太陽光発電のストリングスとは何か?組み方やパワコンについて徹底解説!
太陽光発電で使用する太陽光パネルは、複数の太陽電池を組み合わせて1枚のパネルとしたものです。
太陽電池は組み合わせ方によって発電効率が大きく変化することをご存じでしょうか。
今回は太陽光パネルの基礎知識として、太陽電池やパネルの単位であるセル・モジュール・アレイ・ストリングの意味と、ストリングの組み方、ストリングと密接にかかわるパワーコンディショナーについて解説します。
目次
ストリングは太陽光パネルを構成する単位の1つ
太陽光パネルに関する用語は、カタカナ語が多くなるため一般の方にとって理解しにくいかもしれません。
ここでは、太陽光パネルに関する4つの用語を紹介します。
セル
セルとは、太陽電池の最小単位のことです。
太陽電池は「電池」と名づけられていますが、電気を蓄える機能はなく、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を持っています。
太陽電池の最も小さい単位であるセルの集合体が、後ほど紹介するモジュールです。
シリコン系のセルは大きく分けて3種類です。
単結晶シリコン | もっとも古くから使われている太陽電池セル 変換効率が高く高性能だが、高純度シリコンを使用 課題は高コストであること |
多結晶シリコン | 単結晶シリコンより変換効率は落ちるが低コスト 大量生産に適している |
アモルファスシリコン | 蛍光灯の光にも反応するため電卓などで使用 変換効率の低さや紫外線に弱いことが弱点 近年、弱点を改良した商品も開発されている |
太陽電池セルの原料となるウエハーは、大型化が進んでいます。
2010年以前は、125mm×125mmの大きさが主流でしたが、2010年以後は156mm×156mmが主流となり、2016年には156.75mm×156.75mmへと大きさが変化しました。
現在の大きさの主流は166mm×166mmや182mm×182mmですが、将来的には210mm×210mmのシェアが大きくなると予想されています。
ウエハーが大きくなれば、セルも大きくなり、発電量も増加します。
ウエハーの形は、正方形から長方形に変化しつつあります。
長方形ウエハーを採用することで、セルの出力が7.6%増加したという試算もあり、今後は長方形への移行が進むのではないかと考えられています。
出典:電子デバイス産業新聞
モジュール
モジュールとは、太陽電池セルを組み合わせて1枚のパネルとしたものです。
太陽光パネル、ソーラーパネルと同じ意味の言葉と考えるとよいでしょう。
モジュールは屋外で使用するため、樹脂やアルミ枠、強化ガラスなどで補強されています。
太陽光モジュールの重さは1枚あたり15〜19キログラムです。
20枚のモジュールを屋根に設置した場合、屋根には300〜380キログラムの重さがかかります。
屋根瓦や化粧スレートといった屋根材より軽いですが、老朽化した住宅の場合は大きな負担となるため、耐震性の確認が必要です。
モジュール1枚あたりの発電量は、パネルの面積やメーカーの性能によって幅がありますが、250〜400W前後となっています。
ストリング
モジュールを複数並べ、直列につないだものをストリングといいます。
複数のモジュールを直列につなぐと、電流が大きくなります。
小学校で習った乾電池と同じで、一直線に直列でつなぐと、並列でつないだ時よりも大きな電力を得られます。
しかし、直列つなぎのどこかで不具合が発生すると、ストリング全体の発電量が低下してしまうという弱点があります。
ストリングの組み方については、後ほど詳しく解説します。
アレイ
アレイは複数のストリングを組み合わせ、架台をつけて屋根に取り付けられる状態になっているものをさします。
アレイの形は設置する場所によって決まります。
アレイを設置する際は、角度が非常に重要となります。
日本の場合、傾斜角30°が最も効率よく太陽光を受けられる角度ですが、緯度によって角度が異なります。
一般に、高緯度ほどアレイを設置する角度が大きくなり、低緯度ほど角度が小さくなります。
ストリングの組み方で発電量が変わる
ストリングは太陽光パネル(モジュール)を直列につなげたものですが、横組みか縦組みかで発電効率に大きな影響をでます。
横組みと縦組みの違いについて見てみましょう。
ストリングの原則的組み方
ストリングの原則的な組み方は、以下のとおりです。
- 複数のストリングがある場合は、それぞれの直列数をそろえる
- 可能な限り、多くのストレングを接続させる設計にする
これらの原則を満たすため、設置業者は横組みと縦組みなど複数の接続方法を駆使しています。
横組みのストリング
モジュールを全て直列でつなぐ横組みのストリングは、全てのパネルで発電できるため高い発電量が期待できます。
その反面、一部のモジュールが壊れたり、陰で覆われたりすると、ストリング全体の発電量が大きく低下してしまいます。
縦組みのストリング
モジュールを横に直列につなぐのとは異なり、上下につなぐ方式を縦組みといいます。
縦組みは、何らかの理由で一部の発電効率が低下したとしても、効率の低下を最低限に抑えられる組み方です。
しかし、この方式は設計や施工のノウハウが必要です。
縦組みを採用する場合は、専門的な知識を持った業者に、施工を依頼したほうがよいでしょう。
ストリングと密接にかかわるパワーコンディショナー
ストリングの発電量を増やすには、パワーコンディショナー(以下、パワコン)選びも非常に重要です。
ここからは、集中型と分散型の2種類のパワコンについて解説します。
集中型パワーコンディショナー
集中型のパワコンは、1台で多くのパネルをコントロールするタイプのものです。
メリットは効率よくストリングを管理できるため、コストを削減できることや設置や保守、メンテナンスが比較的容易になることです。
パワコンの数が少ないことは、デメリットにもつながります。
1台あたりの重要性が高いため、故障した際の影響が大きくなります。
ストリングに異常がない状態でも、集中型パワコンが壊れてしまうと、その間の発電はできません。
集中型パワコンはリスクヘッジという点で課題があるのです。
また、集中型パワコンはサイズが大きく、1台あたりの費用や設置時の基礎工事の費用がかさむといったデメリットもあります。
初期投資が大きくなりがちであるため、導入する際には慎重に検討する必要があります。
分散型パワーコンディショナー
分散型パワコンは、1台あたりで受け持つストリングの数を減らすことでリスクを分散させるタイプです。
集中型パワコンよりもサイズが小さいため、導入コストが抑えらえるというメリットがあります。
導入する台数が多いため、どれか一つのパワコンが故障しても、全体への影響を最小限にすることができます。
そのかわり、設置やメンテナンスの手間がかかります。
リスクは分散しますが、手間も分散してしまいまい、効率が悪くなります。
まとめ
今回は太陽光パネルの基本知識であるストリングについて解説しました。
太陽光パネルは最小単位であるセルによって構成されています。
ストリングは複数のパネルを組み合わせたものであり、組み合わせ方次第で発電量に大きな影響を与えることがわかりました。
効率よく発電するには、単純な横組みのストリングだけでは不十分です。
陰のでき方やアレイの角度を含め、設置ノウハウを十分蓄積した専門業者に依頼することで、発電効率を向上させる最適なストリングの組み方を実現できます。
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