一軒家に太陽光発電を導入するタイミングは?特徴や価格相場を解説
一軒家で太陽光発電を導入する際、費用、効果、回収期間など気になりますよね。
今回は、一軒家に太陽光発電を設置するメリット・デメリット、タイミング・価格まで紹介します。
目次
太陽光発電とは?一軒家で太陽光発電を始める方法
太陽光発電を一軒家で手軽に始めたい人に、太陽光発電の仕組みや必要なものを詳しく紹介します。
太陽光発電って何?
太陽光発電の仕組みをまとめると、以下のとおりです。
- 太陽光パネルを設置
- 太陽の光を電気に変換
- 発電した直流電気をパワーコンディショナーに送る
- 直流電気は交流電気に変換
- 余った電気は売電または近隣で使用
太陽光発電は自家用の電力を作るだけでなく、余った電力を売って収入を得ることができます。
また、再生可能エネルギーの活用による地球環境への貢献も大きな魅力の一つです。
家で太陽光発電を使うために必要なものは?
太陽光発電を始めるには、以下の設備が必要です。
具体的な機器やシステムについて、詳しく説明します。
- 太陽光パネル:太陽の光を電気に変える
- 架台:パネルを支える台
- パワーコンディショナー:発電した電気を家庭で使える形に変換
太陽光発電システムは、パネル、架台、パワーコンディショナーなどの要素が一体となっています。
それぞれがシステム全体の一部を担っており、単独での購入は少ないです。
そのため、通常はセットで提供され、専門業者によって設置されます。
太陽光発電が一軒家にもたらす未来とは?
太陽光発電が一軒家にもたらす未来は、どのようなものでしょうか?
ここからは、太陽光発電の現在や未来の設置数について紹介します。
東京で新築の太陽光パネル設置が必須に
東京都では、2030年までに温室効果ガス排出量を半減する「カーボンハーフ」計画を進めています。
その一環として、新築の住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける取り組みを始めており、設置費用や維持管理についての支援も検討されています。
他の地域でも同様の義務化が進む可能性があるため、住宅購入者は注目すべきです。
太陽光発電の使用が増え続けている
太陽光発電の設置数は、毎年少しずつ増えています。
年度 | 10kW未満の設置件数 |
2018年 | 146,679件 |
2019年 | 152,232件 |
2020年 | 141,543件 |
2021年 | 153,169件 |
2022年 | 190,307件 |
(※参照:一般社団法人 太陽光発電協会|太陽光発電の現状と 自立化・主力化に向けた課題)
2022年度、10kW未満の住宅用太陽光発電の導入件数が約19万件も増加しました。
これは、電気料金が上昇したことで太陽光発電の競争力が高まったためです。
国の目標である2030年までに新築住宅の6割に太陽光発電を設置する目標に近づく一歩と言えます。
太陽光発電の設置費用はパネル数やメーカーによって変わる?
太陽光発電システムの設置費用は、太陽光パネルの枚数やメーカーによって異なります。
以下では、一般的な価格相場や主要メーカーの設置コストについて紹介します。
太陽光発電1kWあたりの価格相場
太陽光発電の設置費用は、1kWあたりの平均価格が約26.1万円です。
2012年に比べ、太陽光発電の価格が約10年間で10万円以上も安くなっています。
現在も価格は下がり続けており、一般家庭でも導入しやすい時期と言えます。
(※参照:経済産業省|令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案) )
パネルの枚数やメーカーによって費用が異なる
パネルの性能は、ほぼ同じですが、メーカーによって大きさや形、発電量が変わります。
異なるメーカーの太陽光パネルは、サイズや発電効率が違い、同じサイズでも、発電能力が異なることがあります。
また、パネルの枚数が増えると設置費用も増えます。
つまり、太陽光発電システムを導入する際には、必要な電力量や目的に応じて、適切なパネルの枚数を選択することが大切です。
屋根の形状によって費用が変わる
屋根の形状によって、太陽光パネルの設置費や効率が変わります。
長方形以外の屋根や北向きの屋根は、設置がむずかしかったり、効率が悪かったりします。
また、南向きの片流れ屋根は発電効果が高いですが、広い敷地が必要です。
