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新築はオール電化・ガス併用どっちがいい?費用相場を解説

オール電化 2024年01月04日更新

新築を建てる際に「オール電化」「ガス併用」で悩む人も多いです。

後悔しないためにもそれぞれの違いや費用の理解を深めるのが大切です。

今回は、オール電化とガス併用の費用の違いやオール電化のメリット・デメリットなどを紹介します。

目次

新築オール電化 VS ガス併用の初期費用の違いは?オール電化の割合も解説

新築オール電化とガス併用はどちらがお得なのかどうかを解説していきます。

オール電化とガス併用の初期費用の違い

オール電化とガス併用の初期費用を比較してみました。

 

給湯器の相場価格

(本体+工事費)

コンロの相場価格

(本体+工事費)

初期費用の目安

オール電化

エコキュート

30万~60万円

IHクッキングヒーター

10万~30万円

40万~90万円

ガス併用

ガス給湯器

10万~20万円

ガスコンロ

8万~15万円

18万円~35万円

オール電化の初期費用は40万〜90万円に対して、ガス併用は18万〜35万円で安く済みます。

性能や機能によって、初期費用はさらに割高になってしまうこともあります。

初期費用をおさえたい場合は、ガス併用を選ぶのが良いでしょう。

オール電化とガス併用の光熱費の違い

オール電化とガス併用の光熱費の違いを比較しました。

 

電気料金

ガス料金

1ヵ月の合計

年間の合計

オール電化

13,406円

13,406円

160,872円

ガス併用

12,678円

5,232円

17,910円

214,920円

(ガス併用の引用元:家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要

(オール電化の引用元:オール電化世帯人数別の電気代平均額|オール電化|関西電力 個人のお客さま平成26年度 東京都家庭のエネルギー消費動向実態調査報告書※オール電化の料金は戸建て・集合住宅の電気使用量を合わせた電気使用量)

表を見比べると分かる通り、月々にかかる光熱費の安さは「オール電化」の方が4,504円安いことが分かります。

オール電化は電気料金がかかるだけで、年間54,048円の光熱費を削減できます。

新築住宅をオール電化にする割合は?

マイボイスコム株式会社」のオール電化住宅に関するアンケート調査を元に、オール電化の使用割合を表にしてみました。

年度

オール電化住宅である

オール電化住宅ではない

2005年

3.5%

96.4%

2011年

10.6%

89.4%

2012年

11.2%

88.8%

2015年

13.3%

86.7%

2018年

13.6%

86.4%

2021年

14.3%

85.7%

オール電化の割合は、1割強でFIT制度が始まった2012年以降からオール電化の普及率が上がっています。

戸建て住宅は太陽光発電の導入メリットが大きく、新築の戸建てを建てるときにオール電化にする割合が多い傾向です。

新築住宅をオール電化にする際の費用相場【戸建て

・マンションを比較】

新築住宅を、戸建て・マンションでオール電化にした価格相場は以下のとおりです。

 

