四国電力「おトクeプラン」のデメリットとは?【2025年最新】料金改定後の損得を徹底解説

四国電力エリアでオール電化住宅にお住まいの方が検討する「おトクeプラン」。夜間の電気代が安くなるという魅力的な響きに惹かれますが、安易な契約はかえって電気代を高くしてしまう危険性をはらんでいます。特に、近年の燃料費調整額の制度変更により、このプランが持つデメリットは以前よりも顕著になっています。
この記事では、電気料金プランの専門家が、「おトクeプラン」が本当にあなたの家庭にとって「おトク」なのかを判断できるよう、そのデメリットを深掘りし、具体的な対策までを網羅的に解説します。プラン変更で後悔しないための知識を身につけましょう。
本記事の結論と要点は以下の3つです。
- デメリットの核心は「割高な昼間料金」:夜間が安い分、日中の電気料金単価は高く設定されています。そのため、日中の在宅時間が長い家庭では、電気代が上がる可能性が高いです。
- 「燃料費調整額の上限撤廃」が隠れたリスク:燃料価格が高騰した際、電気代が青天井になる可能性があります。この制度変更を理解しないまま契約するのは危険です。
- 対策の鍵は「太陽光と蓄電池」:割高な昼間の電気を自家発電でまかない、安い夜間電力を蓄電池に貯めることで、デメリットをメリットに転換することが可能です。
目次
第1章:「おトクeプラン」とは?料金体系の基本を理解する
まず、「おトクeプラン」がどのような料金プランなのか、その基本的な仕組みを正確に把握しましょう。このプランは、電気を使用する時間帯によって料金単価が変動する「時間帯別電灯契約」の一種で、特にオール電化住宅向けに設計されています。
プランの最大の特徴は、料金単価が「デイタイム(昼間)」と「ナイトタイム(夜間)」の2つの時間帯に分かれている点です。エコキュートや電気温水器など、夜間に多く電気を使用する機器を効率的に使うことで、電気代を節約できるというコンセプトです。現在の料金単価は以下の通りです。
項目 | 時間帯 | 料金単価(税込) |
---|---|---|
基本料金 | 最初の6kVAまで | 1,540.00円 |
6kVAをこえる1kVAにつき | 297.00円 | |
電力量料金 | デイタイム(平日 8時~22時) | 39.67円 / 1kWh |
ナイトタイム(上記以外の時間) | 28.56円 / 1kWh |
出典:四国電力「おトクeプラン」
この表から、ナイトタイムの単価がデイタイムに比べて1kWhあたり約11円も安く設定されていることがわかります。さらに、口座振替割引(55円/月)や、築10年以内のオール電化住宅などが対象の「でんかe割」(料金の5%割引)といった割引制度も適用される場合があります。
一見すると非常に魅力的なプランですが、重要なのは「デイタイムの単価が他のプランより高い」という点です。この基本構造を理解した上で、次に具体的なデメリットを見ていきましょう。
第2章:契約前に知るべき「おトクeプラン」5つのデメリット
夜間の安さというメリットの裏には、ライフスタイルや近年の制度変更によって無視できないデメリットが存在します。契約後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、以下の5つのデメリットを必ず確認してください。
デメリット1:昼間の電気料金がとにかく割高
最も重要なデメリットです。「おトクeプラン」のデイタイム料金(39.67円/kWh)は、四国電力の標準的なプランである「従量電灯A」の3段階目料金(35.42円/kWh)よりも割高です。つまり、日中に電気を使えば使うほど、標準プランより損をする構造になっています。以下のようなご家庭は特に注意が必要です。
- テレワークや自営業で日中も在宅している
- 専業主婦(夫)や未就学児がいて、昼間にエアコンや家電をよく使う
- ペットのために24時間空調を稼働させている
日中の電力使用量を把握せず、「オール電化だから」という理由だけで契約すると、想定外に電気代が跳ね上がる可能性があります。
デメリット2:燃料費調整額に上限がない
これは近年の電気料金を理解する上で極めて重要なポイントです。2023年6月以降、四国電力は燃料費調整額の上限を撤廃しました。これは、天然ガスや石炭といった燃料の輸入価格がどれだけ高騰しても、その上昇分がそのまま電気代に転嫁されることを意味します。
上限があった頃は、燃料価格が一定ラインを超えても利用者の負担は限定的でした。しかし、上限がなくなった今、世界情勢の悪化や急激な円安が起これば、電気代は青天井になるリスクを抱えています。特に、使用量が多くなりがちなオール電化住宅では、この影響をダイレクトに受けることになります。
