新築住宅に蓄電池はあり?設置価格や寿命を保つ方法を徹底解説
「新築に蓄電池を設置するメリットは?」「寿命はどれくらい?」と考えたことはありませんか?
蓄電池は夜間料金を利用でき、長期間にわたって電気代を節約できます。
今回は、新築に蓄電池を設置する利点や寿命について解説していきます。
目次
新築住宅に蓄電池を設置したい!気になる寿命は?
蓄電池は、サイクル回数や電池の種類によって寿命が変わります。
それぞれの寿命の目安について、詳しく紹介します。
サイクル回数と寿命の関係
使用回数は、何回充電と放電ができるかを示しており、蓄電池の使える期間を知る上でとても重要です。
蓄電池の寿命は、使用できる回数で寿命の目安を考えることができます。
たとえば、4000回の使い捨てができる場合、1日1回使うと約11年使えることになります。
そのため、蓄電池を選ぶ時は、使用できる回数を確認することが大切です。
蓄電池の種類の寿命
鉛電池やリチウムイオン電池など、蓄電池の種類によって寿命が異なります。
電池名 | 寿命の目安 |
鉛電池 | 17年 |
ニッケル水素電池 | 5~7年 |
リチウムイオン電池 | 6~10年 |
NAS電池 | 15年 |
レッドフロー電池 | 6~10年 |
(引用元:経済産業省 蓄電池戦略プロジェクトチーム)
家庭用蓄電池で多く使われている「リチウムイオン電池」は、通常1日1回1サイクルとして計算され、一般的には10年の寿命が期待されています。
それぞれの製品によって性能や寿命が違うので、購入時には最新情報をチェックして、耐久性の高い蓄電池を選ぶことが重要です。
法定耐用年数は6年
蓄電池の法定耐用年数は6年とされています。
企業や事業主が資産価値を減らすために考慮する期間の目安です。
つまり、6年が経過しても蓄電池は使用可能で、実際にはさらに長い期間の使用が可能です。
法定耐用年数は製品が問題なく使用できる期間の目安で、寿命は製品が使えなくなるまでの時間ということを踏まえておきましょう。
新築に蓄電池を設置後、寿命を迎えたらどうなるの?
新築に蓄電池を設置後、寿命を迎えた場合は、以下の状況が考えられます。
- 蓄電池の最大容量が低下する
- 蓄電池は寿命を迎えても使用可能
- 故障しても保証期間内なら無料で対応
それぞれについて、詳しく紹介します。
蓄電池の最大容量が低下する
蓄電池の寿命が尽きると、最大容量が低下します。
たとえば、最初の10kWh時の容量が終わりには、7kWhや8kWhまで下がります。
長く使うほど、蓄電池に貯められる量が減ることを覚えておきましょう。
蓄電池は寿命を迎えても使用可能
蓄電池の寿命が来ても、まだ使えますが完全には使用できません。
たとえば、リチウムイオン電池の初期容量が100%だった場合、数年後には80%程度まで低下することがあります。
蓄電池には電子機器や電子部品も含まれており、それらの寿命も考慮すべきです。
蓄電池を設置した後は、定期的なメンテナンスと利用状況のチェックが重要です。
故障しても保証期間内なら無料で対応
蓄電池の最大容量が減っても、メーカー保証期間内であれば無料で修理や交換してもらえる可能性があります。
故障しても蓄電池の保証を有効活用することが重要です。
パナソニックやシャープなどの大手メーカーは、製品保証と容量保証を無償で10年提供しています。
さらに、有償で15年に延長することも可能です。
ただ、保証期間終了後は対応がむずかしいので、最大容量を確認するために常にモニターを使用することが重要です。
新築住宅に蓄電池を設置するメリット
新築住宅に蓄電池を設置するメリットは、以下のとおりです。
- 電気代が安い夜間電力が使える
- 災害時に電力供給を確保できる
- 太陽光発電と電気自動車を同時に使用できる
- 補助金を利用できる
それぞれのメリットについて、詳しく解説していきます。
電気代の安い夜間電力が使える
深夜電力のプランでは通常、夜11時から朝7時までの電気代が安くなります。
この時間帯に家にいて、浴室乾燥機や冷暖房などを使用する場合、深夜電力プランを選ぶとお得です。
たとえば、「スマートライフS」の夜間料金プランでは、電力使用量に関わらず1kWhあたり28.06円で電力を購入できます。
一方、従来の電気料金(従量電灯B)では1kWhあたり30円~40円程度かかることが一般的です。
