上限の撤廃で話題の「燃料調整制度」とは?計算方法や上限について解説!
近年、高騰が懸念されている電気料金。
電気料金が高騰している原因の1つとして「燃料調整制度」があります。
燃料調整額とは、発電に必要な燃料費が基準よりも高騰した場合、国民に費用を負担してもらう仕組みです。
目次
燃料調整額は燃料費を国民に負担してもらうための制度
現在、日本では使用している電力の多くが火力発電でまかなわれています。
燃料調整制度とは、発電に必要な液化天然ガスや石炭などの調達価格を、電気料金に反映し、国民に一部負担してもらうために、平成8年に導入された制度です。
燃料調整額は、電力会社によって異なります。
燃料調整額を確認したい場合は、契約している電力会社の燃料調整額を調べてみましょう。
燃料調整額の仕組みとは?上限って何?
電力会社の負担軽減を図るために導入された「燃料調整制度」。
燃料調整額は、電力会社によって異なり、電気使用量によって変動するので家庭によっても変わります。
燃料調整額は2023年1月現在、すでに上限に達しており、電力会社の負担軽減のために上限が撤廃される可能性も十分考えられます。
発電に使用する燃料が高騰すると燃料調整額も高騰する!
発電に必要な燃料が高騰すると、比例して燃料調整額も高騰します。
近年、世界情勢が不安定となり、火力発電に必要な液化天然ガスなどが高騰していることから、燃料調整額も高騰しています。
逆に、この先燃料費が下がった場合には、燃料調整額も下がります。
3ヶ月間の価格を2ヶ月後の電気料金に反映
東京電力では、3カ月間で必要になった燃料費の平均額を算出し、2ヶ月後の電気料金に適用して徴収しています。
例えば、1〜3月に燃料費が高騰した場合、燃料調整額が実際に高騰するのは6月分の電気料金です。
2〜4月の燃料費は7月分、3〜5月の燃料費は8月分の燃料調整費に反映され、毎月の燃料調整額が決まります。
規制料金と自由料金で燃料調整額の上限の扱いが異なる
電力会社の規制料金プランとは、2016年4月から始まった電力自由化が開始される前からあるプランのことを指します。
規制料金プランは、電気料金などを変更する際、国に許可を取らなければいけません。
燃料調整制度も、規制料金プランでは燃料調整額の上限が設定されています。
対して、自由料金プランでは電気料金を変更する際に国に許可を取る必要がありません。
燃料調整額や燃料調整額の上限の扱いは、電力会社によって異なります。
燃料調整額の上限を設けている電力会社もあれば、元々上限を設けていない電力会社もあるので、契約している電力会社やプランの燃料調整額について調べてみましょう。
燃料費高騰のため燃料調整費の上限を撤廃している電力会社も!
電力自由化に伴って設立された新電力会社の中には、燃料費が高騰したことを受けて、燃料費調整額の上限を撤廃している電力会社が多くあります。
元々、燃料調整額の上限を設けていた電力会社が燃料調整額の上限を撤廃することで、個人の家庭で支払う電気料金が上がってしまうことが懸念されています。
燃料調整額の計算方法をわかりやすく解説!
東京電力の燃料調整額は、44,200円が基準となります。
44,200円よりも高かった場合には「プラス調整」、低かった場合には「マイナス調整」の計算方法が適用されます。
東京電力の燃料調整額の計算方法
東京電力の燃料調整額の「プラス調整」と「マイナス調整」それぞれの計算方法は以下のとおりです。
〈燃料調整単価 プラス調整〉
(平均燃料価格−44,200円)×基準単価/1000=1kWhあたりの燃料調整額
〈燃料調整単価 マイナス調整〉
(44,200円−平均燃料価格)×基準単価/1000
平均燃料価格とは、実際に発電に必要になった燃料費のことを指します。
燃料調整額で電力会社を乗り換えた人が大打撃!
燃料費の高騰で大きな打撃を受けるのは、燃料調整額の上限がない電力会社や、上限を撤廃した電力会社やプランを契約している家庭です。
特に、燃料調整額のことを気にせずに新電力会社と契約してしまった家庭では、電気代の高騰に驚いているのではないでしょうか。
① 新電力会社の倒産&撤退
世界的な燃料費の高騰を受け、多くの新電力会社で燃料調整額の上限撤廃や撤退、倒産が相次いでいます。
帝国データバンクの調べによると、2021年に登録があった新電力会社706社のうち、2022年6月8日には69社が契約停止、16社が撤退、19社が倒産・廃業に追い込まれています。
1年間で706社中、35社が撤退や倒産、廃業に追い込まれており、燃料費の高騰は電力会社にとって大打撃だということが分かります。
② 新電力会社の電気料金の値上げ
新電力会社では、燃料費の高騰や電力調達価格の高騰により、電気料金の値上げをしなければいけない会社も多いです。
しかし、いくら燃料費が高くなったからといって、大手電力会社よりも大幅に電気料金を値上げしてしまっては、顧客がいなくなってしまいます。
燃料費の高騰や電力調達価格の高騰と、顧客の確保の難しさに挟まれ、苦しんでいる電力会社が多いことが現状です。
燃料調整額の撤廃で大打撃を受けないためにできることは?
燃料調整額の高騰や撤廃で、打撃を受けないためにできることは、節電や省エネ設備の導入です。
電気代が気になる人だけではなく、これから電気代の高騰に対策を打ちたいと考えている人も、今からできることをやっておきましょう。
対策① 無理せずできる限りの節電
寒さや暑さへの対策をすることで、エアコンに使用する電気を節約することができます。
さらに、冷蔵庫の開け閉めを控えたり、トイレの蓋を閉めておくことで、節電効果を得ることができます。
また、普段使用していない家電のコンセントを抜いておくことで、待機電力の節約にもなるでしょう。
しかし、寒さや暑さを我慢しすぎる節電をしてしまうと、体調を崩してしまうので注意が必要です。
対策② 太陽光発電や蓄電池の導入
大幅な電気代の節約をしたい場合、太陽光発電システムや蓄電池の導入が有効です。
太陽光発電システムと蓄電池を併用することで、昼間に発電した電力を蓄電池に充電して、夜間に使用することができます。
太陽光発電システムや蓄電池の導入には、費用が必要になってしまいます。
しかし、国や都道府県、自治体の補助金を利用することで、お得に設備を導入できるケースも多いです。
太陽光発電システムや蓄電池を導入する場合、補助金の利用を検討してみましょう。
対策③ 適したアンペア数のプランへ変更
契約しているアンペア数を減らすことで、基本料金が安くなるので、電気代が気になる場合はプランの見直しをしてみましょう。
しかし、無理にアンペア数を減らすことで、ブレーカーが落ちてしまうリスクがあります。
契約しているアンペア数が明らかに大きい場合はおすすめですが、ちょうど良い場合はアンペア数の変更はおすすめできません。
毎月の電気料金、燃料調整額についてもしっかり確認を!
今回は、電力会社の燃料調整額について解説しました。
燃料調整額は、この先の未来、下がるか上がるかは誰にもわかりません。
大手電力会社の燃料調整額も上限に達しているので、電力会社が損失を出しすぎないように燃料調整額の上限が撤廃される日が来るかもしれません。
大幅な電気料金の高騰に備えるためにも、今からできる対策を打っておきましょう。
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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