デメリット3:オール電化住宅でないとメリットが薄い
このプランは、エコキュートや電気温水器のように「夜間に大量の電力を消費する機器」があることを前提に設計されています。もし、給湯や調理がガスで、夜間に使う電力がスマートフォンの充電や待機電力程度という家庭では、ナイトタイムの割引メリットをほとんど享受できません。それどころか、割高なデイタイム料金のデメリットだけが際立ってしまい、確実に損をします。
デメリット4:ライフスタイルの変化に対応しづらい
契約時には夜間の電力使用が多くても、将来のライフスタイルの変化によって、そのバランスが崩れる可能性があります。例えば、以下のようなケースです。
- 共働きで日中不在だった夫婦のどちらかが、育休や介護で在宅中心になる
- 子どもが成長し、日中にゲームやPCを使う時間が増える
- 定年退職して、夫婦で過ごす時間が増える
一度契約すると、他のプランへの変更は原則として年1回しかできません。長期的な視点で、ご自身の家庭の電力消費パターンがどう変化するかを考慮する必要があります。
デメリット5:新規加入が終了した旧プランの方が好条件な場合も
現在、「おトクeプラン」は四国電力のオール電化向け現行プランですが、過去には「電化deナイト」や「時間帯別電灯」といった新規加入を終了したプランがありました。これらの旧プランは、現在のプランよりも夜間料金が安かったり、昼間の時間帯設定が異なったりと、契約者にとって有利な条件であることが少なくありません。現在旧プランを契約している方が、安易に「おトクeプラン」へ変更すると、メリットが減ってしまう可能性があるため、慎重な比較検討が必要です。
これらのデメリットを踏まえると、「おトクeプラン」は、すべてのオール電化家庭にとって最適な選択肢とは言えないことがわかります。ご自身の家庭の電力使用状況を正確に把握し、リスクを理解した上で判断することが不可欠です。
第3章:「おトクeプラン」のデメリットを回避・軽減する方法
「おトクeプラン」には多くのデメリットがありますが、工夫次第でそれらを軽減し、メリットを最大限に引き出すことも可能です。ここでは、具体的な3つの対策をご紹介します。鍵となるのは、電力会社から電気を買う量をいかに減らすか、そして買う時間帯をいかに夜間に集中させるかです。
対策1:家電のタイマー機能を活用し「夜間シフト」を徹底する
最も手軽に始められる対策は、家電製品の稼働時間を意識的にナイトタイムへ移行させることです。エコキュートや電気温水器だけでなく、以下のような家電もタイマー機能を活用しましょう。
- 食器洗い乾燥機:夕食後の食器をセットし、就寝中に稼働させる。
- 洗濯乾燥機:夜寝る前に洗濯を開始し、朝には乾いているように設定する。
- 炊飯器:朝食用の米を夜のうちにタイマー予約する。
こうした小さな積み重ねが、デイタイムの電力消費を抑え、ナイトタイムのメリットを大きくします。
対策2:太陽光発電を導入し、昼間の電気を自給自足する
割高な昼間の電気を買わずに済ませる最も効果的な方法が、太陽光発電システムの導入です。日中の電力消費(エアコン、テレビ、PCなど)を自家発電でまかなうことで、「おトクeプラン」の最大のデメリットである「高いデイタイム料金」の影響をほぼ受けなくなります。日中に発電して使いきれなかった電気(余剰電力)は電力会社に売電することもでき、電気代の削減と収入創出を同時に実現できます。
対策3:蓄電池を導入し、夜間電力を昼間に活用する
太陽光発電と組み合わせることで真価を発揮するのが家庭用蓄電池です。蓄電池を導入すると、以下のような賢い電気の使い方が可能になります。
- 単価が安いナイトタイムの電力を蓄電池に貯めておく。
- 割高なデイタイムに、貯めておいた電気を使う。
- 太陽光発電の余剰電力を、売電せずに蓄電池に貯めて夜間に使う。
このように、蓄電池は「おトクeプラン」と太陽光発電の橋渡し役となり、電気の自給自足率を極限まで高めることができます。また、災害による停電時にも非常用電源として活用できるため、防災対策としても非常に有効です。
太陽光発電や蓄電池の導入には初期費用がかかりますが、国や自治体の補助金制度を活用することで、負担を軽減することも可能です。長期的な視点で見れば、将来の電気料金高騰リスクに対する有効な防衛策となり得ます。
ご自宅に最適な設備や費用対効果を知りたい場合、無料で太陽光・蓄電池の費用対効果を確認してみることをお勧めします。専門家によるシミュレーションで、具体的な経済メリットを把握できます。
※費用や制度適用は条件により異なります。
第4章:まとめ|あなたの家庭に「おトクeプラン」は本当に合っているか?
