太陽光発電と蓄電池のデメリット完全ガイド

目次
太陽光発電システムの主なデメリット
初期費用の負担が大きい
太陽光発電システムの導入には相当な初期投資が必要です。一般的な家庭用太陽光発電システム(4kw~5kw)を導入する場合の費用相場は140万円~200万円程度が目安となります。太陽光パネルの設置費用の相場は、パネルの種類や設置面積、工事内容などによって大きく異なりますが、一般的には1kwあたり35万円~40万円程度となっています。
この高額な初期費用は、多くの家庭にとって大きな負担となり、導入を躊躇する主要な要因の一つとなっています。住宅ローンを組んでいる家庭では、さらなる借り入れが困難な場合もあり、現金での一括支払いが必要になることも珍しくありません。
天候や季節による発電量の変動
太陽光発電は天候に大きく左右される発電システムです。曇りや雨の日には発電量が大幅に減少し、夜間は全く発電できません。また、冬季は日照時間が短くなるため、夏季と比較して発電量が30~40%程度減少することも珍しくありません。
特に梅雨時期や台風シーズンには、連続して発電量の低い日が続くため、電気代の削減効果が期待通りに得られない場合があります。このような発電量の不安定さは、投資回収期間の計算を複雑にし、経済効果の予測を困難にしています。
屋根の形状や方角による制約
太陽光パネルの設置には、屋根の条件が大きく影響します。南向きで傾斜角度30度前後の屋根が最も効率的とされていますが、実際の住宅ではこの理想的な条件を満たさない場合が多く存在します。
北向きの屋根では発電効率が大幅に低下し、複雑な形状の屋根では設置できるパネル枚数が制限されます。また、周辺建物による影の影響も無視できず、近隣に高層建築物がある場合は発電量が著しく減少する可能性があります。
メンテナンスと故障リスク
太陽光発電システムは基本的にメンテナンスフリーとされていますが、完全に手入れが不要というわけではありません。パネルの汚れや落ち葉の除去、パワーコンディショナーの点検など、定期的なメンテナンスが必要です。
特にパワーコンディショナーは精密機器であり、10~15年で交換が必要になる場合があります。交換費用は20万円~30万円程度かかることが多く、この費用は導入時の計算に含まれていないことが多いため、予想外の出費となることがあります。
売電価格の下落傾向
固定価格買取制度(FIT)による売電価格は年々下落しており、新規設置時の経済メリットが減少しています。住宅用太陽光発電(10kw未満)の売電価格は、1kWhあたり15円となっており、設置年度や電力会社によって異なります。
過去には40円を超える売電価格が設定されていた時期もありましたが、現在は大幅に下落しており、売電収入による投資回収は以前より困難になっています。このため、自家消費率を高めることが重要になっていますが、昼間の電力使用量が少ない家庭では十分な効果が得られない場合があります。
蓄電池システムの主なデメリット
高額な導入費用
蓄電池システムの導入には、太陽光発電システム以上に高額な費用がかかります。家庭用蓄電池の費用相場は容量1kWhあたり20万円~30万円程度が基準となっており、一般的な家庭用蓄電池(4kWh~7kWh)を導入する場合の費用相場は100万円~200万円程度が目安となります。
蓄電池の種類別の価格相場は、小容量の3kWh~5kWhタイプは100万円~150万円、中容量の6kWh~10kWhタイプは150万円~200万円、大容量の10kWh以上は200万円~350万円程度となっており、これに加えて蓄電池の標準的な設置工事費用は20万円~35万円程度が必要です。設置環境や配線の複雑さ等により変動しますので、詳しくはお気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
バッテリーの劣化と交換コスト
蓄電池の最も大きなデメリットの一つがバッテリーの経年劣化です。最新のリチウムイオン蓄電池の充放電サイクル数は6,000回から12,000回程度とされており、蓄電池の寿命は30年前後となっていますが、使用環境や充放電の頻度によって劣化速度は大きく変わります。
バッテリー容量が初期の70~80%程度まで低下した場合、実用性が大幅に損なわれるため交換が必要になります。交換費用は初期導入費用の60~80%程度かかることが多く、これは事前に想定しておかなければならない重要な費用項目です。