初期費用の相場

戸建住宅

250万~380万円

マンション

元からオール電化製品が付いている

マンションは、初めからIHクッキングヒーターやエコキュートなどのオール電化製品付きの物件が多いです。

戸建住宅は、建築費用+オール電化製品の費用がかかるため、どうしても初期費用は高額になってしまいます。

どのような設備を導入するのかで、初期費用は大きく変わるため、設備のグレードや工事の範囲についての実際の金額は業者に見積依頼をするようにしましょう。

新築オール電化に導入する電化製品の初期費用の相場

新築をオール電化にする際に、必要な電化製品の初期費用の相場を紹介します。

エコキュート・電気温水器

オール電化にする場合は、「エコキュート」か「電気温水器」のどちらかを導入します。

エコキュートは、電気温水器より消費電力が少ないので電気代が安くなるのに対して、電気温水器は給湯器のスペースだけで済むメリットがあります。

エコキュートの場合、工事費込みで30万〜60万円が目安となり、電気温水器は、工事費込みでおよそ20万〜40万円を見込んでおくと良いでしょう。

IHクッキングヒーター

IHクッキングヒーターは、電磁波を利用して熱を作り調理する設備のことです。

「据え置きタイプ」と「ビルトインタイプ」の2種類があり、ガスコンロと違い表面がフラットでお手入れがしやすく火災のリスクを防げます。

導入する際は、ブレーカーを200V対応にするための工事が必要になります。

IHクッキングヒーターの導入費用は、工事費込みで10万〜30万円が目安と考えておくとよいでしょう。

太陽光発電システム

オール電化では、太陽光発電を使って家庭で消費する電気を賄うことが多いです。

太陽光発電は、屋根の上にソーラーパネルを設置して太陽電池で発電した電気を家庭で使用したり売電したりする設備のことです。

メーカーや発電効率、容量の大きさによって異なりますが、導入費用は130万~280万円が目安です。

床暖房

床暖房はガスや石油を使わず電気を使って暖房器具を使用します。

「電気式床暖房」と「温水式床暖房」の2種類があり、温水式はエコキュートで沸かしたお湯を使って床を温められるため電気代の削減効果が高いです。

直張りや張替えによって費用は変わりますが、1畳あたり6万〜10万円が価格相場です。

新築住宅をオール電化にするメリット

新築住宅をオール電化にするメリットを紹介します。

節電以外のメリットもあるので、くわしく見ていきましょう。

火災のリスクが少なくなる

オール電化住宅では、IHクッキングヒーターを使って調理するので、火災のリスクが少ないです。

調理時は電磁波を使って熱を作り出すので、火を使わずに調理することができます。

マイボイスコム株式会社」のオール電化住宅に関するアンケート調査によると、オール電化にした理由で圧倒的に多かったのは「安全性が高い」という理由でした。

また、電源を消し忘れても、「消し忘れ装置」が作動し、音やメッセージが表示されたり、空焚き状態が続いた場合は自動的に通電を停止したりするので安心です。

夜間料金で電気代が安くなる

オール電化住宅にすると、夜間電力がお得になるプランを利用できます。

夜間プランは、従量電灯Bとくらべて夜間の単価が安く設定されているからです。

夜間電力は23時から翌6時まで活用できるため、エコキュートの沸き上げに回せたり、蓄電池があれば安い電気を貯めて使えたりと電気代が安くなります。

ガス代がかからない

オール電化は、すべての家電製品を電気で動かすため火を使うことはありません。

ガスを使わず電気でカバーできるので、毎月のガス料金がかからず光熱費の削減に期待ができます。

光熱費の基本料金を1つにまとめられるので、支払い管理がしやすくなるでしょう。

停電時の断水や電気利用も安心

オール電化は、エコキュートや太陽光発電を設置するため、停電時に強い家になります。

停電時にエコキュートの貯湯タンク内のお湯を非常用水として活用したり、ソーラーパネルで発電した電力を家中の家電製品に回せたりと停電対策に有効です。

停電時に、蓄電池があれば太陽光発電の電力を貯めて、エコキュートを使うこともでき、停電が長引いてしまった場合も安心して過ごせるでしょう。

ガス管の引き込み工事がかからない

オール電化は、電気を使うためガス管の引き込み工事がいりません。

ガスを使わないため、経年劣化によるガス漏れやガス管の破損事故を防ぐことができます。

そのため、小さな子供や高齢者のいるご家庭でも安心して使用できるので、オール電化はファミリー層に安心です。

火災保険の割引やローンの金利がお得になる

オール電化にすると、火災保険の割引やローンの金利がお得になるメリットがあります。

下記の3社は、火災保険のオール電化割引が使えるため、火災保険料金が安くなります。

  • AIG損保のオール電化割引
  • セコム損保のオール電化割引
  • SBI損保のオール電化割引

現在、三井住友信託銀行では、オール電化住宅ローンの金利引き下げを実施しており、年間2.00%まで金利負担が減らせます。

また、ローン会社によっては金利0%でお得に分割できるキャンペーンが使えるので、電化製品の購入費用を月々の支払いにすることも可能です。

新築住宅をオール電化にするデメリット

新築住宅をオール電化にした後のデメリットを紹介します。

節電効果や停電対策に効果がある一方で、初期費用や設置スペースの確保も必要になります。

では、それぞれのデメリットについて見ていきましょう。

省エネシステムの複数導入でコストが高額になる

新築でオール電化を始めると、複数の省エネシステムの導入で初期費用が高額になりがちです。

エコキュートやIHクッキングヒーターの費用に工事費用を含めると、40万〜90万円、さらにソーラーパネルをセット付した場合、300万円前後の導入費用がかかることになってしまいます。

