蓄電池スマートスターの特徴と価格相場

目次
スマートスターとは何か
スマートスターは伊藤忠商事株式会社が開発・販売する全負荷対応型の家庭用蓄電池システムで、停電時でも家全体に電力を供給できる高性能な蓄電システムです。一般的な特定負荷型蓄電池とは異なり、停電時においても200V機器を含む全ての家電製品を使用することができるため、災害時の安心感が格段に向上します。
従来の蓄電池では停電時に使用できる機器が限定されていましたが、スマートスターなら停電時でもエアコンやIH調理器、エコキュートなど200V機器も含めて通常通りの生活を維持できるのが最大の特徴です。
スマートスターの基本仕様
スマートスターには複数の容量タイプが用意されており、それぞれの家庭のライフスタイルや電力使用量に応じて選択できます。主力製品である9.8kWhモデルは、一般家庭の1日の電力使用量をほぼ賄える容量を備えています。リチウムイオン電池を採用し、充放電サイクル数は約12,000回を実現しており、30年前後の長期使用が可能です。
システムには高性能なパワーコンディショナーが内蔵されており、太陽光発電システムとの連携も可能です。また、スマートフォンアプリによる遠隔監視機能も備えており、外出先からでも蓄電池の状態を確認できます。
スマートスターの主要機能と性能
全負荷対応機能
スマートスターの最大の特徴は全負荷対応機能です。従来の特定負荷型蓄電池では、停電時に使用できる回路があらかじめ決められており、通常は照明やコンセントなど一部の設備のみが使用可能でした。しかし、スマートスターは分電盤と直接接続することで、停電時でも家全体への電力供給を継続します。
この機能により、停電時でも以下のような機器を使用できます:
- エアコン(暖房・冷房)
- IH調理器
- エコキュート
- 食器洗い乾燥機
- 洗濯乾燥機
- 電子レンジ
- 冷蔵庫
大容量と高出力
スマートスターは9.8kWhの大容量バッテリーを搭載し、最大出力3kVAを実現しています。この容量と出力により、一般家庭であれば約8~10時間程度の電力供給が可能です。特に災害時の長期停電においても、必要最小限の電力使用に抑えることで数日間の電力確保も可能になります。
高出力設計により、起動時に大きな電力を必要とするエアコンや電子レンジなどの機器も問題なく動作させることができます。
AI学習機能
スマートスターには家庭の電力使用パターンを学習するAI機能が搭載されています。過去の使用データを分析し、天気予報と連動して最適な充放電スケジュールを自動で作成します。これにより、電気料金の削減効果を最大化できます。
また、太陽光発電システムと連携している場合は、翌日の天気予報に基づいて発電量を予測し、蓄電池の充電タイミングを最適化します。
スマートスターの価格相場と費用
本体価格
スマートスター9.8kWhモデルの本体価格は約350万円~400万円程度が相場となっています。この価格は容量1kWhあたり約36万円程度に相当し、一般的な家庭用蓄電池の相場である1kWhあたり20万円~30万円程度と比較すると高価格帯の製品です。
高価格の理由は、全負荷対応機能や高出力設計、AI学習機能などの高性能機能が搭載されているためです。また、信頼性の高いリチウムイオン電池と高品質なパワーコンディショナーが一体化されたシステムであることも価格に反映されています。
設置工事費用
スマートスターの設置工事費用は40万円~60万円程度が目安となります。全負荷対応のため、分電盤の工事や配線工事が複雑になることが多く、一般的な蓄電池の設置工事費用20万円~35万円程度よりも高額になります。
設置環境や配線の複雑さ等により変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
総導入費用
スマートスター導入の総費用は工事費込みで約390万円~460万円程度となります。この費用には以下が含まれます:
- 本体価格
- 設置工事費
- 電気工事費
- 各種申請費用
- 保証費用
高額な初期投資となりますが、災害時の安心感や電気料金の削減効果を考慮すると、長期的な投資価値は高いと評価されています。
スマートスターの設置条件と工事内容
設置環境の要件
スマートスターの設置には適切な設置環境の確保が重要です。屋外設置型のため、以下の条件を満たす場所が必要です:
- 平坦で安定した基礎面積(約1.2m×0.8m程度)
- 周囲に十分な点検スペース(前面1m、側面0.5m以上)
- 直射日光や雨水から保護できる場所
- 通風が良好な場所
- 分電盤から配線可能な距離
工事の流れと期間
スマートスターの設置工事は通常2~3日程度で完了します。工事の主な流れは以下の通りです:
1日目:基礎工事・配線工事
- コンクリート基礎の設置
- 分電盤からの配線工事
- アース工事
2日目:機器設置・接続工事
- スマートスター本体の設置
- 配線接続
- 動作確認
3日目:最終調整・検査
- システム設定
- 動作テスト
- 取扱説明
工事前には電力会社への連系申請や各種手続きが必要で、申請から工事完了まで全体では3~6ヶ月程度の期間を要することが一般的です。
太陽光発電システムとの連携
ハイブリッド運用の利点
スマートスターと太陽光発電システムを連携させることで、より効率的なエネルギー運用が可能になります。昼間に太陽光で発電した電力を蓄電池に蓄え、夜間や悪天候時に使用することで、電力会社からの電力購入量を大幅に削減できます。
売電価格との比較
住宅用太陽光発電(10kw未満)の売電価格は1kWhあたり15円(設置年度や電力会社によって異なります)となっており、電力会社からの電力購入価格と比較すると、自家消費による経済効果の方が高い場合が多くなっています。
