太陽光パネルの寿命と廃棄方法は?撤去費用や処分方法を紹介!
太陽光パネルは環境にやさしい電力を供給しますが、寿命を迎えた後の廃棄問題もあります。
この記事では、太陽光パネルの廃棄方法と、使い終わった後の処分費用について紹介します。
目次
太陽光パネルの寿命と廃棄物課題の関係性とは?
太陽光パネルの寿命と廃棄問題の関係性について以下の2点を紹介します。
- 現在の太陽光パネルの廃棄物生成量
- 【パネル寿命25年ほど】2040年頃に大量に廃棄される見込み
それぞれの関係性について、見ていきましょう。
現在の太陽光パネルの廃棄物生成量
年間で約4,400トンの太陽電池モジュールが使用済みとして廃棄されています。
そのうち、約3,400トンが再利用され、約1,000トンがリサイクルまたは廃棄されていると予想されています。
(出典:太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けた ガイドライン)
リユースやリサイクルを実施することによって、廃棄物処理場の負担が減少し、有用な資源を回収できるメリットが期待されます。
2040年頃に大量に廃棄される見込み
2030年代後半には、年間で約50万から80万トンの太陽電池モジュールが廃棄物として発生すると予想されています。
(出典:太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けた ガイドライン)
2022年7月から、太陽光パネルのリサイクルが義務化されたことで、将来においては大量の廃棄物が適切に処理される見込みです。
太陽光パネルの寿命と廃棄にまつわる問題点
不適切な廃棄物処理は環境に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
ここからは、太陽光パネルの寿命と廃棄にまつわる問題点について、詳しく紹介します。
不法な太陽光パネルの投棄が増加中
太陽光発電は環境にやさしいエネルギー源として注目されていますが、太陽光パネルの不法投棄が問題になっています。
パネルの適切な処理には高額な費用がかかり、一部の事業者がパネルを適切に処理せずに放置したり不法投棄したりすることがあります。
不法投棄に対処する方法の一つは、太陽光発電事業者が収益の一部を廃棄費用として予め積み立てることです。
まず、太陽光発電を導入する前に、太陽光パネル1枚の廃棄にかかる費用を理解しておくことが重要です。
「2019年の太陽光パネルの廃棄費用」は、太陽光パネル1kWあたり約1万円です。
ただし、太陽光パネルの処分費用は業者によって異なります。
高額な費用を支払わないために、複数の業者から見積もりを取ることが大切です。
有害物質の漏出と広がり
太陽光パネルには有害物質である鉛、セレン、カドミウムなどが含まれており、廃棄時に適切に処理されないと、環境へのリスクが高まります。
国内でほとんどの太陽光パネルはシリコン系のため、パネルに含まれる鉛を適切に処理すれば、漏れることなくリサイクルできると考えられています。
シリコン系の太陽光パネルは100%リサイクルできるため、適切な処理ができる業者に頼むことで有害物質のリスクを軽減できるでしょう。
最終処分場の混雑が懸念される
2040年頃に、大量の太陽光パネルの廃棄処分が予測されています。
しかしながら、太陽光パネルの処理を行う業者は限られています。
大量廃棄に備え、リサイクルを効率的かつ費用を節約しながら行うことで、資源を有効に再利用し、最終処分場の過度な使用を抑えることができます。
太陽光パネルの寿命後の廃棄方法について
太陽光パネルの処分方法は、下記の状況によって異なります。
- 住宅のリノベーションや再建で太陽光パネルを撤去する場合
- 太陽光パネルの寿命終了または不具合での交換
- 災害の影響で太陽光パネルが壊れた場合
それぞれの状況に合わせた太陽光パネルの処分方法を説明します。
住宅のリノベーションや再建で太陽光パネルを撤去する場合
家の建て替えやリフォームによって太陽光発電設備を撤去する場合、通常、解体業者が撤去作業を担当し、同時に廃棄物の発生者として取り扱われます。
そのため、太陽光発電設備の所有者は、撤去と廃棄物処理をまとめて行うために解体業者に依頼するのが一般的です。
たとえば、太陽光発電を持つ家庭が新しい住宅を建てる場合を考えてみましょう。
この場合、古い太陽光パネルを撤去し、新しい設備を設置する必要があります。
作業を効率的に行うために、所有者は解体業者に依頼し、解体業者は撤去と廃棄物処理の両方を管理します。