ただ、オール電化の導入費用だけで考えてしまうのは、非常にもったいないこと。

実は、導入前より光熱費が1万円以上も安くなるため、年間のランニングコストで見ると大きな節約効果になるのです。

光熱費が浮いた分のすべては利益になるので経済的なメリットを運んでくれるでしょう。

エコキュートや蓄電池の設置スペースが必要

新築をオール電化にすると、エコキュートや蓄電池などの大きなスペースが必要です。

エコキュートは、貯湯タンクとヒートポンプユニットを同時に設置するため両方の設置スペースが必要になり、角型・薄型、タンク容量で大きさが異なります。

370L角型の場合、奥行き・幅で63~80cm前後、高さは2m近くあり設置することで通路が通れなくなる可能性もあります。

また、蓄電池は屋内・屋外の設置や容量で設置スペースが大きく変わります。

屋内置きはエアコンの室外機1台分ほど、屋外置きはエアコンの室外機 縦2台分のスペースが必要になるため、重さに耐えられるのかも配慮しておくのが大切です。

そのため、設置時に製品とスペースの大きさが合うのか確認しておくのが良いでしょう。

昼間の電気代が高くつく

オール電化は昼間の電力料金が高い「夜間プラン」に契約するため、日中の使用は電気代が高くつきます。

例えば、東京電力のオール電化向け「スマートライフプラン」の昼間の料金は、夜間電力料金とくらべて8円も高いです。

時間帯は、朝6時から翌日の1時まで、割高な料金の負担がかかり家計の負担になりかねません。

オール電化にした後も、時間帯や電気料金を気にせず使いたい場合は、「太陽光発電 + 蓄電池」の導入がおすすめです。

設置後は、日中に発電した0円の電力を家電製品に回せたり、余った電気は蓄電池にためて夜間の使用に回せたりとオール電化住宅の欠点を補ってくれるでしょう。

ガスに変更するとガス管の費用が20万円前後かかる

オール電化にガス管を引く場合は、1㎡あたり15万~20万円の費用がかかるため、

多額な費用がかかります。

心変わりでガス管を引いておきたいという人もいますが、ガス管を引いてしまうとガスの基本料金を支払わなければならないのでオール電化のメリットが半減してしまいます。

オール電化・ガス併用にすべきかは、住宅を建てる前にしっかり検討するようにしましょう。

電磁波や水圧に影響が出る

オール電化住宅にすると、省エネシステムの作動時に「電磁波のリスク」や「水圧の弱さ」などの問題に直面することもあります。

  • IHクッキングヒーター:調理時に電磁波が発生する
  • エコキュート:シャワーの水圧がガス給湯器より弱い

IHクッキングヒーターは、調理時に多くの電磁波を発生しているイメージですが、実は電子レンジや食洗器と同じレベルの量で極端に多い訳ではありません。

IHクッキングヒーターの電磁波問題は、調理機器から距離を取ったり、電磁波対策のエプロンを使うなどの対策があります。

また、エコキュートはガス給湯器より水圧が弱く、シャワーの勢いに物足りなさを感じるかもしれません。

エコキュートの水圧を上げる方法は、「高圧給湯タイプの設置」や「設定温度を上げる」ことで対策することも可能です。

対策方法を取り入れるだけで弱点をカバーできるので、設置後に対策方法を実践してみるのも良いでしょう。

新築住宅をオール電化にする前に気をつけたいこと

新築住宅をオール電化にする前に気をつけたいポイントを紹介します。

導入費用を負担する余裕があるのか

オール電化は、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの高額な設備が必要になります。

ガス併用の初期費用と比べて20万〜80万円ほど高くなりやすいので、自宅をオール電化にすることを断念してしまう人も少なくありません。

オール電化の設備費用は、国や自治体の補助金があり、利用することで高額な初期費用を浮かすことも可能です。

地域によって金額や受給できる条件が異なるため、お住いのエリアの自治体に問い合わせてみるのも良いでしょう。

電化製品の設置スペースを確保できるのか

オール電化を導入する際は、電化製品の大きさと設置スペースの条件が合うことが大切です。

オール電化で導入されている設備の大きさは、下記が目安です。

【エコキュートの大きさ】

貯湯タンク(冷蔵庫ほどの大きさ)

ヒートポンプユニット(エアコンの室外機1台分)

【蓄電池の大きさ】

屋内:エアコンの室外機 1台分

屋外:エアコンの室外機 縦2台分

オール電化は節約対策にメリットがある一方で、ある程度の余裕があるスペースを確保しなければ設備を置くことはできません。

知らずに設置してしまうと、思いがけないトラブルを引き起こしてしまうケースもあるので、設置場所の変更などの対応を取りましょう。

IHクッキングヒーター用の電源引き込みが必要なのか

200V対応を取り付ける際には、電気工事が必要になります。

例えば、IHクッキングヒーターの据置型の設置は、下記の確認が必要です。

  1. 引込口配線を「単相3線式配線」への切り替え工事を依頼する
  2. 契約アンペア50A未満の場合:アンペアブレーカーに交換する
  3. 専用回路の空き数が足りない場合:回路増設、分電盤の回路数が多いものと交換
  4. 専用コンセントの設置工事をスタート