充放電効率の損失
蓄電池システムでは、充電時と放電時にエネルギー損失が発生します。一般的なリチウムイオン蓄電池の充放電効率は85~95%程度であり、蓄えた電力の5~15%は失われてしまいます。
この効率損失は、太陽光発電で作った電力を直接使用する場合と比較して、経済効果を減少させる要因となります。特に頻繁に充放電を繰り返す使い方をする場合、この損失は無視できない影響を与えます。
設置場所の制約
蓄電池は屋内設置型と屋外設置型がありますが、どちらも設置場所に制約があります。屋内設置の場合は重量と放熱を考慮した設置場所の確保が必要であり、屋外設置の場合は直射日光や雨水を避けられる場所を選ぶ必要があります。
また、蓄電池から発生する微細な動作音が近隣住民の迷惑にならないよう配慮する必要があり、特に住宅密集地では設置場所の選択肢が限られることがあります。
停電時の制約事項
蓄電池があれば停電時でも安心と考えがちですが、実際には多くの制約があります。停電時に使用できる電力容量には限りがあり、すべての電化製品を通常通り使用することはできません。
また、太陽光発電システムと組み合わせた場合でも、停電時の自立運転では出力が制限されるため、大容量の電化製品の使用は困難になります。エアコンや電子レンジなどの高消費電力機器の使用には特に注意が必要です。
太陽光発電と蓄電池の組み合わせによるデメリット
システム全体の複雑化
太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、システム全体が複雑になり、故障リスクが増大します。パワーコンディショナー、インバーター、蓄電池コントローラーなど、複数の精密機器が連携して動作する必要があり、これらのいずれかに不具合が生じると、システム全体の性能に影響を与える可能性があります。
(※電力会社との系統連系を行う場合、経年劣化が早まることがあります)
メンテナンス費用の増加
太陽光発電システムと蓄電池システムの両方を維持するため、メンテナンス費用が増加します。それぞれのシステムで異なるメンテナンス周期と点検項目があり、専門業者による定期点検費用も2倍近くかかる場合があります。
また、どちらかのシステムに故障が発生した場合、原因の特定や修理により時間と費用がかかることが予想されます。保証対応についても、基本的には無償での対応が期待できますが、複数のメーカーの機器が関わる場合は保証の適用範囲が複雑になることがあります。
投資回収期間の長期化
太陽光発電と蓄電池を同時に導入する場合、初期投資額が大幅に増加するため、投資回収期間が長期化します。一般的には15~20年程度の投資回収期間が必要になることが多く、この間に機器の故障や交換が必要になる可能性も考慮する必要があります。
電気料金の変動や売電価格の変更により、当初の計算通りに投資回収が進まないリスクも存在します。
経済的デメリットの詳細分析
ローン金利による負担増加
太陽光発電と蓄電池の導入でソーラーローンを利用する場合、金利負担が発生します。年利2~3%程度のローン金利により、総支払額が初期投資額より20~30%程度増加することがあり、これは投資回収計算に大きな影響を与えます。
また、住宅ローンの借り換えタイミングと重なった場合、金利上昇リスクや借入枠の制約により、予定していた資金調達ができない可能性もあります。
固定資産税への影響
太陽光発電設備は固定資産として評価される場合があり、固定資産税が増加する可能性があります。特に10kw以上の大規模システムでは、この影響は無視できません。
廃棄費用の問題
太陽光発電設備や蓄電池の廃棄には専門的な処理が必要で、将来的に廃棄費用が発生します。太陽光パネルの処分費用は1枚あたり5,000円からが相場となっており、システム全体では相当な費用になります。
太陽光発電設備の廃棄等費用の積立ては2022年7月1日から義務化されており、10kw以上の太陽光発電設備については、発電事業者が廃棄費用を事前に積み立てることが求められています。
技術的制約とリスク
系統連系の制約
電力会社との系統連系を行う際には、様々な制約があります。系統連系は申請から承認までに要する期間は通常3ヵ月~6ヵ月程度かかり、この間は設備を設置しても発電開始できません。