スマートスターがあることで、発電した電力をより多く自家消費に回すことができ、経済効果を最大化できます。
システム連携の注意点
太陽光発電システムとスマートスターを連携させる際は、既存のパワーコンディショナーとの相性や容量の確認が重要です。また、電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります。
スマートスターのメリットとデメリット
主要なメリット
災害時の安心感
停電時でも家全体に電力を供給できるため、災害時でも普段に近い生活を維持できます。特に高齢者や小さな子供がいる家庭では、この安心感は非常に大きな価値となります。
電気料金の削減効果
AI学習機能により、電力使用パターンを最適化し、電気料金を効率的に削減できます。深夜電力を活用した充電や、ピークカット機能により、年間数万円の節約効果が期待できます。
長期間の安定運用 30年前後という長期間の使用が可能で、一度設置すれば長期にわたって安定した電力供給を受けることができます。
考慮すべきデメリット
高額な初期投資 総導入費用が400万円程度と高額なため、初期投資の回収期間が長くなる可能性があります。
設置場所の制約 屋外設置型のため、適切な設置場所の確保が必要です。狭小住宅では設置が困難な場合があります。
メンテナンスの必要性
精密機器のため、定期的な点検とメンテナンスが必要です。基本的には無償での保証対応となりますが、保証期間終了後は有償でのメンテナンスが必要になります。
補助金制度の活用
国の補助金制度
2025年度においても、家庭用蓄電池の導入に対する国の補助金制度が継続されています。スマートスターも対象となる補助金があり、条件を満たせば50万円~100万円程度の補助を受けることができます。
ただし、補助金の申請には期限があり、予算に限りがあるため早期の申請が重要です。また、太陽光発電システムとの同時導入や省エネ性能の基準達成など、各種条件を満たす必要があります。
地方自治体の補助金
多くの地方自治体でも独自の蓄電池導入補助金制度を設けています。国の補助金と併用できる場合が多く、総額で100万円以上の補助を受けられるケースもあります。
各自治体の補助金制度は予算や期限が異なるため、導入を検討している地域の最新情報を確認することが重要です。
スマートスターの将来性と技術革新
次世代技術への対応
スマートスターは継続的な技術革新により、より高性能・高効率なシステムへの進化を続けています。最新モデルでは、AI機能の向上により予測精度が大幅に改善され、さらなる電気料金削減効果が期待できます。
スマートグリッドとの連携
将来的には、地域全体のエネルギー管理システム(スマートグリッド)との連携により、より広域でのエネルギー最適化に貢献できる可能性があります。これにより、個々の家庭だけでなく、地域全体での電力安定供給にも寄与できると期待されています。
まとめ
スマートスターは全負荷対応機能と高性能AIを搭載した次世代型蓄電池システムとして、災害時の安心感と日常の電気料金削減の両方を実現できる優れた製品です。初期投資は高額ですが、長期的な視点での価値を重視する家庭にとっては、非常に有力な選択肢となります。
導入を検討される際は、家庭の電力使用パターン、設置環境、予算、補助金の活用可能性を総合的に判断することが重要です。また、太陽光発電システムとの連携により、さらなる経済効果と環境価値を享受できます。
よくある質問
スマートスターの設置には工事が必要ですか?
スマートスターの設置には専門的な電気工事と基礎工事が必要です。屋外設置型のため、コンクリート基礎の設置や分電盤からの配線工事、アース工事などが含まれます。工事期間は通常2~3日程度で、有資格者による作業が義務付けられています。設置環境や配線の複雑さ等により変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
停電時にどのくらいの時間使用できますか?
スマートスターの9.8kWhモデルでは、一般家庭で約8~10時間程度の電力供給が可能です。使用する電力量によって変動しますが、必要最小限の機器のみ使用すれば数日間の電力確保も可能です。全負荷対応のため、エアコンやIH調理器なども使用できますが、これらの機器を多用すると使用時間は短くなります。
太陽光発電システムとの併用は必須ですか?
スマートスター単体での運用も可能ですが、太陽光発電システムとの併用により経済効果が大幅に向上します。太陽光発電がない場合は、深夜電力を活用した充電とピークカット機能により電気料金を削減できますが、併用した場合と比較すると効果は限定的になります。最大限の効果を得るためには太陽光発電システムとの組み合わせがおすすめです。
保証期間はどのくらいですか?
スマートスターには10年間のシステム保証が付帯されており、基本的には無償での保証対応となります。蓄電池本体については充放電サイクル数12,000回または10年間のうち、いずれか早い方まで保証されます。保証期間中は製品不具合や性能低下に対する修理・交換が無償で提供されますが、使用環境や使用方法による故障は対象外となる場合があります。
設置後のメンテナンスは必要ですか?
スマートスターは基本的にメンテナンスフリーの設計ですが、長期間の安定運用のためには定期的な点検が推奨されます。年1回程度の外観点検や接続部の確認、システムの動作確認などを行うことで、トラブルの早期発見と予防が可能です。保証期間中は基本的には無償でのサポートが受けられますが、保証期間終了後は有償でのメンテナンスサービスが利用できます。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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