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蓄電池の種類と特徴の違いは?選ぶコツや注意したいポイント

2024年01月04日更新

蓄電池の種類はどれを選べばいいのか困っていませんか?

設置環境や使い方に合わせて最適な蓄電池を選びたいですよね。

今回の記事では、蓄電池の種類と特徴、選び方や導入時に気をつけたいポイントを解説していきます。

目次

蓄電池に使われている電池の種類と特徴

蓄電池に使われている電池の種類や特徴をくわしく解説していきます。

鉛電池「短時間で大きな電流を流せる」

鉛電池は、充電や放電を繰り返すことができ、大きな機動力を持つ蓄電池です。

主に電気製品や自動車用のバッテリーに使われています。

電流を流すときの力が強く、フォークリフトや自動車などの大量の電力が必要なものに鉛電池は適しています。

長時間の放電も穏やかで安定した性能をキープできるのも特徴です。

鉛電池の寿命は、およそ17年(サイクル回数:3,150回)と蓄電池の中でも寿命が長く安価に電力を供給できます。

燃料電池「CO2排出量ゼロで発電効率が高い」

燃料電池は、水素と酸素を使った化学反応で電力を発生させる電池のことです。

使い捨てタイプの乾電池とは違い、水素と酸素があればいつでも電気を生み出すことができます。

水素と酸素の組み合わせで化学反応が起きる熱と水素を使って、お湯を作る仕組みを用いたエネファームや燃料電池自動車が有名です。

発電時はCO2の排出量がなく、環境にやさしくクリーンなエネルギーを供給できます。

燃料電池の寿命は、およそ20年と蓄電池の中でも寿命が長い部類に含まれます。

NAS電池「メガワット級の電力を貯められる」

NAS電池は、ナトリウムと硫黄を使ったメガワット(1,0000kWh)級の蓄電池のことです。

ナトリウムと硫黄の化学反応によって充電や放電を繰り返す仕組みによって、毒性の金属を使用しないので安全性が高いのが特徴です。

主に風力や水力を使った大型のソーラー発電所や工業用機械に使われています。

蓄電池の中でもNAS電池は、1kWhあたり4万円台で購入できるコスパの高さが特徴です。

NAS電池の寿命は、およそ15年(サイクル回数:4,500回)と鉛蓄電池と同じ程度の寿命といえます。

コストを削減しつつ高性能なメガワット級の発電システムと連携したい人には、NAS電池がおすすめです。

ニッカド電池「繰り返しの充放電に強い」

ニッカド電池とは、ニッケル・カドミウムを原材料に使用した蓄電池です。

過充放電に強く繰り返しの使用が可能で、リチウムイオン電池とくらべて発火リスクが少なく安全性が高いのも特徴です。

ニッカド電池は、主に電動工具やシェーバーなど出力の大きな製品に使われています。

ニッカド電池の寿命は、およそ2.7年〜5.5年(サイクル回数1,000〜2,000回)と蓄電池の中では寿命が短いです。

ニッケル水素電池「エネルギー密度が高く充放電に強い」

ニッケル水素電池は、ニッケルと水素の化学反応で電気を作る蓄電池のことです。

カドミウムや水銀などの有害物質を使わないので、環境にやさしいのも特徴です。

ニッケル水素電池は、エネルギー密度が高いため充放電や過放電に強く、繰り返しの使用ができます。

主にデジタルカメラやパソコン、HV車のバッテリーに使われています。

ニッケル水素電池は、1.3年~2.7年(サイクル回数:500回〜1,000回)と蓄電池の中では、寿命が短い部類に含まれます。

レドックスフロー電池「正確に充電残量を把握できる」

レドックスフロー電池は、溶液を外部のタンクに貯めポンプに循環させて、酸化と還元を同時におこない充放電させる蓄電池のことです。

レドックスフロー電池は、主に電力負荷平準化や瞬時電圧低下対策、大規模な電力貯蔵用設備の出力を安定化させるために使われています。

レドックスフロー電池は、20年以上(サイクル回数:10,000回)と蓄電池の中では、寿命が長い部類に含まれます。

リチウムイオン電池「急速な充放電が可能」

リチウムイオン電池は、電極にリチウムを含ませた化合物を使って、リチウムイオンの移動により充放電させる蓄電池のことです。

リチウムイオン電池の重量エネルギーは、ニッカド電池の3倍とエネルギー密度が高いのも特徴です。

また、ニッケル水素電池のように継ぎ足し充電をしてもバッテリーの寿命に影響が出にくいため、繰り返しの充電も安心です。

主にノートパソコンや家庭用の蓄電池、車のバッテリーなどに使用されています。

リチウムイオン電池は、10~30年(サイクル回数:4,000回〜12,000回)と蓄電池の中では、寿命が長い部類に含まれます。

 

