太陽光+蓄電池で後悔する前に知っておくべき7つのリスク

太陽光発電と蓄電池の組み合わせは、環境意識の高まりとともに注目を集めています。しかし、導入を検討している方の中には「本当に導入して大丈夫なのか」「失敗するリスクはないのか」といった不安を抱く方も少なくありません。実際に導入してから後悔することがないよう、事前に知っておくべき課題やリスクについて詳しく解説します。
目次
太陽光発電と蓄電池導入で起こりがちな問題
太陽光発電システムと蓄電池の導入は、多くのメリットがある一方で、十分な検討なしに進めると様々な問題に直面する可能性があります。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、起こりがちな問題を事前に把握しておくことが重要です。
初期費用の高額化による経済的負担
太陽光発電システムに蓄電池を組み合わせる場合、初期投資額が300万円から500万円程度になることも珍しくありません。一般的な4kWの太陽光発電システムで約120万円、家庭用蓄電池で約150万円から300万円の費用がかかります。これに工事費や各種手続き費用を加算すると、家計への負担は相当なものになります。
ローンを組んで導入する場合、月々の返済額が家計を圧迫する可能性があります。また、固定資産税の増額や火災保険料の見直しなど、導入後に発生する継続的な費用についても十分に検討する必要があります。
期待していた発電量が得られないケース
太陽光発電の発電量は、設置環境や気象条件に大きく左右されます。カタログ値や業者の説明で示された発電量が実際には達成されないケースが多く報告されています。屋根の向きや角度、周辺建物による影響、地域の日照時間などの要因により、期待していた発電量を下回ることがあります。
特に都市部では、隣接する建物の影響や大気汚染による日射量の減少などにより、郊外や地方と比較して発電効率が低下しやすい傾向があります。また、経年劣化により発電効率は徐々に低下していくため、長期的な収支計画においてこの点を考慮しておく必要があります。
蓄電池の性能劣化と交換コスト
蓄電池は消耗品であり、使用とともに蓄電容量が徐々に減少していきます。一般的なリチウムイオン蓄電池の寿命は10年から15年程度とされており、この期間を過ぎると交換が必要になります。蓄電池の交換費用は100万円を超えることも多く、太陽光発電システムの耐用年数である20年から25年の間に少なくとも1回は交換を検討する必要があります。
また、蓄電池の性能は温度変化にも影響を受けるため、設置環境によっては予想以上に早く性能が劣化する可能性があります。夏場の高温や冬場の低温により、蓄電効率が低下することも考慮すべき要因です。
売電価格の変動と制度変更リスク
再生可能エネルギーの普及促進を目的とした固定価格買取制度(FIT)は、導入時期により買取価格が異なります。近年は買取価格の継続的な低下が続いており、今後もこの傾向は続くと予想されます。
FIT制度終了後の不確実性
FIT制度による買取期間は10年間(住宅用太陽光発電の場合)となっており、制度終了後の売電価格は大幅に下落する可能性があります。2019年以降、FIT制度が終了した住宅では、売電価格が1kWhあたり10円以下となるケースが多く見られます。
制度終了後の売電収入の減少を補うために蓄電池を導入する場合でも、電力の自家消費だけでは投資回収が困難になる可能性があります。また、将来的な電力制度の変更により、現在の収支計画が成り立たなくなるリスクも考慮する必要があります。
補助金制度の変更可能性
太陽光発電や蓄電池の導入に対する国や自治体の補助金制度は、政策方針の変更により内容が変わる可能性があります。導入を検討している期間中に補助金額が減額されたり、制度自体が終了したりするリスクがあります。
また、補助金の交付条件や申請手続きも複雑化する傾向があり、適切な申請ができずに補助金を受けられないケースも報告されています。補助金ありきで収支計画を立てている場合、制度変更により計画の見直しが必要になることもあります。
設置・メンテナンスに関する課題
太陽光発電システムと蓄電池の設置・メンテナンスには、多くの専門知識と継続的な管理が必要です。適切な業者選びや保守管理を怠ると、システムの性能低下や故障のリスクが高まります。
施工業者の技術力不足による問題
太陽光発電システムの設置工事は高度な技術力が必要ですが、施工業者の技術力不足により雨漏りや配線不良などの問題が発生するケースがあります。特に屋根への穴あけ工事では、防水処理が不適切だと建物に深刻な損傷を与える可能性があります。
