IHクッキングヒーターが温まらないときの原因と対処法を紹介

毎日使うIHクッキングヒーターが「なぜか温まらない」「火力が弱くなった」と感じると、料理ができず非常に困りますよね。故障を疑ってすぐに業者に連絡するべきか、それとも自分で直せるのか、判断に迷う方も多いでしょう。
この記事では、住まいと設備の専門家が、IHの不調で悩むあなたのために、以下の3つのポイントを軸に原因と対処法を徹底解説します。
- まずはセルフチェック: 業者を呼ぶ前に、自分で確認できる5つの原因と対処法
- 寿命のサインと判断基準: 修理か交換かを見極めるための、IHの平均寿命(約10〜15年)と劣化のサイン
- 費用の全体像: 交換にかかる費用の相場(10万円〜25万円)と、火災保険が適用できる可能性
この記事を最後まで読めば、不調の原因を冷静に切り分け、無駄な出費を抑えながら最適な解決策を見つけられるようになります。
目次
第1章:【まず自分で確認】IHが温まらない時に試すべき5つの対処法
IHが温まらない、または火力が弱いと感じた際、すぐに故障だと決めつけるのは早計です。専門業者に依頼する前に、まずは以下の5つのポイントをご自身で確認してみてください。意外と簡単な見落としが原因であることも少なくありません。
1. 鍋の材質や形状は適切か?
最もよくある原因が、使用している鍋やフライパンがIHに対応していないケースです。IHクッキングヒーターは磁力線を使って鍋自体を発熱させる仕組みのため、磁石がくっつかない材質の鍋は使用できません。
- 対応している鍋: 鉄、鉄鋳物、鉄ホーロー、ステンレス(一部)など。製品安全協会が認定する「SGマーク」や、「IH対応」の表示があるか確認しましょう。
- 対応していない鍋: アルミ、銅、土鍋、耐熱ガラスなど。
- 鍋底の形状: 鍋底が反っていたり、小さすぎたり(直径12cm未満が目安)すると、センサーが正しく検知できず加熱が始まらない、あるいは途中で止まってしまうことがあります。
2. トッププレートや鍋底は汚れていないか?
トッププレート(天板)の表面や鍋底に焦げ付きや汚れが付着していると、温度センサーが誤作動を起こし、安全装置が働いて加熱を停止することがあります。特に、トッププレートの中央にある丸い「光火力センサー(温度センサー)」部分が汚れていると、正確な温度検知ができません。柔らかい布や専用のクリーナーで清掃し、汚れを取り除いてから再度試してみてください。
3. 電源プラグの接続やブレーカーは問題ないか?
基本的なことですが、見落としがちなのが電源の問題です。IHクッキングヒーターは消費電力が大きいため、専用のコンセントに接続されています。
- 電源プラグ: プラグがコンセントから抜けかかっていないか、しっかりと奥まで差し込まれているかを確認します。
- ブレーカー: 分電盤を確認し、IH専用のブレーカーが落ちていないか(OFFになっていないか)をチェックしてください。
4. 主電源スイッチは入っているか?
長期間使用しなかった後や、停電後などに多いのが、本体の「主電源」スイッチがオフになっているケースです。多くの機種では、トッププレートの手前側や側面に主電源ボタンがあります。このスイッチが切れていると、個別の加熱ボタンを押しても反応しません。一度主電源を入れ直してから操作してみてください。
5. 「チャイルドロック」がかかっていないか?
