新電力の事業撤退とは?事業撤退業者の増加理由や契約時の注意点も!
2016年に開始された電力自由化。
そこで新たに電力事業に参入した企業のことを、新電力会社(略して新電力)といいます。
新電力は、大手電力会社に比べて比較的安価で豊富な電力プランがあることが魅力の一つですが、実は昨今、新電力の事業撤退が相次いでいるというのです。
今回の記事では、新電力が事業撤退している理由や事業撤退した主な企業、今後新電力と契約する際の注意点を解説します。
目次
新電力の事業撤退の実態は?事業撤退企業が増加している主な理由は?
新電力会社と電力契約をすれば、私たち消費者の電気代削減になるなど、様々なメリットがあります。
しかし、昨今、新電力の事業撤退が相次いでいるのです。
まずは、新電力が事業撤退している実態と理由を解説します。
2021年度は倒産件数が過去最多を記録
帝国データバンクによると、新電力の2021年度の倒産件数が過去最多を記録したということです。
2021年度における新電力の倒産件数は14件。
廃業や事業撤退などを合わせると、合計で31社が電力事業から撤退したといいます。
ちなみに、直近では2015年と2017年の倒産件数は0。
2014年と2016年、2018年と2019年の倒産件数は1。
2020年の倒産件数は2といった形で推移していたので、2021年になって一気に倒産件数が大きく膨れ上がった印象です。
2022年度の倒産件数も上昇中
新電力の事業撤退は、2021年度だけに留まりません。
実は、2022年度の倒産件数も上昇しており、2022年6月8日の最新データは以下の通りです。
倒産件数 | 19社 |
事業撤退件数 | 16社 |
契約停止件数 | 69社 |
2022年6月8日時点での事業撤退件数の合計 | 104社(15%) |
2022年度は、ようやく半分が過ぎたばかり。
したがって、年度末には上記の数字がさらに膨れ上がっている可能性が指摘されており、新電力の今後が不安視されているのです。
事業撤退業者が急増している理由について
新電力は既述の通り、2020年度までの倒産件数は一桁止まりと、上出来レベルでした。
しかし、2021年度から事業撤退業者が一気に増え、2022年現在もその数を伸ばしています。
新電力がここ1〜2年で事業撤退をしている主な理由は、以下の通りです。
- 原油価格が高騰しているから
- 液化天然ガスが高騰しているから
昨今のウクライナ危機により、様々なものの値段が上昇しているのは周知の事実。
電気を作る大元部分の価格も高騰しているため、新電力会社は今までと同じレベルでの利益率を見込めなくなってしまいました。
つまり、電力事業からの撤退を余儀なくされてしまったのです。
新電力の事業撤退とは?近年撤退した主な企業は?
既述の通り、2021〜2022年にかけて、電力事業から撤退した新電力はとても多いです。
今回の章では近年、電力事業から撤退した主な企業3社にフォーカスし、どういった経緯で電力事業から撤退したのかを解説したいと思います。
ホープエナジー
株式会社ホープエナジーは、2022年3月22日に倒産しました。
負債総額は、おおよそ300億円。倒産理由は、電力の調達価格の高騰です。
株式会社ホープエナジーは、福証Q-Boardと東証マザーズに上場している株式会社ホープの子会社。
とはいえ、電力事業がグループの売り上げの約9割を占めていただけに、ホープグループの今後が懸念されている事実があります。
ホープエナジーは、電力の調達価格が高騰したことで資金不足が断続的に発生し、大手電力会社に設備投資資金の支払いが滞っていました。
新たな借金も膨れていく中、とうとう一般送電事業者との契約が解除されてしまったのです。
ホープエナジーは、個人宅向けというよりは企業向けの新電力会社だったので、被害総額がとても大きな値であることが分かりますよね。
エルピオでんき
千葉県市川市でLPガスを販売しているエルピオでんきも、2022年3月25日に事業停止を発表し、翌4月30日に電力事業から完全撤退しています。
理由は、電力の調達価格の高騰です。
かつてのエルピオでんきの最大の魅力は、料金の安さでした。
エルピオでんきは、大々的な広告を行わない代わりに、利用者が支払う電気代を最大限に安くしていたのです。
したがって、電力の調達価格が高騰してしまったことで利益率が低くなってしまい、結果として倒産に追い込まれてしまいました。
ウエストホールディングス
太陽光発電事業などを展開しているウエストホールディングスも、2022年4月30日に電力事業から完全撤退しました。
理由は、同じく電力の調達価格の高騰です。
ウエストホールディングスの電力事業の売上高は、最盛期で276億円。
この数値は、ウエストホールディングスの全体の約4割に値します。
とても大きな金額であることが分かりますよね。
新電力が事業撤退!新電力と契約する際の注意点には何がある?
