FIT(固定価格買取制度)とは?仕組みやメリットをくわしく解説!
太陽光発電をはじめとする「再エネ発電」で作った電気を一定期間お得に売電できる、「FIT(固定価格買取制度)」をご存じですか?
「名前は聞いたことがある」という方でも、制度のくわしい仕組みや優遇される期間、電気の買取単価など、理解しきれていない点も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、FIT制度の特徴や売電の仕組み、買取単価の推移や申請方法などについて、初めての方にもわかりやすく解説していきます。
記事の後半では、FIT制度の買取期間が終了する「卒FIT」後に取るべき「3つの対策法」もご紹介していますので、売電に興味がある方はぜひ目を通してみてくださいね!
目次
FIT制度って何?特徴や仕組み・申請方法や売電単価を解説!
まずはじめに、FIT制度の概要や売電の仕組み、申請方法や2023年までの買取単価の推移について解説していきます。
FIT制度とは:再生可能エネルギーをお得に売電できる制度
FIT制度(固定価格買取制度)とは、太陽光発電などの「再生可能エネルギー」を、通常より優遇された価格で買い取ることを「国」が約束する制度です。
FIT制度で優遇される再生可能エネルギーは「太陽光・水力・風力・地熱」など多岐に渡りますが、現在日本でもっとも導入事例が多いのは「太陽光発電」となっています。
太陽光発電の導入時に申請することで、家庭用なら「10年間(産業用は20年間)」、国から定められた「固定価格」での売電が可能となります。
海外では「Feed in Tariff」という名称で広く採用される制度であり、日本でも英語の頭文字を略して「FIT制度」という呼び名で浸透しています。
売電の仕組み:余ったエネルギーを電力会社が買い取ってくれる
FIT制度では、太陽光発電をはじめとする再エネ発電で作った電気のうち、自家消費で使われなかった「余剰電力」のみが電力会社によって買い取られる仕組みとなっています。
余剰電力は各家庭に接続された「電線」を通って電力会社に供給され、電力量に応じて、指定した銀行口座に「毎月」売電収入が振り込まれます。
売電収入には「再エネ賦課金(再エネ普及のため国民全員が負担するお金)」が財源として使われており、電力会社の資産が使われていない点も特徴といえます。
売電単価:FIT制度の売電単価が年々下がっている理由とは?
FIT制度が開始された2009年の買取単価(家庭用太陽光発電)は「48円 / kWh」でしたが、毎年じょじょに単価が下がり続けており、2023年現在は「17円 / kWh」での買取となっています。
買取単価は「再エネ設備の初期費用の相場」をもとに定められる仕組みとなっており、太陽光発電の設置費用は年々安くなっているため、合わせて単価も下がっています。
参考までに、ここ10年間の買取単価の推移を以下の表で確認していきましょう。
年度 | 1kWあたりのFIT買取価格 |
2013年 | 38円 |
2014年 | 37円 |
2015年 | 33円〜35円 |
2016年 | 31円〜33円 |
2017年 | 28円〜30円 |
2018年 | 26円〜28円 |
2019年 | 24円〜26円 |
2020年 | 21円 |
2021年 | 19円 |
2022年 | 17円 |
2023年 | 16円 |
FIT制度では、どの年に太陽光発電を購入しても「10〜15年」ほどで元が取れるように単価設定が行われるため、2023年以降の設置も大きなメリットがあります。
申請方法:基本的には業者が代行してくれるので安心
FIT制度を利用して太陽光発電をお得に売電するためには、経済産業省や電力会社に「事業計画認定申請書」などの書類の提出が必要です。
申請に必要な書類や手順は多岐に渡りますが、基本的には販売店や施工会社が代行してくれるケースが大半ですので、購入者であるあなたが面倒な書類作成をする必要はありません。
一方で、2023年現在はFIT制度の申請が殺到しているため、実際に売電が開始されるまでに「3〜6か月」ほど待たなければならない点は要注意です。
売電収入が激減?10年後にやってくる「卒FIT」とは?
