バイオマス発電のメリットとデメリットは?網羅的に解説!
「バイオマス発電ってどんな発電方法?」
「バイオマス発電のメリットとデメリットを知りたい!」
このように考えている方はいませんか。
バイオマス発電はここ数年で増加している発電方法です。
しかし、具体的にどういった発電方法か知らない方が多いと思います。
そこで今回は、バイオマス発電について網羅的に解説していきます。
目次
バイオマス発電とはどういった発電?
ここではまずバイオマス発電の概要、次に種類、発電量、最後にメリットとデメリットを紹介します。
バイオマス発電の概要
まずはバイオマス発電とはそもそもどういった発電方法か見ていきましょう。
バイオマス発電は、自然の中で生まれた資源であるバイオマスを使って、電気を作る発電方法です。
では、バイオマスとは何でしょうか。
バイオマスとは、生命や生物学などを意味するBIOと、質量を意味するMASSからなる言葉です。
再生可能な生物由来の有機性資源で、化石資源を除いたものが該当します。
生命と太陽エネルギーがあれば再生可能な資源であるため、持続的に生み出せることが分かりますね。
具体的なバイオマスの種類としては、生ゴミや食品廃棄物、家畜糞尿、下水汚泥、農業残さ、木質系廃棄物などがあります。
バイオマス発電は、動植物によって生成された再生可能な燃料を使用するため、一般的な火力発電などとは異なり、有限な物質を消費しません。
そして、現在日本のバイオマス発電の割合は増えています。
具体的には、2014年は1.5%だったのに対して、2020年には2倍以上の3.2%となっています。
政府の方針では、2-030年を目処に、バイオマス発電の割合を3.7〜4.6%にすることが目標とされており、今後も増えることが予想されるでしょう。
世界的に見ると、中国とアメリカが大きくリードしています。
技術発展による効率性の向上・低コスト化によって日本も発電量が増える可能性があります。
種類
次に、バイオマス発電の種類について3つ紹介します。
直接燃焼方式
1つ目は直接燃焼方式です。
直接燃焼方式では、木材や可燃ゴミなどを原料としており、燃焼しやすいように加工した後、ボイラーで燃焼させます。
その後、水を沸騰させて、発生する水蒸気で蒸気タービンを回して発電を行なっていきます。
バイオマスを直接燃焼させているので、直接燃焼方式という名前になりました。
ただ、この方法では温度が比較的低いため、大型の設備でないと効率が悪くなるという欠点があります。
また、設備を大型にした場合にはそれだけ木材などの原料が必要となります。
熱分解ガス化方式
2つ目は熱分解ガス化方式です。
この方法では、バイオマスを直接燃焼させることなく、高温で熱処理を行います。
熱処理によって原料となったバイオマスは加熱分解されて、可燃性のガスを発生させます。
そして、そのガスを燃料として燃焼させ、ガスタービンを回して発電を行なっていきます。
特徴としてはその燃焼温度の高さが挙げられるでしょう。
そのため、小さい規模での発電が可能となっています。
生物化学的ガス化方式
3つ目は生物化学的ガス化方式です。
この方法では、バイオマスエネルギーを生物化学的に返還させて利用します。
具体的には、家畜の糞尿や生ゴミ、汚水、汚泥などを発酵させることで発生するメタンガスといったバイオマスを燃料としています。
バイオガスを燃焼させ、ガスタービンを回して発電しています。
この方法では、上2つだと行いにくかった、水分が多くて直接燃焼しにくかったバイオマスや廃棄物を有効利用できます。
発生するガスの発熱量が高いため、発電効率が良いこともポイントとして挙げられるでしょう。
発電量は262億kWh
現在注目が高まるバイオマス発電ですが、どのくらいの量の電気が生み出されているのでしょうか。
2019年に環境省が発表した数値によると、バイオマス発電量は262億kWhでした。
2013年頃では19億kWhだったことを考えると、とても増えているのがわかりますね。
これからも増え続けるでしょう。
メリット
続いては、バイオマス発電のメリットを5つ紹介します。
二酸化炭素の排出量を樹木の光合成により相殺
1つ目は、二酸化炭素の排出量を樹木の光合成により相殺できることです。
バイオマス発電は、二酸化炭素の収支が実質ゼロになる「カーボンニュートラル」な発電方式です。
木質バイオマスは元々樹木であったため、光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収しています。
そのため、発電時に発生する二酸化炭素と、光合成によって吸収される二酸化炭素が相殺されます。
火力発電の場合は二酸化炭素を多く排出して問題になっていますね。
バイオマス発電であれば二酸化炭素を実質ゼロにすることが可能なので、魅力的です。
廃棄物や未利用資源を活用できる
2つ目は、廃棄物や未利用資源を活用できることです。
バイオマス発電では廃棄物などを燃料としています。