新電力は、電気代が安かったり、家庭に合ったお得な電力プランを契約可能という点が魅力です。
しかし、2021〜2022年度にかけて多くの新電力会社が突然倒産したように、倒産リスクは大手電力会社と比べて高い事実があります。
だからこそ、倒産のリスクの少ない新電力と契約を結びたいですよね。
最後に、新電力と契約する際の注意点を4つ紹介します。
大企業の子会社やグループ会社を選ぶ
倒産リスクの低い新電力の選定方法は、大企業の子会社やグループ会社を選ぶことです。
もちろん倒産リスクがゼロというわけではありませんが、名の知れていない新電力に比べれば企業に対する安心感を得ることができるので、安心して日々の電力を使うことができるでしょう。
たとえば、以下のような新電力がおすすめです。
- 東京ガス株式会社の電気プラン
- ENEOS株式会社「ENEOSでんき」
- ソフトバンクグループ株式会社「ソフトバンクでんき」
- 楽天エナジー株式会社「楽天でんき」
選ぶ会社によっては、お得な特典を得られる可能性もありますよ。
利用者が多い新電力を選ぶ
利用者が多い新電力を選ぶのも、新電力の賢い選び方です。
利用者が多いということは、それだけ事業が安定しているということ。
また、口コミなどを見て、その新電力と電力契約をしても良いのかを知れるのも大きなポイント。
利用者が多い理由を自分なりに解析し、そこに納得することが出来れば、安心ですよね。
違約金のかからない新電力を選ぶ
新電力の賢い選び方として、違約金のかからない新電力がおすすめです。
新電力は、月々の支払額を抑える代わりに、契約期間が決められている場合があります。
たとえば、契約している新電力の経営に危機感を得たら、即座に安定している電力会社へ契約変更手続きを行いたいところですよね。
しかし、契約期間が決められている新電力と契約していた場合、場合によっては違約金が発生してしまう可能性があります。
したがって、大手電力会社と比べて倒産リスクがある新電力と契約を結ぶ場合、違約金がかからない新電力と契約するのがベターでしょう。
常に最悪の場合を想定しておく
常に最悪の場合を想定しておくのも、新電力と契約を結ぶにあたって必要な心構えです。
新電力は、大手電力会社と違って送電設備などを持ちません。
したがって、平常時は設備投資費用や人件費などに充てられる分の費用を支払う必要がないため、比較的安い電気料金でOKとされています。
しかし、電力の小売り業しか担っていない新電力会社は、今回のように電力の価格高騰などで事業自体を撤廃せざるを得ない状況に陥りやすいという現実があるのです。
- 大手電力会社は、倒産のリスクがない分、電気料金は割高
- 新電力会社は、倒産のリスクがある分、電気料金は割安
上記のような考えでいると、いざという時に早期に諦めがつき、新たな電力会社を早めに探すことができますよ。
新電力が事業撤退!?新電力は一長一短!安心できる企業で契約を!
今回の記事では、新電力が事業撤退している理由を解説しました。
大手電力会社よりも、月々の電気代が安くなる可能性の高い新電力。
しかし、倒産リスクは大手電力会社よりも非常に高いことは、念頭に入れておかなければなりません。
新電力を選ぶにしても、最後の章で紹介したように、安定経営している新電力と契約を結びたいところですよね。
リノベステーションではニチコンやシャープを始めとした蓄電池を取り扱っております。
もちろん、太陽光発電機器との同時購入も可能です!
手続きが面倒な補助金申請も代行しておりますので、お気軽にください。
IHやエコキュートのお取り扱いもございます。
この記事の監修者
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太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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