つまり、電力消費が高い家電をまとめて使用することで、同じ料金で使えるため、電気代の削減効果が期待できます。
災害時に電力供給を確保できる
蓄電池を使えば、災害時に電力を確保できます。
晴天時に余分に蓄えた電力を雨の日や曇りの日でも安心して使うことができます。
これに対して、太陽光発電は天候によって発電量が変動するため、天気が悪い日には十分な電力を得られません。
一般家庭の場合、4kWh以上の容量を持つ蓄電池であれば、少なくとも1日分の電力を確保できると言えます。
つまり、蓄電池を導入すれば数日間は家電製品を使用できるため、停電時や自然災害時でも安心して生活を送ることができます。
太陽光発電と電気自動車を同時に使用できる
トライブリッド蓄電池の設置により、太陽光パネルと電気自動車の両方に対応できます。
たとえば、太陽光パネルからの発電で家庭用電気を供給し、余剰電力を蓄電池に貯めます。
夜間になると蓄電池の電力を利用して電気自動車を充電できます。
そのため、電気自動車と太陽光パネルを導入しようと考えている方にとっては大きな利点があります。
後から蓄電池やEV用充電スタンドを追加したいと考えている場合でも、トライブリッド蓄電池は追加設置が可能です。
補助金を利用できる
蓄電池の導入費用は、補助金でまかなうことができます。
たとえば、電気消費量を抑えながらも快適に過ごせる「ZEH住宅」にすれば、1戸あたり55万円が支給されます。
また、ZEH+補助金なら、蓄電池の導入費用の1/3または20万円に相当する2万円/kWhの補助金が提供されます。
新築住宅に省エネ機器の導入を検討している場合は、国や自治体の情報を確認して補助金を活用しましょう。
新築住宅に蓄電池を設置するデメリット
新築住宅に蓄電池を設置するデメリットは、以下のとおりです。
- 初期費用が高額になる
- 設置にはスペースが必要となる
- 蓄電できる容量が決まっている
それぞれのデメリットについて紹介します。
初期費用が高額になる
一般的なリチウムイオン蓄電池の価格は高いもので200万円ほどで、導入費用が高額です。
初期費用を電気代の節約だけで回収するのはむずかしいとされています。
しかし、省エネ関連の機器は補助金を受けられることが多く、導入費用を大幅に削減できます。
つまり、補助金を使うとコストと効果のバランスが良くなるということです。
蓄電池を導入する際は、国や自治体の補助金を併用して導入コストを安く抑えることが大切です。
設置にはスペースが必要となる
蓄電池の設置には、一定のスペースが必要です。
作業員がメンテナンスするための作業のスペース確保や、メーカーが指定する設置条件を満たさなければならず、自宅の環境によっては設置ができない場合もあります。
そのため、設置前に設置条件やスペースの確認を怠らないようにしましょう。
蓄電できる容量が決まっている
蓄電池は、電力を貯められる容量が限られています。
蓄電池には、定格容量と実効容量の2つの容量があり、実際に利用できる容量は限られています。
たとえば、定格容量が4kWhでも、実際の使用で3.7kWhしか利用できない場合があります。
つまり、容量を選ぶ際には、実際に利用可能な実効容量を重視することが大切です。
容量が大きくても実際に利用できる容量が少ないと、想定よりも少ない電力しか貯めることができないことになります。
新築住宅に蓄電池が向いている家庭は?
新築住宅に蓄電池が向いている家庭の特徴は、以下の5つです。
- 太陽光パネルを設置したい
- 毎月の電気代が高い
- ピークシフトに貢献したい
- 頻繁な停電がある地域に住んでいる
- 電気自動車の維持コストを削減したい
太陽光パネルと組み合わせることで、昼間の余剰電力を蓄電池に貯め、夜間に利用できるのが蓄電池の特徴です。
上記に当てはまる場合は、蓄電池の設置を検討すると良いでしょう。
蓄電池を交換するタイミングは?
蓄電池を交換するタイミングは、次の状況が発生した場合です。
- 使用できなくなったとき
- 充電回数の限界に達したとき
- 動作しなくなったとき
上記の状況に加えて、電力の使い方が同じなのに急に消費量が増えた場合、蓄電池の寿命に問題があります。
一般的に、家庭用蓄電池の寿命は10年〜15年です。
同様に、多くのメーカーは10年〜15年の保証期間を提供しており、交換の目安として考えることができます。
【2023年】蓄電池の価格相場は?