蓄電池の負荷タイプの種類と特徴

蓄電池の負荷タイプとは、「停電時に使える範囲の違い」のことを指します。

それぞれ全く違う特徴のため、購入する前に知っておく必要があります。

ここからは、負荷タイプの種類や特徴について解説していきます。

特定負荷型「特定の場所で100V対応の家電製品が使える」

特定負荷型の蓄電池は、限られた部屋や家電製品のみに電力の供給が可能です。

太陽光発電から蓄電池の充電を手動で切り替えられるため、停電時も使用できます。

家電製品は100Vの対応に限られますが、消費電力がその分減るので長期間の利用も可能です。

特定負荷型は、「停電時に最低限の電気を使いたい人」、「導入費用を安くすませたい人」に適しているでしょう。

全負荷型「家全体で200V対応の家電製品が使える」

全負荷型は停電時も家全体の電力をカバーすることができ、災害時もふだん通りに生活が送れます。

停電時は太陽光発電から蓄電池の充電を手動で自立運転に切り替える手間がなく楽チンです。

また、200V対応のIHクッキングヒーターやエコキュートなどの利用も可能です。

停電時でも太陽光発電との組み合わせで、1週間以上の生活を送ることもできます。

そのため、「停電時も家全体の電力を使いたい人」、「2世帯住宅の人」に全負荷型の蓄電池がおすすめです。

蓄電池の充電方式の種類と特徴

蓄電池は充電方式に違いがあり、それぞれの種類の特徴を理解しておく必要があります。

それぞれの充電方式の特徴についてくわしく解説していきます。

単機能型「単体で使用可能」

単機能型の蓄電池とは、蓄電池の専用のパワコンが付く製品のことを指します。

太陽光発電のパワコンを交換せずに、蓄電池専用のパワコンだけ設置できます。

そのため、太陽光発電との相性や保証期間の影響を受けずに設置しやすいのが特徴です。

そのため、「太陽光発電を導入したばかりの人」、「蓄電池のみで使用したい人」に単機能型は向いています。

ハイブリッド型「パワコンを一台にまとめられる」

ハイブリッド型は、太陽光発電とパワコンを一台にまとめたものを指します。

2台分の設置スペースが不要で、壁掛けや薄型タイプなど省スペースで設置ができます。

また、太陽光発電で生み出した直流電力を直接、蓄電池に貯められるので、電気ロスが少なく変換効率が高いのが特徴です。

停電時も昼間に発電した電力を使えたり、余剰電力を充電できたりすることも可能です。

ハイブリッド型は、「パワコンの買い替えを検討している人」、「設置スペースを削減したい人」に適しています。

トライブリッド型「太陽光発電 + 蓄電池 + EVと連携可能」

トライブリッド型の蓄電池は、太陽光発電と電気自動車の組み合わせにより充放電をコントロールできる蓄電システムです。

太陽光発電で生み出した電力は、蓄電池や電気自動車に給電でき「節電効果」「災害対策」に役立ちます。

トライブリッド型の設置で太陽光発電や蓄電池の増設、V2Hの後付けも可能です。

「太陽光発電のエネルギーを家や車に回したい人」、「蓄電池の増設や電気自動車の導入を考えている人」にトライブリッド型がおすすめです。

蓄電池の種類で後悔しないための選び方

蓄電池の導入で後悔しないためにも選び方のポイントを紹介します。

電力使用量にピッタリな容量

蓄電池の種類と合わせて、蓄電容量は1日の電力使用量にどのくらい必要なのか把握するのが大切です。

例えば、1日の電力使用量が13kWhで、昼間の使用率が70%の場合、13kWh前後の容量が目安です。

13kWhの容量で、深夜電力を購入して昼間の使用電力と夜間の使用電力を賄うことができます。

また、太陽光発電がある場合は、蓄電容量が半分に済むので初期費用を減らして導入できるでしょう。

サイクル回数が大きいもの

蓄電池はサイクル回数が大きいものほど、耐用年数が高くなり長期間の使用も可能です。

サイクル回数は、4,000回〜12,000回までと各メーカーでサイクル数は異なります。

例えば、4,000回のサイクル数で1日1回の使用の場合、およそ11年の寿命です。

下記の計算式を使うと、寿命を求められるので、希望の機種のサイクル回数をあてはめて計算してみてくださいね。

 

  • サイクル回数 ÷ 365(日)= 蓄電池の寿命

 

全負荷型ハイブリッド蓄電池は、1日2回の充放電ができます。

ただ、劣化スピードが早まり寿命が短くなるため、1日1サイクルの使用なら寿命を縮めずに長く使用できるでしょう。

設置スペースにゆとりのあるサイズ感

蓄電池は屋外・屋内、容量の大きさで設置サイズが変わるため、サイズ感を確認するのが大切です。

 