また、電気工事においても、配線の不適切な施工により火災リスクが高まったり、システムの性能が十分に発揮されなかったりする問題が報告されています。施工業者選びを間違えると、初期投資が無駄になるだけでなく、建物自体にも被害が及ぶ可能性があります。
定期メンテナンスの必要性とコスト
太陽光発電システムは「メンテナンスフリー」と説明されることがありますが、実際には定期的な点検や清掃が必要です。年1回から2回の定期点検費用として、年間3万円から5万円程度のコストがかかることが一般的です。
太陽光パネルの表面に付着した汚れや落ち葉は発電効率を低下させるため、定期的な清掃が必要です。また、パワーコンディショナーや配線の点検、蓄電池の動作確認なども専門業者による作業が必要となります。これらのメンテナンス費用を考慮しないで収支計画を立てると、実際の投資回収期間が大幅に延びる可能性があります。
機器の故障とアフターサービス
太陽光発電システムや蓄電池は精密機器であり、故障のリスクがゼロではありません。保証期間を過ぎた後の修理費用は高額になることが多く、部品交換だけで数十万円かかることもあります。
特に海外製の安価な機器を選択した場合、故障時の部品調達や修理対応に時間がかかったり、アフターサービスが十分に受けられなかったりする可能性があります。また、施工業者が廃業した場合、保証やアフターサービスが受けられなくなるリスクも考慮する必要があります。
電力会社との契約・系統連系の複雑さ
太陽光発電システムを電力系統に接続するためには、電力会社との系統連系契約が必要です。この手続きは複雑で、場合によっては長期間を要することがあります。
系統連系の申請手続きと待機期間
電力会社への系統連系申請は専門的な知識が必要で、申請から承認まで数ヶ月から1年以上かかることもあります。特に電力需要の少ない地域や、すでに多くの太陽光発電設備が設置されている地域では、系統への接続が制限される場合があります。
申請手続きの遅れにより、予定していた時期に運転開始できず、FIT制度の買取価格が変更になってしまうリスクもあります。また、系統連系に必要な設備工事費用が追加で発生する場合もあり、初期投資額が当初の予定を上回る可能性があります。
出力制御による発電量の制限
電力需要と供給のバランスを保つため、電力会社により太陽光発電の出力制御が実施される場合があります。出力制御が実施されると、発電した電力を売電できない時間が発生し、期待していた売電収入が得られなくなります。
特に再生可能エネルギーの導入が進んでいる地域では、出力制御の頻度が高くなる傾向があります。出力制御による売電収入の減少は、投資回収計画に大きな影響を与える可能性があるため、導入前に十分な確認が必要です。
住宅環境・立地条件による制約
太陽光発電システムと蓄電池の設置には、住宅の構造や立地条件による制約があります。すべての住宅が設置に適しているわけではなく、環境によっては十分な効果が期待できない場合があります。
屋根の構造と耐荷重の問題
太陽光パネルの重量は1平方メートルあたり約15キログラムから20キログラムとなり、古い住宅や木造住宅では屋根の耐荷重が不足する場合があります。耐荷重が不足している場合、屋根の補強工事が必要となり、追加費用が発生します。
また、屋根の形状や材質によっては、太陽光パネルの設置が困難な場合もあります。複雑な形状の屋根や、設置面積が狭い屋根では、十分な発電量を確保できない可能性があります。築年数の古い住宅では、屋根材の交換と同時に太陽光パネルを設置することで、工事費用が大幅に増加することもあります。
日照条件と周辺環境の影響
太陽光発電の効率は、日照条件に大きく左右されます。北向きの屋根や、日中の大部分で影になる立地では、期待される発電量を得ることができません。また、隣接する建物や樹木により影響を受ける場合、発電効率が大幅に低下する可能性があります。
都市部では、将来的に隣接地に高層建築物が建設されるリスクもあります。現在は日当たりが良好でも、周辺の開発により発電環境が悪化する可能性を考慮する必要があります。また、海岸地域では塩害により機器の劣化が早まる場合があり、メンテナンス頻度やコストが増加することもあります。
蓄電池の設置場所の確保
家庭用蓄電池は、屋外設置型でも相当なスペースが必要です。蓄電池の設置には通風や保守点検のためのスペースが必要で、狭小住宅では設置場所の確保が困難な場合があります。
また、蓄電池の運転音や設置による景観への影響も考慮する必要があります。隣接住宅との距離が近い場合、騒音トラブルの原因となる可能性もあります。屋内設置型の蓄電池を選択する場合でも、換気や重量に対する床の補強など、追加の工事が必要になることがあります。
契約トラブルと悪質業者のリスク
太陽光発電と蓄電池の普及に伴い、悪質な販売業者による契約トラブルが増加しています。高額な契約であるため、業者選びを間違えると大きな損失を被る可能性があります。