具体的な撤去費用や解体費用の詳細を知りたい場合は、解体業者に見積もりを依頼し、見積もりに料金の内訳が明記されていることを確認しましょう。
太陽光パネルの寿命終了または不具合での交換
太陽光パネルの寿命が20~30年と限られているため、寿命を終えたパネルを撤去する家庭が増加する見込みです。
太陽光パネルが寿命を迎えて交換が必要になる際、設備の提供元である施工会社や販売会社が撤去手続きを引き受けます。
たとえば、太陽光パネルが寿命を迎えて動作しなくなった場合、施工会社が新しいパネルを提供しつつ、古いパネルを適切に撤去し廃棄します。
その際、所有者は手続きのほとんどを施工会社や販売会社に依頼できます。
また、引っ越しの場合でも、過去に太陽光パネルの設置を依頼した会社が撤去手続きを請け負ってくれます。
依頼した会社では、連絡先情報が保存されており、連絡を取れば、残りの手続きは専門業者が迅速に対応してくれるため安心です。
災害の影響で太陽光パネルが壊れた場合
太陽光パネルが災害で損傷した場合、屋根にあるか、地上に落ちているかで対応が異なります。
屋根にある場合は、設置した会社に連絡し、修理または交換の手続きをとります。例えば、台風で屋根の太陽光パネルが壊れたとき、施工会社に連絡して修復を依頼します。
一方、地上に落ちている場合、法的には一般廃棄物として扱われるので、自治体の廃棄物管理窓口に連絡し、適切な処分方法を教えてもらう必要があります。
地上に落下した太陽光パネルは一般のゴミ回収で処理できないため、使用済みの太陽光パネルを収集し、再活用する専門業者に処分を頼むのがベストです。
また、落下したパネルは電力供給が続いている可能性があるため、感電やけがの危険があります。
そのため、決して触れないようにし、撤去作業も施工会社や処分業者に依頼しましょう。
太陽光パネルの正しい処分を促す対策方法は?
正しい廃棄物処理方法を理解することは、持続可能なエネルギー分野の成長と環境保護に向けて重要なステップです。
太陽光パネルの正しい処分対策について紹介します。
企業は有害物質の処理方法を知っておく必要がある
太陽光パネルの業者は、有害物質の処理方法について正確な知識を持つ必要があります。
同時に太陽光パネルの製造メーカーは、製品に含まれる有害物質の含有量情報を提供する責任があります。
製造メーカーが有害物質の含有量情報を提供することで、業者は適切な処理方法を選択し、廃棄物の安全な処分を確保できます。
リサイクルと再利用の重要性を広める
太陽光パネルの将来的な再利用とリサイクルを促進するためには、現在の状況について詳細な情報収集が不可欠です。
しかしながら、大規模な廃棄物がまだ発生していないため、再利用やリサイクル、廃棄物処理の実情に関する情報は不足しています。
このため、環境省と経済産業省は、費用面も考慮しながら詳細な調査を実施することが必要です。
実施する調査により、将来の廃棄物処理に対する適切な対策や、持続可能な太陽光パネル産業の成長戦略を立てることができます。
2022年7月から廃棄費用の積み立てが必須
2022年7月から、事業用の太陽光パネルが寿命を迎えた際に発生する廃棄や処理にかかる費用を法律で事前に確保しなければならなくなりました。
太陽光発電は1990年代から広まり、2011年の東日本大震災後、重要性が高まったのも理由の一つです。
今まで廃棄費用の積み立てが法的に義務づけられていなかったため、政府は太陽光発電事業者に、廃棄に備えた資金を用意する法的義務を課しました。
義務化により、太陽光パネルの不法投棄や環境負担を軽減し、持続可能なエネルギーの普及を促進させるのが狙いです。
太陽光パネルを廃棄する前に考えたいこと
太陽光パネルはFIT制度により一定期間収益を得られますが、FITが終了すると売電収入は一気に下がります。
そのため、太陽光パネルを廃棄する前に、活用方法を考えてみましょう。
非常時に蓄電池を使用する
10kWh以上の家庭用蓄電池を導入すると、太陽光パネルで発電した電力を蓄えて、災害時に非常用電源として使用できます。
停電時でもエアコンや電化製品を利用可能で、特に高齢者や子供、ペットのいる家庭にとって心強いサポートとなります。
さらに、電気自動車用充電にも活用でき、充電ステーションへの頻繁な訪問や維持費の節約に貢献します。
家庭の主要な電源として利用する
太陽光パネルを家庭の主電源として使えば、光熱費を大幅に削減できます。
電気代が上昇傾向にある中、太陽光パネルが発電した電力を無料で利用できるため、電力会社からの購入電力が減り、光熱費の節約に貢献します。
このため、太陽光パネルを家庭用の主要な電源として利用することは大きなメリットがあります。
太陽光パネルの廃棄にかかる費用はいくら?