  • 屋内:エアコンの室外機一回り分の大きさ
  • 屋外:エアコンの室外機を縦2台分の大きさ

 

次にオムロンの蓄電池を設置する際の、サイズ・重さを容量別に記載してみました。

 

型番

容量

サイズ

KPBP-A-SET-HYB65-T

6.5kWh

幅490mm×高さ847mm×奥行147mm

KPBP-A-SET-HYB98-T

9.8kWh

幅490mm×高さ740mm×奥行295mm

KPBP-A-SET-HYB164-T

16.4kWh

幅490mm×高さ1010mm×奥行295mm

 

容量が増えるごとに、高さや奥行きが大きくなるのが分かりますよね。

その他にメーカーが指定するスペースの確保も必要になり、メーカーごとに設置スペースは異なります。

設置に不安がある場合は、専門店に相談することをおすすめします。

保証内容の充実さ

蓄電池を選ぶコツとして、保証期間や保証内容が充実しているメーカーを選ぶことが大切です。

6つの大手メーカーの保証期間と保証内容は下記のとおりです。

 

メーカー

保証期間

自然災害

有償での延長保証期間

保証内容

シャープ

10年間

なし

15年間

容量保証(50%か60%)

パナソニック

10年間

販売店取り扱い

15年間

容量保証(50%)

ニチコン

10年間

なし

15年間

容量保証(50%)

長州産業

15年間

なし

なし

容量保証(50% or 60%)

京セラ

15年間

(寒冷地は10年間)

10年間

なし

容量保証(50%)

オムロン

15年間

なし

15年間

容量保証(60%・70%)

 

メーカーによって保証期間の長さや保証内容、保証される容量は異なります。

また、保証期間の延長や自然災害が付帯しているものだと、保証をより手厚くできるので各メーカーの保証内容を比較してみてくださいね、

既設の太陽光発電と併設できること

蓄電池の充電方式によって、既設の太陽光発電の設置に影響が出やすくなります。

単機能型は単独でパワコンを設置でき保証が残りますが、ハイブリッド型蓄電池はパワコンをまとめて設置するので保証期間内でも外されてしまいます。

まずは既設の太陽光発電とパワコンの性能や機能性を確認することが重要です。

蓄電池の種類を決めるときに気をつけたい3つのポイント

蓄電池の種類を決めるときに気をつけたい3つのポイントを紹介します。

選び方で失敗や後悔しないためにも、それぞれの注意点を見ていきましょう。

高温多湿の場所をさけて設置する

蓄電池は25度を超える高温の場所に設置すると、急激に寿命が縮まるため高温多湿の設置を避けることが重要です。

蓄電池に多く使われている「リチウムイオン電池」は、高温に弱いため最悪の場合は発火や火災といった事故につながります。

そのため、屋外に設置する場合は、直射日光をさけて熱がたまらない風通しの良い場所に設置しましょう。

蓄電容量と出力が電力使用量にあっていること

自宅の家電製品の出力と、電気使用量にピッタリな蓄電容量から選ぶのが大切です。

出力から必要な電力量を求めることで、最適な蓄電池の容量を選ぶことができます。

 

  • 「出力(W)×時間(時間)=電力量(kWh)」

 

例えば、600Wのエアコンと100Wの照明、100Wのテレビを3時間利用した場合の電力量は、2.4kWhです。

5kWhの蓄電池なら6時間ほど持つことが分かります。

家電製品の出力から、必要な容量を求めることができるので、計算式を使って電力消費量を割り出してみてくださいね。

補助金の対象モデルなのか確認する

確実に補助金を受け取るためにも、蓄電池はSII登録製品なのか確認して選ぶ必要があります。

SIIとは環境共創イニシアチブのことで、災害時に家庭用蓄電池の導入を進めている補助金事業のことです。

国の補助金は、SIIが認定した蓄電池であることを条件にしており、対象モデルでないと補助金の申し込みができません。

そのため、「希望の蓄電池は登録済みなのか」チェックするためにも下記のサイトから確認しておきましょう。

 

蓄電システム登録済製品一覧

蓄電池の種類は設置環境や使い道に合わせて選ぼう!

今回は蓄電池の種類や特徴、蓄電池を選ぶコツについて紹介しました。

蓄電池の種類によって特徴は大きく異なり、設置環境や使い道で選び方が変わります。

蓄電池の中でも小型で大きな電力を持つ「リチウムイオン電池」が家庭用の蓄電池の主流となっています。

家庭用の蓄電池を検討している場合は、リチウムイオン電池の蓄電池を導入してみてくださいね。

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この記事の監修者

中田 萌

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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