小さなお子様の誤操作を防ぐための「チャイルドロック」機能が作動していると、一切の操作を受け付けなくなります。ロックがかかっている場合、鍵のマークなどが表示されていることが多いです。「ロック」や「長押し」と書かれたボタンを3秒ほど長押しすることで解除できる機種が一般的ですので、取扱説明書で解除方法を確認してください。
これらの5つの基本的なチェックポイントを確認しても症状が改善しない場合は、IHクッキングヒーター本体の内部的な問題が考えられます。次の章では、より専門的な原因について解説します。
IHの不調を機にオール電化の仕組みを見直すのも一つの手です。給湯器(エコキュート)の基本をまとめた無料の「エコキュートの教科書」で、光熱費全体の知識を深めておくと安心です。
※オール電化の光熱費はご家庭の電気使用量や契約プランにより異なります。
第2章:対処法で解決しない?考えられる本格的な原因と寿命のサイン
セルフチェックを行ってもIHが温まらない場合、残念ながら本体の経年劣化や部品の故障が原因である可能性が高まります。ここでは、専門的な修理や交換が必要となる主な原因と、製品寿命のサインについて解説します。
本格的な故障として考えられる原因
- 内部基盤(メイン基板)の故障: IHの頭脳にあたる電子回路が故障すると、電源が入らない、特定のヒーターだけが使えない、エラー表示が消えないといった症状が出ます。修理には基盤の交換が必要となり、比較的高額な費用がかかります。
- 冷却ファンの不具合: IH内部は高温になるため、冷却ファンで熱を逃しています。このファンがホコリなどで詰まったり故障したりすると、内部の温度が異常上昇し、安全装置が作動して加熱が停止します。
- トッププレート下のコイル断線: 鍋を加熱するための渦電流を発生させるコイルが断線すると、その部分のヒーターは全く温まらなくなります。
- 光火力センサーの故障: 鍋底の温度を検知するセンサーが故障すると、温度制御が正常にできなくなり、火力が弱くなったり、加熱が止まったりします。
IHクッキングヒーターの寿命は約10〜15年
一般的なIHクッキングヒーターの設計上の標準使用期間は約10年とされており、多くの家庭での平均的な寿命は10年〜15年と言われています。もちろん使用頻度や使い方によって前後しますが、10年を超えて不具合が出始めた場合は、寿命が近いサインと考えられます。
修理して使い続けることも可能ですが、一つの部品を直しても、立て続けに他の部品が故障する「連鎖故障」のリスクが高まります。修理費用が5万円を超えるような場合は、最新機種への交換を検討する方が、長期的に見て経済的かつ安全であるケースが多いです。
交換を検討すべき寿命のサイン
- 電源が頻繁に落ちる、または入らないことがある
- エラーコードが頻繁に表示される
- 火力の調整がうまくできない(最大にしても火力が弱いなど)
- 使用中に「ブーン」という異音が大きくなった
- トッププレートにひび割れが入っている(放置は内部への水漏れや感電の危険があり非常に危険です)
これらのサインが一つでも見られたら、本格的な交換を視野に入れて情報収集を始めることをお勧めします。
第3章:IHクッキングヒーターの交換費用と工事の流れ
実際にIHを交換する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。交換費用は大きく「本体価格」と「工事費用」の2つで構成され、機種のグレードや現在のキッチンの状況によって総額が変動します。
交換費用の総額目安は10万円〜25万円
本体価格と標準的な工事費を合わせた総額の目安は、10万円〜25万円の範囲に収まることが一般的です。以下に、費用の内訳を詳しく見ていきましょう。
| 項目 | 費用の目安 | 補足(前提条件) |
|---|---|---|
| 本体価格 | 60,000円〜200,000円 | 機能やグレードによって大きく変動します。 |
| エントリーモデル | 60,000円〜100,000円 | 基本的な加熱機能のみのシンプルな2口・3口IH。 |
| ミドルグレード | 100,000円〜150,000円 | グリル機能の充実、揚げ物温度設定など便利な機能を搭載。 |
| ハイグレード | 150,000円〜200,000円 | 自動調理機能、スマートフォン連携、オールメタル対応など高機能。 |
| 標準工事費用 | 30,000円〜50,000円 | 既存のIHからの交換で、追加工事がない場合の相場。 |
| 内訳の例 | 既存機器の撤去・処分費、新規機器の設置費、電気配線接続費、試運転・調整費など。 | |
| 追加工事費用 | 10,000円〜 | 状況により変動。見積もりでの確認が必須です。 |
| 内訳の例 | ガスコンロからの交換、200V電源の新規配線工事、開口部のサイズ調整など。 | |
【意外と知らない】火災保険が適用できるケースも
IHの故障原因が「不測かつ突発的な事故による破損・汚損」と判断された場合、ご加入の火災保険(住宅総合保険)の補償対象となる可能性があります。
- 適用例:
- 掃除中に誤って硬いものを落とし、トッププレートが割れた。
- 子どもが遊んでいておもちゃをぶつけ、操作パネルが破損した。
- 適用外の例:
- 経年劣化による自然故障。
- 原因不明の不具合。
保険が適用されるかどうかは、契約内容や事故の状況によります。心当たりがある場合は、修理・交換を依頼する前に、まず保険会社の担当者に相談してみることをお勧めします。その際、事故状況の写真や修理業者の見積書が必要になります。
交換費用の全体像が見えてくると、ご家庭の電気の使い方そのものに関心が向くかもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q1. IHが温まらない一番多い原因は?
