太陽光発電のしくみを分かりやすく解説

目次
太陽光発電の基本的なしくみ
太陽光発電の発電原理
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電方式です。この変換プロセスには「光電効果」という物理現象が利用されています。
光電効果とは、光が物質に当たることで電子が飛び出す現象のことです。太陽光発電では、この現象を利用して継続的に電気を生み出しています。太陽の光子(光の粒子)が太陽電池セル内の半導体材料に衝突すると、電子が励起されて電流が発生します。
半導体の役割
太陽光発電の中核となるのは半導体材料です。最も一般的に使用されているのはシリコン(Si)という素材で、純粋なシリコンにリン(P)やホウ素(B)などの不純物を添加することで電気的な性質を変化させています。
リンを添加したシリコンは「n型半導体」と呼ばれ、電子が多い性質を持ちます。一方、ホウ素を添加したシリコンは「p型半導体」と呼ばれ、電子が不足している(正孔が多い)性質を持ちます。
pn接合による電位差の生成
太陽電池セルでは、p型半導体とn型半導体を接合させた「pn接合」という構造を作り出します。この接合部分では、n型側の電子がp型側に移動し、p型側の正孔がn型側に移動することで、接合部分に電位差が生じます。
この電位差により、太陽光が当たって発生した電子と正孔が分離され、一定の方向に電流が流れる仕組みが完成します。
太陽光発電システムの構成要素
太陽電池パネル(太陽電池モジュール)
太陽電池パネルは、複数の太陽電池セルを組み合わせて作られています。一般的な住宅用太陽電池パネルには、約60枚から72枚の太陽電池セルが搭載されており、これらが直列に接続されることで実用的な電圧を生み出します。
太陽電池セルは非常に薄く、厚さは約0.2mmほどしかありません。これらのセルを保護するため、強化ガラスやバックシートで覆われ、アルミニウムフレームで支えられています。
パワーコンディショナー
太陽電池パネルで発電された電気は直流電力ですが、家庭で使用する電気は交流電力です。パワーコンディショナーは、この直流電力を交流電力に変換する重要な機器です。
パワーコンディショナーには、電力変換機能以外にも以下の機能があります:
- 最大電力点追従制御(MPPT):太陽電池パネルから最大限の電力を取り出す制御
- 系統連系保護機能:電力系統に異常が発生した際に自動で運転を停止
- 絶縁監視機能:安全性を確保するための監視機能
電力会社との系統連系を行う際は、経年劣化が早まることがあります。
系統連系設備
太陽光発電システムで発電した電力を電力会社の配電線(系統)に接続するための設備です。系統連系により、発電した電力を自家消費するだけでなく、余剰電力を電力会社に売電することが可能になります。
系統連系は申請から承認までに要する期間は通常3ヵ月~6ヵ月程度です。
電力量計(スマートメーター)
発電量や消費電力量、売電量を計測するための機器です。従来の電力量計に加えて、太陽光発電システムには売電用の電力量計も設置されます。
太陽光発電の発電プロセス
光の吸収から電気の生成まで
太陽光発電の発電プロセスは以下の段階で行われます:
- 光の吸収:太陽光が太陽電池セルに到達し、半導体材料に吸収される
- 電子の励起:吸収された光エネルギーにより、価電子帯の電子が伝導帯に励起される
- 電子と正孔の分離:pn接合の電界により、電子と正孔が分離される
- 電流の発生:分離された電子が外部回路を通って流れ、電流が発生する
発電効率に影響する要因
太陽光発電の発電効率は以下の要因によって影響を受けます:
気象条件:
- 日射量:晴天時の方が発電量が多い
- 気温:高温時は発電効率が低下する傾向
- 季節:冬場は日射角度が低く、発電量が減少
設置条件:
- 設置方位:南向きが最も効率的
- 設置角度:地域により最適角度が異なる
- 影の影響:建物や樹木による影は発電量を大幅に低下させる
太陽光発電の種類と特徴
結晶シリコン系太陽電池
単結晶シリコン太陽電池: 純度の高いシリコンを使用し、発電効率が高い特徴があります。一般的に20%前後の変換効率を持ちますが、製造コストが高めです。
多結晶シリコン太陽電池:
複数の結晶粒から構成されており、単結晶に比べて製造コストが安価です。変換効率は単結晶よりやや低めですが、コストパフォーマンスに優れています。
薄膜系太陽電池
アモルファスシリコン太陽電池: シリコンを薄膜状に成膜した太陽電池で、結晶シリコン系に比べて材料使用量が少なく、製造コストを抑えられます。
CIGS太陽電池:
銅、インジウム、ガリウム、セレンを主成分とする化合物半導体を使用した太陽電池です。薄膜でありながら高い変換効率を実現できる特徴があります。
太陽光発電システムの導入費用
設置費用の相場
太陽光パネルの設置費用の相場は、パネルの種類や設置面積、工事内容などによって大きく異なりますが、一般的には1kWあたり35万円~40万円程度です。
一般的な家庭用太陽光発電システム(4kW~5kW)を導入する場合の費用相場は140万円~200万円程度が目安となります。
売電価格と経済性
住宅用太陽光発電(10kW未満)の売電価格は、1kWhあたり15円となっており、設置年度や電力会社によって異なります。
