卒FIT蓄電池で電気代節約を実現

卒FITとは何か？基本的な仕組みを解説

固定価格買取制度（FIT）とは、太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で買い取ることを国が保証する制度です。住宅用太陽光発電（10kw未満）の場合、この買取期間は10年間と定められており、FIT期間が終了することを「卒FIT」と呼びます。

2009年にFIT制度が開始されたため、2019年11月から順次卒FITを迎える住宅が出現しており、2025年現在では多くの住宅が卒FIT状態となっています。

卒FIT後の売電価格の変化

FIT期間中の売電価格は、住宅用太陽光発電の場合1kWhあたり15円でしたが（設置年度や電力会社によって異なります）、卒FIT後は大幅に下落し、1kWhあたり7円～10円程度となるのが一般的です。

この売電価格の大幅な下落により、太陽光発電で作った電気を売電するメリットが著しく減少し、自家消費を増やすことの重要性が高まっています。

卒FIT住宅に蓄電池導入をおすすめする理由

電気代削減効果の最大化

卒FIT後は売電価格が下落する一方、電力会社から購入する電気代は上昇傾向にあります。太陽光発電で作った電気を蓄電池に貯めて夜間に使用することで、高い電気代を支払わずに済み、大幅な節約効果が期待できます。

具体的には、昼間に太陽光発電で作った電気（売電価格約8円/kWh）を夜間に使用することで、電力会社からの購入（約25円～30円/kWh）を避けることができ、差額分の経済メリットを享受できます。

災害時の備えとしての価値

蓄電池があることで、停電時でも太陽光発電と組み合わせて電力を確保できるため、災害に強い住宅環境を構築できます。近年の自然災害の増加を考慮すると、この備えとしての価値は金銭的メリット以上に重要な要素となります。

環境貢献とエネルギー自給率向上

自家消費率を高めることで、再生可能エネルギーの有効活用が促進され、環境負荷の軽減に貢献できます。また、エネルギーの自給率が向上することで、電力会社への依存度を下げることも可能です。

蓄電池の種類と価格相場

容量別の価格相場

家庭用蓄電池の費用相場は容量1kWhあたり20万円～30万円程度が基準となります。

• 小容量（3kWh～5kWh）:
  100万円～150万円
• 中容量（6kWh～10kWh）:
  150万円～200万円
• 大容量（10kWh以上）:
  200万円～350万円程度

一般的な家庭用蓄電池（4kWh～7kWh）を導入する場合の費用相場は100万円～200万円程度が目安となります。

工事費用について

蓄電池の標準的な設置工事費用は20万円～35万円程度となります。設置環境や配線の複雑さ等により変動します。詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。

卒FIT住宅における蓄電池選びのポイント

既設太陽光発電システムとの適合性

既存の太陽光発電システムと蓄電池の適合性を確認することが最重要です。パワーコンディショナーの種類や容量、設置年数によって、最適な蓄電池のタイプが異なります。

必要な蓄電容量の算出

家族構成や電力使用パターンを分析し、夜間に必要な電力量を基準として適切な蓄電容量を選択することが重要です。過度に大容量を選択すると初期投資が過大となり、逆に小容量すぎると節約効果が限定的になります。

蓄電池の寿命と保証

最新のリチウムイオン蓄電池の寿命は30年前後で、充放電サイクル数は6,000回から12,000回程度となっています。長期間使用する設備であるため、保証内容についても十分に検討することが重要です。

経済効果のシミュレーション

投資回収期間の計算

卒FIT住宅における蓄電池導入の投資回収期間は、一般的に10年～15年程度となることが多いです。売電価格と購入電力価格の差額が大きいほど、早期の投資回収が可能となります。

