深夜電力が値上げしている理由とは?深夜電力の現状と対処法について解説!
2023年に入り、電力各社が一斉に値上げを申請したことが話題となりました。
そうした中、これまでリーズナブルだと考えられてきた深夜電力や夜間電力の料金にも値上げの動きがみられます。
なぜ、こうしたことが起きているのでしょうか。
今回は、深夜電力の概要や夜間電力との違い、値上げする理由、値上げへの対処法について解説します。
目次
深夜電力とは
深夜電力は通常の電気料金とは別の契約で、主に特定の機器を夜間に使用するときに適用されるプランです。
概要や活用法、夜間電力との違い、現状について解説します。
深夜電力の概要
深夜電力プランが作られた背景には、夜間に使われる電力が少なく、電力が余り気味だったことがあります。
電力会社は電気を安定供給するため、必要な電気の量よりも多く発電しています。
発電量はある程度調整できるものの、大幅に増減させることは困難です。
そのため、夜には電力が余りがちでした。
そこで、夜に割安なプランを設定し、余った電力の利用を促していました。
適用される時間帯は各社で異なっていますが、多くの会社では夜22時から翌朝7時までの時間帯を対象としています。
深夜電力の活用法
活用する方法の一つは、電力消費量が大きい家電製品を稼働させることです。
エコキュートや電気温水器、蓄電池などを該当する時間帯に稼働させ、昼間よりも割安な料金で使用します。
洗濯機や乾燥機を使用することもできますが、周囲への騒音に配慮しなければなりません。
また、蓄電池を導入するのも一つの方法です。
料金が比較的安い夜に充電し、昼間に使用して差額分を節約します。
夜間電力との違い
契約するには、一般家庭の多くが利用している「従量電灯B」などの標準プランと別に、専用の契約を結ばなければなりません。
一方、夜間電力は特定の時間(夜間)の電気料金が割安で設定されているプランで、昼よりも夜の電力料金が割安に設定されています。
深夜電力の現状
近年、深夜電力プランの新規契約を中止する電力会社が増えています。
以下の会社では新規受付を中止しています。
- 北海道電力
- 東北電力
- 東京電力
- 中部電力
- 四国電力
- 九州電力
- 沖縄電力
そのかわり、多くの会社では夜間に昼間よりも電力料金が安くなる夜間料金を設定しています。
値上げしている理由
通常の電力料金だけではなく、深夜電力や夜間電力も値上げされています。
値上げの背景として以下の点が考えられます。
- 夜間の電力需要が増したから
- 太陽光発電が普及したから
- 公平性を期したいから
それぞれの理由について詳しく見てみましょう。
夜間の電力需要が増加したから
1つ目の理由は夜の電力需要が増加したからです。
たとえば、深夜帯で使用する機器の代表であるエコキュート(家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機)の出荷台数は、急速に増加しています。
2001年にはわずか3,000台だった出荷数は、10年後の2011年に3,000,000台を突破。
2022年3月には8,000,000台を突破しました。
普及の背景には、消費電力量の低さや二酸化炭素排出量の少なく環境にやさしいと考えられていることなどがあります。
会社とすれば、無理に安売りする必要はなく、発電コストに見合った価格にしてコストを回収したいという思惑があるでしょう。
太陽光発電が普及したから
2つ目の理由は太陽光発電の普及です。
2012年に始まったFIT制度(固定価格買取制度)の後押しを受け、住宅用太陽光発電の導入件数は飛躍的に増加しました。
制度開始前の2011年の段階での累計導入件数は982,919件でした。
それが2019年には2,676,116件まで増加しました。
開始前と比べると約2.7倍まで増加したことがわかります。
参考:経済産業省「太陽光発電の状況」
太陽光の割合が増加するにつれ、一般家庭が購入する電力量が減少します。
特に、蓄電池を導入すると昼だけではなく夜も電気の購入量も減少します。
電力会社は昼の電気購入を働きかけるため、昼に使っても「お得」になるよう、夜間や深夜との価格差を縮めるように料金を設定します。
会社は昼と夜のバランスを取り、電気を購入する人の格差を小さくすることで公平性を確保しようとしています。
値上げにどう対処する?
一般的な電気料金だけでなく、深夜電力や夜間電力の料金も値上げされていますが、どのようにして対処すればよいのでしょうか。
対処法は以下の2つです。
- 別プランを検討する
- 太陽光発電を導入する
詳しい内容についてみてみましょう。
別プランを検討する
1つ目の対処方法は、別プランに変更することです。
かつては10の電力会社が電力の発送電を独占していました。
これらの会社を「旧一般電気事業者」といいます。
東京電力や関西電力などが該当します。
これらの会社は一般消費者向けに「従量電灯プラン」を提供しています。
従量電灯プランは料金を改定するために国の認可が必要です。
そのため、急激な価格変動が起きにくい仕組みとなっています。
これまで、規制料金よりも深夜・夜間のプランのほうが安くなるケースが多く見られましたが、価格が見直されることで従量電灯プランのほうが割安になる可能性がでてきています。
ただし、どちらがより安くなるか一概に判断できませんので、一度、契約している会社に相談したほうがよいでしょう。
太陽光発電を導入する
2つ目の対処方法は太陽光発電を導入することです。
太陽光発電は初期費用こそ高いものの、発電した電気を自宅で使用できるため、電気を購入する必要がなくなります。
これまで夜に稼働させてきたエコキュートや電気温水器を昼に稼働させ、電気代を削減することもできるでしょう。
蓄電池を購入するとさらに効果を高められます。
昼間に電力を消費する家電を使用しても、まだ余剰があれば、その分を蓄電池に貯められます。
すると、太陽光発電由来の電力を夜に使用することも可能となります。
まとめ
今回は深夜電力や夜間電力が現在どうなっているのか、どうして値上げされているのか、どのように対処すればよいのかについてまとめました。
電気代が高騰する中、深夜電力や夜間電力も例外なく上昇しています。
徐々に割安のメリットが薄れているのは否定しがたいところです。
2023年になっても電力価格上昇の要因が完全に解消されたわけではないため、再び、電力価格が上昇する恐れも否定できません。
安定して安価な電力を使用するため、電力プランや太陽光発電や蓄電池への投資を検討する必要があるかもしれません。
どのようにするにしても、事前にしっかり調べ、後悔のない選択肢にしたいものです。
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この記事の監修者
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