、災害などで広範囲な停電が発生したときでも、各家庭が発電所となることで地域の電力確保に貢献します。
各家庭に設置された発電設備は、平常時には「自家消費」や「売電」などに活用できるため、ムダのない電力運用として導入する地域が増えています。
スマートグリッドを導入する「3つのメリット」をご紹介!
つづいて、スマートグリッドを導入することで得られる「3つのメリット」をご紹介していきます。
メリット①:電気の「見える化」により節電意識が高まる
スマートメーターを設置すると「30分ごとの電気使用量」が確認できるようになるため、電気の使い過ぎを予防して節電に役立てることが可能です。
従来の電力網では一か月の電気使用量しか知ることができなかったため、よりくわしい情報を気軽に得られるように進化した点は大きなメリットといえるでしょう。
電気使用量の確認方法は契約する電力会社によって異なりますが、公式Webサイトの会員ページやスマホアプリなどでかんたんに確認できます。
メリット②:再生可能エネルギーをムダなく活用できる
スマートグリッドで電力需要を把握しやすくなったことで、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーをより効率的に活用できるようになりました。
たとえば、再生可能エネルギーの発電量が足りないときは従来の火力発電などで補い、発電量が多い場合は蓄電システムなどに蓄えてムダなく使い切ることができます。
スマートグリッドの導入により地球環境に優しい発電方法の普及が進んでいることは、脱炭素社会の実現を目指す日本にとって大きな進歩といえるでしょう。
メリット③:災害時でも安定した電力供給を維持できる
スマートグリッドの導入により、「各家庭の太陽光発電」や「小規模の発電施設」などの電力を有効活用できるようになり、災害時や非常時の電力供給が大幅に安定しました。
従来の電力網では大型の発電所を中心として電力供給を行っていたため、地震や災害などで発電が停止すると大規模な停電が発生してしまう点が課題でした。
政府は「蓄電池」や「電気自動車」などの大型バッテリー製品の普及にも多額の補助金を投入しており、災害時には「各家庭で電力を補い合える」インフラの確立に尽力しています。
スマートグリッドにデメリットや問題点はある?
さいごに、スマートグリッドの課題ともいえる「2つのデメリット」について解説していきます。
デメリット①:スマートメーターや設備費用がかかる
スマートグリッドの導入にはスマートメーターやHEMSの設置が必須のため、多額の設置費用や人件費がかかってしまうことがデメリットといえます。
各家庭に設置されるスマートメーターの価格は「約1万円」といわれており、たとえば10万世帯に導入するだけでも「約10億円」ものコストが必要です。
スマートメーターの設置費用は電力会社が負担しているため各家庭にデメリットはないものの、故障時の修繕費やシステム保守費用など、継続的にかかる費用も問題視されています。
デメリット②:個人情報が流出する可能性が考えられる
スマートメーターにはインターネットを使った情報通信技術が用いられているため、電力会社に「ハッキング」などが行われると、個人情報が流出してしまう恐れがあります。
ハッキングで「電気の利用情報」などが流出すると、「外出の多い時間帯」などが把握されて空き巣被害などにつながる可能性も考えられます。
大手の電力会社でも情報漏洩などが発生するケースは少なからずありますので、各企業の情報セキュリティの強化は急務といえるでしょう。
まとめ:スマートグリッドは電力網のムダをなくす画期的な仕組み
本記事でくわしく解説してきた「スマートグリッドの仕組みやメリット・デメリット」についての重要ポイントを、以下にもう一度まとめていきます。
- スマートグリッドとは、インターネットやIT技術を利用した次世代の送電ネットワークのこと
- 従来の送電網では不可能だった、使用量や需要に合わせた電力供給が可能であることが特徴
- スマートグリッドの導入には、「スマートメーター」と「HEMS」という機器の設置が必要
- スマートメーターを設置すれば30分おきの電気使用量が把握できるため、節電にも役立つ
- 電力会社がハッキングされると個人情報が流出する可能性もあるため、セキュリティ対策が大きな課題
需要に合わせて電力供給を最適化できるスマートグリッドは、各家庭の節電はもちろん、電気料金の値上がりを食い止める役割も担っています。
スマートグリッドの技術を使えば、太陽光発電などの再生可能エネルギーを最大限に活用できるようになるため、結果的に「CO2の削減」にもつながります。
従来ではできなかった「時間別・日別の電気使用量の確認」は公式Webサイトやスマホアプリなどで行えますので、ぜひチェックして日頃の節電に役立ててみましょう!
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
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