太陽光発電における卒FITとは?注目される理由と3つの対策
太陽光発電など、再生可能エネルギーの活用を広く受け入れてもらうために制定されたのが、FITです。FITは、太陽光発電システムの導入を決めさせてくれる判断材料の1つとなってくれますが、いつまでも有効ではない点には気をつけなければいけません。
FITの期限が過ぎることを、一般的に卒FITといいます。
今回は、太陽光発電における卒FITについて、注目される理由やその後のための3つの対策を踏まえて詳しく解説します。
目次
そもそもFITとは?
FITとは「Feed-in-tariff」の略称です。この制度は太陽光発電や風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電といった再生可能エネルギーによる発電を広く受けれてもらうために2012年より始まりました。
FITでは、これらの再生可能エネルギーによって発電された電力を、一定期間、国の定めた価格で買い取るように各地域の電力会社に義務付けています。なお、国の定めた価格とは、再生可能エネルギー以外の発電方法によって発電された電気よりも高い価格に設定されています。これにより、企業が再生可能エネルギーによる発電事業に乗り出したり一般家庭でも太陽光発電を導入したりしやすくなりました。
FIT制度が開始された2つの背景
FIT導入の背景には、国のエネルギー自給率の低さや地球温暖化などの問題が絡んでいます。日本の主なエネルギー源である石油・石炭・天然ガスは、その多くを輸入に頼っています。さらに、石油・石炭・天然ガスは化学燃料であるため、発電時の二酸化炭素の排出が地球温暖化に及ぼす影響も多大です。その中で、太陽光発電・風力発電・水力発電・地熱発電・バイオマス発電といった再生可能エネルギーを使った発電方法は、二酸化炭素排出量が低く地球にやさしいため、地球温暖化対策にも有効です。
FITは電気利用者からの支払いによって成り立っている
FITでは、再生可能エネルギーによって発電された電気を、他の方法によって発電された電気よりも高く価格で買い取るよう電力会社に義務付けています。実は、それを可能にしているのが電気利用者による賦課金です。つまり、電力会社が電気を買い取るために必要な費用の追加分を、電気利用者から再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)として調達して賄っているのです。そのため自宅に太陽光発電を有していない人でも、電気を利用している人は間接的に再生可能エネルギーの普及に一役買っていると言えるでしょう。
卒FITの意味や注目される理由
FITについて理解したところで、次は「卒FIT」の意味や注目される理由などについて確認していきましょう。
卒FITとは、FITによる買取期間が満了した発電設備のこと
FITによって定められていた買取期間が終了することを、一般的に卒FITといいます。FITは、一定の期間を定めて、国が毎年提示した価格で発電された電力を買い取る制度です。
FITの目的を踏まえ、この買取価格はほかの方法で発電された電力よりも高くなるように設定されています。
10kW未満の住宅用太陽光発電システムに設けられているFITの有効期限は、10年です。設置してから10年経過すれば、国が提示した金額では買い取ってもらうことができなくなります。必然的に、これまでよりも売電収入が減少してしまいます。
卒FITが注目される理由は、卒FIT後の対策が必要だから
FITが始まった2012年よりも前に、その先駆けとなった太陽光余剰電力買取制度が2009年に開始していました。
これはFITと同様の目的で始まっており、太陽光発電設備で発電された電気のうち、自宅で消費しなかった余剰電力を電力会社が買い取ることを義務付けた制度です。
こちらでは、余剰電力の買取期間を10年と定めていたため、10年後となる2019年11月には買い取り期間終了となった設備が続出しました。今後はFITを利用した人の買い取り期間満了も控えているため、卒FIT対策をどのように講じたらいいかという点で注目を集めています。
太陽光発電における卒FIT対策3選
では、卒FIT後に残された太陽光発電設備はどうしたらいいのでしょうか。そこで最後に、卒FIT後に取るべき対策について解説していきます。
同じ電力会社に電気を買い取ってもらう
卒FITと言っても、電力会社に電気を買い取ってもらえなくなるわけではありません。そのため、まずは卒FIT前と同じ電力会社に、これまでと同様に電気を買い取ってもらう方法が挙げられます。
これまでと同じ電力会社と取引をするため、一番手間が少ない方法です。しかし、FIT期間のように高い価格で電気を買い取ってもらえるわけではないため注意が必要です。
なお、大手電力会社の余剰電力買取価格は1kWhあたり7〜9円が相場となっているため、FIT期間中に比べると大幅に安く感じるかもしれません。卒FIT後は、同じ電力会社での契約が自動継続となっていることも多いため、別の卒FIT対策を取りたい方は契約の解除を忘れないようにしましょう。
蓄電池や電気自動車に電気を貯める
発電して余った電力を家庭用蓄電池や電気自動車(EV)に貯めておき、夜間電力・非常用電源・アウトドアシーンでの充電・電気自動車の駆動力などとして利用するという方法もあります。余った電気を蓄電池に貯めておけば、もし自宅が停電になったり地震などの災害に見舞われたりした場合でも安心です。ただし、そのためには家庭用蓄電池や電気自動車の電気を蓄電する設備を導入する必要があるなど、高いイニシャルコストがかかります。また、家庭用蓄電池は大型なものも多いため、設置するためのスペースが必要になるほか、蓄電池のメンテナンスコストもかかります。しかし、蓄電池や電気自動車をうまく使うことができれば、月々の電気代を抑えられるほか、いざという時の電源確保手段としても安心です。さらに、自治体によっては家庭用蓄電池の導入に際して補助金を交付しているところもあるため、詳しくはお住まいの地域で確認してみてください。
違う電力会社に電気を買い取ってもらう
電力自由化により、大手電気会社以外の新電力会社も増えてきました。新電力会社の中には、既存の大手電力会社の倍近い価格で太陽光発電で発電した余剰電力を買い取ってくれるところもあります。そのため、少しでも高い価格で売電したいとお考えの方は、卒FITのタイミングで新電力会社への切り替えも検討してみてください。
卒FITが注目される理由とその対策
この記事では、FITや卒FITの意味、卒FITが注目を集めている理由、卒FIT後に取るべき対策などについて解説しました。
FITは、日本のエネルギー自給率の向上や地球温暖化対策のため、再生可能エネルギーによる発電の普及を目指して制定されました。この制度により、太陽光発電で発電された電気を電力会社に高く買い取ってもらうことができるなどのメリットがありました。しかし昨今は、卒FITにより売電収入が減ってしまうなどの問題が注目を集めています。
そこで卒FIT対策として、以下の3点をおすすめしています。
1.同じ電力会社に電気を買い取ってもらう
2.蓄電池や電気自動車に電気を貯める
3.違う電力会社に電気を買い取ってもらう
余剰電力をどうやって活用したいかを見据え、卒FIT対策を講じてみてください。
リノベステーションではオムロンやシャープを始めとした蓄電池を取り扱っております。
もちろん、太陽光発電機器との同時購入も可能です!
この記事の監修者
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