そのため、屋根の形状によっては、太陽光パネルの設置スペースが制限されることがあります。
太陽光発電の効率を最大限に引き出すためには、屋根の形状や方位を考えながら設置計画を立てることが大切です。
使用されている屋根材によっても費用が違う
屋根の材料によって太陽光パネルの設置費用が変わります。
例えば、瓦屋根や金属製の屋根では、パネルを取り付けるために瓦を一つひとつ取り外したり、補強や配線工事を慎重に行ったりする必要があります。
そのため、工事の手間や工程が増え、瓦屋根の場合は一般的に設置費用が高くなることも考えられます。
太陽光発電の売電収入を得る方法!シミュレーションを解説
太陽光発電の売電収入を得る方法や、手計算で行うシミュレーション方法について紹介します。
太陽光発電で余った電力は売れる
家庭用の太陽光発電では、余った電力を蓄電池に貯めて、必要な時に使うだけでなく、電力会社に売ることもできます。
FIT制度では、売電価格が10年間16円/kWh(2024年の場合)で決まっており、初期費用の回収までの年数を計算することも可能です。
これにより、太陽光発電システムの導入が魅力的になり、自家消費や収益の向上が期待できます。
売るためには蓄電池が必要
太陽光発電の売電は、家庭で余った電力を蓄電池に貯め、それを電力会社に売る仕組みです。
蓄電池に余った電力を貯めることで、需要が高い時に電力を供給し、売電収入を大きく得ることができます。
太陽光発電で売電を考えている人は、蓄電池の導入を検討する必要があります。
売値はシミュレーションで計算
太陽光発電の売買価格を使って、固定価格買取制度を利用したシミュレーションで売値が求められます。
まず以下の条件から、売電収入を求めることができます。
- システム容量:5kW
- 2024年の売電単価:16円
- 1kWあたりの年間発電量:1,000kWh
- 年間発電量:5,000kWh
太陽光発電で得た発電量は、7割は売電収入、3割が自家消費のため、売電収入で使える発電量は3,500kWhになります。
売電収入は以下の計算式で求めることができます。
売電単価 × 年間の売電発電量 ÷ 12ヵ月 = 1ヵ月の売電収入
16円 × 3,500(kWh)÷12(ヵ月)= 4,667(円)
つまり、10年間で560,000円の収入が得られます。
売電単価が低く感じられますが、日射量や使用状況によって発電量を増やし、売電収入を増やすことも可能です。
太陽光発電の魅力的なメリットとは?家庭での設置を考える理由
ここからは、太陽光発電のメリットについて、詳しく紹介します。
発電して余った電力が売れる
太陽光発電の大きなメリットは、売電による追加収入です。
10年間、一定の価格で電気を売ることができ、安定した収入を得られます。
初期費用を回収した後は、定期的なメンテナンスで継続的な収入が見込めます。
この安定した収入は、家計の予算管理や将来の計画に役立つでしょう。
再エネ賦課金を減らす
太陽光発電を使うと、電気代の再エネ賦課金を削減できます。
2023年度の再エネ賦課金は1.40円でしたが、2024年2月からは3.50円/kWhまで上がります。
この値上げで1ヵ月に420円も増えますが、太陽光発電を導入することで電気使用量が減るため、再エネ賦課金の削減も可能になります。
停電時でも電気が使える
太陽光発電は、停電時でも自家発電できるので、家電や携帯電話などを使うことができます。
さらに蓄電池を組み合わせることで、太陽光で発電した電力を貯めて、夜間や雨の日の利用も可能です。
このため、自然災害や停電が発生しても、家庭での生活や安全が確保され、安心感が得られます。
CO2削減で環境にやさしい
太陽光発電は、CO2削減に非常に効果的です。
1kWの太陽光発電は、年間約1,000kWhの電力を生成します。
例えば、3kWの場合は、年間約3,000kWhの電力を発生するので、年間約1,950kg前後のCO2排出を削減できます。
クリーンなエネルギー源を利用することで、地球温暖化や大気汚染などの環境問題に対処することができるのです。
国や自治体の補助金を利用できる
太陽光発電の導入には高額な費用がかかりますが、補助金制度を利用すると支援を受けられます。
例えば、新築のZEH住宅に太陽光発電を設置すると、国や自治体からの補助金を受けられることがあります。
また、自治体によって補助金の金額や条件が異なるので、事前に詳細をチェックすることが大切です。
最新情報は、各自治体のウェブサイトや窓口で入手できますので、ぜひ活用してみましょう。
