太陽光発電の訪問販売はトラブルの元?悪質な手口と断り方、優良業者を見抜く7つのポイント

太陽光発電の訪問販売で、強引な勧誘や高額な契約を迫られ、不安を感じていませんか?
太陽光発電システムは、電気代の削減や売電収入、環境貢献など多くのメリットがある一方、その導入をめぐる訪問販売でのトラブルは後を絶ちません。国民生活センターにも多くの相談が寄せられており、その手口は年々巧妙化しています。
この記事では、太陽光発電の訪問販売に関するトラブルの実態と、悪質業者が用いる典型的な手口、そして万が一契約してしまった場合の対処法(クーリング・オフ)について詳しく解説します。さらに、信頼できる優良業者を見抜くための具体的な7つのチェックポイントもご紹介します。
訪問販売の営業マンの言葉を鵜呑みにせず、正しい知識を身につけ、冷静に判断することが、高額な契約での後悔を防ぐ最大の防御策です。
この記事のポイント
- 典型的な手口: 訪問販売で使われる「不安煽り型」「限定商法型」などの巧妙なトークを理解する。
- 契約後の対処法: 万が一契約しても、8日以内なら「クーリング・オフ制度」で無条件解約が可能。
- 優良業者の見極め: その場で契約を迫らず、詳細な見積もりとデメリットを説明する業者を選ぶ。
目次
なぜ太陽光発電の訪問販売はトラブルが多いのか?
太陽光発電の訪問販売がトラブルに発展しやすい背景には、いくつかの明確な理由があります。これらを理解しておくことは、悪質な勧誘から身を守る第一歩となります。
高額商品であり、専門知識が求められる
太陽光発電システムは、数百万円単位の初期費用がかかる高額な買い物です。しかし、その価格が適正かどうかを一般消費者が判断するのは容易ではありません。
システムの価格は、
- ソーラーパネルの性能(変換効率)やメーカー
- 搭載容量(kW数)
- パワーコンディショナーの種類
- 架台や設置工事の難易度
など、多くの専門的な要素によって決まります。訪問販売業者は、こうした情報の非対称性を利用し、「一式〇〇円」といった不明瞭な見積もりで、相場よりも高額な契約を結ばせようとすることがあります。
シミュレーションの「罠」
訪問販売では、「このシステムを導入すれば、電気代がこれだけ安くなり、売電収入で〇年で元が取れる」といった発電シミュレーションが必ず提示されます。
しかし、このシミュレーションがトラブルの原因となることも少なくありません。悪質な業者は、意図的に好条件(実際よりも多い日照時間、過小な発電ロスなど)で計算し、メリットを過大に強調することがあります。
実際に設置してみたら「シミュレーション通りの発電量が出ない」「聞いていたより電気代が安くならない」といった不満が出ても、「天候不順だから」などと言い逃れされてしまうケースもあります。
公的機関の相談事例
独立行政法人国民生活センターには、太陽光発電に関する訪問販売のトラブル相談が多数寄せられています。「点検商法」や「強引な勧誘」が目立ち、特に高齢者がターゲットにされやすい傾向も指摘されています。
(参考:独立行政法人国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!-『点検が義務化された』などと言われても、安易に契約せず、まずは点検の要否を確認しましょう-」)
高額な商品だからこそ、その場の雰囲気や「お得」という言葉に流されず、冷静に情報を吟味する必要があります。
【要注意】太陽光発電 訪問販売の典型的な手口5選
悪質な訪問販売業者は、消費者の心理を巧みに利用した営業トークで契約を迫ってきます。ここでは、特に注意が必要な典型的な手口を5つ紹介します。これらのフレーズが出たら、一度立ち止まって警戒してください。
1. 不安煽り型:「このままでは損をする」
「この地域では近々、電気代が大幅に値上がりすることが決まった」
「今設置しないと、お宅の屋根は劣化して設置できなくなる」
このように、消費者の不安を過度に煽り、「今すぐ行動しなければならない」という焦燥感を抱かせる手口です。特に、屋根の劣化や近隣トラブル(「お宅の屋根が反射して眩しいと苦情が来ている」など)を指摘する「点検商法」から派生するケースも多く、注意が必要です。
2. 限定・キャンペーン型:「今だけ・あなただけ」
「本日中に契約していただければ、モニター価格で半額になります」
「この地域でのキャンペーンは、残り1枠です」
「今、ここで決断しないと損をする」と思わせ、他社と比較検討する時間を与えないための常套句です。本当に価値のある商品やサービスであれば、一日で契約を打ち切るようなことはありません。この「限定」は、ほとんどの場合、営業トークに過ぎません。
3. 過剰なメリット強調型:「絶対に儲かる」
