NAS電池とは?特徴や仕組み・価格や太陽光発電との相性を徹底解説
スマホや電気自動車にはリチウムイオン電池がよく使われますが、大型のソーラー発電所や工業施設には「NAS(ナス)電池」という電池がメジャーであることをご存じでしょうか?
高コスパで大容量かつ安全性も高いNAS電池は、風力や水力、そして太陽光発電といったエコな発電システムと相性抜群であることで知られています。
本記事では、NAS電池の特徴や充電・放電の仕組み、太陽光発電との相性や、導入すべきメリット・デメリットを分かりやすく解説していきます。
記事を読めばリチウムイオン電池とは違ったNAS電池ならではの魅力が理解できるようになりますので、企業向け蓄電池の導入に興味がある方はぜひご覧ください!
目次
NAS電池の特徴や充放電の仕組み・用途や価格を徹底解説!
まずはじめに、NAS電池の特徴や充電・放電のメカニズム、使用用途や気になる価格について詳しく解説していきます。
【日本生まれ】NAS電池ってどんな電池?
NAS電池とは、日本碍子(がいし)株式会社が開発したメガワット(1,000kWh)級の超大型蓄電システムのことです。
日本碍子株式会社は、電線と鉄塔の間を絶縁する「がいし」製造の世界シェアNo.1を誇る大企業として知られています。
NAS電池は鉛蓄電池の3倍のエネルギー密度を持ち、バッテリー寿命も15年以上と長く、安全性も非常に高いことが特徴です。
機器が大型のため家庭用には不向きですが、容量1kWhあたりの価格はリチウムイオン電池より大幅に安く、大型のエコ発電所や工業・商業施設などで導入されています。
NAS電池の充電・放電の仕組みを分かりやすく説明
NAS電池はマイナス極のナトリウム(Na)とプラス極の硫黄(S)で構成され、セラミック(電解質の焼結体)によって隔てられています。
ナトリウムと硫黄が化学反応を起こすことで充電・放電を繰り返す仕組みになっており、2つの原材料は以下のように移動します。
放電中 | マイナス極の「ナトリウム」が「ナトリウムイオン」に変化し、セラミックを通過してプラス極に移動する |
充電中 | プラス極の「ナトリウムイオン」が「ナトリウム」に変化し、セラミックを通過してマイナス極に戻る |
NAS電池はどんな用途で使われている?
NAS電池はさまざまな用途で活用されていますが、中でも代表的な3つの用途は以下のとおりです。
- ①ピークカット …電気代が安い夜間に充電し、昼間に使うことで電力コストを削減する
- ②バックアップ…医療機関や自治体などの重要施設の、停電時の予備電力として活用
- ③電力の安定供給…風力や水力、太陽光発電などの不安定な発電量を安定させる
大容量・高コスパなNAS電池は企業や自治体も導入しやすいため、日本全土はもちろん、全世界で200か所以上の場所で活躍しています。
【選べる2タイプ】NAS電池のラインナップと価格
NAS電池には「コンテナ型」と「パッケージ型」の2つのラインナップがあり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
コンテナ型 | ・定格出力:800kW ・定格容量:4,800kWh ・サイズ:幅6.5m×奥行5.6m×高さ5.5m ・参考価格:1億9,200万円 ・大型トラックでそのまま輸送できるため、工事費が節約できる ・1つのシステムで最大4基まで連結でき、19メガワットもの大容量を実現可能 |
パッケージ型 | ・定格出力:1,200kW ・定格容量:8,640kWh ・サイズ:幅10.2m×奥行4.6m×高さ4,8m ・参考価格:3億4,560万円 ・現地で組み立てるため設置場所を選ばず、柔軟な運用が可能 ・コンテナ型に比べてコンパクトであり、街中での設置に適している |
参考価格はNAS電池の1kWhあたりの単価(4万円)を元に計算した金額であり、実際は設置環境によって上下するため、あくまで参考程度にお考えください。
大型蓄電池のライバルである鉛蓄電池の単価は1kWhあたり5万円ほどですので、鉛電池よりもコンパクトなNAS電池は非常にコスパの高い商品と言えます。
NAS電池と太陽光発電の相性は?メンテナンスや停電時の動作も解説
続いて、NAS電池と太陽光発電の相性や、メーカーが推奨するメンテナンス方法について説明していきます。
【メガソーラーにも】NAS電池と太陽光発電の相性は?
