大容量の蓄電池は本当に必要?蓄電容量の意味やメリット・デメリットを徹底解説!
一口に蓄電池といっても蓄電容量は様々です。はじめて蓄電池を購入する場合、どのくらいの容量の蓄電池を購入すればよいか迷うかもしれません。
今回の記事では蓄電池の容量に関する基本知識や大容量蓄電池を購入するメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。ぜひ、蓄電池を購入する際の参考にしてください。
目次
蓄電池とは
蓄電池とは、電気を蓄える機能を持つ電池のことです。電池は大きく分けると「一次電池」と「二次電池」に分けられます。
一次電池 | 一度限りの使い捨ての電池 乾電池などは一次電池 |
二次電池 | 充電して繰り返し使用できる電池 充電池は二次電池の一種 |
蓄電池には鉛蓄電池・ニッケル水素電池・NAS電池・リチウムイオン電池などがありますが、家庭用の蓄電池として使用されるのはリチウムイオン電池です。リチウムイオンがプラス極とマイナス極を移動することで充電・放電を行うリチウムイオン電池は小型・軽量で、大容量の蓄電にも適しています。そのため、住宅用蓄電池として利用されています。
蓄電池の価格
蓄電池の価格はメーカーによって異なります。2023年1月に三菱総合研究所が経済産業省に提出した資料(「定置用蓄電システムの普及拡大策の検討にむけた調査」)によれば、2022年度の家庭用蓄電池価格は1kWhあたり11.7万円でした。これに工事費が1kWhあたり2.2万円加わります。したがって、合計費用は1kWhあたり13.9万円となります。
3kWh | 41.7万円 |
5kWh | 69.5万円 |
7kWh | 97.3万円 |
10kWh | 139万円 |
また、蓄電容量が大きくなるにしたがって工事費が大きくなる傾向が見られます。
5kWh未満 | 10万円 |
5~10kWh未満 | 19.6万円 |
10kWh以上 | 26.7万円 |
平均工事費 | 22.5万円 |
出典:経済産業省「定置用蓄電システムの普及拡大策の検討 に向けた調査」
蓄電池容量の基本知識
蓄電池の容量が大きくなるにしたがって導入費用がかかることがわかりました。では、容量が小さいほうがよいのでしょうか。単純にそうとも言い切れません。そこで、蓄電池の容量に関する基礎知識について解説します。
蓄電容量とは:定格容量と実効容量の違い
蓄電池の容量をあらわす言葉に「定格容量」と「実効容量」があります。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
定格容量 | 完全に充電した状態から規定の終期電圧に達するまでに放電しうる総電気量 |
実効容量 | 実際に使用できる電気量 |
たとえば、京セラで販売している大容量蓄電池の「EGS-LM1201」であれば、定格容量は12.0kWhですが、実効容量は10.3kWhと定められています。ということは、実際に充電して使用できる電気の量は10.3kWhとなります。
出典:京セラ「大容量タイプ | 太陽光発電・蓄電池 | 京セラ」
メーカーによっては実効容量を明示していないところもありますが、その場合は定格容量の0〜90%が実効容量定格容量の90%が実効容量と考えるとよいでしょう。
家庭用蓄電池の容量の目安
家庭用蓄電池の容量の目安はどのくらいなのでしょうか。蓄電池容量を決める際には、自宅で使用している電力量を把握しなければなりません。使用している家電製品が多いのであれば、必然的に蓄電池の容量も大きくなります。
停電時に使用したい家電の消費電力から蓄電池の容量を割り出すという考え方もあります。冷蔵庫・テレビ・パソコン・スマホだけであれば、それほど大きな容量は必要ないかもしれません。しかし、エアコンやIHクッキングヒーターを利用する場合は大容量の蓄電池が必要です。
太陽光発電の発電量をもとに容量を決めるという考え方もあります。特に、最近は売電よりも自家消費するケースが増えているため、夜間に使う家電の消費電力量と発電量の兼ね合いも重要です。
これらを踏まえて考えると、以下の要件を満たす場合は10kWh前後の大容量蓄電池を検討したほうがよいでしょう。
- 太陽光発電と組み合わせて自家消費を行う