例：5kWh蓄電池（150万円）の場合

• 日常使用での節約：約3,000円～5,000円/月
• 年間節約額：約36,000円～60,000円
• 投資回収期間：約12年～17年

長期的な経済メリット

蓄電池の寿命が30年前後であることを考慮すると、投資回収後の15年～20年間は純粋な経済メリットを享受できる計算となります。

設置工事の流れと注意点

工事前の準備

蓄電池の設置には、既存の太陽光発電システムの詳細な調査が必要です。パワーコンディショナーの仕様確認や配線状況の把握が工事の成功を左右します。

工事期間と内容

蓄電池の設置工事は、一般的に1日～2日程度で完了します。屋外設置の場合は基礎工事、屋内設置の場合は換気対策などが必要となります。工事中は一時的に太陽光発電システムの停止が必要となる場合があります。

系統連系の手続き

電力会社との系統連系を行う場合は、事前の申請が必要です。（※電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります）申請から承認までには通常3ヵ月～6ヵ月程度の期間を要します。

補助金制度の活用

国の補助金制度

2025年度現在、蓄電池導入に対する国の補助金制度が継続されています。補助額は機器の種類や設置条件によって異なり、詳細な要件確認が必要です。

地方自治体の助成制度

多くの地方自治体で独自の蓄電池導入助成制度を実施しています。国の補助金との併用が可能な場合もあり、総合的な支援額が大きくなる可能性があります。

申請期限や予算枠があるため、早めの情報収集と申請準備が重要です。

維持管理とアフターサービス

定期点検の重要性

蓄電池の性能を長期間維持するためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。年1回程度の専門業者による点検を推奨します。

保証対応について

蓄電池メーカーの保証期間は一般的に10年～15年程度です。基本的には無償での保証対応が受けられますが、使用環境や設置条件によって保証内容が変わる場合があります。

まとめ：卒FIT蓄電池導入の判断基準

卒FIT住宅での蓄電池導入は、電気代削減、災害対策、環境貢献の3つの価値を同時に得られる投資です。特に売電価格が大幅に下落した現在、太陽光発電の自家消費率を高める蓄電池の価値は非常に高くなっています。

導入を検討する際は、既存システムとの適合性、必要容量、投資回収期間を総合的に判断し、補助金制度も活用しながら最適な選択を行うことが重要です。

詳細な導入検討については、お気軽にリノベステーションにお問い合わせください。

よくある質問

Q1：卒FIT後、蓄電池を導入しないとどうなりますか？

A：卒FIT後は売電価格が大幅に下落するため、太陽光発電で作った電気を安く売って、夜間は高い電気代を支払うという経済的に不利な状況が続きます。蓄電池がない場合、昼間に作った電気の多くが安価で売電されてしまい、太陽光発電のメリットを十分に活用できません。

Q2：既存の太陽光発電システムにどんな蓄電池でも接続できますか？

A：既存の太陽光発電システムと蓄電池には適合性があり、すべての組み合わせが可能ではありません。パワーコンディショナーの種類や容量、設置年数によって接続可能な蓄電池が限定される場合があります。導入前には必ず専門業者による適合性調査が必要です。

Q3：蓄電池の導入でどれくらい電気代が削減できますか？

A：電気代削減額は家庭の電力使用パターンや蓄電池の容量によって異なりますが、一般的には月額3,000円～5,000円程度の削減が期待できます。年間では36,000円～60,000円程度の節約効果となり、10年～15年程度で初期投資を回収できる計算になります。

Q4：蓄電池の寿命はどれくらいですか？

A：最新のリチウムイオン蓄電池の寿命は30年前後で、充放電サイクル数は6,000回から12,000回程度です。適切な使用環境と定期的なメンテナンスにより、長期間にわたって安定した性能を維持できます。メーカー保証も基本的には10年～15年程度付帯されています。

Q5：停電時にはどれくらいの時間電気を使用できますか？

A：停電時の使用可能時間は蓄電池の容量と使用する電気機器によって決まります。5kWh程度の蓄電池の場合、省エネを心がけることで12時間～24時間程度の電力供給が可能です。太陽光発電と組み合わせることで、日中は発電しながら蓄電池への充電も行えるため、より長時間の電力確保が実現できます。