「経済産業省」によると、2022年の蓄電池の価格は、11.7万円/kWhでした。
たとえば、5kWhの蓄電池は本体価格で約58.5万円、工事費込みで約69.5万円になります。
さらに、容量が5kWh未満または10kWhを超える場合、1kWhあたりのシステム価格が約3.6万円も安くなるため、大容量の蓄電池はコストパフォーマンスが高くなります。
蓄電池を選ぶ際には、使用環境にピッタリな機種と価格相場を比較して検討しましょう。
蓄電池の寿命を縮めさせない選び方
蓄電池の寿命を縮めさせない選び方は、以下の2つです。
- 電化製品の消費電力と利用時間を計画する
- 大きめの容量と出力を持つ蓄電池を選ぶ
上記の内容を詳しく解説していきましょう。
電化製品の消費電力と利用時間を計画する
電化製品の消費電力と利用時間を使って、必要な蓄電容量を調べることができます。
計算式は、「使用する電化製品の出力 × 時間=必要な電力量」です。
たとえば、テレビ(150W)と照明(100W)とエアコン(600W)と冷蔵庫(500W)を5時間使った場合の電気使用量は「(150W+100W+600W+500W)×5時間=3350Wh」です。
計算した結果、必要な電気使用量は3350Whとなります。
電気使用量を1000で割ると最低でも3.35kWh程度の容量が必要だと考えられます。
とはいえ、これらの電気使用量はご家庭の使用状況によって大幅に変化します。
LEDの照明であれば電気使用量を抑えられるほか、電気を用いる人数が少なければ大家族に比べて電力を大幅に抑えられるはずです。
各電化製品の消費電力と利用時間から、必要な電力量を計算して、家庭の蓄電池容量を決めましょう。
大きめの容量と出力を持つ蓄電池を選ぶ
容量を計算した後は、少し余裕を持った大きめの蓄電池を選ぶのがおすすめです。
エアコン(600W)と照明(100W)を8時間使用した場合、6kWhの蓄電容量では限界に近くなるため、10kWh前後の容量を検討するのが良いでしょう。
また出力の選択基準は、一度に必要な電力量によって決まります。
一般的には、1500Wh(1.5KWh)から3000Wh(3.0KWh)の範囲が選ばれます。
1500Whでは冷蔵庫、照明、テレビ、スマホの充電など、災害時に必要なものは十分にカバーできます。
ただし、炊飯器やエアコン、調理機器などを使う場合には、より大きな出力が必要になるため、余裕を持った出力量を選ぶことが大切です。
蓄電池の寿命を保つ!気をつけたいポイント
蓄電池の寿命をキープさせるために気をつけたいポイントは以下の4つです。
- 過剰な充放電を避ける
- 定期点検を受ける
- 温度変化の激しい場所には設置しない
それぞれの内容について詳しく解説していきます。
過剰な充放電を避ける
蓄電池に使われているリチウムイオンバッテリーは、使いすぎたり、満タンにしすぎると壊れやすいです。
たとえば、蓄電池が完全に空になると過放電が起こり、電圧が低下して劣化する可能性が高くなります。
同様に、満充電の状態で充電を続けると過充電による劣化が生じます。
過充電によって、破裂や発火の危険性が高まる可能性があるため、特に長時間充電を続けることは避けるべきです。
また、蓄電池には満充電時に充電を停止する機能がありますが、安全のためにも満充電の状態で放置は避けるようにしましょう。
これらの管理を適切におこなうことで、寿命を延ばすことができます。
定期点検を受ける
蓄電池は長く使い続けるためにも、定期点検が必須です。
蓄電池は、使用方法や環境によって徐々に劣化してしまいます。
たとえば、いつも充電をし続けたり、とても熱い場所で使うと、蓄電池が早くダメになってしまいます。
そのため、信頼性の高いメーカーから製品を選び、定期的な点検と適切なメンテナンスをすることが重要です。
また、適切な温度管理や充放電の管理など、正しい使い方も寿命を延ばすことにつながります。
直射日光に当たる場所には設置しない
リチウムイオン電池を使った蓄電池は、熱に敏感で直射日光を避けて設置する必要があります。
夏の直射日光が当たる屋外では温度が上昇し、劣化が進む可能性が考えられます。
そのため、建物の日陰や北側など日照が限られる場所に設置するのがベストです。
また、南向きの設置は直射日光を受けやすく、避けるべきです。
建物の日影がなく直射日光が当たってしまう場合は、屋内設置も考えましょう。
蓄電池の寿命は10~15年!新築住宅に設置して賢く節約しよう
今回は、蓄電池の寿命や新築に設置するメリット・デメリットについて紹介しました。
蓄電池は約10〜15年ほど持つと言われていますが、使い方によっては早く壊れてしまうこともあります。
新築時に太陽光パネルと蓄電池を設置すると、補助金が利用できるメリットがあり、高額な設置コストをカバーすることができます。
「オール電化を活用したい」「停電に強い住宅を考えている」「電気代を節約したい」と考えている方には、蓄電池の導入を検討してみることをおすすめします。
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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