そのため、本来であれば捨てるはずのものを活用できます。
廃棄物の廃棄コストの削減や電力創出は循環型社会に良い影響をもたらすでしょう。
すでにある発電設備を活用できる
3つ目は、すでにある発電設備を活用できることです。
木材と石炭の混合燃料が原料として用いられる時などが当てはまりますが、既存の火力発電所を利用することができます。
新たな設備を建てる必要がなく、または小規模な設備投資だけで済むことは他の再生可能エネルギー発電には見られないものです。
既存設備の有効活用も大きなメリットの1つと言えるでしょう。
発電時の熱を有効活用
4つ目は、発電時の熱を有効活用できることです。
バイオマス燃料を燃焼させた際には熱が生じます。
その熱は、実は地域で有効活用することができます。
例としては、きのこ栽培や温泉施設などが挙げられます。
バイオマス発電は発電効率が悪いとも言われていますが、その分、発電時に放出される熱を別のところで利用できるので他の発電と比べても引けをとりません。
発電量が安定
5つ目は、発電量が安定していることです。
他の再生可能エネルギーには太陽光発電や風力発電などがあります。
しかし、それらの発電方法では、天候に左右されて、発電量が不安定になります。
バイオマス発電であれば発電量が安定します。
バイオマス発電では燃料を用意すれば発電することができるため、他の発電方法よりも発電量が安定していると言えるでしょう。
デメリット
多くのメリットがあるバイオマス発電ですが、デメリットもあるため注意が必要です。
燃料の調達
まずは燃料の調達です。
再生可能エネルギーの多くは燃料の調達を必要としませんが、バイオマス発電は異なります。
そして、燃料となるバイオマスは資源が広い地域に分散して存在しています。
それらは固形で質量のある物体であるため、どうしても収集や運搬、管理にコストがかかってしまいます。
また、バイオマス燃料を栽培・収集・加工・輸送する際には化石燃料を多く利用します。
その結果として温室効果ガスが多くなる、ということも考えられるでしょう。
品質にばらつきがある
次に、品質にばらつきがあることです。
現状ではバイオマス燃料は発電所が長期契約により、燃料の品質などによらず一定価格で取引していることが多いです。
そのため、発電の際には温度が安定しなくて設備利用率が低下したり、燃料品質を調整するために手間が発生したりすることがあります。
生産・輸送システムが非効率
また、生産・輸送システムが非効率であることも挙げられます。
木質バイオマスを例に取って見てみましょう。
木質バイオマスは燃料用途の木材は建築目的の木材生産の副次的な位置付けとなっています。
そのため、生産・輸送システムが燃料向けには過剰で非効率となっています。
今では大規模なバイオマス発電業者は、高くても量を安定して確保できる輸入木材を利用する動きが出てきています。
国内でバイオマス資源をいかに安定して供給できるかがポイントとなるでしょう。
発電効率の低さ
最後に、発電効率の低さがあります。
バイオマス発電の発電効率は20%ほどと言われています。
風力発電は20〜40%、水力発電は80%ほどであることを考えると、低いですよね。
ちなみに発電効率20%は太陽光発電や地熱発電と同じくらいです。
加えて、バイオマス発電は発電コストが高い傾向にあります。
発電コストが高いほど、発電する電力量あたりの経済的負担が大きくなるため、問題点と言えるでしょう。
将来性
最後に、バイオマス発電の将来についてみていきましょう。
バイオマス発電の導入割合は年々増加していますが、日本の掲げる目標には程遠いことが現実です。
また、少し前には、放置竹林などの竹を建築資材やバイオマス発電に活用する事業に取り組んできた民間ベンチャーが大幅な債務超過に陥ったという報道もありました。
ただ、課題となっているものの中で収集運搬が効率的にできるようになると、さらにバイオマスが普及していくことが予想されます。
加えて、食料供給と競合しない第二世代のセルロース系バイオマス原燃料や工業的に量産が可能な微細藻類などの新しいバイオマス原燃料の技術開発が進められています。
現在の規模は小さいですが、2030年には3倍以上に拡大すると予測されているため、今後も注目していきましょう。
【まとめ】バイオマス発電は増加中!今後に注目!
今回はバイオマス発電について紹介しました。
バイオマス発電は二酸化炭素を増加させることなくエネルギーを生み出せる、クリーンな発電方法です。
また、再生可能エネルギーの中でも発電量が安定しており、ベース電源としての活用も期待されます。
徐々に増えていっているので、今後も注目していきましょう。
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この記事の監修者
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