大まかに以上の設置が必要で、ビルトイン型だとさらに設置の手間がかかります。

設置前に引込配線やアンペアブレーカーなどを確認しておくと、スムーズに取り付けできるでしょう。

日中の電力をできる限り使わずに生活できるのか

オール電化住宅の電気料金は、夜間のみ安く使えるため日中の使用には向いていません。

日中の電気料金は夜とくらべて8円/kWhも高いので、省エネ性の高い家電製品を取り入れても電気代が高くつきやすくなります。

そこで、オール電化と相性抜群の太陽光発電を設置すると、日中に電気を使っても電気代の影響を受けずに大きな節約効果を実感できるでしょう。

調理方法の使い勝手やこだわりはないのか

エコキュートやIHクッキングヒーター設置後は、使い勝手で後悔してしまう場合も多いです。

IHクッキングヒーターは、フライパンを振るときなど、ヒーター部分から離れる調理をする際はセンサーがうまく反応せず調理しにくいことがあります。

例えば、チャーハンを作るときやオムライスをひっくり返すときなどフライパンを動かしながら調理するときはガスコンロより使い勝手に差を感じやすいです。

また、直火を使わないので火加減の調節が分かりづらく、使い勝手に不満を抱いてしまう場合もあるでしょう。

そのため、調理に強いこだわりがある人はガス併用をするのが良いでしょう。

近隣とのスペースが近すぎないか

オール電化にエコキュート設置すると、夜間の稼働で騒音トラブルを引き起こしてしまうケースもあります。

ヒートポンプユニットを稼働させると、低周波音の影響で近隣の人が体調を崩してしまうという事例も少なくありません。

ヒートポンプユニットの設置場所は、近隣や自宅の寝室を避けたり、防音壁の設置や防音グッズなどを取り入れたりすると騒音対策ができます。

新築をオール電化にする際は補助金で費用を減らそう!

新築をオール電化にする際に使える国や自治体の補助金について紹介します。

国の補助金

新築住宅を建築する人や新築注文住宅の購入を検討している人は、太陽光発電や蓄電池の導入で使える国からの補助金を利用できます。

 

補助金

条件

ZEH補助金

55万円

・ZEHの条件を満たすこと

・SII登録業者が関与すること

ZEH+補助金

100万円

・ZEH+の条件を満たすこと

・以下の内1つ以上

①蓄電システム

②V2Hシステム

③燃料電池

④太陽熱利用温水器

⑤10kW以上の太陽光発電システム

これから新築住宅を建築する人や新築の注文住宅の購入を考えている人には、ZEH補助金はおすすめです。

また、ZEH住宅にすると一般住宅よりも資産価値を長く保てるため、将来の資産価値を考えている場合はZEHはプラス評価になる可能性が高いでしょう。

自治体の補助金

自治体では、新築住宅を建築する際に使えるオール電化の補助金制度はありません。

ただ、単体の省エネシステムの導入で使える補助金制度は各自治体にあります。

例えば、北海道の帯広市では2023年4月より太陽光発電やエコキュートなどの省エネ設備を対象とした「新エネルギー導入促進補助金」をおこなっています。

補助金申請の条件にあえば、最大30万円の補助が受けられます。

このように、各自治体で省エネ設備の補助金もおこなっているので、お住いの自治体に問い合わせてみましょう。

新築オール電化住宅に太陽光発電の導入で電気代がもっとおトクに!

今回は新築のオール電化の初期費用やガス併用との比較などについて解説してきました。

新築をオール電化にすると、電気料金の節約効果が高くなる一方で、複数の省エネシステムの導入で、高額な初期費用が家計の負担になってしまうこともあります。

しかし、長期的な視点で見れば、省エネシステムを導入する前より、光熱費が圧倒的に安くなるため新築をオール電化にするとお得に快適に生活が送れるのも事実です。

今後も電気代の高騰は避けては通れないため、新築を検討している場合は電気代の削減に大きなメリットがあるオール電化住宅の検討を強くおすすめします。

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この記事の監修者

中田 萌

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。

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