屋根の断熱性能が向上
太陽光パネルは、屋根を守り、夏は暑さをしのぎ、冬は暖かさを保ちます。
屋根に設置されるため、直射日光や雨から屋根を保護し、寿命を延ばす役割も果たします。
また、屋根のコーティングや遮熱材を使うと、屋根が長持ちしやすくなり、修理やメンテナンスが少なくなるメリットがあります。
さらに、屋根が熱を外に逃がしにくくなるので、室内が涼しいままでいられて、エアコンの使用頻度が減り、電気代も節約できます。
太陽光発電のデメリット解説!設置前に知っておきたいこと
次に太陽光発電のデメリットについて、詳しく紹介します。
設置費用が高額
太陽光発電を導入するには、一般的には100万円~200万円程度の費用がかかります。
ソーラーパネルだけでなく、パワコンや架台などの設備も必要だからです。
これらの設備は、太陽光を電力に変換し、安全に送電するために必要です。
設置費用を抑えるためには、海外メーカーの太陽光発電を検討したり、補助金を利用したりすることで、設置費用を削減できるでしょう。
発電量は天候に左右される
太陽光発電を利用する際は、悪天候や曇りの日だと発電量が下がります。
しかし、発電効率の高いパネルや蓄電池を導入すれば、発電量が少ない時でも電力を確保し、安心して使用できます。
事前に発電量の予測やシミュレーションをすることで、設置エリアに適したパネルを選び、太陽光発電を安心して利用することができるでしょう。
夜間は発電ができない
太陽光発電は太陽が出ている間しか利用できず、夜間には発電が停止します。
そのため、日中に発電して余った電力を蓄電池に貯めておくことで、夜間や曇りの日でも電力が使えます。
蓄電池があると、夜間の安い電力を蓄電池に貯められるので、結果として電気代の節約につながります。
住宅にパネルの重さが負担となる
太陽光パネル1枚あたりの重さは、およそ15kgです。
たとえば、200Wの太陽光パネルを20枚使って4kWのシステムを構築する場合、パネルの総重量は300kgになります。
このように太陽光パネルの枚数が多くなると、システム全体の重さも増えます。
そのため、太陽光パネルを設置する場所やシステムの耐久性を考慮し、適切な架台や支持構造を選ぶことが重要です。
定期的なメンテナンスが必要
太陽光パネルは汚れや劣化が起こりやすいため、定期的な点検やメンテナンスが必要です。
2017年4月1日の改正FIT法により、10kW未満の住宅用太陽光発電のメンテナンスが法的に義務付けられました。
通常、4年に1回のメンテナンスが必要で、費用は2万円程度です。
メンテナンスで早期に問題を発見し、適切な処置を実施することで、システムの性能を維持し、長期間にわたって効率的に発電できます。
反射光によるリスクがある
太陽光パネルが密集した地域では、反射した光が隣の家の室内を照らすことがあります。
建物が近いと、光の反射や影響が増えたり、太陽の位置や角度によっては、光が隣の家の中に入り込んだりすることもあります。
この問題を避けるためには、地元の規制に従ったり、隣近所と話し合ったり、専門家に相談することが大切です。
売電価格が低下する可能性がある
FIT法により、太陽光発電の売電価格は10年間一定ですが、毎年価格は下がっています。
2024年の1kWhあたりの売電価格が16円まで下がりました。
10年以降は、さらに価格が下がり、半分以下になる可能性があります。
このため、太陽光発電の事業者は将来の価格変動に備えて、事業計画を立てる必要があります。
また、10年後にはパワーコンディショナの寿命が来るため、発電効率の良いパワーコンディショナを導入することも重要です。
太陽光発電の設置時期は?新築時と後からのメリットとデメリット
太陽光発電の設置時期は、新築時か後から設置するか、どちらがお得か気になりますよね。
ここからは、新築時と後からの設置それぞれのメリットとデメリットについて詳しく紹介します。
新築時に太陽光発電を設置するメリットとデメリット
新築時に太陽光発電を設置するメリット・デメリットを紹介します。
◇新築時に太陽光発電を設置するメリット
- 電気代を削減できる
- 売電できる機会がある
- 災害時に安心感が得られる
- 遮熱効果により、家の冷暖房費を抑えられる
- 再エネ賦課金が削減できる
- 環境に優しい選択肢
- 補助金が利用できる可能性がある
- 断熱効果が高まる
新築時に太陽光発電を設置する大きなメリットは、電気代の削減です。