また、電力会社の系統容量に余裕がない場合は、連系を拒否されたり、出力制御装置の設置が必要になったりする場合があります。
電磁波や騒音の問題
パワーコンディショナーや蓄電池システムからは、微細な電磁波や動作音が発生します。敏感な方では健康への影響を心配する声もあり、特に寝室や居住空間に近い場所への設置では注意が必要です。
火災リスク
リチウムイオン蓄電池は、過充電や過熱により火災のリスクがあります。適切な設置と使用が重要ですが、万が一の事故に備えて火災保険の内容確認も必要です。
環境・立地条件による制約
塩害や積雪の影響
海岸地域では塩害により太陽光パネルや機器の腐食が進行しやすく、豪雪地帯では雪の重量によるパネル破損や発電量低下のリスクがあります。このような特殊な環境では、追加の対策費用や保守費用が必要になります。
地震や台風などの自然災害リスク
太陽光パネルは屋根に設置するため、地震や強風による被害を受けるリスクがあります。適切な設置工事が行われていても、想定を超える自然災害により損傷する可能性は完全に排除できません。
まとめ
太陽光発電と蓄電池システムは、環境に配慮したエネルギーシステムとして注目されていますが、導入前に十分なデメリットの検討が必要です。高額な初期投資、技術的制約、経済的リスクなど、多くの課題があることを理解した上で慎重な判断を行うことが重要です。
導入を検討される場合は、複数の業者から見積もりを取得し、設置環境や電力使用パターンを詳細に分析した上で、長期的な視点での投資対効果を検討することをお勧めします。詳しい導入相談については、お気軽にリノベステーションにお問い合わせください。
よくある質問
Q1: 太陽光発電の初期費用は本当に回収できますか?
A:
初期費用の回収は可能ですが、多くの条件に左右されます。一般的に15~20年程度の期間が必要で、設置環境、電力使用パターン、売電価格の変動などにより大きく変わります。特に現在の売電価格では、自家消費率を高めることが投資回収の鍵となっています。回収期間中に機器の故障や交換が発生する可能性も考慮して判断することが大切です。
Q2: 蓄電池の寿命が30年前後とありますが、実際にはどの程度使えますか?
A:
蓄電池の寿命30年前後という数値は、メーカーの設計寿命であり、実際の使用環境では異なる場合があります。充放電の頻度、設置環境の温度、メンテナンスの状況により劣化速度は変わります。一般的には10~15年程度で容量が初期の70~80%程度まで低下し、実用性に影響が出始めることが多いです。定期的な性能チェックと適切な使用方法により寿命を延ばすことは可能です。
Q3: 停電時に蓄電池があれば普通に電気を使えますか?
A:
停電時でも電気は使用できますが、通常時と同じようにすべての電化製品を使用することはできません。蓄電池の容量には限りがあり、エアコンや電子レンジなどの高消費電力機器の使用は制限されます。また、停電時専用のコンセントからの電力供給となるため、使用できる場所も限定されます。緊急時の最低限の電力確保と考えておくのが適切です。
Q4: 太陽光パネルのメンテナンスはどの程度必要ですか?
A:
太陽光パネル自体のメンテナンスは比較的少なくて済みますが、完全にメンテナンスフリーではありません。パネル表面の汚れや落ち葉の除去、パワーコンディショナーの点検、配線の確認などが必要です。年1~2回程度の点検と清掃、4~5年に1回程度の専門業者による詳細点検が推奨されています。メンテナンス費用は年間1~3万円程度を見込んでおく必要があります。
Q5: 将来的にシステムを撤去する場合の費用はどの程度かかりますか?
A:
システムの撤去には専門的な工事が必要で、相応の費用がかかります。太陽光パネルの処分費用は1枚あたり5,000円からが相場で、パネル枚数によっては10~20万円程度の処分費用が発生します。さらに撤去工事費用、電気工事費用、屋根の復旧工事費用なども必要になるため、総額で50~100万円程度の撤去費用を想定しておく必要があります。10kw以上のシステムでは廃棄費用の積立が義務化されています。
この記事の監修者

『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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