この記事では、四国電力の「おトクeプラン」について、そのデメリットと対策を詳しく解説しました。このプランは、夜間の電力を安く使える一方で、昼間の料金が割高であり、燃料費調整額の上限撤廃という大きなリスクを抱えています。
最終的に「おトクeプラン」がご家庭に合っているかどうかは、ライフスタイルと電力消費パターンによって決まります。以下のチェックリストで、ご自身の状況を客観的に評価してみてください。
- 向いている家庭:共働きなどで日中はほとんど家に人がおらず、電力消費が夜間に集中している。エコキュートなどの夜間蓄熱式機器を主に使っている。太陽光発電や蓄電池を導入している、または導入を検討している。
- 向いていない家庭:日中も家族の誰かが在宅し、エアコンや家電を長時間使用する。電力消費のピークが昼間にある。太陽光発電などの設備導入を考えていない。
もし、ご自身の家庭が「向いていない家庭」に当てはまる、あるいは判断に迷う場合は、現在の電気の使用状況を「よんでんコンシェルジュ」などのサービスで詳細に確認し、他のプランと比較検討することが重要です。一つの情報源に頼らず、多角的な視点から、ご家庭にとっての最適な選択をしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 「おトクeプラン」の最大のデメリットは何ですか?
「おトクeプラン」の最大のデメリットは、夜間電力が安い代わりに昼間の電力量料金単価が他のプランに比べて割高に設定されている点です。
そのため、日中に在宅している時間が長く、電力消費量が多いご家庭(テレワーク、専業主婦(夫)、未就学児のいる家庭など)では、夜間のメリットを昼間のデメリットが上回り、かえって電気代が高くなる可能性があります。
Q2. 燃料費調整額の上限撤廃の影響は今後どうなりますか?
燃料費調整額の上限が撤廃されたことにより、燃料(LNGや石炭など)の国際価格が大きく変動した場合、その影響が直接電気料金に反映されるようになりました。
今後、世界情勢の不安定化や円安が進行すると、燃料価格が高騰し、電気代が過去にない水準まで上昇するリスクがあります。以前のように上限額で抑制されることがないため、家計への影響がより大きくなる可能性があります。
Q3. 太陽光発電があれば「おトクeプラン」は得ですか?
太陽光発電を設置しているご家庭にとって、「おトクeプラン」は相性が良いと言えます。割高な昼間の電気は太陽光発電でまかない、購入電力を最小限に抑えることができるからです。
さらに、夜間の安い電力をエコキュートでお湯を沸かす、あるいは蓄電池に充電して昼間に使うといった工夫をすることで、プランのメリットを最大限に引き出し、電気代を効果的に削減することが可能です。
Q4. 四国電力のプラン変更の相談はどこにすれば良いですか?
四国電力の料金プランに関する公式な相談は、四国電力のコールセンターや営業所、公式ウェブサイトのチャットサービスなどで受け付けています。
ただし、電力会社の提案は自社プラン内での比較に限られます。太陽光発電や蓄電池の導入を含めた、より中立的で包括的な視点での電気代削減策を検討したい場合は、複数の選択肢を比較提案できる専門のサービスに相談することも有効です。
※プラン変更は原則として年に1回しかできないため、慎重な判断が求められます。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。
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