太陽光発電システムは、自家消費による電気代削減効果と余剰電力の売電収入により、設置費用を回収することが可能です。
太陽光発電と蓄電池の連携
蓄電池システムとの組み合わせ
太陽光発電システムに蓄電池を組み合わせることで、発電した電力を貯蔵し、夜間や悪天候時にも太陽光発電の電力を利用できるようになります。
家庭用蓄電池の費用相場は容量1kWhあたり20万円~30万円程度で、家庭用蓄電池(4kWh~7kWh)を導入する場合の費用相場は100万円~200万円程度が目安です。
蓄電池の標準的な設置工事費用は20万円~35万円程度とし、設置環境や配線の複雑さ等により変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
蓄電池の寿命と性能
蓄電池の寿命は30年前後で、最新のリチウムイオン蓄電池の充放電サイクル数は6,000回から12,000回程度です。
蓄電池の種類別の価格相場は、小容量の3kWh~5kWhタイプは100万円~150万円、中容量の6kWh~10kWhタイプは150万円~200万円、大容量の10kWh以上は200万円~350万円程度となっています。
太陽光発電システムのメンテナンス
定期点検の重要性
太陽光発電システムは比較的メンテナンスが少ない設備ですが、長期間にわたって安定した発電を継続するためには定期的な点検が必要です。
主な点検項目には以下があります:
- 太陽電池パネルの汚れや破損の確認
- パワーコンディショナーの動作確認
- 配線や接続部分の点検
- 発電量の監視
清掃と保守
太陽電池パネルの表面に汚れが蓄積すると発電効率が低下します。基本的には雨水による自然洗浄で十分ですが、鳥の糞や砂埃などの汚れが著しい場合は専門業者による清掃が推奨されます。
パワーコンディショナーは精密機器であるため、異常を感じた場合は速やかに専門業者に相談することが重要です。
太陽光発電システムの廃棄とリサイクル
使用済みパネルの処理
太陽光発電システムの寿命は一般的に20年~25年程度とされており、使用済みとなった太陽電池パネルは適切に処理する必要があります。
太陽光パネルの処分費用は1枚あたり5,000円からが相場となっています。
リサイクルの取り組み
太陽電池パネルには銀やアルミニウムなどの有価金属が含まれており、適切にリサイクルすることで資源の有効活用が図られています。現在、業界全体でリサイクル技術の向上と処理体制の整備が進められています。
よくある質問
太陽光発電の発電量は天候に左右されますか?
太陽光発電の発電量は日射量に比例するため、晴天時の発電量が最も多く、曇天時や雨天時は発電量が減少します。ただし、完全に発電が停止するわけではなく、曇天時でも晴天時の30%~50%程度の発電は可能です。また、気温が高すぎると発電効率が低下するため、真夏よりも春や秋の方が効率的に発電できる場合があります。
太陽光発電システムはどのくらいの期間使用できますか?
太陽光発電システムの設計寿命は一般的に20年~25年程度です。特に太陽電池パネルは耐久性が高く、適切なメンテナンスを行えば25年以上の使用も可能です。パワーコンディショナーは10年~15年程度で交換が必要となる場合があります。多くのメーカーが太陽電池パネルに対して20年以上の出力保証を提供しており、長期間にわたって安定した発電が期待できます。
停電時でも太陽光発電システムは使用できますか?
通常の系統連系型太陽光発電システムは、停電時には安全上の理由から自動的に運転を停止します。ただし、多くのパワーコンディショナーには「自立運転機能」が搭載されており、手動で切り替えることで停電時でも発電した電力を使用することが可能です。この場合、専用のコンセントから最大1.5kW程度の電力を取り出すことができます。蓄電池システムと組み合わせることで、より安定した停電時の電力供給が可能になります。
太陽光発電システムの発電効率を向上させる方法はありますか?
発電効率を向上させるためには、まず太陽電池パネルの設置条件を最適化することが重要です。南向きで適切な角度に設置し、影の影響を最小限に抑えることが基本となります。また、太陽電池パネルの清掃を定期的に行い、表面の汚れを除去することで発電効率を維持できます。さらに、高効率な太陽電池パネルや最新のパワーコンディショナーを選択することで、システム全体の効率向上が期待できます。
太陽光発電システムの導入時に利用できる補助金制度はありますか?
2025年現在、国による住宅用太陽光発電システムの補助金制度は終了していますが、多くの地方自治体では独自の補助金制度を設けています。補助金の内容や金額は自治体によって異なるため、導入を検討される際は、お住まいの地域の自治体に確認することをお勧めします。また、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせた場合の補助金制度もあるため、詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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