- 家族の人数が多く電力消費量が多い
- エアコンやIHクッキングヒーターを使用するオール電化住宅
上記の条件に当てはまるのであれば、10kWh前後の大容量蓄電池を検討してもよいでしょう。
大容量の家庭用蓄電池を購入するメリット
大容量蓄電池を家庭で導入するメリットは以下の2点です。
電力の自家消費量を増やせる
自家消費量を増やしたい人は大容量蓄電池が向いています。太陽光発電を活用する場合、以下のケースが考えられます。
売電中心 | ある程度は自家消費するが、余剰電力は売却して利益を得る |
自家消費中心 | 昼間に蓄えた電力を夜間も使用して電力の自家消費率を高める |
売電価格が高かったころは売電中心の運用をする家庭もかなりありました。しかし、売電価格が大きく低下していることで売電のメリットが小さくなりつつあります。
その一方で、ウクライナ戦争や円高の影響により電力価格が急上昇した2022〜2023年には太陽光発電で得られた電力を自家消費する動きが強まりました。ところが、自家発電した電力を夜までためておくには蓄電池が不可欠です。蓄電池容量が小さければ、せっかく発電しても多くは蓄えられず低い価格で売電しなければなりません。
自家消費を増やすと電気代を大幅に減らせるだけではなく、電力購入時に負担している再エネ賦課金を支払う必要がなくなります。自家消費率を上げるには大容量の蓄電池で多くの電気を蓄えなければならないのです。
非常時に多くの家電を動かせる
非常時に多くの家電を動かしたい方も大容量蓄電池が向いています。2024年1月の能登半島地震や2022年から2023年に発生した新潟県の大雪による停電、2016年の熊本地震など、大規模な自然災害が発生すると長期間停電する可能性があります。
蓄電池があれば電気が復旧する前でも最低限の家電製品を動かすことができます。蓄電池の容量が多いほど、動かせる家電製品の数が増え、長時間にわたって耐えられるため電気の復旧まで耐えることができます。
大容量の家庭用蓄電池を購入するデメリット
大容量の蓄電池を導入すると、自家消費量アップや非常時対策といった面で大きなメリットがあるとわかりました。しかし、注意すべきデメリットも存在します。3つのデメリットについて解説します。
導入コストが高い
大容量蓄電池には導入コストが高いというデメリットがあります。具体的には本体価格が高くなる点と工事費が高くなる点に注意が必要です。京セラのEnerezzaを例にとり、蓄電システムの価格を比較してみましょう。
品番 | 定格容量 | 価格 |
EGS-LM0500 | 5.0kWh | 2,750,000円 |
EGS-LM1000 | 10kWh | 4,730,000円 |
EGS-LM1500 | 15kWh | 6,710,000円 |
大容量になればなるほど価格が高くなることがわかります。
太陽光発電とセットでなければ効果半減
大容量蓄電池は太陽光発電とセットで導入すると大きな効果を発揮します。昼間に得られた電力のうち使いきれなかった余剰電力を多く蓄えておくことで、夜間の消費電力を賄うことができます。
しかし、大容量蓄電池を単体で導入しても非常時に備えられるという点をのぞいてはあまり大きなメリットがありません。電力会社と時間帯別料金の契約をすることで夜間に蓄電するメリットが得られますが、太陽光発電とセットで導入するほどの経済的メリットは得にくいのです。
大容量蓄電池を導入するなら、太陽光発電と組み合わせることを前提とし、自家消費率アップで経済的メリットを狙うのが効果的といえます。
まとめ
今回は蓄電池とは何か、大容量蓄電池を導入するメリット・デメリットは何かといった点を中心に解説してきました。
大容量蓄電池があれば自家消費率アップや非常時対策で大きなメリットが得られる一方で、導入コストの高さと蓄電池の単体導入のメリットがあまり大きくありません。導入する際は自宅の電気消費量や導入する目的をしっかり検討する必要があるのではないでしょうか。
この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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