太陽光発電によって自家消費電力をまかなえるため、家計の電気代を大幅に節約できます。
◇新築時に太陽光発電を設置するデメリット
- 設置費用が必要
- メンテナンス費用がかかる
- 建物によっては設置できない場合がある
- 太陽光発電が適さない場合がある
- 屋根一体型太陽光パネル設置で、固定資産税増額の可能性あり
新築時に太陽光発電を設置する最大のデメリットは、高額な費用です。
太陽光パネルや設備の購入、工事費用がかかり、その支出に悩むことになります。
ただし、ZEH補助金を受けることで一部費用をカバーできるので、新築時の負担が軽減されます。
後から太陽光発電を取り付けるメリットとデメリット
太陽光発電を後付けするメリット・デメリットを紹介します。
◇太陽光発電を後付けするメリット
- 固定資産税を節約
- 電気代の削減
- 余剰電力の販売
- 災害時の非常用電源
- 断熱効果
太陽光発電を後付けする際の大切なメリットは、固定資産税の節約と電気代の削減です。
太陽光発電を後付けすると、家庭で電気を自家発電できるので電気代が減ります。
また、太陽光発電設備は固定資産税の対象外なので、税金の負担が軽くなります。
◇太陽光発電を後付けするデメリット
- 高額な設置費用
- 屋根の強化が必要
- 火災保険料の増加
太陽光発電を後から導入する場合、高額な設置費用が大きなデメリットです。
太陽光発電設備の購入や工事費用が必要であり、これらの費用がかさみます。
したがって、慎重な予算計画と資金調達が不可欠です。
太陽光発電の導入後に備えるべき費用と注意点
太陽光発電の導入後に注意したいポイントについて詳しく紹介します。
パワーコンディショナーの交換費用
経済産業省 資源エネルギー庁によると、通常のパワーコンディショナの交換にかかる費用の平均は、22.4万円が目安です。
パワコンの寿命は、10年~15年なので、2回ほどの交換費用がかかることを踏まえておきましょう。
(※参照:資源エネルギー庁「太陽光発電について」)
定期点検費用
太陽光発電の定期点検には、約3万円かかります。
年間平均すると、およそ7,000円から8,000円の維持費が必要です。
時々、点検が無料の場合もありますが、そうするとお金を節約できるメリットがあります。
たとえ無料でもサービスの品質や内容には要注意です。
無料であっても、十分なメンテナンスが行われるとは限らないので、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
パネルの清掃費用
太陽光パネルの清掃費用は、基本料金が1万円前後で、パネル1枚ごとに500円から1,000円がかかります。
太陽光パネルの清掃は、電力の効率的な生成やパネルの寿命延長のために必要です。
年に1回から2回の清掃が推奨されており、費用は基本料金とパネル1枚ごとの価格で設定されます。
清掃は安全面でも重要で、作業環境を安全に保つことができます。
システムの撤去およびパネルの廃棄に伴う費用
5kW程度の住宅用太陽光発電システムを撤去するには、太陽光パネルの取り外し費用が20万円以上かかります。
その後の運搬や廃棄処分費用は、一般的には5万円~10万円程度です。
撤去後のパネルは産業廃棄物として処分されるため、廃棄処分費用も加算されます。
災害時の備えに!太陽光発電でエコ&安心な暮らしを実現
今回は、一軒家に太陽光発電を導入する際のタイミングや特徴、価格相場について解説しました。
太陽光発電を導入すると、電気代が減り、売電で収入が得られるため、投資効果が高くなります。
また、CO₂を排出せず、環境に負荷をかけないため、地球温暖化や大気汚染などの問題に効果的です。
太陽光発電を考えるときは、設置費やメンテナンス費だけでなく、システムの効率や寿命、補助金や税制優遇なども考慮しましょう。
全体の費用をしっかり把握することで、導入後の経済的なメリットがはっきりと見えて、適切な判断ができます。
太陽光発電の設置に不安がある場合は、太陽光発電や蓄電池の専門業者に依頼することをおすすめします。
この記事の監修者
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太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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