訪問販売による強引な契約
太陽光発電システムの訪問販売では、誇大な効果をうたった説明や、限定的な条件を強調した強引な契約が問題となっています。「今日契約すれば特別価格」「補助金がなくなる前に」といった urgency を煽る手法により、十分な検討時間を与えないまま契約を迫られるケースが報告されています。
また、収支シミュレーションにおいて、実際よりも高い発電量や売電価格を提示したり、メンテナンス費用を過小に見積もったりして、投資回収期間を実際よりも短く説明する業者もあります。このような不適切な説明により契約した場合、期待した効果が得られず、経済的な損失を被る可能性があります。
工事品質とアフターサービスの問題
価格競争により、工事品質やアフターサービスを軽視する業者が存在します。安価な見積もりを提示する業者の中には、必要な工事を省略したり、低品質な部材を使用したりするケースがあります。
工事後に雨漏りや機器の不具合が発生しても、業者が適切に対応しない場合があります。また、保証内容が不明確で、故障時の責任の所在が曖昧になることもあります。施工業者が廃業した場合、保証やアフターサービスが受けられなくなるリスクも考慮する必要があります。
契約解除の困難さと解約費用
太陽光発電システムの契約は、一度締結すると解除が困難な場合があります。クーリングオフ期間を過ぎた後の契約解除では、高額な解約費用を請求されることがあります。
特にローン契約と一体となった販売契約では、解約時の精算が複雑になりがちです。また、工事が開始された後の契約解除では、既に実施した工事費用や原状回復費用などが発生する可能性があります。契約前に解約条件や費用について十分に確認し、理解しておくことが重要です。
まとめ
太陽光発電と蓄電池の導入には、多くのメリットがある一方で、様々なリスクや課題も存在します。初期費用の高額化、期待した発電量が得られないリスク、蓄電池の性能劣化、制度変更による影響、施工・メンテナンスの問題、立地条件による制約、契約トラブルなど、事前に十分な検討が必要な要因が数多くあります。
導入を検討する際は、これらのリスクを十分に理解し、複数の業者から見積もりを取得して比較検討することが重要です。また、収支シミュレーションは保守的な条件で作成し、メンテナンス費用や機器交換費用も含めた長期的な視点で判断することをお勧めします。
導入を決定する前に、家族でしっかりと話し合い、経済的な負担やリスクについて十分に理解した上で判断することが、後悔のない選択につながります。
よくある質問
Q1: 太陽光発電と蓄電池の導入で元は取れますか?
A1:
導入費用の回収は、設置条件や電力使用パターン、制度変更などにより大きく左右されます。一般的に15年から20年程度の長期間を要することが多く、途中での機器交換費用も考慮する必要があります。保守的な条件でシミュレーションを行い、慎重に判断することをお勧めします。
Q2: 蓄電池は本当に必要ですか?
A2:
蓄電池の必要性は、各家庭の電力使用パターンや停電への備えに対する考え方により異なります。日中の発電量を夜間に使用したい場合や、災害時の備えを重視する場合には有効ですが、費用対効果を慎重に検討する必要があります。太陽光発電のみでの導入も選択肢の一つです。
Q3: 訪問販売で契約してしまいましたが、解約できますか?
A3:
訪問販売による契約はクーリングオフの対象となり、契約書面を受け取った日から8日間は無条件で契約を解除できます。期間を過ぎた場合でも、不適切な説明や強引な勧誘があった場合は契約の取り消しが可能な場合があります。消費生活センターに相談することをお勧めします。
Q4: 太陽光パネルの寿命はどのくらいですか?
A4:
太陽光パネルの期待寿命は一般的に20年から25年とされていますが、経年により発電効率は徐々に低下します。多くのメーカーでは出力保証を提供していますが、保証期間や保証内容は製品により異なります。長期間の使用を前提として、メンテナンス計画も含めて検討することが重要です。
Q5: 停電時に太陽光発電システムは使えますか?
A5:
一般的な系統連系システムでは、停電時は自動的に発電を停止するため、そのままでは電力を使用できません。停電時にも電力を使用するためには、自立運転機能付きのパワーコンディショナーや蓄電池システムが必要です。災害対策を目的とする場合は、システム構成を十分に確認することが大切です。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
光熱費削減に関するお悩み等ございましたら、お気軽にご相談下さい。
光熱費削減コンサルタント
中田 萌ご相談やお見積もりは
完全無料です!