太陽光パネルの廃棄費用は、「パネルの取り外し費用」と「廃棄物処理費用・輸送費用」がかかります。
それぞれの費用について解説していきます。
パネルの取り外し費用
太陽光パネルの撤去費用は、足場代・取り外し代・屋根の修理代がかかります。
撤去代 | 相場費用の内訳 |
足場の費用 | 1㎡あたり700円~1,000円 |
取り外しの費用 | 10万~15万円 |
屋根の修理費用 | 部分修理:10万~30万円 |
一般的な30坪ほどの住宅の場合、足場代はおおよそ10万円~15万円ほどです。
足場代と足場の取り外し、修理にかかる費用を合わせると、合計で約30万円~60万円ほどかかる見込みです。
廃棄物処理と輸送費用
太陽光パネル1枚ごとの廃棄費用と、1台分の輸送費用は、以下の通りです。
処分費用 | 2,000円~5,000円 |
運搬費用 | 1.5万~5万円 |
(引用元:令和3年度使用済太陽電池のリサイクル等の推進に係る調査業務)
たとえば、5kWの太陽パネルを処分する場合、1万~2.5万円、運搬費用を含めると2.5万~7.5万円ほどの費用がかかることになります。
運搬費用は30kmを基準に算出されているため、30kmを超える場合は費用も約2倍に増えます。
処分費用、運搬費用、および撤去費用を合算すると、総額が高くつくことになるため、事前に費用をしっかり確認しておくことが大切です。
太陽光パネルを再利用するメリット
太陽光パネルを再利用するメリットは、以下の3つにです。
- リサイクルはほぼ完璧に達成できる
- 材料の回収と再利用が可能
- 発電可能なら中古品として販売できる
それぞれのメリットについて紹介していきます。
リサイクルはほぼ完璧に達成できる
太陽光パネルのガラスや金属(銀、銅など)はほぼ100%回収でき、最終処分場に持ち込むゴミは、ほぼありません。
三菱ケミカルグループの新菱では、処理施設を活用しています。
処理施設では、熱分解という方法を使って、太陽光パネルに使われている樹脂製封止材を気化(ガス化)して取り除く技術を実現しています。
太陽光パネルの回収システムがあれば、災害時に太陽光パネルが急に損傷した場合でも、廃棄処理がスムーズにおこなえます。
材料の回収と再利用が可能
太陽光パネルを再利用することで、新しい資源を節約し、廃棄物を減少させつつ、素材資源のリサイクルに貢献します。
太陽光パネルのリサイクルでは、アルミ枠を取り外し、樹脂を熱分解して有用な材料に分離します。
熱分解の過程で出る熱エネルギーも有効活用され、金属部品は再生利用されます。
材料を回収することで、環境にやさしい方法で太陽光パネルをリサイクルし、二酸化炭素排出を削減することが可能です。
発電可能なら中古品として販売できる
太陽光パネルを売却することで、廃棄処理にかかる費用を削減できます。
しかし、まだ使える状態のパネルは、新品よりも安く中古品として販売ができます。
発電可能な太陽光パネルを再利用することで、環境への負担を軽減させることができるでしょう。
太陽光パネル廃棄後の注意点
太陽光パネルを廃棄した後の注意点について解説します。
経験不足の業者が撤去すると雨漏りの原因に
太陽光パネルの取り外し時には屋根に損傷を与えるリスクがあるため、不慣れな業者による作業は危険です。
適切な修理が行われないと、雨漏りが起きる可能性が高まります。
また、太陽光パネルを取り付けた屋根の状態によっては、大規模な修理が必要かもしれません。
そのため、太陽光パネルを取り外した後、専門の屋根業者にチェックしてもらうことが重要です。
土地の再利用計画もしっかりと立てておく
太陽光パネルを廃棄した後は、土地の再利用計画を立てておくことも大切です。
例えば、空き地を利用して太陽光発電を始める場合、土地の用途は「雑種地」とされます。
雑種地の固定資産税は宅地に次いで高額なため、太陽光発電を廃止する場合、その後の土地の用途をしっかり計画しておくことが重要です。
もし大規模な産業用太陽光パネルを設置しないのであれば、山林や畑などへの土地用途変更も検討することで、税金対策にもなります。
2040年頃に太陽光パネルの廃棄量が急増!
今回は太陽光パネルの寿命と廃棄について説明しました。
予測によれば、毎年50万~80万トンの太陽電池モジュールが廃棄物として発生する見込みです。
太陽光パネルを廃棄するには手続きと費用がかかりますが、急いで処理しなくても問題ありません。
太陽光パネルがまだ使える場合、10kWh以上の家庭用蓄電池を設置すると、発電した電力を蓄え、災害時に非常用電源として利用できます。
停電時でもエアコンや電化製品が使えるので、災害対策や電気代の高騰対策にも役立ちます。
ぜひ、太陽光パネルと蓄電池のセット使いも検討してみてください。
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この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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