「設置すれば、電気代は実質ゼロ。売電だけで生活できますよ」
「10年で確実に元が取れます。これは保証します」
太陽光発電は天候に左右されるため、「絶対」「確実」といった言葉は使えません。また、売電価格(FIT価格)は年々下落傾向にあります。メリットばかりを強調し、メンテナンス費用や将来の売電価格低下リスク、天候による発電量の変動といったデメリットやリスクを一切説明しない業者は信用できません。
4. 公的機関装い型:「電力会社(自治体)の紹介で」
「〇〇電力の委託を受けて、管内のご家庭を調査しています」
「自治体からの依頼で、補助金のご案内をしています」
大手電力会社や自治体の名前を出し、公的な調査や案内であるかのように装う手口です。消費者は「公的なものなら安心」と警戒心を解いてしまいがちですが、電力会社や自治体が特定の販売業者に訪問販売を委託することは、まずありません。
5. 長時間拘束・強引な勧誘
一度家に入れてしまうと、「契約するまで帰らない」とばかりに数時間にわたって居座り、強引に契約を迫る手口です。断り切れない状況を作り出し、消費者が根負けして契約書にサインしてしまうことを狙っています。
これらの手口は、消費者の冷静な判断力を奪うために巧妙に設計されています。少しでも「おかしい」と感じたら、きっぱりと「今は契約しません」「家族(専門家)に相談してから決めます」と断る勇気が重要です。
訪問販売の手口に惑わされないために
「モニター価格」「本日限定」といった言葉に惑わされ、高額な契約を結んで後悔するケースが後を絶ちません。悪質な手口に騙されないためには、まず太陽光発電の正しい知識(適正価格、メリット・デメリット)を身につけることが不可欠です。訪問販売の営業トークを鵜呑みにせず、客観的な情報で判断しましょう。
【重要】訪問販売で契約してしまった場合の対処法
訪問販売の強引な勧誘やその場の雰囲気に流され、意図せず契約してしまった場合でも、あきらめる必要はありません。消費者保護のための強力な制度「クーリング・オフ」があります。
クーリング・オフ制度とは?
クーリング・オフは、訪問販売や電話勧誘販売など、不意打ち性の高い取引で契約した場合に、消費者が冷静に考え直す時間を与えるための制度です。特定商取引法に基づき、理由を問わず、一方的に契約を解除することができます。
- 対象: 太陽光発電システムの訪問販売は、クーリング・オフの対象です。
- 期間: 法定書面(契約書面)を受け取った日を含めて8日以内です。
- 費用: 解除に伴う損害賠償や違約金を支払う必要は一切ありません。もし商品が設置されていても、業者の負担で撤去・原状回復させることができます。
クーリング・オフの具体的な手続き方法
クーリング・オフは必ず書面(または電磁的記録、例:電子メール)で行う必要があります。「電話で伝えた」だけでは法的な証拠が残らず、後で「聞いていない」と言われる可能性があるため危険です。
確実な方法としては、「内容証明郵便」または「特定記録郵便」で通知書を送付することです。これにより、「いつ」「誰が」「どのような内容の」書面を送ったかを郵便局が証明してくれます。
書面には以下の内容を記載します。
- 契約年月日
- 商品名(例:太陽光発電システム一式)
- 契約金額
- 販売会社名
- 「上記契約を解除(クーリング・オフ)します」という明確な意思表示
- 通知日(発送日)
- 契約者(あなた)の住所・氏名
8日を過ぎてしまった場合
クーリング・オフ期間(8日間)を過ぎてしまった場合でも、あきらめないでください。
- 業者がクーリング・オフについて意図的に説明しなかった(不実告知)。
- 脅迫されたり、妨害されたりしてクーリング・オフができなかった。
- 契約書面に不備があった(法律で定められた記載事項が欠けていた)。
上記のような場合は、8日を過ぎていてもクーリング・オフが適用される可能性があります。また、消費者契約法に基づき、「不実告知(嘘の説明)」や「重要事項の不利益な事実の不告知」があった場合は、契約の取り消しを主張できる可能性もあります。
迷ったらすぐに専門機関へ相談を
契約に関して少しでも不安や疑問を感じたら、一人で抱え込まず、すぐに専門機関に相談してください。
消費者ホットライン:「188(いやや!)」番
全国どこからでも、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してもらえます。契約トラブルに関する相談を無料で行うことができます。
訪問販売で契約してしまった場合、最も重要なのは「迅速な行動」です。クーリング・オフ期間を逃さないよう、すぐに専門家の助けを借りましょう。
その契約、本当に大丈夫ですか?