最も頻繁に見られる原因は、使用している鍋がIHに対応していない、または鍋底が変形しているケースです。IHクッキングヒーターは磁力で鍋を発熱させるため、材質が非常に重要です。アルミ鍋や土鍋などを使っていないか、まず確認してください。
次に多いのが、トッププレートのセンサー部分の汚れによる誤作動です。これらはご自身で解決できる可能性が高いため、業者を呼ぶ前に必ずチェックすることをお勧めします。10年以上使用している場合は、経年劣化による故障も主な原因となります。
Q2. IHの修理と交換、どちらがお得ですか?
一概には言えませんが、判断の目安は「使用年数」と「修理費用」です。
- 修理を検討: 使用年数が5年未満で、修理費用が3万円程度に収まる場合。
- 交換を推奨: 使用年数が10年近く、またはそれ以上で、修理費用が5万円を超える場合。
古い機種を修理しても、別の部品がすぐに故障するリスクがあります。最新の機種は省エネ性能や安全機能、調理機能が向上しているため、長期的な視点で見れば交換の方が満足度もコストパフォーマンスも高くなることが多いです。
※メーカーの部品保有期間は製造終了後約10年が目安です。古い機種は修理部品がなく、交換しか選択肢がない場合もあります。
Q3. 交換工事にかかる時間はどれくらい?
既存のIHクッキングヒーターから新しいものへ交換する場合、工事は非常にスムーズに進みます。作業時間の目安は1時間〜2時間程度です。
ただし、ガスコンロからの交換で200Vの専用電源工事が必要な場合や、キッチンの開口部を調整する必要がある場合は、半日程度の時間が必要になることもあります。正確な時間は、見積もり時に業者に確認しましょう。
Q4. 火災保険でIHの修理費用はカバーできますか?
はい、カバーできる可能性があります。ただし、適用されるのは経年劣化や自然故障ではなく、「不測かつ突発的な事故」による破損・汚損に限られます。
例えば、「物を落として天板を割ってしまった」というようなケースです。ご自身の火災保険契約に「破損・汚損」の補償が付いているかを確認し、保険会社に問い合わせてみてください。自己負担額(免責金額)が設定されている場合もあるので、その点も確認が必要です。
Q5. オール電化だと電気代が高くなりませんか?
オール電化の電気代は、ご家庭のライフスタイルと電気料金プランに大きく左右されます。多くのオール電化向けプランは、夜間電力の単価が安く設定されています。
そのため、エコキュート(給湯器)や食洗機などを夜間の安い時間帯に稼働させることで、トータルの光熱費を抑えることが可能です。日中の電気代が割高になるプランが多いため、日中の電気使用量が多いご家庭は注意が必要です。ご自身の生活パターンに合った電力会社のプランを選ぶことが、電気代を賢く節約する鍵となります。
※近年、燃料費調整額の高騰により、時間帯別プランのメリットが薄れているケースもあります。定期的なプランの見直しをお勧めします。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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