太陽光パネル有害物質の真実と安全な導入・廃棄方法

太陽光パネルの導入を検討する際、「有害物質が含まれているのではないか」という不安を抱く方も少なくありません。確かに太陽光パネルには微量の有害物質が含まれているものの、適切な取り扱いと処理を行えば人体や環境への影響は最小限に抑えることができます。本記事では、太陽光パネルに含まれる有害物質の詳細から、安全な導入・廃棄方法まで、住宅設備機器の導入を検討する皆様が知っておくべき情報を詳しく解説いたします。
目次
太陽光パネルに含まれる有害物質の実態
主要な有害物質とその含有量
太陽光パネルには製造過程で使用される物質のうち、いくつかの有害物質が含まれています。最も注意すべき物質は鉛、カドミウム、ヒ素などの重金属類です。これらの物質は発電効率を高めるために必要な成分として使用されており、完全に除去することは技術的に困難とされています。
結晶シリコン系太陽光パネルの場合、鉛は主にはんだ材として電極部分に使用されており、1枚あたり約10グラム程度含まれています。一方、薄膜系太陽光パネルには、CdTe(テルル化カドミウム)を使用したものがあり、カドミウムが含有されています。
パネル種類別の有害物質含有状況
結晶シリコン系パネル(単結晶・多結晶)では、主に鉛がはんだ材として使用されています。この鉛含有量は近年の技術革新により大幅に削減されており、従来品と比較して約80%の削減を実現している製品も登場しています。
薄膜系パネルには複数の種類があり、それぞれ異なる有害物質を含有しています。a-Si(アモルファスシリコン)系は比較的有害物質が少ない一方、CdTe系やCIGS系には注意が必要な物質が含まれています。
健康への影響と安全性について
通常使用時の安全性
正常に動作している太陽光パネルからは有害物質が外部に漏出することはありません。パネル内部の有害物質は強化ガラスとフィルム、バックシートによって完全に封じ込められており、日常的な使用においては人体への直接的な影響はないとされています。
国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、太陽光パネルの設置・運用期間中における有害物質の環境放出量は、他の発電方式と比較して極めて低いレベルに留まっています。
破損時のリスクと対処法
パネルが破損した場合の対応が最も重要です。パネルが割れたり損傷したりした場合は、直ちに専門業者に連絡し、適切な処理を依頼することが必要です。破損箇所から有害物質が漏出する可能性があるため、素人による修理や処理は避けるべきです。
破損時の応急処置として、破損部分に近づかない、換気を行う、子供やペットを近づけないなどの基本的な安全対策を講じることが重要です。
環境への影響と対策
製造段階での環境負荷
太陽光パネルの製造過程では、シリコン精製やガラス製造に大量のエネルギーが必要となります。しかし、パネル設置後2~3年で製造時のエネルギーを回収し、その後20年以上にわたってクリーンエネルギーを供給します。
製造段階での有害物質の排出についても、近年は厳格な環境基準が設けられており、適切な処理設備を備えた工場での製造が義務付けられています。
設置・運用段階での環境配慮
設置工事における環境への配慮も重要な要素です。工事期間は一般的な住宅用システムの場合1~2日程度で完了し、工事中の環境負荷は最小限に抑えられます。
また、パワーコンディショナーとの系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります(※電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります)。このため、定期的なメンテナンスによる環境負荷の軽減が推奨されています。
安全な廃棄・リサイクル方法
廃棄処理の法的枠組み
2022年7月1日から、10kW以上の太陽光発電設備については廃棄費用の積立てが義務化されています。発電事業者は設備の廃棄に必要な費用を事前に積み立てることが法的に求められており、適切な処理体制が整備されています。
太陽光パネルの処分費用は1枚あたり5,000円からが相場となっており、この費用には有害物質の適切な処理費用も含まれています。
リサイクル技術の現状
現在の技術では、太陽光パネルの約95%がリサイクル可能とされています。ガラス、アルミフレーム、シリコンセルなどの主要部材は分離・回収され、新たな製品の原料として再利用されています。
有害物質についても、専門的な処理施設において安全に分離・無害化処理が行われており、環境への影響を最小限に抑える技術が確立されています。
適切な廃棄業者の選択