「訪問販売で契約してしまったけれど、この金額は適正なの?」「クーリング・オフすべきか迷っている…」 そんな不安をお持ちなら、契約書にサインする前(または直後)に、専門家へのセカンドオピニオン(第三者意見)を強くお勧めします。訪問販売で提示された見積もりが、相場とどれだけ乖離しているか、客観的な視点で比較検討することが重要です。
悪質な訪問販売を回避し、優良業者を見抜く7つのチェックリスト
太陽光発電の導入自体は、長期的に見れば家計や環境にメリットをもたらす可能性の高い選択肢です。問題は「誰から買うか」です。ここでは、悪質な業者を回避し、信頼できる優良な販売・施工業者を見抜くための7つのチェックポイントを紹介します。
訪問販売で営業マンが来た際、以下の項目を冷静に確認してください。
- その場で契約を迫らないか?優良な業者は、高額な契約を即決させようとはしません。「まずは見積もりとシミュレーションをお持ち帰りいただき、ご家族でゆっくりご検討ください」と、考える時間を与えてくれます。「今日だけ」を連発する業者は、比較されると困る理由があると考えましょう。
- 見積書の内訳が詳細か?「太陽光発電システム一式 〇〇円」といった大雑把な見積もりは危険です。優良な業者は、必ず「ソーラーパネル(メーカー・型番・枚数)」「パワーコンディショナー(型番)」「架台」「設置工事費」「電気工事費」「諸経費」など、項目ごとに詳細な内訳と単価を明記します。
- 発電シミュレーションの根拠が明確か?「儲かる」という言葉だけでなく、その根拠となるデータをきちんと提示するか確認します。屋根の方位・角度、お住まいの地域の日射量データ(公的機関のものか)、パワーコンディショナーの変換ロス、パネルの温度上昇による出力低下など、現実的な数値を考慮して試算しているかがポイントです。
- デメリットやリスクの説明があるか?メリットしか話さない営業マンは信用できません。優良な業者は、「天候によって発電量は変動する」「積雪地域では冬場の発電が期待できない」「10年~15年でパワーコンディショナーの交換費用(約20万~30万円)がかかる可能性がある」「将来の売電単価は保証できない」といったデメリットやリスクも誠実に説明します。
- 施工実績や会社の所在地が明確か?その業者がどれくらいの施工実績を持っているか、具体的な事例(可能であれば近隣の事例)を尋ねてみましょう。また、会社の所在地がはっきりしており、万が一の際にすぐ連絡が取れる体制かも重要です。(出典:JPEA 太陽光発電協会)
- 保証内容(メーカー保証・施工保証)が充実しているか?太陽光発電は10年、20年と長く使う設備です。パネルの「出力保証(20~25年)」や機器の「製品保証(10~15年)」はメーカーが提供しますが、「施工保証(工事の不具合に対する保証)」は販売店が独自に設定します。この施工保証の内容と期間が明確であることを確認してください。
- 相見積もりを嫌がらないか?「他社さんの見積もりもぜひ取ってみてください。その上でウチと比較してください」と言える業者は、自社の価格とサービスに自信がある証拠です。逆に、相見積もりを妨害したり、他社の悪口ばかりを言ったりする業者は避けましょう。
太陽光発電の導入で失敗しないための最大の秘訣は、「即決しないこと」そして「必ず2~3社以上から相見積もりを取ること」です。訪問販売で提示された条件がどれほど魅力的に見えても、それが本当に適正なのかを比較する基準を持たなければ、損得の判断はできません。
【訪問販売の価格と比較】適正価格を知るための第一歩
「訪問販売で提示された見積もりが、本当に適正価格なのか分からない…」
その疑問は、他の信頼できる業者の見積もりと比較することでしか解消できません。優良業者を選ぶ第一歩は、まずご自宅の条件(屋根の形状、電気使用量)に基づいた「適正な相場」を知ることです。訪問販売の価格と客観的に比較するために、まずは無料で削減効果をシミュレーションしてみませんか?