卒FITとは、FIT制度による売電単価の優遇期間が終了した状態を指す用語であり、太陽光発電の場合は設置から「10年後」に卒FITを迎えることになります。
卒FITを迎えると、FIT制度で定められた買取単価よりはるかに安い「自由価格」での買い取りに変更されるため、売電収入が大きく下がってしまいます。
たとえば、2013年に設備を導入して2023年に卒FITを迎える場合、1kWあたり「38円」だった売電単価が「7〜14円」ほどまでに激減します。
売電収入を期待して太陽光発電を設置した方や、ローンを完済していない方にとっては大きな損失となるため、対処しなければならない問題といえるでしょう。
卒FITで損したくない!今からできる「3つの対策」をご紹介!
つづいて、卒FITによる経済的なダメージを最小限に抑える「3つの対策法」についてくわしくご紹介していきます。
対策①:より高く買い取ってくれる電力会社に切り替える
卒FITを迎えた後は、電力会社が独自に定めた単価で売電することになるため、より条件の良い会社に売電契約を切り替える対策法が有効です。
たとえば、東京電力などの大手の買取単価は「7〜9円」程度ですが、ENEOSでんきなどの新電力会社では「11〜15円」ほどで買い取るプランが用意されています。
FIT制度で優遇されていた頃には及ばないものの、契約を切り替えるだけで売電収入を増やせますので、卒FITを迎えるすべての方にメリットがある対処法といえます。
対策②:「自家消費」型の生活スタイルにシフトする
卒FIT後の売電単価が「8円 / kW」程度なのに対し、近年の電気代は1kWhあたり「30〜40円」ほどまで値上がりしているため、無理して売らずに「自家消費」する対策法もおすすめです。
発電している時間帯に「料理の作り置き」や「エコキュートの湯沸かし」、掃除や洗濯などの家事をまとめて行うことで、電気代の請求額を大幅に節安することができます。
もちろん、自家消費しきれない余剰電力は売電にまわすことも可能ですので、今からできる限りの範囲で自家消費型の生活スタイルにシフトしてみてはいかがでしょうか?
対策③:蓄電池に充電して夜間も自家消費できるようにする
日中だけでは自家消費できる電力量に限りがありますが、発電した電気を「蓄電池」に充電しておけば、夜間も電気代を節約できるようになります。
蓄電池を導入すれば自家消費できる時間が増えるだけでなく、「24時間の停電対策」も可能となるため、卒FITを迎えるタイミングでなくても設置する価値は高いといえます。
出力4〜5kWほどの太陽光発電なら、蓄電池でうまく自家消費することで電気代を「ほぼ0円」まで抑え込むこともできますので、前向きに導入を検討してみましょう。
まとめ:FITは売電単価の優遇制度!2023年以降も検討の価値あり
本記事でくわしく解説してきた「FIT制度のメリットや卒FITの対策法」についての重要ポイントを、以下にもう一度まとめていきます。
- FIT制度とは、再生可能エネルギーで作った電気を「一定期間・一定価格」で買い取る制度
- 再生可能エネルギーには水力・風力・地熱などが含まれるが、太陽光発電の導入例が大半
- 買取価格は「設備費用の相場」をもとに定められており、2023年の単価は「16円 / kWh」
- 太陽光発電の買取単価は年々下がっているが、10〜15年で元が取れるよう設定されている
- 太陽光発電のFIT買取期間は10年間であり、以降は電力会社により自由価格で買い取られる
「買取単価の下落」が問題視されるFIT制度ですが、買取期間のうちに初期費用の大半を回収できるよう単価設定されているため、2023年でも設備を導入する価値は充分にあります。
一方で、FIT制度による優遇期間が終了する「10年後」には売電収入が激減してしまうため、「自家消費量を増やす」「蓄電池に充電して使う」などの対策が重要となります。
蓄電池の導入にはある程度の初期費用が必要ですが、国や地方自治体の補助金制度を活用すればかしこくコストを抑えられますので、ぜひ一度検討してみてくださいね!
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この記事の監修者
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