太陽光パネルの廃棄を行う際は、産業廃棄物処理業の許可を持つ専門業者に依頼することが法的に義務付けられています。信頼できる業者を選択することで、有害物質の適切な処理と環境保護を両立することができます。
安全性を重視した太陽光パネル選び
有害物質削減型パネルの選択
近年、有害物質の使用量を大幅に削減した太陽光パネルが数多く開発されています。鉛フリーはんだを使用したパネルや、カドミウムを使用しない薄膜系パネルなど、環境負荷の少ない製品を選択することが可能です。
メーカー各社は環境配慮型製品の開発に積極的に取り組んでおり、RoHS指令(電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限)に準拠した製品も増加しています。
品質認証と安全基準
太陽光パネルの安全性を確保するため、国際的な品質認証制度が確立されています。IEC(国際電気標準会議)規格やJIS(日本産業規格)に適合した製品を選択することで、有害物質の適切な管理と安全性の確保が可能です。
また、国内メーカーの製品については、より厳格な自主基準を設けている場合も多く、安全性の面でも優れた選択肢となります。
設置・メンテナンス時の注意点
専門業者による施工の重要性
太陽光発電システムの設置工事は専門的な知識と技術を要する作業です。有害物質を含む製品を安全に取り扱うためには、適切な訓練を受けた専門業者による施工が不可欠です。
工事前には電力会社への連系申請や各種手続きが必要で、申請から工事完了まで全体では3~6ヶ月程度の期間を要することが一般的です。系統連系は申請から承認までに要する期間は通常3ヵ月~6ヵ月程度とされています。
定期点検と安全管理
設置後の定期的な点検とメンテナンスは、安全性の維持と有害物質の漏出防止のために重要です。年1回程度の専門業者による点検を実施し、パネルの損傷や配線の劣化がないかを確認することが推奨されます。
点検時には、パネル表面の汚れや影の影響、パワーコンディショナーの動作状況なども併せて確認し、システム全体の安全性と性能を維持することが大切です。
費用対効果と安全性のバランス
導入費用と安全対策費用
太陽光発電システムの導入費用は、一般的な家庭用太陽光発電システム(4kW~5kW)の場合140万円~200万円程度が目安となります。この費用には安全な施工と適切な機器選定による有害物質対策も含まれています。
太陽光パネルの設置費用の相場は、パネルの種類や設置面積、工事内容などによって大きく異なりますが、一般的には1kWあたり35万円~40万円程度となります。
長期的な安全性とメリット
太陽光発電システムは適切に管理することで、20年以上にわたって安全にクリーンエネルギーを供給することができます。住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は1kWhあたり15円(設置年度や電力会社によって異なります)となっており、長期的な経済メリットも期待できます。
初期投資に対する回収期間は一般的に10~15年程度とされており、システムの寿命を考慮すると十分な投資効果が見込めます。
よくある質問
太陽光パネルの有害物質は健康に影響しますか?
正常に動作している太陽光パネルからは有害物質が外部に漏出することはなく、日常的な使用において人体への直接的な影響はありません。パネル内部の有害物質は強化ガラスとフィルムによって完全に封じ込められています。
パネルが破損した場合はどうすればよいですか?
パネルが破損した場合は直ちに専門業者に連絡し、適切な処理を依頼してください。破損箇所に近づかず、換気を行い、子供やペットを近づけないなどの基本的な安全対策を講じることが重要です。
有害物質の少ない太陽光パネルはありますか?
近年、鉛フリーはんだを使用したパネルやカドミウムを使用しない薄膜系パネルなど、有害物質の使用量を大幅に削減した製品が開発されています。RoHS指令に準拠した環境配慮型製品の選択が可能です。
廃棄時の費用はどの程度かかりますか?
太陽光パネルの処分費用は1枚あたり5,000円からが相場となります。10kW以上の設備については2022年7月から廃棄費用の積立てが義務化されており、適切な処理体制が整備されています。
どのような業者に設置を依頼すればよいですか?
太陽光発電システムの設置は、適切な訓練を受けた専門業者に依頼することが重要です。IEC規格やJIS規格への適合確認、施工実績の豊富さ、アフターサービスの充実度などを総合的に判断して業者を選択してください。設置に関するご相談は、お気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
この記事の監修者

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