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太陽光発電の訪問販売に関するよくある質問(FAQ)
よくある質問(FAQ)
Q1. 太陽光発電の訪問販売は、なぜトラブルが多いのですか?
主な理由は、太陽光発電システムが「高額な商品」であり、かつ「専門知識が必要」なため、消費者と業者の間に情報格差が生まれやすいからです。
悪質な業者はこの情報格差を利用し、相場からかけ離れた高額な見積もりや、過度にメリットを強調した(デメリットを隠した)シミュレーションを提示して契約を迫ります。「今だけ」「限定」といった言葉で消費者の判断力を鈍らせ、他社と比較させないように仕向ける手口が多用されるため、トラブルが後を絶ちません。
※訪問販売が全て悪質とは限りませんが、高額契約の際は特に慎重な判断が必要です。
Q2. 訪問販売で契約してしまいました。キャンセルできますか?
はい、「クーリング・オフ制度」を利用してキャンセルできる可能性が非常に高いです。
訪問販売(特定商取引法)で契約した場合、法定書面(契約書)を受け取った日から数えて8日以内であれば、消費者は無条件で契約を解除できます。理由は一切問われず、違約金なども発生しません。
手続きは必ず「書面」(内容証明郵便が確実)で行ってください。電話連絡だけでは証拠が残らず危険です。もし8日を過ぎていても、契約書面に不備があったり、虚偽の説明を受けて契約したりした場合は、契約を取り消せる可能性があります。すぐに消費者ホットライン(188番)にご相談ください。
Q3. 訪問販売の「モニター価格」は本当にお得ですか?
ほとんどの場合、お得ではありません。「モニター価格」や「キャンペーン価格」は、消費者に「今契約しないと損だ」と思わせ、冷静な比較検討の機会を奪うための営業トークである可能性が極めて高いです。
実際には、その「割引後」の価格が、他社の通常価格(相場)よりも高いケースが散見されます。もし本当にお得な価格なのであれば、他社と比較されても問題ないはずです。「モニター」という名目で即決を迫る業者には警戒し、必ず複数の業者から見積もり(相見積もり)を取って価格を比較してください。
Q4. 信頼できる訪問販売業者の見分け方は?
以下の点を確認してください。
- その場で契約を迫らず、考える時間を与えてくれるか。
- 見積書の内訳(パネル型番、工事費など)が詳細か。
- メリットだけでなく、デメリット(メンテナンス費用、天候リスクなど)も説明するか。
- 発電シミュレーションの根拠(日射量データ、損失計算)が明確か。
- 施工保証の内容や期間がしっかりしているか。
また、JPEA(太陽光発電協会)の「PV施工技術者」資格の有無や、相見積もりを快く受け入れる姿勢かも、信頼性を測るバロメーターになります。
出典:JPEA 太陽光発電協会
Q5. 訪問販売を上手に断る方法はありますか?
まず大前提として、興味がなければ毅然とした態度で、はっきりと断ることが最も重要です。「検討します」といった曖昧な返事をすると、再度訪問される口実を与えてしまいます。
具体的な断り文句としては、以下のようなものが有効です。
- 「太陽光発電には興味がありません(または、すでに設置済みです)」
- 「高額な契約はその場では決められません」
- 「家族(または専門家)に相談しないと決められません」
- 「(特定商取引法に基づき)お帰りください」
特に、業者が長時間居座るなどして帰ってくれない場合は、「不退去罪」にあたる可能性があります。その際は迷わず警察(110番)に通報することも選択肢に入れてください。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。
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