結論から言えば、NAS電池と太陽光発電の相性は「抜群に良い」と言えます。
NAS電池は容量がとても大きいため、メガソーラー級の大きな発電量でもロスなく充電できるからです。
悪天候で太陽光の発電量が不十分なときも、NAS電池に蓄電した電力を活用すれば、いつでも安定した電力量を外部に供給できます。
停電時のバックアップ電源としても使えるNAS電池なら、万が一の長期停電でも太陽光発電システムをストップさせません。
NAS電池のメンテナンス方法【メーカー推奨】
NAS電池のメーカーが推奨するメンテナンス方法を以下にまとめました。
日常点検 | 運転時に設備全体の異常をチェックし、清掃などの手入れを行う |
定期点検 | 定期的に動作の確認テストを行い、フィルター等の消耗部品を交換する |
法定点検 | 1年に1度、消防法によって定められた法定点検を必ず行う |
もともと非常に高い安全テストをクリアしているNAS電池ですが、定期的なメンテナンスを行うことでトラブルの可能性をさらに減らすことができます。
NAS電池のメリット・デメリットを詳しく解説!
最後に、NAS電池を導入すべきメリットや、注意したいデメリットについて徹底解説していきます。
【コスパ抜群】NAS電池のメリット
NAS電池の最大のメリットは、1kWhあたり4万円というコスパの高さにあります。
経済産業省による蓄電池の平均価格を見れば分かるとおり、NAS電池はリチウムイオン電池の約5分の1の値段で購入できます。
電池の種類 | 鉛 | ニッケル水素 | リチウムイオン | NAS |
1kWhあたりの価格 | 5万円 | 10万円 | 20万円 | 4万円 |
メガワット級の発電システムでは億単位のコスト差が生じますので、コストを削減しつつ高性能な蓄電池をお探しの企業は「NAS電池一択」と言っても過言ではありません。
NAS電池のデメリット【高温注意】
万能とも言えるNAS電池の唯一のデメリットは、動作温度が高温であることです。
充放電中の内部温度は「300℃」を超えるため、断熱処理されているとはいえ設置場所には工夫が必要でしょう。
また、NAS電池の原材料である金属ナトリウムは、火災事故の際に水系消火薬では鎮火しにくいという欠点もあります。
動作の安全性に定評のあるNAS電池ですが、危険性もしっかりと理解した上で導入を検討すべきと言えます。
【まとめ】NAS電池は日本が誇る超大型蓄電池!太陽光とも相性抜群
本記事で解説した内容を、もう一度おさらいしていきます。
- NAS電池とは、日本碍子(がいし)株式会社が開発したメガワット級の超大型蓄電池
- ナトリウム(Na)と硫黄(S)で構成されることからNAS電池と呼ばれている
- 鉛蓄電池の3倍のエネルギー密度を持ち、リチウムイオン蓄電池より価格が大幅に安い
- 作動時の温度が300℃と高温であり、設置場所の工夫や定期的なメンテナンスが必要
- 火災や水没にも耐えうる高い安全性を持ち、バッテリー寿命も15年以上と長い
以上の特徴から、NAS電池は大型のメガソーラー発電所や商業施設、小さな離島にいたるまで、世界中のあらゆる場所で有効活用されています。
原材料に希少金属(リチウムなど)を使わないため資源不足の心配もないNAS電池は、再エネの普及とともにますます注目されていくでしょう!
リノベステーションではニチコンやシャープを始めとした蓄電池を取り扱っております。
もちろん、太陽光発電機器との同時購入も可能です!
手続きが面倒な補助金申請も代行しておりますので、お気軽にください。
IHやエコキュートのお取り扱いもございます。
この記事の監修者
『お客様に寄り添うこと』をモットーに日々の業務に取り組んでおります。
太陽光発電の活用方法や蓄電池の導入などのご相談は年間2000件以上頂いており、真摯に問題解決に取り組んできました。
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